テーマ
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道路
米国は四輪車普及率で世界首位の自動車大国であり、個人の移動手段として自動車は圧倒的な地位を占める。この自動車大国を支えるのが、日本の約25倍にも及ぶ広大な国土の主要拠点を結ぶ道路網、特に高速道路網の存在である。米国は道路の総延長距離、高速道路にあたる州間高速道路の距離数でともに世界一の水準にある。ただ、近年、道路延長の伸び率を大きく凌駕するペースで道路交通量が増大するなか、老朽化が進む幹線道路の維持・補修、更新が大きな課題となっている。
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独立系石油会社・エネルギー関連
石油メジャー以外のエネルギー関連企業を独立系石油会社と呼ぶこともある。メジャーと比較して企業規模はひと回り小さいものの、成長性のある企業も少なくない。主に従来の手法で原油ならびに天然ガスを生産してきた。しかし、シェールオイルブームの到来で彼らより更に規模の小さい、シェールオイル・ガス開発に特化した業者が次々に成功するなかで、各社とも川下や海外の余剰な資産を売却し、米国内のシェール開発に乗り出している。独立系石油会社には、オクシデンタル ペトロリアムやマラソン オイル、アパッチ、石油開発企業にはシュルンベルジェなどがある。
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ドラッケンミラー関連
ジョージ・ソロスの片腕として名を馳せた、資産家であり著名投資家のスタンレー・ドラッケンミラーのポートフォリオが、バフェット関連同様に世界の投資家の関心を集めている。ドラッケンミラーはソロスの「クォンタム・ファンド」の運用を12年間にわたり担い、その後、自らのファンドであるデュケーヌ・ファミリーオフィスを運用。2024年5月には、デュケーヌが買い進めてきたエヌビディア株44万1000株(保有株の7割)を売却したことが市場で話題になった。いち早くエヌビディアの可能性に着目し、AIブームに乗った同社株の急騰を逃さなかったドラッケンミラーの嗅覚の鋭さは特筆される。なお、ドラッケンミラーは2024年5月下旬、岸田首相と面会を果たすなど、日本での知名度も高い。
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ドラッグストア
医薬品を中心に日用品、化粧品、文房具、食品などを幅広く扱う小売業態を指す。米国のドラッグストアの特徴としては、店舗内で簡易な診療・予防接種が可能なリテール・クリニックと呼ばれる小型診療所を備えている店舗があること。高額な保険料・医療費が指摘されている米国では、手軽で安価な医療サービスを求める人々のニーズに応える仕組みとして受け入れられている。もう一つの特徴としては飲食施設を備えたイートイン機能の充実である。医療費の高騰等はドラッグストア業態にとっては追い風であるが、一方で膨張するアマゾンなどネット企業による市場の浸食も懸念される。このため、ドラッグストア業界では規模の拡大による寡占化が進行する一方、地域に根づいたヘルスケアステーションとしての店舗の魅力の向上や、ウォルグリーンにみられるようにオムニチャネル戦略の強化などに力を注いでいる。
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ドローン
無人飛行機「ドローン」の市場は今後、急速な拡大が見込まれている。米国は世界に先駆けて商用ドローンの規制緩和に踏み切った実績を持ち、中国と並ぶ世界最大規模のマーケットとなっている。普及の初期段階ではホビー用が主流だったが、商用分野や軍事用での活用へと軸足が移りつつある。商用分野では、老朽したインフラや高所の点検作業、空中からの撮影、スマート農業(農薬散布や作物の育成データ収集)などで活用されているが、今後、目視外飛行や夜間飛行、頭上飛行などの規制緩和が進めば、市場は本格的なテイクオフが期待できる。軍事用途では、2022年のロシアによる侵攻に対して、ウクライナが監視から攻撃までドローンを駆使して立ち向かい、ドローンが戦場における必須の重要兵器となったこと実証した。また、2022年12月に日本で有人地帯で目視せずに機体を飛ばすことが可能になる「レベル4」が解禁されるなど、各国で空の物流をはじめ商業化に向けた取り組みが加速している。
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中食
家庭外で調理されたものを購入して自宅などで食事することを「中食(なかしょく)」と呼ぶ。料理店などに出かけて食事をする「外食」、購入した素材を調理して家庭で食べる「内食」に対応する概念。「中食」に該当する用語として、米国では「ホーム・ミール・リプレイスメント(HMR:家庭料理に代わる食事)」や「ミールソリューション(MR)」が用いられる。女性の社会進出が進み、共働き世帯が増えている同国においては、調理時間の短縮を図ることのできる「中食」はそのメリットが評価されて大きな市場を構成している。関連企業は、テイクアウトや食品宅配を手掛ける企業、総菜など提供する食品スーパーやコンビニエンスストア、冷凍食品を製造する食品会社などとなる。特に2019年末に発生した新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)がもたらした外出規制などにより外食産業が打撃を受ける中、活路を切り拓く手段としてテイクアウトサービス(ドラブスルー方式を含む)、ネットを活用した食品宅配サービスなどへの注目が高まった。
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NAND型フラッシュメモリ
フラッシュメモリーはデーターの消去・書き込みを自由にできる半導体メモリーのこと。NAND型は安価で高速の書き込みや消去ができる特長がある。パソコンなどで使われるUSBメモリーやデジタルカメラ用のメモリーカードなどに使われている。 NAND型フラッシュメモリーを1987年に発明したのは東芝だったが、その半導体メモリー子会社は売却され、米投資ファンド・ベインキャピタルが率いる「日米韓連合」の傘下に入った。同メモリーで世界首位を走るのは韓国サムスン電子で、その販売シェアは2位の東芝メモリを大きく突き放している。米国企業ではマイクロン・テクノロジーがNAND型を主要事業としているが、ハイテク産業での覇権を目指す中国企業も大規模投資で攻勢をかけており、競争環境は厳しさを増している。
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2019年のIPO
米IPO市場へ世界の投資家の視線が集中している。19年は「ユニコーン」と呼ばれる超大型の急成長企業が続々と上場を果たした。3月にはライドシェア大手のリフトがナスダックに新規上場したほか、4月には写真投稿サイトのピンタレストやビデオ会議サービスのズーム ビデオ コミュニケーションズがIPOを果たした。5月に同じくライドシェア大手のウーバー・テクノロジーズ、6月にはビジネス対話アプリのスラック テクノロジーズも登場した。今年はIPOによる資金調達額は過去30年で最大規模に膨れ上がることが予想されている。昨年上場を果たしたスポティファイ テクノロジー、テンセント・ミュージック・エンターテイメント、ドキュサインなどとともにIPO市場から目が離せない。
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2018年のIPO
世界の金融の中心地である米国株式市場では、活発なIPO(新規株式公開)が行われている。ナスダック市場をはじめとする米国株式市場には、米国企業のみならず中国やインドなど世界のハイテク系の著名ベンチャー企業が上場することも多い。17年の米国の全業種のIPOは160件程度と、16年の100件強から増加しており、18年はさらに増加基調を強めている。すでに、音楽のストリーミング配信サービスの「スポティファイ・テクノロジー」やオンラインストレージサービスの「ドロップボックス」などの「ユニコーン(企業価値10億ドル超の未公開企業)」と呼ばれた著名ベンチャー企業がIPOを果たし話題を集めており、今後に登場する新規上場企業にも熱い視線が集まっている。
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2021年のIPO
2020年は新型コロナウイルス感染が拡大する状況下でも、米国のIPO市場は活況だった。20年はエアビー・アンド・ビーやドアダッシュなどが新規上場を果たし、IPOを通じた調達金額は19年の2倍近くに達したとの観測もある。株式市場の上昇基調が続いたことが追い風となったようだ。特に「ブランクチェック(白地小切手)会社」と呼ばれる特別目的会社(SPAC)の上場が活発化したことも話題を集めた。21年もIPOの好調は続いており、1月にはナスダック市場に新規上場したフィンテックのアファーム・ホールディングス、自動車メンテナンスサービスのドリブン・ブランズ・ホールデイングスに続き、2月に人工細胞のサナバイオテクノロジー、4月に米国最大の暗号資産(仮想通貨)交換会社であるコインベース・グローバル、7月にオンライン証券を傘下に持つロビンフッド・マーケッツ、10月にシェアオフィス大手のウィワークなどが登場している。
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2025年のIPO
米国のIPO(新規上場)市場は2021年をピークに低調な状況が続くが、2024年から復調の兆しが見え始めた。米連邦準備制度理事会(FRB)が趨勢として利下げに舵を切っている点も、リスクマネーを呼び込むうえでIPO市場にとっては追い風となる。特にAI(人工知能)やフィンテック、バイオテクノロジーといった技術革新が進む分野などでIPOが増加する可能性があり、これら分野への投資家の関心も高い。2025年に入り、バイオ医薬品開発企業のメイズ セラピューティクス、ミサイル防衛・宇宙事業向けシステムを手掛けるカルマン・ホールディングス、減量薬を開発するバイオテクノロジー企業メッツェラ、エヌビディアが支援するAI向けクラウドサービスのコアウィーブ、イスラエルのデジタル証券ブローカーのイートロ・グループなどが上場を果たしている。一方、トランプ政権の高関税政策を背景に、足もとの米国株式市場はボラティリティ(株価変動率)の高い不安定な展開が続いている。この状況を受けて、チケット販売プラットフォームのスタブハブ、スウェーデンのデジタル決済企業のクラーナなどがIPO計画を棚上げしたと報じられており、IPO市場の先行きには不透明感も漂う。なお、上記に挙げた企業のほか、オンライン決済大手のストライプ、英国のモバイルバンキングのレボリュートなどもIPOの有力候補として注目されている。
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2023年のIPO
2023年の米国の新規上場(IPO)市場は、22年同様に低迷状態が続いている。インフレ懸念の台頭でIPOなど成長市場に向かう資金が減少していることが響く。IPOに詳しい米ルネッサンス・キャピタルによると、21年には400社近いIPOが登場したが、22年は70社前後に急減し、今年も10月時点で100社前後の水準に低迷している。ただ、そのIPO市場にも秋以降、注目を集める大型企業が登場している。9月には英半導体設計のアーム・ホールディングスや食品宅配サービス「インスタカート」を運営するメイプルベアといった著名企業が新規上場を果たしており、IPO市場復活への期待も膨らんでいる。
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2022年のIPO
2022年の米国の新規上場(IPO)市場は低迷状態となっている。インフレ懸念の台頭とともに世界の株式市場が軟調となるなか、IPO企業は減少。昨年まで一大ブームとなっていた「空箱」とも呼ばれる特別買収目的会社(SPAC)の上場も急減している。SPACの上場が減るとともに、SPACとの合併による株式上場を狙う動きも減少している。ただ、昨年に比べ上場企業数は減少したとはいえ、著名企業のIPOも登場している。更に、自動運転関連や半導体設計などの有力企業の上場が予想されるほか、シェールオイルなど追い風が吹く業界からのIPOも期待され、今後の動向が注目される。
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2020年アカデミー賞候補関連
アカデミー賞は、映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の会員によって選ばれる映画産業の発展に寄与した優れた業績に贈られる映画賞。始まりは1929年に遡り、世界三大映画祭とされるカンヌ国際映画祭、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭よりも歴史は古く、同賞の授賞式は映画業界最大の祭典に位置づけられる。授賞者に授与される金色の彫像、オスカーにちなんで「オスカー」とも呼ばれ、作品賞、監督賞、主演男優(女優)賞、美術賞、撮影賞、作曲賞など部門ごとに賞が贈られる。対象は米国のロサンゼルスで前年に公開された作品だが、ノミネート条件に満たない英語以外の国外作品も外国語映画賞(2020年から国際映画賞に改称)へのノミネートは可能。過去には「羅生門」「地獄門」が名誉賞、「おくりびと」が外国語映画賞、「千と千尋(ちひろ)の神隠し」が長編アニメーション賞を獲得するなど日本映画の表彰作品も多い。 毎年2月に授賞式が行われるアカデミー賞に対する関心の高さは業界人にとどまらない。一般の認知度も高く、同賞の受賞は作品やスタッフに最大の栄誉をもたらすだけでなく、映画会社にとっては興行成績の押し上げ効果や二次利用としてのDVD・ブルーレイ、関連グッズの販売拡大などメリットも大きい。 ハリウッド内輪の祭典と揶揄されることもある同賞だが、動画配信を手掛けるネットフリックスの躍進は賞のあり方も含め映画業界を大きく揺るがしている。 ネットフリックスは2019年には本来劇場では公開されないオリジナル作品である「ROMA/ローマ」をノミネート資格を得るために限られた劇場で配信に先立ち短期間の上映を行っている。その後、独占配信された「ROMA/ローマ」はノミネート資格を得ることで配信作品としての価値を高め、実際にアカデミー賞では作品賞は逃したものの、監督賞など3賞を受賞している。デジタル配信映画である同作品の受賞にはスピルバーグ氏が異論を唱えるなど「映画」の定義を巡って論議を呼び起こす結果ともなった。 2020年1月13日にはアカデミー賞候補の発表がなされ、作品賞では同様に劇場で限定公開されたネットフリックスによる「アイリッシュマン」と「2019年のクレイマー・クレイマー」と評された「マリッジ・ストーリー」のほか、全米映画批評家協会会賞に輝き、アカデミー賞でも6部門でノミネートされた韓国映画「パラサイト 半地下の家族」、アカデミー賞の前哨戦と言われる1月のゴールデングローブ賞において最多3冠に輝いた「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(配給はソニー系)、ゴールデングローブ賞の作品賞(ドラマ部門)で賞を獲得した「1917 命をかけた伝令」(同コムキャスト系)、アカデミー賞で最多11部門でノミネートされた「ジョーカー」(同AT&T系)、6部門でノミネートされた「ジョジョ・ラビット」(同ディズニー系)、実話に基づく「フォードVSフェラーリー」(同ディズニー系)、世界的ベストセラー小説を映画化した「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(同ソニー系)の計9作品がノミネートされた。 なお、2月10日(現地時間2月9日)にアカデミー賞の受賞式が行われ、「パラサイト 半地下の家族」が作品賞をはじめ4冠に輝き、アジア作品として初の快挙を成し遂げた。
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2020年のIPO
2020年の米IPO市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を強く受けている。特に、3月以降は予定していたIPOを延期する企業が相次ぎ、20年前半のIPO企業数は昨年に比べ減少した。ただ、株式市場全般が回復基調を強めるなかIPOも復活し始めている。6月には米音楽出版・レコード大手のワーナー・ミュージック・グループ(WMG)が大型IPOを実施し話題を集めたほか、人工知能(AI)を使ったデータ分析企業のズームインフォ・テクノロジーズ(ZI)などもIPOを行った。ただ、コロナ禍のなかユニコーンと呼ばれた一部有力未公開企業の新規上場には逆風も吹いており、民泊仲介大手のエアービーアンドビーのIPOに関しては延期観測も出ている。また、米中摩擦が激化するなか、米国市場に株式上場していたネットイーズ (中国名:網易)(NTES)や JDドット・コム (中国名:京東商城)(JD)など中国系企業が香港市場に重複上場する動きが出ていることも注目されている。