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金利上昇メリット
新型コロナウイルスによる景気後退懸念から大きく落ち込んだ金利に上昇機運が台頭している。インフレを抑制するために、米連邦準備理事会(FRB)は従来の量的緩和から金融引き締めに舵を切っており、世界の金融市場をみるうえで金利の動向は大きなポイントとなる。金利上昇局面では、貸出金利の利ザヤ拡大が見込める銀行や運用環境の改善が期待される生保といった金融セクターなどにメリットがあるとみられている。その一方、多額の有利子負債を抱える企業や経営不振企業などにとっては金利負担が膨らむため、金利上昇はデメリットに働く場合がある。
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金利低下メリット
米国の利上げ局面は2018年12月で終わり、米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げを探る姿勢を取ってきたが、20年3月にコロナショックを背景に、ゼロ金利政策と量的緩和を復活させた。金利低下は、米景気減速を警戒している面もある。このため、株式市場では金利低下局面では生活防衛色の濃いディフェンシブ銘柄が買われやすい特徴がある。また、金利低下は有利子負債の大きな企業が多い不動産やローンに絡む住宅企業などにはメリットとなる。さらに、相対的に高利回り銘柄が優位となり見直されることが多い。関連銘柄は、不動産関連ではCBRE グループ、ディフェンシブ関連では日本の100円ショップにあたる「1ドルショップ」のダラー・ジェネラルやディスカウント店のターゲットなど、高配当利回り銘柄ではベライゾン コミュニケーションズなど。
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銀
銀は貴金属の一つで、紀元前3000年頃には宝飾品に用いられていたとされている。また、古代エジプト文明において銀貨の素材として使われるなど人類との関わりは深く長い。銀は宝飾品や投資の対象として金同様に重用されているが、電気伝導率や熱伝導率、展延性(延ばしやすさ)、抗菌性などで優れた特性を持っており、電子部品や自動車触媒、太陽電池など工業用としての需要が過半を占めるようになっている。実物資産としての位置付けが強まっている銀だが、金同様に安全資産としての側面も持ち、インフレ懸念や地政学的リスクが高まる局面では物色されやすいという側面も持つ。また、銀の価格上昇の背景としては、生産国であるメキシコ、チリ、ペールーなどの政情・経済状態の悪化、鉱山施設の老朽化といった供給懸念も指摘されている。
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銀行
米国は世界最大の金融センターとして確固たる地位を占めており、中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)の金融政策は世界の金融マーケットを動かしている。米国の金融機関の実力は世界トップクラスで、その株価は世界の金融株の指標となっている。米国を代表する大手銀行にはバンク・オブ・アメリカやシティグループ、JPモルガン・チェースなどがあり、グローバルに事業を積極的に展開する企業も多い。
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クラウドゲーム
クラウドゲームとは、クラウド技術を活用してゲームをストリーミング配信するサービスのこと。ゲーム操作に関する演算処理をデータセンターにあるクラウドサーバーが担うことで、高性能のゲーム専用機を使わずにスマートフォンやタブレットなどの端末でも高精細な映像や操作性の高いゲーム環境を実現できることが注目されている。今後、5Gが本格的な普及期を迎えることで、クラウドゲームは急速な成長が見込まれている。その躍進を見据えて関連企業も一斉に走り始めており、米マイクロソフトは「xCloud(エックスクラウド)」と呼ばれるクラウドゲームサービスの開始を予定している。日本のソニーもマイクロソフトとクラウドゲームで提携することを発表している。クラウドゲームは、ゲーム業界のゲームチェンジャーとなる可能性も秘めており、ゲームソフト会社を含め多大な影響を及ぼすことが予想されている。
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クラウドコンピューティング
クラウドとはユーザーがインターネットを通じて、サービスを必要な時に必要な分だけ利用する方法のこと。クラウドコンピューティングとも呼ばれる。パソコンにソフトウェアをインストールしていなくても、アカウントを持っていればサービスを利用できる。特に、最大の市場規模を持ちソフト企業がインターネット経由でアプリを提供するSaaS(サース)は、2030年まで世界で年平均20%近い成長が続くとの予想もなされている。また、アプリケーションを実行するためのプラットフォームをインターネット経由のサービスとして提供するPaaS(パース)や仮想サーバーなどのシステムインフラを提供するサービスであるIaaS(イアース)も急成長している。
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クリスマス
米国のGDPの約7割は個人消費が占めている。特に年間の約3割にのぼる消費がクリスマスセールを含む年末商戦の期間に費やされると言われており、米国の景気動向に与える影響も大きい。米国のクリスマスセールである年末商戦は11月第4木曜日の感謝祭の翌日の「ブラック・フライデー(赤字の小売店でも黒字にするとのいわれが由縁)」から本格化する。感謝祭の次の月曜日のネットショッピングが最も盛り上がる「サイバーマンデー」を経て12月末まで商戦は続く。特にクリスマス・プレゼントとしてゲーム機や衣料品、宝飾品などでは販売増が見込め、電子商取引(EC)関連や百貨店、ディスカウントストア、ゲーム関連株などが注目される。
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クルーズ
クルーズ客船は「動くホテル」とも呼ばれ、宿泊設備に加えて、レストランやバー、映画館、プール、フィットネスクラブなどの設備も備える。長期にわたる世界一周から短期の船旅まで提供するサービスはさまざまだが、豪華な大型客船の船上で満喫する非日常感を魅力に、世界のクルーズ旅客数は2009年から10年間で6割超拡大し、年間旅客数は2018年には2800万人を超す規模に達していたとされる。この成長トレンドを急失速させたのが新型コロナウイルスの世界的な感染拡大であり、クルーズ船内での感染者発生、各国での寄港拒否といった事例が相次いだ。運航停止により収入源を絶たれたクルーズ船運営企業は軒並み苦境に陥っていたが、コロナワクチンの開発と接種の進展により光明がみえてきた。特に、米国での新型コロナ感染者が減少基調となるなか、22年3月末に米疾病対策センター(CDC)がクルーズ船利用の警戒勧告を約2年ぶりに解除。クルーズ船の予約は回復基調となっている。米クルーズ船の復活は、コロナ後の旅行需要の回復を象徴するものとなるだけに、その動向が注目されよう。
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クレジットカード
クレジットカードは消費者の信用に基づいて発行されるカード。商品やサービスを購入する際の決済手段のひとつで、支払方法には一括払いや分割払いのほか、限度額内であれば利用額や購入商品数にかかわらず、あらかじめ定めた一定の額または率を毎月支払うリボルビング払いなどがある。 米国はクレジットカード発祥の地だけあって、ビザ、マスターカード、アメリカン エキスプレスといった著名な国際ペイメントブランドを擁する。クレジットカードは同国の社会に深く浸透し、利用可能な店舗数も、少額決済を含めて使われる場面も日本を凌駕する。一方で、米国の過剰消費体質の一因となっているとの指摘もある。
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グリーントランスフォーメーション
グリーントランスフォーメーション(GX:Green Transformation)とは、温室効果ガスを発生する化石エネルギー中心の産業・社会構造を、太陽光発電などのクリーンエネルギー中心に転換する取り組みを指す。GXは温室効果ガスの排出量削減とともに持続可能な経済成長の両立を目指して社会全体の変革を促すものであり、その成否は企業・国家の競争力にもつながるとの認識が高まっている。また、ロシアによるウクライナ侵攻など地政学的リスクが顕在化する中、エネルギーの安定供給確保の側面からも重要性が増しており、米国、欧州、日本など世界主要国・地域でGXに向けた取り組みが活発化している。関連銘柄としては脱炭素技術、再生可能エネルギー関連、脱プラスチック、スマートシティ、再資源化(リサイクル)関連など裾野は広い。
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グロースETF
成長性の高い企業により構成される指数と連動するETF。
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グローバルETF
主に米国を含む世界各国の株式の動きと連動するETF。特定セクターやテーマ性などで選別されたものなど、さまざまなタイプのETFが存在する。ここでは米国を除く世界の株式を対象とするものもグローバルETFとする。
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グローバルサウス
「グローバルサウス」とは経済的に発展途上にある新興・途上国を指す言葉。明確な定義はないものの、インドやトルコ、南アフリカ、ブラジル、メキシコ、ベネズエラ、エジプト、インドネシア、アルゼンチンなどの国々を指すことが多い。2023年1月にインドが主催しオンライン方式で開催された「グローバルサウスの声サミット」には120を超える国々が参加した。発展途上国の多くが南半球に位置することからサウス(南)という言葉が使われているが、北半球の国々も多く含まれている。グローバルサウスが注目されている背景には、米国と中国の対立で世界が「民主主義」と「権威(専制)主義」に分かれつつあるなか、第3の陣営としてその存在感が高まっていることがある。民主主義陣営は米国や欧州、日本など西側先進国が中心だが、権威(専制)主義国は中国・ロシアが中心、グローバルサウスはそれ以外の国々といったイメージだ。ただ、実際はグローバルサウスには価値観や政治体制は権威(専制)主義的な国々が多く、「中国・ロシア陣営に追いやらない」という点での重要性も増している。また、グローバルサウスの国々の経済成長力が高いことも注目を浴びる要因の一つだ。なかでも、2023年に中国を超え世界一の人口を抱えるとみられるインドは、グローバルサウスの盟主を自認しており、同国の動向は高い関心を集めている。
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軍需産業
米国は世界最大の軍事費を支出する軍事大国であり、その規模は世界の軍事費総額の4割を占める。海洋進出を推し進める中国との覇権争いが活発化するなか、超大国である米中両国の軍事費はともに膨張傾向にある。湾岸戦争で巡航ミサイルなどハイテク兵器の威力を世界に誇示した米国だが、軍備の近代化に注力する中国の動きもあり、無人爆撃機やロボット兵器、AI(人工知能)の活用など兵器開発におけるハイテク化は新たなステージを迎えている。そのなか、2022年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻に加え、23年10月のイスラム組織「ハマス」によるイスラエル攻撃、これに対抗したイスラエルによるガザ侵攻、さらにはイランとイスラエルの対立先鋭化など、地政学リスクの高まりを受けて各国の防衛力強化も目立つ。米国は世界最大の兵器輸出国であり、世界の軍事関連企業の売上高上位を米国企業が多数占めている。
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景気敏感
景気循環株、シクリカル株とも呼ばれ、景気の動向により業績が大きく影響を受ける企業を指す。 鉄鋼や非鉄、化学、紙パルプ、鉱業などの素材産業、工作機械などの設備投資関連、海運・空運といった運輸まで属する業種の裾野は広い。景気敏感に位置づけられる企業の株価は、景気循環に先行して変動する傾向があり、市場平均を上回る形で景気拡大期には上昇、景気後退期には下落を演じるとされている。