テーマ
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データセンター
データセンターとは、サーバーやデータ通信機器、ストレージなどのIT機器を集約して設置・運用することに特化した施設である。大量のデータを高速に通信できるよう設計されており、地震などの災害対策、高度なセキュリティ対策、電源の冗長化、そして24時間365日の監視体制といった、高水準の運用管理体制が整備されている点が特徴。近年では、クラウドサービスの普及、DX(デジタルトランスフォーメーション)の浸透、IoTの拡大、さらに5Gの普及による通信速度の飛躍的な向上を背景に、膨大なデータを瞬時に処理・転送するための需要が世界的に高まっている。特に、生成AI(人工知能)をはじめとする高度なデジタル技術を活用するには、大規模な演算処理能力を持つ、高速かつ安全性の高いデータセンターの存在が不可欠となる。こうした背景から、世界各地でデータセンターの新設・増設が進められている。米国の大手IT企業(いわゆるハイパースケーラー)は、クラウドサービスやネットワーク構築のために大規模なデータセンターを保有している。関連銘柄としては、GPU(画像処理半導体)などのAI向け半導体、サーバー向け半導体、ネットワーク機器、そして冷却設備を手掛ける企業などが注目されている。
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トイレタリー
日用品で化粧品や洗剤、洗面用具など肌を清潔に保ち、身だしなみを整える化学薬品の総称。医薬品(医薬部外品)なども含まれる。
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東京オリンピック
「オリンピック」は4年に1度開催されるスポーツの祭典。世界最大規模のイベントとして注目度が高く、夏季オリンピックと冬季オリンピックが、それぞれ2年毎に交互に開催される。2016年にブラジルで開かれた夏季のリオデジャネイロオリンピックでは、206カ国から約1万1000人のアスリートが参加して行われた。18年に韓国の平昌(ピョンチャン)で開かれた冬季オリンピックは92カ国から約3000人が参加している。20年には東京で夏季オリンピックが開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期され、21年7月23日から8月8日まで開催された。また、障がい者スポーツ大会の「パラリンピック」もオリンピックの終了後に同じ場所で行われ、東京大会は同年8月24日から9月5日に開催。オリンピック期間中は世界中の人々の関心を一身に集めることから、スポーツに関わる企業にとっては大きなビジネスチャンスとなり、テレビなどの放映権料やスポンサー料は大会ごとにつり上がっている。関連銘柄は、テレビ局や新聞などのメディア各社やオリンピックのスポンサー企業、シューズやユニフォームなどを扱うスポーツ関連メーカーなどが挙げられる。
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投資銀行
「投資銀行」は、企業が資金調達のために発行する株式や債券の引き受けを主な業務とし、M&Aの仲介や資産の証券化など財務戦略に関するアドバイスを行う金融機関。米金融機関では大手を中心にM&A助言を展開する投資銀行業務と株式・債券の引受業務を統合し一体運営する動きが本格化している。
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糖尿病
世界的に糖尿病の患者数は増加基調にある。糖尿病は血糖値を下げるホルモンのインスリンが十分に働かないため、血液中を流れるブドウ糖という糖(血糖)が増える病気。糖尿病は食べすぎや運動不足といった生活習慣が原因のひとつとなっており、放置すると心臓病や失明、腎不全などといった病気につながる恐れがある。米国では人口の約1割、3800万人超が糖尿病を患い、予備軍を含めれば1億人以上が対象者とみられている。世界の患者数は約5億9000万人に上り、医療費や生産性損失などの関連年間コストは世界のGDPの約2%に相当するとされる。こうした患者数の拡大を受けて、糖尿病治療薬に対するニーズが高まっている。また、減量効果が注目されて、ノボ・ノルディスクの「オゼンピック」やイーライ・リリーの「マンジャロ」などの糖尿病治療薬では肥満症の治療などを目的に使われていることも、販売を押し上げている。このほか関連銘柄にはメルク、アストラゼネカなどの大手製薬企業や、人工透析センターのダヴィータ、血糖値測定器のデクスコムなどがある。
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特別買収目的会社(SPAC)関連
SPAC(スパック)とは、「特別買収目的会社(Special Purpose Acquisition Company)」のことで、上場時に資金調達を行い、通常2年以内に未上場企業を買収・合併することを目的にしている。自らは事業を行わず、上場時にはどの企業を買収するかは不透明なこともあり「ブランク・チェック・カンパニー(白紙小切手会社)」とも呼ばれる。上場で調達した資金などで買収・合併を行い、買収・合併された会社が存続会社となる。米国では、20年には200社を超えるSPACが上場し、21年も昨年の上場企業数を上回るとみられており大きなブームとなっている。事業会社にとってSPACの買収・合併による上場は、通常の新規株式公開(IPO)に比べコストが安く、上場の準備期間が短縮できるなどのメリットがある。その一方でSAPCを通じた上場は企業内容の精査に欠ける場合もあり、玉石混交となりかねないことなどが注意点として指摘されている。SPACを通じて上場した企業には、宇宙旅行会社のヴァージン・ギャラクティック・ホールディングス(SPCE)や電気自動車・水素自動車のニコラ(NKLA)、eスポーツやオンラインカジノのドラフトキングス(DKNG)などがある。
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トランプ政策期待関連
4年に一度の米国大統領選が2024年11月5日に行われ、共和党のドナルド・トランプ氏の圧勝で終わった。大統領選と同時に実施された連邦議会選は上院・下院ともに共和党が多数派を確保し、共和党が大統領と上院・下院の多数派を独占する「トリプルレッド」を達成。これにより、トランプ氏は政策を思うように実現しやすくなった。株式市場ではトランプ氏の勝利を好感し、大統領選後に規制緩和の恩恵を受ける石油・天然ガスなどの資源関連、金融セクター、インフラ関連、暗号資産関連などを物色する「トランプ・トレード(トランプ・ラリー)」が勢いを増した。トランプ氏は2025年1月20日に大統領に就任、初日から地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの離脱、WHO(世界保健機関)からの脱退、不法移民の入国阻止・国外退去、政府効率化省の設置、EV(電気自動車)の普及方針の撤回など、大統領令を含む数多くの文書に署名。また、大統領選では公約として「トランプ減税」の恒久化、法人税率の21%→15%への引き下げ、対中関税の引き上げと輸入品への一律関税なども掲げていた。株式市場の視線は本格始動した「トランプ第2次政権」によるこれら政策の具体化と進捗へと移り、今後も関連するセクター、企業が折を見ては物色されていきそうだ。
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塗料
物の表面に乾燥した膜をつくることによって、物を保護したり、外観を整えて物を美しく見せるもの。定期的に塗り替えることにより、物を半永久的に保護できることが利点。
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トレードダウン(低価格消費志向)関連
米国で日用品・食料品価格、住宅コストなどの上昇を背景に、トレードダウン(trade down:より低価格の商品・サービスを志向する消費行動)が広がっている。雇用や景気の先行きへの不安も重なり、低中所得層ばかりでなく高所得層でもトレードダウンの動きは浸透しており、対象となる商品・サービスも食品などの生活必需品からアパレル、家電、外食、旅行などへと広がりをみせている。また、トレードダウンが常態化しつつある要因として、消費者の間で節約とぜいたくでメリハリをつける傾向(メリハリ消費)が強まっていることも指摘されている。トレードダウン関連としては、PB(プライベートブランド)・低価格戦略を採用する小売、ディスカウントストア、ファストフード、宿泊予約サイトなどが挙げられる。
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銅
銅は高い加工性や導電率、耐食性などの特徴を持ち、自動車や船舶、家電製品、建造物など幅広い分野で使われている。銅の価格は世界景気の先行指標としても位置づけられており、「ドクター・カッパー(Dr. Copper)」とも呼ばれている。景気循環に加えて銅の需要を押し上げる一因となっているのが、世界規模での「脱炭素化」の流れだ。電気自動車(EV)で使用される銅の量はガソリン車のおよそ4倍に上るとされ、EV市場の拡大は銅産業の追い風になると期待されている。再生可能エネルギー関連では、太陽光・風力発電の送電ケーブル、蓄電池など向けに需要が高まっている。このほか、開発競争が激化する「人工知能(AI)」の普及も、銅の需給逼迫に拍車を掛けるとの見方が強い。足もとでAI向けデータセンターは世界各地で建設ラッシュの様相を呈しているが、データセンターで大量に使われる送電ケーブルには銅が用いられる。資源商社大手トラフィグラの予測によると、AI・データセンター関連の銅需要は2030年までに最大100万トン増えるという。銅の埋蔵量が多い国はチリ、オーストラリア、ペルー、メキシコ、米国など。関連銘柄には、大手鉱山会社のフリーポート・マクモランやサザン・コッパー、BHPグループなどがある。
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動画配信
IT大手やメディア企業の事業戦略における重要な「主戦場」として、「動画配信」が存在感を強めている。インターネットを通じて映画、ドラマ、そしてスポーツなどのコンテンツを提供する動画配信サービスでは、ネットフリックスが先行し新たな市場を開拓した。現在、動画配信事業に新規参入したり、同事業を強化したりする動きが相次ぎ、まさに「戦国時代」の様相を呈している。アップルは2019年11月から動画配信サービスを開始。ウォルト・ディズニーも動画配信サービス「Hulu」の経営権を取得したほか、「ディズニープラス」のブランド名でも配信サービスを展開。アルファベット傘下のグーグルは「YouTube」を持ち、アマゾンは「Amazonプライム・ビデオ」を展開するなど、主力IT関連企業は軒並み動画配信事業に乗り出している。各社は差別化の武器として独自製作作品の拡充に力を入れてきたが、近年、特にスポーツコンテンツの囲い込みを競う動きが顕著となっている。例えば、アップルは世界最高峰の自動車レース「F1(フォーミュラワン)」の米国における独占配信権を取得したほか、ネットフリックスは2026年のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の日本国内での独占ライブ配信権、プロレス団体WWEの番組「Raw」の独占配信権などを獲得している。こうした各社による獲得競争を背景に、スポーツコンテンツの契約金額も膨張傾向にある。このようにドラマ・映画を中心としたサブスクリプション型の動画配信サービスは、リアルタイム性を有し、ファンの熱量や広告価値の高い「スポーツコンテンツ」を取り込む新たな局面に移行しつつある。
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道路
米国は四輪車普及率で世界首位の自動車大国であり、個人の移動手段として自動車は圧倒的な地位を占める。この自動車大国を支えるのが、日本の約25倍にも及ぶ広大な国土の主要拠点を結ぶ道路網、特に高速道路網の存在である。米国は道路の総延長距離、高速道路にあたる州間高速道路の距離数でともに世界一の水準にある。ただ、近年、道路延長の伸び率を大きく凌駕するペースで道路交通量が増大するなか、老朽化が進む幹線道路の維持・補修、更新が大きな課題となっている。
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独立系石油会社・エネルギー関連
石油メジャー以外のエネルギー関連企業を独立系石油会社と呼ぶこともある。メジャーと比較して企業規模はひと回り小さいものの、成長性のある企業も少なくない。主に従来の手法で原油ならびに天然ガスを生産してきた。しかし、シェールオイルブームの到来で彼らより更に規模の小さい、シェールオイル・ガス開発に特化した業者が次々に成功するなかで、各社とも川下や海外の余剰な資産を売却し、米国内のシェール開発に乗り出している。独立系石油会社には、オクシデンタル ペトロリアムやマラソン オイル、アパッチ、石油開発企業にはシュルンベルジェなどがある。
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ドラッケンミラー関連
ジョージ・ソロスの片腕として名を馳せた、資産家であり著名投資家のスタンレー・ドラッケンミラーのポートフォリオが、バフェット関連同様に世界の投資家の関心を集めている。ドラッケンミラーはソロスの「クォンタム・ファンド」の運用を12年間にわたり担い、その後、自らのファンドであるデュケーヌ・ファミリーオフィスを運用。2024年5月には、デュケーヌが買い進めてきたエヌビディア株44万1000株(保有株の7割)を売却したことが市場で話題になった。いち早くエヌビディアの可能性に着目し、AIブームに乗った同社株の急騰を逃さなかったドラッケンミラーの嗅覚の鋭さは特筆される。なお、ドラッケンミラーは2024年5月下旬、岸田首相と面会を果たすなど、日本での知名度も高い。
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ドラッグストア
医薬品を中心に日用品、化粧品、文房具、食品などを幅広く扱う小売業態を指す。米国のドラッグストアの特徴としては、店舗内で簡易な診療・予防接種が可能なリテール・クリニックと呼ばれる小型診療所を備えている店舗があること。高額な保険料・医療費が指摘されている米国では、手軽で安価な医療サービスを求める人々のニーズに応える仕組みとして受け入れられている。もう一つの特徴としては飲食施設を備えたイートイン機能の充実である。医療費の高騰等はドラッグストア業態にとっては追い風であるが、一方で膨張するアマゾンなどネット企業による市場の浸食も懸念される。このため、ドラッグストア業界では規模の拡大による寡占化が進行する一方、地域に根づいたヘルスケアステーションとしての店舗の魅力の向上や、ウォルグリーンにみられるようにオムニチャネル戦略の強化などに力を注いでいる。