テーマ
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ジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品とは、先に開発・販売された「先発医薬品(新薬)」に対し、特許が切れたあとで製造された後発医薬品のこと。新薬と同等の効能を持ち価格も安いという特徴がある。米国ではジェネリック医薬品は数量ベースでは、市場全体に占める割合が9割近い水準まで普及が進んでおり、その市場規模は世界トップクラスにある。金額ベースでは普及の割合は20%台にとどまっているものの、米国の市場は日本の約10倍の規模があると言われている。日本のような保険制度がない米国では医薬品の低価格志向が強いほか、財政赤字の拡大による医療費削減の流れもジェネリック普及の要因となっている。また、バイオ医薬品に対する後発品である「バイオシミラー」市場も拡大している。関連銘柄は、イスラエルのテバ ファーマシューティカル インダストリーズ、米国のマイラン、インドのドクター レディーズ ラボラトリーズなど。
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自動運転車
ドライバー無しで目的地に向け走行する自動運転車は、現在の自動車産業をみるうえで最も注目を集めるテクノロジーのひとつとなっている。日米欧の大手自動車メーカーや中国企業が揃って開発を進めているほか、業界の垣根を越えて有力IT企業や電機メーカーなどが市場に参入している。自動運転において自動化のレベルは「0~5」で定義される。「レベル3」では特定条件下で自動運転が行われるが、運転継続が困難な場合はドライバーが対応する。「レベル4」では特定条件下で完全な自動運転を行う。「レベル5」で完全な自動運転となる。「レベル4」以上で運転主体はシステム対応となり、ドライバーを必要としなくなる。インフラや法律の整備などの課題は残るものの、すでに海外では自動運転タクシーによるレベル4サービスが実用化され始めている。2024年10月には米電気自動車(EV)大手テスラが自動運転タクシー「ロボタクシー」を発表、2026~27年の生産開始を見込んでいる。
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自動車
自動車産業は市場規模が大きく、裾野も広い。まさに現代の基幹産業としての地位を占めている。日本は世界的に有力な自動車メーカーを有しており、株式市場での自動車株の存在感は大きい。自動車株は景気の動向に加え、為替の影響も受けやすく、円安局面では為替メリット享受で株価が上がりやすい特徴がある。
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自動車電子化
自動車の高機能化とともに、1台当たりの電子部品の搭載数は増加傾向を強めている。電気自動車(EV)では、コンデンサーやモーターなどの電子部品は、従来のガソリン車に比べ搭載数が大幅に増える見込みだ。自動運転技術の進展も電子化を推進する。米国のバイデン大統領は、米国の新車販売に占めるEVなど電動車の比率を2030年に50%に引き上げる方針を打ち出しており、電子部品関連の需要は一段と高まる見通しだ。なかでも自動運転の支援で重要な役割を果たす高性能センサーである「LiDAR(ライダー)」などに対する市場の注目度は高い。
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自動車・二輪車関連
自動車は多種多様な部品・素材で構成されていることから、関連産業の裾野が広く、経済への波及効果が大きいため、米国の基幹産業として重要な位置を占めている。かつては米3大自動車メーカーのゼネラル・モーターズ、フォードモーター、クライスラー(現在ステランティスの保有ブランド)が「ビッグ・スリー」と呼ばれ、長らく米国経済を支えてきた。また、1台の自動車は約3万点の部品から構成されており、数多くの自動車部品企業が関係している。最近は世界的に厳しさを増す環境規制を背景に各メーカーが電気自動車(EV)戦略を強化しており、米EVメーカーのテスラの存在感も高まっている。こうした流れはオートバイ業界にも及んできており、アメリカのアイコンともいえるハーレー・ダビッドソンも電動バイクを市場投入している。
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自動車部材・部品
1台の自動車は約3万点の部品から構成されており、関連する企業の裾野も広い。例えば、シートやタイヤ、ハンドル、ガラス、ヘッドランプ、メーターを作る自動車部品メーカーのほか、鉄やアルミ、樹脂を手掛ける素材メーカー、塗装会社などが挙げられる。また、電気自動車(EV)では、電池、モーター、インバーターが基幹部品となり、電子部品メーカーの存在感も高まっている。
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事務用品
米国の事務用品販売業界では寡占化が進んでいる。2013年には米国2位のオフィス・デポが3位のオフィス・マックスを合併。続いて業界首位のステープルズがオフィス・デポの合併に動いたが、独禁法抵触で断念せざるを得なかった。そのステープルズは業績が悪化し、投資会社のシカモア・パートナーズに2017年に買収されている。 市場を支配してきた大手3社を再編に突き動かしたのは、デジタル化に伴う事務用品市場の縮小傾向に加え、アマゾンの台頭があった。企業向け小売りに進出したアマゾンに市場を侵食され、規模の拡大に賭けざるを得なくなった。 米国の事務用品販売業界では今後、アマゾンの圧力に抗し、事業の効率化や多角化、オムニチャネルの推進など企業体質の強化を進められるかが注目点となりそうだ。
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住宅関連
米国の住宅産業の裾野は広く、経済全体への影響も大きい。住宅の建設では、木材やセメント、鉄鋼など建設資材に需要をもたらすだけでなく、家具や家電、自動車といった耐久財への買い需要も喚起するため、景気の押し上げ効果が大きい。このため、住宅着工件数などの関連指標は高い関心を集めている。新型コロナウイルスの感染拡大期には巣ごもり需要で、住宅販売が伸びるなど追い風を受けた。足もとの米国では住宅の供給不足を背景に住宅価格・家賃が高騰しており、過去数十年で最悪とされる住宅難の状況にある。特に低中所得者層・高齢者層への打撃が大きい住宅危機への対応は、2024年の米国大統領選挙でも争点となった。大統領選に勝利したトランプ氏は住宅ローン金利の引き下げや税制優遇、連邦政府の土地の住宅開発への開放など、規制緩和による住宅取得支援を打ち出していた。今後、供給不足解消に向けた施策が進められていくとみられ、住宅関連企業には追い風となりそうだ。
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情報セキュリティ
インターネットに接続されたデバイスの数が増えるのに伴いサイバー犯罪に対する脅威が増している。インターネット・セキュリティには「ウイルス」に絡むものが少なくなく、その犯罪の種類も「情報漏えい」「インターネット詐欺」など多岐にわたる。特に近年、ターゲットを個人から企業に移したランサムウェア(システムの復旧と引き換えに金銭を要求するマルウェア)が猛威を振るっている。米国では手口の巧妙化と攻撃頻度の増加が確認されており、エンツォ・バイオケムやヘンリー・シャイン、ユナイテッドヘルス・グループ傘下の企業などが被害に遭っている。総務省の資料によると、世界のサイバーセキュリティ市場規模は2019年の485億ドルから2023年には790億ドルまで拡大。今後、セキュリティが重要視されるフィンテック関連サービスや電装化が進む自動車関連市場の成長が予想されるなか、市場規模はさらなる拡大が見込まれている。また、地政学的リスクが高まる局面では、重要インフラ施設や防衛関連企業などへのサイバー攻撃も懸念され、官民を問わず情報セキュリティ対策の重要性が高まっている。
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情報通信関連
情報通信分野は、その範囲が広く通信キャリアや通信機器を手掛ける企業のほかクラウドなどを活用して情報サービス全般を手掛ける企業、システム構築あるいはセキュリティーを担う企業など多岐にわたる。また今後は人工知能(AI)との融合で情報通信分野も新境地が開拓されていく。ワイヤレス通信、高速回線、動画配信など総合的に手掛けるAT&Tや無線と有線の2セグメントで事業展開するベライゾン コミュニケーションズなどが代表銘柄に挙げられる。
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情報配信
情報を配信するという定義に漠然とした部分もあるが、関連銘柄として一般的にイメージされるのは金融情報や株式などの投資情報をリアルタイムで配信する企業が対象。昨今の株式市場の活性化は紛れもなく追い風である。
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人工臓器・器官・皮膚
心臓や肺などの臓器、血管や骨などの器官、皮膚などを人工的に生成・製造して置き換える動きが進んでいる。ペースメーカーや人工骨などが人工臓器に当たる。また、皮膚や血管などを再生することの成功例も増えている。臓器類の他者からの移植は倫理面や供給量の問題が大きく、人工的に作成された臓器による疾病治療は社会的な意義も大きい。
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人工知能
コンピューター社会の進行とともに「人工知能(AI)」は急激な発展をみせている。人工知能の研究では、1950年代からブームと冬の時代が交互に訪れており、現在は2000年代から続く「第三次ブーム」のただ中にある。この「第三次ブーム」の革新をもたらしたのが「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる新技術であった。2016年にグーグル(※親会社はアルファベット)がディープラーニングを用いて開発した囲碁AI「AlphaGo(アルファ碁)」が人間の世界チャンピオンを破ったことは、世界に衝撃を与えた。だが、2022年にそれを上回る新たなAIのインパクトが世界を駆け巡る。米新興企業オープンAIが開発した「ChatGPT」が火をつけた生成AI(ジェネレーティブAI)の爆発的な普及である。生成AIは予め学習した大量のデータを基に、文章や画像、音楽、プログラムのコードなどを作成する人工知能を指す。「ChatGPT」は質問に対しあたかも人間のように自然な文章で回答を行うことが可能であり、その性能の高さは産業、研究開発、創作分野などにおける利活用の期待を一気に高めた。これを受けオープンAIに追随する形で、グーグルなどIT大手が生成AIの開発を加速している。米国市場では株価上昇を牽引してきた従来の「マグニフィセント・セブン」に代わって、AIを成長の原動力に据えるメタ・プラットフォームズ、エヌビディア、マイクロソフトの3社を「MnM」と称して注目する動きも強まっている。
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人工肉
人工肉とは、肉の味や食感を人工的に再現した食品で、ほぼ本物の肉の味の再現に成功しているといわれる。人工肉は、動物から採取した細胞を培養する方法と植物由来でつくられるものの二つに大別される。実用化で先行し、人気を呼んでいるのが植物由来の人工肉。菜食主義者やビーガン(絶対菜食主義者=肉類・魚類に加え卵や乳製品も食さない人々)向けといった用途を越えて、世界の人口急増に伴う将来の食糧難や牛の増加に伴う環境破壊を防ぐ効果も期待できることから、欧米を中心に急速に関心が高まっている。2019年5月にナスダック市場に新規上場したビヨンド・ミートは市場で高い注目を集めたが、競合のインポッシブルフーズも先行き株式公開するとの観測が出ている。ビヨンド ミートにはマイクロソフト創業者であるビル・ゲイツ氏や俳優のレオナルド・ディカプリオ氏が出資するなど実業家や著名人の関心も高い。人工肉の普及に伴い、今後はマクドナルドなど既存の大手ハンバーガー店やレストランなどの事業戦略にも影響が出てきそうだ。
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人材派遣
米国は人材ビジネスの発祥の地。1940年代後半に始まった人材派遣サービスは、その後、ヨーロッパを経て世界各国へと広がっていった。現在の米国の人材ビジネスにおいては、人材派遣のほか、職業紹介、再就職支援など多様なサービスが提供されている。米国には日本の職業安定法にあたる法律はなく、規制も厳しくないことから幅広い事業に展開しており、大手人材企業は培ったノウハウを活用して世界各国にオフィスを構えるグローバル企業化している。労働需給が逼迫し人手不足感が深まると、人材派遣を営む各社への関心も高まりやすい。関連銘柄には、米国最大の人材紹介会社のコーン・フェリー、専門職に特化した世界最大の人材紹介・派遣会社のロバート・ハーフ、世界的な人材派遣・就職支援事業を展開するマンパワーグループなどがある。