テーマ
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コンシューマー・エレクトロニクス・ショー 2026年
コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)は、毎年1月上旬にラスベガスで開催される世界最大級のテクノロジー見本市であり、2026年は1月6日から9日までの開催が予定されている。1967年のニューヨークでの初開催以来、多くの画期的な製品・技術がここで発表されてきた。かつては民生用家電が中心だったが、現在ではAI(人工知能)やロボティクス、自動運転、ヘルスケアなど、業界の垣根を越えた次世代技術が集結する「テックの祭典」へと進化している。CESの基調講演は例年高い注目を集めており、2025年には“AI革命の旗手”とされるエヌビディアのジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)の講演が世界的に話題となった。2026年の基調講演には、ローランド・ブッシュ(シーメンス社長兼CEO)、ジョー・クリード(キャタピラーCEO)、リサ・スー(AMD会長兼CEO)、ヤン・ユエンチン(レノボ会長兼CEO)らの登壇が予定されている。アメリカの大手企業をはじめ、世界中の企業が最新技術や新製品を発表するCESは、テクノロジー分野のトレンド形成に大きな影響を持つイベントである。特に出展企業の事業戦略や新技術は株式市場でも注目されやすく、市場関係者にとっても重要な情報源となっている。
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コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは食品や日用雑貨を主力とする小型店舗を指す。年中無休・昼夜営業などを特徴とするこの業態を生み出したのは米国だが、日本で大きく進化を遂げ、いまや日本では生活のインフラとして定着している。米国の本家セブン-イレブンの運営会社であるサウスランド社は経営難からイトーヨ堂とセブン-イレブンジャパンにより子会社化され、再生に向けて日本コンビニのノウハウが活用された。日本のコンビニで普及が始まったPOSシステムも、逆に米国がその成功に倣う形で導入が進んでいる。自動車大国である米国ではガソリンスタンドに併設される店舗が主流であり、マラソン ペトロレアムのように石油会社が積極的に手掛けている例もある。また、近年のトレンドとしては無人店舗の普及に向けた取り組みの進展が注目され、米国はそのフロントランナーとなっている。
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ゴルフ
米国は世界最大のゴルフ大国として知られ、ゴルフ人口やゴルフ場の数は、世界トップを誇る。男子ゴルフの4大メジャー大会のうち「マスターズ」、「全米プロゴルフ選手権」「全米オープン」の3つは米国で開催されるなど、ゴルフファンを中心に高い人気を集めている。健康志向の高まりを背景に、老若男女が楽しめるスポーツとして、世界のゴルフ市場規模は中長期的に拡大傾向を辿ることが予想されている。ゴルフは、2016年のリオデジャネイロオリンピックから正式種目となったほか、2020年からの新型コロナウイルス感染拡大のなかでも感染リスクの低いスポーツとして人気を集めた。特に、2023年6月には米男子ゴルフの「PGAツアー」が、サウジアラビア政府系ファンドが支援する新興ツアー「LIVゴルフ」、「DPワールドツアー(欧州ツアー)」と統合することで合意。確執を続けてきたPGAとLIVの統合はゴルフ業界にとって、追い風となるとの期待が膨らんでいる。
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5G
次世代通信規格「5G」は、新たな産業革命をもたらすものとして、いま世界中で最も高い関心を集めているテクノロジーの一つだ。5Gは、4Gネットワークの100倍の速さを実現し、自動運転車や工場自動化、遠隔手術など数多くのイノベーションをもたらす可能性がある。中国の通信大手ファーウェイを巡る米中間の摩擦も、背景には5G技術を巡る両国の覇権争いがあると見られている。米国は2019年4月に世界に先駆けて5G通信のサービスを開始。後を追って日本を含む世界各国で5Gのサービスが立ち上がっており、関連市場は一気に開花する可能性が高い。5Gの技術開発では中国が先行するが、米国の通信技術も高く、数多くの基幹技術を握っている。また、スマートフォンなどの端末も5G対応機種の登場で買い替え需要が膨らむとみられている。関連銘柄は、通信大手のベライゾン・コミュニケーションズやAT&T、スマートフォン大手のアップル、高い自動運転関連技術を持つアルファベット(※グーグルを運営)、計測器大手のキーサイト・テクノロジー、半導体のザイリンクスなど。
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債券ETF
投資適格社債、国債などの債券により構成される指数をベンチマークとするETF(上場投資信託)。ETFを通じて信用力・流動性が高い米国債や特定の国の債券に投資できるもの、リスクはある一方で高い利回りが期待できる新興国債券、あるいは先進国・世界の債券などに分散投資が行えるもの、短期・中期・長期債などに焦点をあてたETFなどさまざまなタイプがある。一般に債券ETFは株式に比べて値動きが相対的に安定的であり、定期的な分配金収入が見込めるため、株式のヘッジや分散投資の対象として有力な選択肢となる。また、債券ETFは金利変動の影響を受けやすく、金利の上昇局面では債券ETFの価格は下落に向かいやすいが、金利の低下局面では値上がり益が期待できる。
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再生医療
「再生医療」は、病気やけがなどで失われた臓器や組織を再生させる医療を意味する。再生医療はこれまで有効な治療法がなかった疾患、脳損傷や認知症などへの応用も視野に、人体の欠損に対する根本的な治療法として期待が高まっている。米国では自家培養皮膚・軟骨など再生医療製品が多数上市または治験中であり、医療研究では世界最先端にある日本などと比べても実用化では先行しているといえる。 再生医療には、分化し組織・臓器となった「体細胞」、さまざまな組織・臓器に分化する「幹細胞」を利用する方法があり、胚性幹細胞(ES細胞)やiPS細胞などはこの「幹細胞」を用いた再生医療に分類される。 これまで再生医療では、ほとんどの細胞に分化できる可能性を持ち、万能細胞とも呼ばれる胚性幹細胞(ES細胞)が研究の中核を占めてきたが、2006年に京都大学の山中教授らがiPS細胞の生成に成功し、再生医療の世界に革命をもたらした。一旦分化した細胞を未分化の状態に戻すことのできる「初期化」と呼ばれる研究成果を示し、生物学の常識を覆したのである。 iPS細胞はヒトの受精卵から作られるES細胞が抱えていた倫理上の問題点を解消。また、患者自身の細胞から作製できるため、ES細胞と異なり移植した臓器や組織による拒絶反応が起こらないという利点を持つ。iPS細胞においては近年、リスクとして指摘されてきたがん化を抑えるための研究も進展をみせている。
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再生可能エネルギー
トランプ前政権の下で、米国は地球温暖化対策の推進を目指すパリ協定からの離脱を表明するなど、環境政策には非積極的な姿勢が目立った。しかし、2021年1月に米大統領に就任した民主党のバイデン氏が「環境」重視の姿勢を鮮明にするなか、環境関連銘柄に対する見直し機運が強まっている。特に、米国企業は再生可能なクリーンエネルギーの導入に積極的に取り組んでおり、その投資金額も拡大している。世界的なESG投資(環境・社会問題・企業統治に重きを置く投資)の流れが本格化するなか、太陽光や風力、地熱、バイオマスといった「再生可能エネルギー(Renewable Energy)」に関わる企業に対する投資はこれから一段と活発化するとみられている。
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サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティとは、インターネットやコンピューターなどの情報機器を利用する際に、重要な情報の外部流出や、コンピューターウイルスをはじめとするマルウェア感染を防ぐために講じる対策を指す。企業や公的機関に対するサイバー攻撃により、個人情報や機密データが流出する事例は後を絶たず、攻撃手法も多様化・高度化しており、脅威は増大の一途をたどっている。近年は、標的を個人から企業などに移したランサムウェア(システムの復旧と引き換えに金銭を要求するマルウェア)が猛威を振るっている。米国では、2023年にヘルスケア大手のヘンリー・シャイン、2024年にはユナイテッドヘルス・グループ傘下の企業などが被害を受けたが、2025年に入っても腎臓透析企業のダヴィータや、独保険大手アリアンツ傘下のアリアンツ・ライフなどが攻撃を受けている。同年7月にはミネソタ州セントポール市が大規模な攻撃に見舞われ、州兵を動員して対応を迫られる事態となった。サイバー攻撃の対象は鉄道、空港、水処理施設などの重要インフラにも広がっており、攻撃の背後には国家による関与や支援が疑われるケースも少なくない。政府・民間を問わず、対策を強化することが焦眉の急となっている。
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再保険
保険会社の役割は、保険契約者に損害が生じた際にその補償を提供することにあるが、航空機などの大規模事故や巨大地震といった深刻な自然災害が生じた場合、保険金の支払いが巨額にのぼる可能性がある。このような突然の、予測を超す規模の支払いに保険会社が対応できなくなった場合、保険契約者が不利益を被る事態になりかねない。 このため、保険会社は引き受けた契約の一部または全てを他の保険会社に引き受けてもらうことを目的に、保険会社自身も保険に入る。この仕組みが「再保険」であり、再度保険を引き受ける会社が「再保険会社」となる。 「再保険」はリスク分散の仕組みであり、再保険を引き受けた会社が再度別の保険会社の保険に入る再々保険も行われている。こうした再保険の連鎖の中心に位置するのが、世界的に有名なロイズ保険組合である。
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サステナブル消費
サステナブル消費は、環境負荷の軽減(省資源、脱炭素化、リサイクル)、生物多様性や社会的公平性(労働環境、人権問題)、さらには将来の世代の暮らしも考慮してモノやサービスを選択する消費行動を指す。同消費を巡る世界市場は2026-2035年の期間で年率7%を超す成長が予測され、米国でもブランド価値やリスク管理を重視する企業や若い世代を中心に、サステナブル消費に対する取り組みが積極化している。サステナブル消費の浸透には、技術の進歩によるリサイクルや環境素材などのコスト低下に加え、オーガニックやバイオ素材などが持つ価格プレミアム(他製品よりも多額の対価を払ってもよいと考える上乗せ分)や、フェアトレード製品(開発途上国から公平・公正な貿易で適正価格により購入される製品)を積極的に受け入れようとする消費者意識の変化がある。サステナブル消費への取り組みを強化している企業の裾野は広く、ファッションやアパレル、家庭用品、食品、小売り、廃棄物処理など多岐にわたる。
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サッカーW杯
サッカーワールドカップ(W杯)はサッカーの大会として世界最高峰に位置し、オリンピックの中間の年に4年ごとに開催される。その経済効果はオリンピックをも凌ぐといわれ、2018年ロシア大会の視聴者数は35億人を超えたとされる。それだけに開催都市を巡る各国の誘致合戦には熱が入り、ブランド力の強化を目指す企業もスポンサー契約争奪戦で鎬を削る。W杯関連銘柄はスポンサー企業のほかに、放映権を持つメディア、SNS、スポーツ用品、ゲーム、観光関連など幅広い。
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サブスクリプション
サブスクリプションとは定額の料金を支払うことにより、一定の期間、商品やサービス、ソフトウエアなどを利用できるビジネスモデルのこと。利用する側には大規模な初期投資が不要でサービスの導入が容易であり、コスト管理が行いやすく、解約のハードルも一般に低いといったメリットがある。一方、提供する企業側には、定額の利用料による安定収入が見込めるほか、顧客と関係を直接構築でき、利用履歴等のデータをマーケティングやサービスの改善に活用できるなどのメリットがある。インターネットと高速通信の普及により、膨大なコンテンツなどに瞬時にアクセスし、それを定額で利用できる技術的な環境が整ったことで、IT系企業を中心にサブスクリプションは一気に普及した。そのビジネスモデルの広がりは、ユーザーとモノ・サービスとの関係性を「所有」から「利用」へとシフトさせ、シェアリングエコノミーを支える基盤ともなっている。なお、米国のデジタル収支の黒字額は世界で有数の規模を誇るが、この黒字を支えているのがサブスクリプションやデジタルコンテンツにおける米国企業の競争優位性である。
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サプライチェーン関連
サプライチェーン(供給連鎖)とは、原材料・部品の調達から製造、在庫管理、物流、販売まで消費者に製品・サービスを届ける過程の一連の流れ、ネットワークのこと。サプライチェーンは一般に自社のみで完結せず、原材料のサプライヤー、部品メーカー、物流業者、卸業者、小売店など多様な企業により構成される。グローバル化が進展した今日では、複数の国・地域をまたぐことも多い。近年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)、大規模な災害、地政学的リスクの高まりなど、精緻に張り巡らされた既存の供給網を脅かす事例が頻発しており、足もとでは米国と中国の対立激化によるデカップリング(経済分断)の深化も大きな影響を及ぼしている。米国は西側の同盟国・友好国を巻き込んでサプライチェーンの再構築(フレンド・ショアリング)を進めてきたが、2025年に大統領に就任したトランプ氏は自国第一主義(America First)を掲げ、高関税政策をテコに生産拠点の国内回帰(リショアリング)に舵を切っている。こうした国際的な環境の変化を背景に、多くの国々で企業はサプライチェーンの再構築を迫られており、その構築に関わる企業にはビジネスチャンスの拡大が期待される。また、調達から販売までの流れを最適化するサプライチェーンマネジメント(SCM)では、人工知能(AI)やロボティクス、ビッグデータなど先端技術の活用による効率改善の取り組みも注目される。
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サプリメント
「サプリメント」は、普段の食生活で不足しやすい栄養素を補う健康補助食品のことをいう。一般的に錠剤やカプセル、顆粒など成分が濃縮される形で提供されることが多い。米国では病気を予防するセルフメディケーションの観点から、サプリメントは幅広く日常的に飲用されている。米国には日本のような国民皆保険制はないため病気にかからないように予防するとの考え方が根付いており、サプリメントの種類も市場規模も大きい。ドラッグストアやスーパーマーケットのほか、通信販売やインターネット販売、あるいはクリニック経由で購入されることが多い。サプリメントの製造会社には、医薬品会社や栄養食品メーカーなどがある。
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サマーストック
夏場に向け注目度が高まるのがサマーストックだ。冷たい清涼飲料水やビール、アイスクリーム、エアコン、夏物衣料、それに夏休み中のレジャー・旅行などに絡む銘柄が関連株となる。清涼飲料水ではコカ・コーラやペプシコ、ビールのアムベブ、アイスクリーム関連ではハーゲンダッツを所有するゼネラル・ミルズなどがある。旅行関連では、空運のサウスウエスト・エアラインズ、ホテルのヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス 、またレジャー関連では映画・テーマパークのウォルト・ディズニーなど裾野が広い。