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2024年の米国大統領選挙
4年に一度の米国大統領選が2024年11月5日に行われる。15州・1地域の予備選・党員集会が集中した3月5日の「スーパーチューズデー」で、共和党のドナルド・トランプ前大統領は14州で勝利を確実なものとし、同党におけるライバルと目されていた元国連大使のニッキー・ヘイリー候補は予備選からの撤退を表明した。一方、民主党では現職のジョー・バイデン大統領が15州全州で勝利しており、前回と同様にバイデン・トランプ両氏による一騎打ちとなる可能性が高まった。バイデン大統領が勝利した場合、自動車排ガス規制や気候変動対策、電気自動車の普及促進、中間層・中小企業向け減税のほか、CHIPS法に基づく半導体支援など、大枠では現行の政策が継続される見通しだ。一方、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏が勝利した場合、国内産業の保護、中国デカップリング(切り離し)の強化、移民規制、富裕層・大企業向け減税、石油・天然ガスの掘削拡大、電気自動車の普及を含むクリーンエネルギー・シフトの後退(パリ協定再離脱)などが推し進められる可能性が高い。また、今回の大統領選ではウクライナ支援のあり方も争点になるとみられている。
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日用品
日々の生活のために必要なもの。生活雑貨や化粧品、トイレタリーなど幅広い業種に及ぶ。強いブランド製品を持つ企業が少なくなく、業績の着実な成長が見込めるうえに、企業の安定性も高く長期投資の対象に向いている。家庭用品のプロクター アンド ギャンブルやコルゲート パルモリーブ などが代表的な企業。
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ニッケル
ニッケルは高熱に強く、腐食への耐性があるなどの特徴を持つ非鉄金属である。ニッケルの主な用途はステンレス鋼や耐熱鋼であり、鍋やフライパン、キッチンシンク、硬貨といった身近なものから建築物や航空・宇宙、軍事用途まで幅広く用いられている。ニッケル含有材料はエレクトロニクス製品の回路や燃料電池のほか、電気自動車(EV)などのキーパーツであるリチウムイオン電池の正極材料にも使用されており、最先端のハイテク製品を支えるメタル関連の重要素材としても注目度が高まっている。今後の需要動向だが、自動車部品のステンレスや建材向け、環境意識の高まりを背景に普及が進むEVの車載電池の正極材向けを中心に着実な成長が期待されている。
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乳製品
動物の乳、とくに牛乳を加工してつくられる製品の総称。主な乳製品に牛乳、ヨーグルト、チーズ、クリーム、バター、バターミルクのほか、醸造酒や蒸留酒、発泡酒もあり、主に栄養剤、安定剤の原料などに使われる乳蛋白成分のカゼインもある。
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認知症薬
認知症は、記憶や思考を司る脳の神経細胞が死んだり働きが悪くなったりすることで、物忘れや妄想、ひとり歩きなどの症状が出て、日常生活に支障を来すようになる病気。脳内にアミロイドベータやタウという異常なたんぱく質がたまって神経細胞を破壊し、脳が委縮することで発症するとみられている。世界では約5000万人の認知症患者がおり、2030年には8200万人、50年には1億5000万人に達するとも予想されている。このうち、最も多いのはアルツハイマー型の認知症で全体の60~70%を占める。認知症の治療薬開発は難航しているが、バイオジェンと日本のエーザイが共同開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が米食品医薬品局(FDA)から2023年1月に迅速承認を取得。6月には米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は同薬を正式承認することを勧告した。正式承認されれば、民間保険での使用も広がるとみられ市場拡大への期待が高まっている。
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年末商戦
米国のGDPの約7割は個人消費が占めている。特に年間の約3割にのぼる消費がクリスマスセールを含む年末商戦の期間に費やされると言われており、米国の景気動向に与える影響も大きい。米国のクリスマスセールである年末商戦は11月第4木曜日の感謝祭の翌日の「ブラック・フライデー(赤字の小売店でも黒字にするとのいわれが由縁)」から本格化する。感謝祭の次の月曜日のネットショッピングが最も盛り上がる「サイバーマンデー」を経て12月末まで商戦は続く。特にクリスマス・プレゼントとしてゲーム機や衣料品、宝飾品などでは販売増が見込め、電子商取引(EC)関連や百貨店、ディスカウントストア、ゲーム関連株などが注目される。
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燃料電池関連
燃料電池とは我々が理科の実験で行った水の電気分解と逆の作業で、水素と酸素を電気化学反応させて電気を作る。現在はエコカー分野での需要がクローズアップされているが、パソコンやモバイル端末、家庭用電源、発電向け、産業用コージェネ分野までその用途は多岐にわたる。
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燃料電池車
米国で燃料電池自動車(FCV)に対する関心が高まっている。FCVは燃料に水素を使い、タンク内の水素と酸素を化学反応させることで発電し、モーターを回して走行する。排出するのは水蒸気のみで「究極のエコカー」とも呼ばれるが、主にトラック・バスなど商用車分野での活躍が期待されている。FCVの特徴として、エネルギー効率が高く、走行距離が長いほか、充電が不要で燃料の充填時間も短く、一定の貨物搬送に向けたスペースも取りやすいなどのメリットがある。環境にやさしい自動車では電気自動車(EV)が普及してきているが、EVは走行距離や充電時間などの面で、貨物の長距離輸送にはまだ向いていないとみられており、今後、一般乗用車はEV、商用車はFCVと住み分けが進むとの観測も出ている。関連銘柄は、トラックのFCVを手掛けるニコラや水素燃料電池メーカーのバラード・パワー・システムズ、水素ガス販売のエアープロダクツ・アンド・ケミカルズなどが挙げられる。
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農業関連
米国は世界有数の農業大国であり、とうもろこし生産では世界首位、大豆や小麦などでも世界有数の生産規模を誇る。同じく生産量で世界首位の牛肉や鶏肉など、畜産物の生産でも高い実績を有し、農産物は米国の主要な輸出品となっている。他国との貿易交渉では米国の農産物を巡ってしばしば輸出枠の拡大、関税引き下げなどが協議の焦点ともなる。広大な国土を背景に、米国では農業のみならず農業周辺の幅広い分野で産業が形成されており、その各分野で世界のリーディング企業を擁している。種子・農薬大手のコルテバ、農機のキャタピラーやディア&カンパニー、穀物商社のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドなどが関連銘柄となる。
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農業機械
米国はさまざまな領域で大国として君臨するが、トウモロコシや大豆、畜産といった農業分野においても大国としての顔を持つ。重要な輸出産業でもある同国の農業の強みは、農業機械や遺伝子組み換え作物などの導入による生産の効率化、コーンベルトに代表される適地適作主義による集中生産、アーチャー ダニエルズ ミッドランドなど世界の穀物流通に大きな影響力を奮う穀物メジャーの存在などがあった。現在、米国の農場数は減少傾向にあるものの、一方で大規模農場は増加している。農業従事者の高齢化も指摘されており、米国農業の大規模化・効率化を支える農業機械の重要性は一段と高まっている。
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廃棄物処理
大量消費社会の米国では、生産や消費などその経済活動の過程で生じる廃棄物も増加傾向にあり、その処理は環境意識の高まりもあって重要性を増している。廃棄物の処理方法としては埋立のほか、焼却時の熱を活用する廃棄物発電(有機ゴミの燃焼により発電するのがバイオマス発電)、リサイクルなどが挙げられる。関連銘柄には北米最大手の産業廃棄物処理企業であるウエイスト マネジメント、廃棄物処理大手のリパブリック サービシーズ、廃棄物発電を手掛けるコバンタ ホールティング、医療廃棄物処理で首位のステリサイクルなどがある。
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配車サービス
スマートフォン(スマホ)のアプリやソーシャル・サービスを使って、ネットを介してドライバーと利用者を結びつけるサービス。ドライバーにタクシーやハイヤーといった専業のほか、一般の人を対象とするサービスもある(規制でサービス提供を行えない国もある)。登録したドライバーは運転する時間や頻度、エリアなどを自分の都合で決められる一方、利用者もスマホのGPS機能によって近くに位置する車を希望の場所に手配できる。配車時間の短縮に加え、アプリでの行き先指定や自動決済なども行え、ドライバー、利用者の双方にとって利便性が高く、ウーバーによる提供を機に急速に普及した。自動車を相乗りする割安なライドシェアリング、専業の個人・企業の車を手配するもの、一般人をドライバーとするものなど提供するサービスも多種多様である。世界展開を推し進めたウーバーは600以上の都市でサービスを提供しているが、各地でのライバル台頭により競争は激化している。特にアジアではウーバーの苦戦が目立ち、2016年には中国事業を滴滴出行に売却し同国から撤退。その後、インドネシアやシンガポールなど東南アジアで展開していた事業もGrab(グラブ)に売却している。
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ハロウィン
10月31日に行われるハロウィンは近年、日本でも秋のイベントとして定着してきたが、オリジナルはもちろん欧米の祭りである。アメリカではお化けや魔女などに仮装した子供たちが近所の家々を回り、「トリック・オア・トリート(お菓子をくれないといたずらするぞ)」とお菓子をねだって練り歩く風習がある。また、ハロウィンではかぼちゃのお菓子を作ったり、ホームパーティを開いたりすることが一般的だ。アメリカでは、ハロウィンから年末のクリスマスに向けて消費が盛り上がる時期とされており、ハロウィン商戦の動向が注目されている。ちなみに、米国の株式市場には「10月末のハロウィンの前後に株を買い、翌年の春に売ると儲かる」という「ハロウィン効果」と呼ばれるアノマリー(経験則)もある。米国の最大手チョコレート会社であるハーシー、スナック菓子のモンデリーズ・インターナショナル、ペプシコなどが関連銘柄となる。
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半導体
半導体はスマートフォンやパソコン、家電製品、自動車などに使われ、産業の基盤を支えている。あらゆるものをネットとつなぐIoT時代の到来に伴い、その市場規模は一段と拡大している。特に、米国と中国を中心に価値観や政治体制を巡る分断が深まるなか、半導体は国家間の競争力を左右するキーデバイスとして、その重要性が一段と高まっている。半導体には、データ保存用などに使われ汎用性の高い「メモリー半導体」のほか、電気自動車(EV)向けなどに需要が急拡大する「パワー半導体」、光や音などの情報を処理する「アナログ半導体」、人工知能(AI)に特化した「AIチップ(AI半導体)」など多くの種類があり、その開発競争は激しさを増している。なお、高PER銘柄が多い半導体株は、金利動向に左右される面もある。米金利の低下局面では高PERが許容される傾向が強まるため、半導体株の株価には追い風が働きやすいとされている。
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半導体製造装置
半導体は「産業のコメ」と呼ばれ巨大な産業を形成している。半導体製造装置とは、半導体の形状加工や組み立て、検査など半導体を製造する過程で使用される装置のことで、各工程に特化した装置を手掛ける企業や複数の工程の装置を手掛ける企業がある。半導体製造装置メーカーの業績は、世界のIT・デジタル関連の需要を測る先行指標として注目されており、市況関連銘柄として好不況の波をうまく捉えることができれば大きな利益を得ることも可能なため、投資家の人気は高い。あらゆるものがインターネットで結ばれるIoT時代の到来は、膨大な情報量とわれわれの日常空間が、境界線を引かれることなく同化されていく過程でもある。このIoT化の進展と、人工知能(AI)の飛躍的な進化を支えるのが大容量化・高速化が進む半導体の存在である。近年では記憶素子が従来の平面ではなく立体方向に積層化された革新的なフラッシュメモリー3次元NANDやAI向けに特化した先端半導体の開発などで視界が大きく変わった。半導体製造装置業界も新たなステージを迎えている。