テーマ
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産業機器
企業の工場や作業現場において製品の製造に関わる設備・機器のこと。加工や塗装、洗浄、制御、搬送など幅広い用途の機器が含まれる。IoTやAIの活用により、生産プロセスの全てをデジタル化して製造業の高度化・革新を目指す「インダストリー4.0」の実現に各国が邁進する中、特に自動化に関わる設備・機器において進化を求める圧力が高まっている。
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産業廃棄物処理
世界的な「ゴミ危機」が叫ばれるなか、産業廃棄物処理への関心が高まっている。有害廃棄物の国際的な移動を制限するバーゼル条約の改正により「廃プラスチック」の輸出が規制されることになり、米国でもプラスチックごみなどの国内処理が課題に浮上している。米国のごみ処理・廃棄物処理の最大手企業であるウエイスト マネジメントは、企業や一般家庭から出された廃棄物の収集、埋め立てからリサイクルまでを行っている。また、リパブリック サービシーズやウェースト コネクションズなども大手産業廃棄物処理会社として知られている。
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産業用ガス
主に製造業などで原料ガスなどとして利用されている工業用途の酸素、窒素、アルゴンなどを指す。以前は「工業ガス」とも呼ばれる時期もあったが、近年、半導体産業用途の「特殊ガス」や病院などで利用される「医療用ガス」など多種多様な産業用途に利用されるガスを総称して、「産業用ガス」と呼んでいる。
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SaaS
SaaS(サース、Software as a Service)はクラウドサービスの一形態のこと。「サービスとしてのソフトウェア」と訳される。必要な機能を必要な分だけ利用できるソフトウェアの利用方法。ソフトウェアを丸ごと買うのではなく、その内容に応じて料金を支払うことになり、月額で払うサブスクリプション形式が主流となる。インターネットにつなげられる環境下であればどこでも自由にアクセスでき、複数の人数で管理・編集できる点などが特徴に挙げられる。一般的にクラウドはSaaSを指すことが多い。また、他のクラウドのサービス形態にはネットワークなどのインフラを提供するIaaS(イアース/アイアース)やプラットフォームを提供するPaaS(パース)がある。足もとで業務効率化やパーソナライズ化などを目的に、SaaSにAI機能を統合する動きが加速しており、競争上の差別化ポイントにもなっている。関連銘柄には、顧客管理ソフトを手掛けるセールスフォースや企業向けプラットフォームのサービスナウ、人事・財務管理ソフトのワークデイ、画像処理のアドビなどがある。
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シェアリングエコノミー
企業や個人が所有する遊休資産や既存設備などを不特定多数の人々とインターネットを介して共有する経済活動のこと。スマートフォンなどモバイルデバイスやIT技術の発展を背景に、貸したい人がネットなどを介して容易に借り手を見つけることができるようになったことにより広がりを見せている。シェアの対象もヒトの時間やスキル、乗り物・衣類といったモノ、部屋やワーキングスペース、駐車場といった空間など多様化と掘り起こしが進んでいる。米国の上場企業では配車サービス大手のウーバー テクノロジーズやリフト、未上場ではあるが“ユニコーン”として期待を集める世界最大級の民泊仲介オンラインサイトAirbnb(エアビーアンドビー)などがある。また、シェアリングエコノミーはアジアでも急成長しており、同じく未上場だがシンガポールを拠点とするグラブ、中国の配車アプリ大手の滴滴出行など数多くの企業が台頭している。
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シェールオイル
シェールオイルは、頁岩(けつがん)と呼ばれる堆積岩の層から採取される石油のこと。米国で従来は採算面から掘削困難と考えられていた深度に位置するシェール層の開発が近年進められ、シェールオイルの生産が本格化している。シェールオイルは米国を世界最大の原油生産国に押し上げた原動力であり、同国は石油輸出国としても存在感を高めている。掘削・採取技術の進歩により、シェールオイル・ガスの低コストでの採掘が可能となったことは、世界のエネルギー市場の構造を一変させる「シェール革命」と呼ばれるほど、その影響力は大きい。株式市場では原油価格が上昇すると、シェールオイル関連株に注目が集まる特性がある。2022年のロシアによるウクライナ軍事侵攻を受けて、欧米を中心とする対ロシア制裁に加え、欧米石油メジャーがロシア事業から撤退するなど、世界3位の産油国であるロシアを巡って供給不安が高まるなか、米国のシェールオイルへの注目が高まっている。
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シェールガス
シェールガスとは、地下深くのシェール(頁岩)層に存在する天然ガスのことで、米国を中心に生産量が拡大している。掘削・採取技術の進歩により、シェールオイル・ガスの低コストでの採掘が可能となったことは、世界のエネルギー市場の構造を一変させる「シェール革命」と呼ばれるほど、その影響力は大きい。一方でこの低コスト採掘を可能にしたフラッキング(水圧破砕法)については、水質汚染や地震のリスク、温室効果ガスの放出といった環境へのリスクが指摘されており、シェールオイル・ガスの開発に対して慎重な見方も根強い。だが、米大統領選挙においてシェールを含む化石燃料の開発に積極的な発言を行ってきたトランプ氏が大統領に返り咲いたことは、シェールガス業界にはプラスに働く可能性がある。また、原油価格の上昇はシェール企業の原油増産を後押しし、シェールガスの生産増にもつながる傾向がみられる。足もとでは米国の天然ガスについては供給過剰も指摘されているが、産地と消費地を結ぶガス輸送のパイプライン新設が複数計画されており、需給のアンバランス改善も期待される。
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歯科
歯科医療の市場規模は、先進国ではやや頭打ち傾向だが高齢化に伴う高度な歯科医療の需要は増加している。また、世界的にみた場合、新興国の経済発展や生活レベルの向上により高い成長が予想される。このため世界規模に事業展開する歯科医療関連企業は有望な投資対象として注目されている。米国では、歯科医療器機の世界的メーカーが数多く株式上場している。関連銘柄には、歯科向け医療関連製品の世界最大手であるヘンリー シャイン、同じく歯科向け大手医科用材料・機器メーカーのデンツプライ・シロナ、歯列矯正のアライン・テクノロジー、歯磨き粉のコルゲート・パルモリーブなどがある。
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試験・検査・計測
化学や医療、製造業などさまざまな分野における研究開発や製品検査で用いられる機器のこと。企業の新製品開発が活発化するなか、試験・検査・計測に使用する機器・装置の需要も増加している。また、製品の性能や安全性強化のためにも用いられることから、社会的なニーズを背景に需要が増えそうだ。
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資源開発
地中や海中に存在する原油や非鉄金属などのエネルギーを探索し、権益を確保することを資源開発という。 資源の安定調達の観点から資源権益を持つことの重要性が高まっており、各国企業の権益獲得を巡る動きも活発化している。 資源は石油・天然ガスなどのエネルギーと、金・銅・ダイヤモンド・レアメタルといった鉱物資源の二つに大別される。 世界中で資源探索が進む一方、新規の資源開発の余地は次第に狭まり、開発に必要とされる技術水準、資金規模は高まる傾向にあり、リスク分散のための取り組みや資源外交の重要性が増している。 資源開発企業には権益を抑えて寡占的な地位にある巨大企業=資源メジャーが存在する。米国企業の資源メジャーにニューモント・マイニング、フリーポート・マクモラン、アルコアなどがある。
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資産運用
資産運用には、大別して貯蓄と投資がある。定期預金・貯金、外貨預金、投資信託、株式、債券、不動産などさまざまな商品のなかから、リターンとリスクを鑑みて資産を運用する。 米国は世界最大の資産運用市場であり、カナダを合わせた北米地域の資産運用残高は全世界のほぼ半分に相当する。この市場規模を背景に、米国にはブラックロック 、ステート ストリート、JPモルガン チェースなど名だたる資産運用会社がひしめく。近年はロボ・アドバイザーをはじめとするフィンテックの技術進歩により、資産運用ビジネスも変革期を迎えている。
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市場・信用調査会社
米国には世界規模での事業展開を進める数多くのグローバル企業が存在しており、同時に世界大手の市場調査会社や信用調査会社も擁している。企業の成長には正確な市場調査や取引相手の信用調査が必須であり、米国市場に上場する市場・信用調査会社は質の高い分析で世界的に高い評価を得ている。例えば、ニールセン・ホールディングス(NLSN)は世界最大のマーケティング・リサーチ会社であり、IHSマークイット(INFO)は高度な経済・産業情報の分析を行い情報提供している。また、エキファックス(EFX)は大手個人信用調査会社として知られ、個人の信用力としてクレジットスコアを算出している。ダン&ブラッドストリート(DNB)は世界最大級の企業情報データベースを保有している。
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資本財
資本財とは、商品や製品等を生産するために用いられる、過去に生産された生産物(財)を指す。土地以外の工場や建物、機械、道具のように耐用年数が長期にわたるものを固定資本財、原材料、仕掛品など使用期間が短期のものを流動資本財として区分する。株式市場において資本財セクターに分類される業種としては産業機械や建機などの機械、建設・土木、建設関連製品、電気部品・設備、重電機設備、軍需を含む航空宇宙、3つ以上のセクターにまたがり事業展開するコングロマリット、産業設備・製品を扱う商社・流通業などが該当する。
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就職支援
米国では新型コロナウイルスの感染拡大期に広がった早期退職や採用手控えなどにより、労働力不足の状態が続いている。米国社会がポストコロナからリオープニング(経済再開)の歩みを強める中、足もとでは海外移住者増加に伴う外国人労働者の増加によって労働需給の逼迫は緩和しつつあるが、なお厳しい状況にある。また、中高年層を中心に早期退職者の職場復帰の遅れも指摘されており、若者の雇用拡大とともに社会的な課題となっている。一方で経済活動が正常化に向かう中、デジタル化特需が剥落したことでコスト増が重石となり、アマゾン・ドット・コムやメタ・プラットフォーム、セールスフォースなど巨大テック企業が相次いで大規模な人員削減に踏み切っている。こうした労働市場のミスマッチングに対し、新規採用や職場復帰を後押しする就職支援関連企業の重要性が高まっている。
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出版
出版業界ではネットメディアの普及に伴い、印刷物としての需要は趨勢として減少傾向をみせている。一方で「紙」から「デジタル」への転換により、電子出版物の需要は今後成長する可能性を秘めている。タブレット端末の普及やスマートフォンの大画面化などもデジタルへのシフトを促すことが期待される。また、AIスピーカーの登場により、“本を聴く”読書スタイルが消費者の間で定着していくのかも注目される。 米国の出版界を巡っては同国で進むメディア業界再編の動向も焦点となる。2018年1月に米出版大手タイムを買収したメディア大手メレディスは、買収後数ヵ月でタイムの売却先探しに乗り出したと報じられているほど、出版業界の流動化は進んでいる。