テーマ
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石油・エネルギー開発
石油・エネルギーは産業の根幹を支えるセクターであり、市場での存在感は大きい。とりわけ、米国は「石油大国」として知られる。石油メジャーのエクソン・モービルやシェブロンなどの巨大企業を擁しているほか、近年はシェールオイルの増産により世界最大級の原油生産国へと復活を遂げている。2024年の米大統領選挙に勝利したトランプ氏は、「ドリル、ベイビー、ドリル(掘って、掘って、掘りまくれ)」を選挙スローガンに掲げ、自国の石油・天然ガス産業を優遇する姿勢を示してきた。2025年1月に新大統領に就任したトランプ氏は、バイデン前政権下で進められた環境政策を見直し、液化天然石油ガス(LNG)の輸出認可の審査を再開した。また、米沖合海域・連邦政府所有地などでの石油・ガス生産の拡大も指示している。トランプ氏の再登板により活性化が予想されるエネルギー産業の裾野は広く、採掘から精製・販売まで全段階を垂直統合する石油メジャーのほか、オクシデンタル・ペトロリアムなど独立系石油会社もシェールオイル・ガスの開発・生産などで注目されている。
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石油化学
その名の通り石油から化学製品を作る。原油の蒸留によりガソリンとほぼ同水準の沸点範囲を持つナフサを使い合成繊維や合成樹脂などを製造する。関連セクターの範疇としては化学・繊維メーカーからプラント関連まで幅広い。
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石油メジャー
大手石油会社の石油メジャーは、国際石油資本とも呼ばれ、資本力と政治力により石油の探鉱(採掘)、生産、輸送、精製、販売までの全ての段階を一貫してカバーすることで、シェアの多くを寡占する石油系巨大企業複合体の総称。石油メジャーのうち、特に第2次世界大戦後から1970年代まで、石油生産をほぼ独占していた7社をセブン・シスターズと呼んでいた。ただ、現在では、中東や中国などアジアの産油国、ロシアの国営石油会社などの存在感が増すとともに、その影響力は相対的に低下傾向にある。関連銘柄としては、エクソン モービルやシェブロン、英国系のBPなどがある。
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センサー
センサーとは、温度や音、光などの情報を検出して電気信号やデータに変換する装置のこと。スマートフォンやデジタルカメラ、航空機、工場のファクトリーオートメーション(FA)機器など産業のさまざまな分野で使われている。音を感知する音センサーや光を感知する光センサーなどのほか、材料面では半導体素子の性質変化を用いる半導体センサーや生体物質を用いるバイオセンサーなどの種類がある。次世代スマートフォンや自動運転車、それにIoTなどの実現に向け、センサーはキーデバイスになることが予想されている。スマートフォンのカメラなどに使われる画像センサーのCMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサーでは、日本のソニーが約5割のシェアを誇るが、車載向けCMOSセンサーでは米国のONセミコンダクターが最大手となっている。また、大手半導体メーカーのテキサス インスツルメンツや位置・速度センサーに強みを持つMTSシステムズなどが関連銘柄となる。
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先進国ETF
先進国の株式で構成される指数と連動するETF。
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船舶
船舶とは船の総称のこと。船舶は、世界の貨物輸送の活発化などとともに需要が増加している。造船会社が船舶を製造している。船舶の製造には、エンジンやバルブなどの部品が必要となるほか、塗料などの会社も関連企業となる。
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葬祭
霊園の運営のほか、棺や墓標、記念碑、永代供養などの葬儀、埋葬にかかわるサービス、製品を提供する銘柄群が葬祭関連に位置づけられる。米国は海外移住者の流入に支えられて人口増を続けてきた先進国では例外的な国ではあるが、高齢化の進行は免れず、2035年までに65歳以上の高齢者が18歳未満の若年層の人口を逆転すると予想されている。日本同様に高齢者の割合が高まるにつれて死亡人口も傾向として増勢を辿るため、葬祭関連市場の規模拡大が想定される。米国市場に上場している葬祭関連ではサービス・コーポレーション・インターナショナル、ストーンモア・パートナーズ、キャリエージ・サービス、マシューズ・インターナショナルなどがある。
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素材
素材産業は、加工組み立ての前段階でメーカーにその材料を提供する企業群を指す。化学、鉄鋼、非鉄、繊維などがその範疇に含まれる。経済が活性化すれば関連企業の収益機会も広がることから株式市場では「景気敏感」の産業に位置づけられるが、市況の動向にも業績は左右される。
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その他金融
米国の金融産業の裾野は広く、事業をグローバルベースで展開する関連企業も多い。金融の主力業態である銀行、証券、生命保険・損害保険などのほかに、クレジットカード関連、資産運用会社、証券取引所、金融情報関連企業など幅広くサービスが提供されている。関連銘柄としてはクレジットカードのビザやマスターカード、取引所運営のインターコンチネンタル エクスチェンジやナスダック、資産運用会社のブラックロックやインベスコなどが挙げられる。
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ソフトバンク・ビジョン・ファンド関連
ソフトバンクグループが設立した巨大ファンド。1号ファンドは、次世代のイノベーションを起こす可能性のある企業やプラットフォームビジネスに対し、大規模かつ長期的な投資を行うことを目的として2017年5月から運用を開始。サウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド、アップル、鴻海精密工業、クアルコム、シャープなどが参加し、投資先の選定はソフトバンクグループが担当する。運用規模1030億ドル(約11兆円)の巨大ファンドを誕生させたソフトバンクグループは以降、投資会社としての性格を鮮明にする。第1号ファンドの投資先はライドシェアのウーバー・テクノロジーズやグラブ、滴滴出行のほか、チャットツール大手のスラック・テクノロジーズ、シェアオフィスを運営するウィー・カンパニー、ガーダント・ヘルス、ARMホールディングス、GMクルーズなど。なお、2018年1月に主要投資先だったエヌビディアについてはその全株式を売却している。第1号ファンドの資金をほぼ使い切ったソフトバンクグループは、2019年7月に2号ファンドの設立を発表。運用規模は1080億ドル(約11.7兆円)とし、AI(人工知能)関連を中心とした先端ユニコーンへの集中投資を図る方針。アップルや鴻海精密工業、マイクロソフト、みずほ銀行など3メガ銀のほか、第一生命などが出資を行う。
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ソフト・システム開発
移民の国である米国には世界中から才能豊かな技術者、企業家が集まり、ソフト・システム開発においても互いにその力を競い合い、磨いてきた。特にカリフォルニア州のサンタクララバレー周辺はシリコンバレーと呼ばれ、これまでアップルやアルファベット(グーグル)、メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)、インテルといった錚々たるビッグテック企業を輩出してきており、IT産業の一大集積地となっている。米国はソフト・システム開発における優位性を背景に、コンピューターの黎明期からインターネットやスマートフォンの普及・成長期、そしてAI(人工知能)の勃興期まで、IT産業のリーダーとしてその地位を保ち続けている。米中対立の激化、トランプ政権の高関税政策など米国経済の先行きには不透明感も漂うが、米国の競争力の源泉であるソフト・システム開発力は優位性を失っておらず、新興勢力の台頭も含め、関連企業の動向は今後も株式市場の注目を集め続けよう。
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空飛ぶクルマ(空飛ぶタクシー)
「空飛ぶクルマ(タクシー)」とは、航空機などに比べ手軽に利用できる、空の移動を可能にする乗り物。主に高度数百メートルの短中距離飛行を対象に、電動・自動での垂直離着陸を想定した移動手段であり、「eVTOL:イーブイトール」とも呼ばれる。滑走路が不要で都市部での移動時間の短縮、離島・山間部での利用、災害などにより道路が寸断された場合の緊急時の輸送力の確保といったさまざまな場面での活躍が期待され、次世代移動サービスとして米国や欧州、日本などで開発が進んでいる。足もとの実用化を巡る動きでは、大阪万博でANAホールディングスが、提携する米ジョビー・アビエーションの機体を使って「空飛ぶクルマ」のデモ飛行を行う。また、東京都は2027年度にも商用運航に乗り出す。米国では「空飛ぶタクシー」の実用化を目指すジョビー・アビエーションのほか、アーチャー・アビエーションが商業運航認可を取得しており、実用化を巡る各国企業の動きが一段と活発化してきそうだ。
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損害保険
損害保険は偶然のリスクにより発生した損害を補償するための保険。自動車事故に備える自動車保険や火災に備える火災保険、事故による入院や死亡などの損害に備える傷害保険などがある。損害保険会社は安定的な収益が見込めるが、ハリケーンや地震など大規模災害が発生した場合など、保険金支払い懸念から株価は売られたりする場合もある。
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ソーシャルメディア
インターネット上で提供されるサービスで、サービスの利用者自身が情報を発信し、コンテンツが形成されるメディアの総称。インタラクティブなコミュニケーションがその特徴であり、ミニブログやボッドキャスト、動画や画像の共有サイト、ショッピングサイトの購入者評価欄などが含まれる。代表的なソーシャルメディアとしてはメタ・プラットフォームズ(※フェイスブックを運営)が提供する写真共有アプリケーションのインスタグラム、スナップの写真共有アプリのスナップチャット、ミニブログのツイッター、マイクロソフト傘下のビジネス特化SNSのリンクトインなどがある。
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太陽光発電関連
太陽光発電は、太陽光を利用した再生可能エネルギーの中核をなす発電方式。 米国で太陽光など再生可能エネルギー普及を後押しするのが、小売電力事業者に対して再生可能エネルギーの利用を義務づける再生可能エネルギーポートフォリオ基準(RPS)制度である。 また、再生可能エネルギーにおいて課題とされた発電コストも、安価なアジア製太陽電池の普及もあって大規模太陽光発電を中心に大幅に引き下げが進み、成長に弾みをつけている。米エネルギー省は2017年9月、太陽光発電のコスト低下が2020年の目標を3年前倒しで達成したと発表している。