テーマ
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半導体
半導体はスマートフォンやパソコン、家電製品、自動車などに使われ、産業の基盤を支えている。あらゆるものをネットとつなぐIoT時代の到来に伴い、その市場規模は一段と拡大している。特に、米国と中国を中心に価値観や政治体制を巡る分断が深まるなか、半導体は国家間の競争力を左右するキーデバイスとして、その重要性が一段と高まっている。半導体には、データ保存用などに使われ汎用性の高い「メモリー半導体」のほか、電気自動車(EV)向けなどに需要が急拡大する「パワー半導体」、光や音などの情報を処理する「アナログ半導体」、人工知能(AI)に特化した「AIチップ(AI半導体)」など多くの種類があり、その開発競争は激しさを増している。なお、高PER銘柄が多い半導体株は、金利動向に左右される面もある。米金利の低下局面では高PERが許容される傾向が強まるため、半導体株の株価には追い風が働きやすいとされている。
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半導体製造装置
半導体は「産業のコメ」と呼ばれ巨大な産業を形成している。半導体製造装置とは、半導体の形状加工や組み立て、検査など半導体を製造する過程で使用される装置のことで、各工程に特化した装置を手掛ける企業や複数の工程の装置を手掛ける企業がある。半導体製造装置メーカーの業績は、世界のIT・デジタル関連の需要を測る先行指標として注目されており、市況関連銘柄として好不況の波をうまく捉えることができれば大きな利益を得ることも可能なため、投資家の人気は高い。あらゆるものがインターネットで結ばれるIoT時代の到来は、膨大な情報量とわれわれの日常空間が、境界線を引かれることなく同化されていく過程でもある。このIoT化の進展と、人工知能(AI)の飛躍的な進化を支えるのが大容量化・高速化が進む半導体の存在である。近年では記憶素子が従来の平面ではなく立体方向に積層化された革新的なフラッシュメモリー3次元NANDやAI向けに特化した先端半導体の開発などで視界が大きく変わった。半導体製造装置業界も新たなステージを迎えている。
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半導体設計・開発(EDA)関連
あらゆる情報機器、電化製品の処理をつかさどる半導体は、産業の競争力を左右する最重要戦略デバイスとして注目度が一段と高まっている。その半導体設計の自動化を支援するソフトがEDA(電子設計の自動化ツール)であり、半導体の製造プロセスの最も上流工程に関わる。半導体設計は、研究開発や製造に向けて根幹部分を握るため、その付加価値は高く市場は急成長している。特に、AI(人工知能)や5G、自動運転車といった最先端技術向け半導体の開発は景気変動の影響を受けにくいという特徴がある。EDA業界は米国のシノプシス<SNPS>とケイデンス・デザイン・システムズ、ドイツのシーメンス傘下のシーメンスEDAの3社が寡占市場を形成しており、残りの市場に多数の企業が参入している。
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ハンバーガーチェーン
バンズ(丸いパン)にパテ(肉)を挟んだハンバーガーの由来については諸説あるが、1904年に開催されたセントルイス万国博覧会の会場内で「ハンバーガー」の名称ですでに販売されていたとされ、米国発祥の料理と考えられている。ハンバーガーは米国では国民食に位置づけられており、第二次世界大戦後にアメリカ文化が世界へ拡散していく過程では、コカコーラやディズニー、ハリウッド映画などとともに、マクドナルドのハンバーガーがその一翼を担った。調理が容易で食事時間が短く、持ち帰りも可能なファストフードであるハンバーガーは、生活ペースの速い現代人のニーズを捉えて市場が成長し、さまざまなハンバーガーチェーンを誕生させている。また、ハンバーガーチェーンは不況に強い業態としても知られる。肥満が社会問題として深刻化する米国では、ハンバーガーやフライドポテトなど高カロリー食品の日常的な摂取が肥満の一因として指摘されてきたが、近年では健康志向の高まりを背景にハンバーガーの脱ジャンクフード化や高級化も進んでいる。ビヨンドミートによる植物由来のパテなど素材にも革新の動きがみられ、ハンバーガー大国である米国の動向からは目が離せない。
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バイオ医薬品
バイオ医薬品はバイオ製剤、生物学的製剤などとも呼ばれ、遺伝子組み換えや細胞培養などバイオテクノロジーを用いて開発・製造される生体由来の医薬品である。化学的に合成された従来の薬(低分子薬)に比べ分子量が大きいことから高分子薬とも称される。薬効の高さ、副作用の少なさなどで注目されており、従来薬がカバーできなかった希少疾病や難治性疾患分野での応用も期待されている。ただし、開発・製造の難度は高く巨額の研究開発費が必要とされるため、従来薬に比べ高価となる傾向がある。バイオ医薬品の開発は欧米企業がリードしており、有望な治療薬の獲得を目的とするM&A(合併・買収)も活発に行われている。
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バイオエタノール
バイオエタノールは再生可能な生物由来の資源「バイオマス」から生成したエタノールのこと。アルコールの一種であるエタノールは燃料として用いることが可能なため、原油価格の高騰時にはサトウキビやトウモロコシなどから生産したエタノールを代替燃料として活用する動きが過熱した。サトウキビやトウモロコシなどのバイオエタノールへの大規模な転用は食糧・飼料需要とも競合し、穀物価格の高騰を招く要因としても指摘された。ただ、近年、シェールガス・オイル革命の進展に伴い行き過ぎた転用の動きは沈静化している。
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バイオテクノロジー関連
遺伝子組み換えや細胞融合など生物学と工学的技術との融合によってもたらされるテクノロジーの医薬品や食品などへの応用が広がっている。特にバイオの手法を活用した創薬分野は世界的に研究が進んでいる。米国では2022年9月にバイデン大統領(当時)が、バイオテクノロジー関連産業の国内回帰の促進と国内サプライチェーンの強化などを目的とする大統領令に署名。バイオものづくりが今後10年以内に世界の製造業の3分の1を置き換え、その市場規模は最大で30兆ドル(約4000兆円)に達し得ると分析し、バイオものづくりの拡大などに向けた集中投資を行う方針を明らかにした。また、米国の金利が低下局面に移行したことは、金利感応度の高いバイオ関連にとって追い風となる。バイオテクノロジー関連株は景気悪化が業績に与える影響が相対的に小さく、ディフェンシブ性の高さが特徴でもある。だが、同時に長期的には有望薬などによる成長が期待できるグロース株の側面も併せ持つ点は特筆されよう。
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バイデン政策恩恵株
2020年の米大統領選挙で民主党候補のジョー・バイデン氏が共和党候補のドナルド・トランプ氏を破り、第46代大統領に就任した。バイデン政権は「環境」重視の政策を掲げており、トランプ前政権が脱退を宣言したパリ協定に対して、就任初日に復帰手続きを開始する大統領令に署名した。2050年までに温室効果ガスの排出も実質ゼロとする方針で、インフラの刷新やクリーン技術の開発支援などを行う。ヘルスケアに関しては、オバマケアの拡充や新たな公的医療保険制度の創設が見込まれている。老朽化した道路や橋を整備する総額約110兆円規模のインフラ投資法案は2021年11月に下院で可決、いよいよ実現に向けて動き出す。また、バイデン政権の下ではESG(環境・社会・企業統治)投資への流れも強まるとみられている。
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バスケットボール関連
1891年にアメリカで考案された屋内競技で、5人構成の2チームが互いにボールを奪い合い、相手チームのバスケットにボールを入れて得点を競う。競技の特徴として、攻守が目まぐるしく入れ替わるスピーディーな展開、派手な個人技が映えること、球技の中でも得点機会が多く、ドラマチックな逆転劇が生まれやすいことなどが挙げられ、国民的スポーツとして普及している。オリンピック競技には1936年のベルリン・オリンピックから正式採用されたが、世界最高峰のバスケットリーグに位置づけられるのが北米男子プロリーグであるNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション:National Basketball Association)である。その試合には世界中のバスケットファンの視線が集中する。また、田臥勇太選手、渡邊雄太選手、そしてNBAドラフトで日本人初の1巡目指名を受けた八村塁選手の同リーグでの活躍もあって日本での注目度も高まっている。NBAトッププレイヤーともなるとスポンサー契約も含めその収入は約9000万ドル近くにも達するとされる。関連グッズや広告収入、放映権、スポンサー契約など巨額なマネーがNBAを中心に動き、一大エンターテイメント産業としても影響力は大きい。毎年2月にはファンやメディア、現役選手の投票により選ばれたスーパースター達が集うNBAオールスターゲームが行われる。2020年の東京オリンピック、2023年9月にフィリピン、インドネシア、日本(沖縄市)で共催されるFIBAバスケットボールワールドカップと、今後バスケットボール界を巡るビッグイベントが続くことも注目される。
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バフェット関連
世界的な著名投資家であるウォーレン・バフェット氏は、「オマハの賢人」と呼ばれ、バリュー株に対する長期投資を行い、巨額資産を築いたことで知られる。その投資先は、強靱な事業内容を誇り継続的に利益を創出している企業が主力であり、株価が本質的な価値よりも過小評価されているタイミングで投資を行い、長期保有し続けることに特徴がある。同氏が会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるバークシャー・ハサウェイは、元々は繊維会社だったが、保険や公益、エネルギー、金融会社などへ積極的な投資を続け世界最大規模の投資会社に変貌し、いまや米国の全上場企業のなかの時価総額上位企業に成長している。バークシャーの保有する銘柄は、「バフェット関連株」と呼ばれ、その持ち株の動向は市場の高い関心を集めている。有名なバフェット関連銘柄にはコカ・コーラやアメリカン・エキスプレス、アップル(2023年後半から売却を順次進めている)などがある。また、近年は日本の大手商社に投資したことでも話題を呼んだ。2025年5月3日、バークシャーの株主総会で、バフェット氏は25年末でCEOを退任する意向を示し、後任にグレッグ・アベル副会長の昇格を取締役会に提案する考えを明らかにした。60年にわたりバークシャーを率いてきたバフェット氏は経営の一線からは退くものの、同社には在籍する予定という。後継者のアベル氏はバークシャーの投資手法に変化はないと株主総会で述べており、バフェットの投資哲学を引き継いだバークシャーの保有銘柄は今後も株式市場で注目され続けそうだ。
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バリューETF
バリュー株は企業が生み出す収益や保有資産などに基づく企業価値に対して、株式市場での株価が相対的に割安な水準にある銘柄を指す。バリューETFはこのバリュー株で構成される指数に連動するETF(上場投資信託)。対象となるバリュー株は小型株(スモールキャップ)だけでなく中型株(ミッドキャップ)、大型株(メガキャップ)に特化したもの、地域も米国市場のほか、新興国市場の有配企業で構成される指数に連動するものと多様である。バリュー株には配当を安定的に出し続けている企業や事業基盤が安定している企業が多く、景気低迷時など経済の変動期にはパフォーマンスでグロース株を上回ることが多い。このため、バリュー株の優位性が高まる局面では、分散投資の観点からもバリューETFは考慮すべき投資対象となる。
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BAANG
「BAANG」はバリック・ゴールド、アングロ ゴールド アシャンテ、アグニコ イーグル マインズ、フランコ ネバダ、ゴールド フィールズの金鉱株の頭文字を取って用いられる総称。利下げや地政学的リスクの高まりが意識される時に、価格が上昇する金(ゴールド)とともに“安全資産”として市場における評価が高まる傾向がある。安定的な世界経済成長のメリットを享受して成長してきたプラットフォーマーを中心とする「FAANG」(メタ・プラットフォームズ(※フェイスブック、インスタグラムを運営)、アップル、アマゾン、ネットフリックス、アルファベット(※グーグルを運営))と対をなすグループとして対比されることがある。
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パソコン
世界的な巨大産業を形成しているパソコン業界だが、その歴史は目まぐるしい覇権争いによって彩られている。1970年代半ばにアップルに代表される米国のベンチャー企業がパソコンの製造・販売を始め黎明期をリードした。80年代には米IBMが業界をリードし、90年代には基本ソフト(OS)と中央演算処理装置(CPU)で独占的地位を築いたマイクロソフトとインテルによる「ウィンテル」連合が覇権を握った。その後、2000年代に入ってからは、スマートフォンが台頭するなか、パソコンはコモディティ化したとの見方も出ていたが、新型コロナウイルスによる影響でテレワークが急速に一般化するなか、家庭でのパソコン需要が再度、盛り上がっている。パソコン関連では、アップル(NASDAQ:AAPL)やデル・テクノロジーズ (NYSE:DELL)、ヒューレット・パッカード(NYSE:HPQ) などのメーカーに加え、マイクロン・テクノロジー(NASDAQ:MU)やアプライド・マテリアルズ(NASDAQ:AMAT)など半導体や電子部品関連企業も注目される。
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パリオリンピック
「オリンピック」は4年に1度開催されるスポーツの祭典。世界最大規模のイベントとして注目度が高く、夏季オリンピックと冬季オリンピックが、それぞれ2年毎に交互に開催される。2024年は前大会の東京からバトンを引き継いだフランス・パリで、第33回夏季オリンピック大会が開催される。パリでのオリンピック開催は100年ぶりであり、7月26日~8月11日の日程で32競技、329種目を巡って世界のトップ・アスリート達が力と技を競い合う。また、障がい者スポーツ大会の「パラリンピック」もオリンピックの終了後に行われ、パリ大会は8月28日~9月8日に開催される。パリオリンピックでは開会式が開かれるコンコルド広場のほかエッフェル塔スタジアム、ヴェルサイユ宮殿などフランスが誇る名所・モニュメントが会場に設定されており、開催期間中に1500万人もの観光客がパリを訪れると予想されている。オリンピックに対する世界の関心は高く、スポーツに関わる企業にとっては大きなビジネスチャンスとなり、テレビなどの放映権料やスポンサー料は大会ごとにつり上がっている。関連銘柄は、テレビ局や新聞などのメディア各社やオリンピックのスポンサー企業、シューズやユニフォームなどを扱うスポーツ関連メーカーなどが挙げられる。
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パワー半導体
パワー半導体は、電気エネルギーの変換や制御に使われ、高い電圧や大きな電流を扱うことができる。主に電圧や周波数を変えたり、直流を交流、交流を直流に変更する用途などで使われる。電気のロスが少なく省エネ性にも優れ、モーターを低速から高速まで精度よく回すことが可能なため、電気自動車(EV)などでのキーデバイスとして注目されている。更に、白物家電やロボット、太陽光発電や風力発電までパワー半導体が活躍する分野は多岐にわたる。広範な電子部品の電源を管理するパワー半導体に対する需要は高まっており、その市場は今後も高い成長が続くと予想されている。