テーマ
-
スマートフォン
タッチパネルで操作ができる、パソコンに近い性能を持つ携帯電話のこと。従来型の携帯電話(フィーチャーフォン、ガラケー)と区別するためにスマートフォンと呼ばれる。スマートフォンの特徴として、インターネットの使い勝手の良さ、アプリの追加による万能性、SNSとの親和性の高さなどが挙げられる。 2007年に米アップルが投入した「iPhone」がスマートフォンのスタイルを決定づけ、多くの追随モデルを生んだ。アップルは主力の「iPhone」を軸にエコシステムを築き上げ、後にプラットフォーマーとして米企業で初の時価総額1兆ドル企業へと躍進する。 長くサムスン、アップルの2強時代が続いたスマートフォン業界だが、高機能化・高性能化の余地が次第に狭まる中、中国企業の躍進、中国・インドなど新興国市場を巡る争奪戦といった地殻変動の兆しも表れている。
-
スマートホーム
「スマートホーム」とは、IoTやAIの活用により家電製品やさまざまなデバイスを結びつけることで快適な生活の提供を目指す住宅、またはそのシステムを指す。住宅のIT化を進めることで、インターネットにつながる家電や設備機器をスマートフォンやAIスピーカー等を通じて操作可能にするなど、より便利で安全、高機能なサービスをユーザーに提供する。2022年10月にはアップル、アマゾン、グーグルなど400社超が参画するスマートホームのIoT共通規格「Matter(マター)」が正式リリースされた。同規格に準拠した機器はメーカーの垣根を越えて操作することが可能になり、利便性は飛躍的に向上する。このため、「Matter」はスマートホーム機器普及の起爆剤として期待されている。また、省エネ化・脱炭素化に向けた社会的な要請が強まるなか、エネルギー消費量を可視化しつつ制御を行う「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」とスマートホーム機器の連携によるエネルギー管理の強化も進展しそうだ。スマートホームの構築には、電気自動車(EV)を電力源として活用する動きなどもあり、幅広い産業が関係してくる。スマートホームの市場規模は2030年に5370億ドルに達するとの予測もなされている。
-
3Dプリンター
3Dプリンターとは、樹脂層を細かく積層させることで立体(3D)モデルを製作する装置のこと。工業製品の設計・開発段階で試作品を作る際の金型などが不要となるためコスト削減ができ、複雑な構造の製品の製作が短時間で可能となるといった特徴を持つ。同プリンターは、第4次産業革命に向けて不可欠な機器として高い関心を集めている。宇宙基地の建築には、複雑な立体構造を再現できる3Dプリンターが活用されるとの見方もある。一部では、3Dプリンターの市場規模は22年までに年平均18%成長し230億ドル(約2兆5300億円)に達するとの予想もある。3Dプリンターの関連銘柄には、米国大手のスリーディー システムズ やストラタシス、エクスワンなどがある。
-
スーパーボウル関連
アメリカンフットボールのプロリーグであるナショナル・フットボール・リーグ(NFL)の優勝決定戦「スーパーボウル」が、毎年2月上旬の日曜日に開催される。アメリカンフットボールは米国で最も人気のあるスポーツであるが、その最高峰の大会であるスーパーボウルは世界200カ国以上に放送され、視聴者数は全米で1億人を超える。スーパーボウルのテレビコマーシャル枠は世界で最も高価とされ広告料は高騰を続けているが、視聴者の関心は高く、広告出稿を機に飛躍した企業も少なくない。1984年にはアップルが伝説的なCM「1984」を放映しイノベーターとしてのイメージを決定づけた。また、前半戦と後半戦の間に行われるハーフタイムショーには過去、U2、ローリング・ストーンズ、ビヨンセ、レディー・ガガなど名立たるアーティストが登場しており、試合に劣らず一大エンターテインメントショーとしての注目度は高い。スーパーボウルは、アメリカン・フットボール・カンファレンス(AFC)とナショナル・フットボール・カンファレンス(NFC)の覇者同士により競われるが、株式市場ではNFCのチームが勝つとその年の相場は上昇し、逆にAFCのチームが勝つと下落するという「スーパーボウル指数」と呼ばれるアノマリーでも知られている。
-
スーパーマーケット
食料や日用品の調達先としてスーパーマーケットが存在感を高めている。新型コロナウイルスの感染拡大で外出が自粛され、都市内の多くの店が営業を取り止めるなかでも食料など生活必需品を扱うスーパーマーケットは営業を許されており、消費者は買いだめを行うことも多い。このため、コロナ禍のなかでも以前よりも売り上げを伸ばす例は少なくない。スーパーマーケットのなかでもウォルマートやコストコ・ホールセールなどは低価格路線を強めており、景気悪化時にはその競争力を発揮しやすい。また、両社は世界規模で事業を展開しており、新興国などでの高い成長が期待されている。クローガーは食品スーパーを中心に全米で事業展開している。アマゾンは食料品の通販も展開しており、スーパーの事業領域にも参入している。また、食事キット配送サービスを手掛けながらキットをスーパー店頭でも販売するブルーエプロンのような企業もある。
-
制御システム
制御システムは各種機器の管理・制御を行い、プラントや工場のほか、航空機や船舶、車両、高機能ロボットや次世代自動車などを効率よく稼働させるうえで不可欠な存在となっている。各種システムや装置を制御するためのセンサーやモーター、スイッチ、タイマー、バルブや温度調節器などにより構成される。機器の位置や速度、向き、トルクなどを制御する技術はモーション・コントロールと呼ばれ、産業用ロボットや工作機械、産業機器を動かすうえで必須の技術となっている。景気が拡大局面に入り設備投資が活発化すると、生産設備の要(かなめ)の役を担う制御システムを手掛ける関連企業の業績拡大も期待できる。関連銘柄にはパーカー・ハニフィン(PH)やアライド・モーション・テクノロジーズ(AMOT)、フローサーブ(FLS)などがある。
-
生成AI
ジェネレーティブAIともいう。あらかじめ学習した大量のデータをもとに、文章や画像、音楽、プログラムのコードなどを新たに作成する人工知能(AI)の総称。代表的な生成AIとしては会話型チャットボットの「ChatGPT」や画像生成AIツールの「DALL-E」などがあり、いくつかの材料を読み込ませることで自動的にコンテンツを生成することを可能にする。人間の思考や創造性を補完し得る技術として注目され、ビジネスでは業務効率化に対する期待も大きい。特にマイクロソフトが出資する新興企業の米オープンAIが公開した「ChatGPT」は、質問に対してあたかも人間のように自然な文章で回答を行うことが可能であり、その性能の高さは世界中に衝撃を与えた。「ChatGPT」に対抗する格好で、アルファベット傘下のグーグルが対話型AIサービス「Bard(バード)」を公開するなど、世界各国で開発機運が高まっており、生成AIの開発企業はもちろん、これを活用する企業にも注目が集まっている。ただ、情報の流出や著作権の侵害、誤答のリスク、人間の仕事を奪うといった懸念から利用に対して慎重な声も聞かれる。国際的にも主要7ヵ国(G7)デジタル・技術相会合が2023年5月に、AIの開発と利用に関する国際ルール作りを進めることで合意するなど、一定の規制が必要との共通認識ができつつある。2024年5月にはEU(欧州連合)で包括的にAIを規制する法律が成立している。一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するうえで最重要なツールの一つであるとの認識も広がっており、企業などでのルール作りも進んでいる。今後、生成AIは多岐にわたる分野で急速に普及していくものとみられている。
-
生体認証
「生体認証」は、人間の生体情報を用いて特定の個人を認証する方式で、バイオメトリック認証やバイオメトリクス認証とも呼ばれる。指紋や虹彩、静脈、顔、声帯など個人に特有のパターンを照合することで個人を認証する。生体認証はパスワードなどを用いる認証方式に比べて精度が高く、偽造やなりすましがされにくく、ユーザーの利便性も高いといった利点がある。ITの発達に伴い企業情報や個人データの漏洩・流出などがたびたび問題となる中、情報セキュリティの重要性は一段と高まっている。生体認証はそのセキュリティ強化の要(かなめ)となる技術として期待されている。センサーの性能向上や画像認識技術の進化、ハードの小型化など、生体認証の普及の壁となっていた技術的問題はほぼ解消され、スマートフォンやパソコン、ATMといった身近な機器への採用も進んでいる。また、テロ対策での顔認証技術の導入、タイムカードに代えて指紋認証を勤怠管理に用いる企業なども増えており、今後も幅広い分野で関連市場の拡大が見込まれる。
-
生命保険
「生命保険」は、人の生死を保険事故(保険会社などが保険金支払義務を具体化する事故)とする保険で、傷害保険や医療保険などと同じように、人の身体に関する偶然な出来事を対象とする保険。 あらかじめ定められた一定の金額を支払う定額保険の代表的なもので、実際に生じた損害をてん補する損害保険と区別される。株式市場では、銀行、証券などと並んで金融関連株の一角として位置づけられる。
-
清涼飲料
アルコール分1%未満の飲料を指し、コーヒー飲料、炭酸飲料、ミネラルウォーター、機能性飲料、果実飲料、野菜ジュース、スポーツ飲料などが含まれる。近年は健康志向の高まりを背景に、低カロリー飲料、茶系・野菜飲料、機能性飲料などが人気を集めており、メーカーは新製品の開発に鎬を削っている。猛暑の際には、サマーストックとして関連企業が株式市場で注目されることがある。
-
石炭
石炭は古くから燃料として使われ、「黒いダイヤ」とも呼ばれた時期がある。ただ、石油が主要エネルギーの地位についてからは石炭の地位は低下。燃焼時に発生する二酸化炭素が地球温暖化の一因であることも敬遠される要因となった。こうした流れを背景に、英豪資源大手のリオ・ティントは唯一残された石炭鉱山の全権益を売却し、資源ポートフォリオに石炭を有さない初の資源メジャーとなった。地球環境への配慮などを標榜するESG投資が広がるなか、発電向けの一般炭事業を見直す動きが続いている。米国は石炭生産量、輸出量で世界第4位の“石炭大国”だが、こうした流れを映して同国の石炭生産量は減少傾向にあった。だが、コロナ禍からの経済回復に伴うエネルギー需要、石油・天然ガス価格の高騰、ロシアによるウクライナ軍事侵攻などを受けて、欧州でドイツやフランスが石炭火力発電の再稼働を決めるなど、石炭をエネルギー資源として見直す動きが顕在化している。また、石炭については、石炭ガス化複合発電をはじめ技術改良により二酸化炭素の排出量削減が可能となっており、発電用燃料として再評価する向きもある。
-
石油・エネルギー開発
石油・エネルギーは産業の根幹を支えるセクターであり、市場での存在感は大きい。とりわけ、米国は「石油大国」として知られる。石油メジャーのエクソン・モービルやシェブロンなどの巨大企業を擁しているほか、近年はシェールオイルの増産で世界最大級の原油生産国へと復活を遂げている。石油・エネルギー産業の裾野は広く、採掘から精製・販売まで全段階を垂直統合する石油メジャーのほか、オクシデンタル・ペトロリアムなど独立系石油会社もシェールオイル・ガスの開発・生産などで注目されている。
-
石油化学
その名の通り石油から化学製品を作る。原油の蒸留によりガソリンとほぼ同水準の沸点範囲を持つナフサを使い合成繊維や合成樹脂などを製造する。関連セクターの範疇としては化学・繊維メーカーからプラント関連まで幅広い。
-
石油メジャー
大手石油会社の石油メジャーは、国際石油資本とも呼ばれ、資本力と政治力により石油の探鉱(採掘)、生産、輸送、精製、販売までの全ての段階を一貫してカバーすることで、シェアの多くを寡占する石油系巨大企業複合体の総称。石油メジャーのうち、特に第2次世界大戦後から1970年代まで、石油生産をほぼ独占していた7社をセブン・シスターズと呼んでいた。ただ、現在では、中東や中国などアジアの産油国、ロシアの国営石油会社などの存在感が増すとともに、その影響力は相対的に低下傾向にある。関連銘柄としては、エクソン モービルやシェブロン、英国系のBPなどがある。
-
センサー
センサーとは、温度や音、光などの情報を検出して電気信号やデータに変換する装置のこと。スマートフォンやデジタルカメラ、航空機、工場のファクトリーオートメーション(FA)機器など産業のさまざまな分野で使われている。音を感知する音センサーや光を感知する光センサーなどのほか、材料面では半導体素子の性質変化を用いる半導体センサーや生体物質を用いるバイオセンサーなどの種類がある。次世代スマートフォンや自動運転車、それにIoTなどの実現に向け、センサーはキーデバイスになることが予想されている。スマートフォンのカメラなどに使われる画像センサーのCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサーでは、日本のソニーが約5割のシェアを誇るが、車載向けCMOSセンサーでは米国のONセミコンダクターが最大手となっている。また、大手半導体メーカーのテキサス インスツルメンツや位置・速度センサーに強みを持つMTSシステムズなどが関連銘柄となる。