テーマ
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資本財
資本財とは、商品や製品等を生産するために用いられる、過去に生産された生産物(財)を指す。土地以外の工場や建物、機械、道具のように耐用年数が長期にわたるものを固定資本財、原材料、仕掛品など使用期間が短期のものを流動資本財として区分する。株式市場において資本財セクターに分類される業種としては産業機械や建機などの機械、建設・土木、建設関連製品、電気部品・設備、重電機設備、軍需を含む航空宇宙、3つ以上のセクターにまたがり事業展開するコングロマリット、産業設備・製品を扱う商社・流通業などが該当する。
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就職支援
米国では新型コロナウイルスの感染拡大期に広がった早期退職や採用手控えなどにより、労働力不足の状態が続いている。米国社会がポストコロナからリオープニング(経済再開)の歩みを強める中、足もとでは海外移住者増加に伴う外国人労働者の増加によって労働需給の逼迫は緩和しつつあるが、なお厳しい状況にある。また、中高年層を中心に早期退職者の職場復帰の遅れも指摘されており、若者の雇用拡大とともに社会的な課題となっている。一方で経済活動が正常化に向かう中、デジタル化特需が剥落したことでコスト増が重石となり、アマゾン・ドット・コムやメタ・プラットフォーム、セールスフォースなど巨大テック企業が相次いで大規模な人員削減に踏み切っている。こうした労働市場のミスマッチングに対し、新規採用や職場復帰を後押しする就職支援関連企業の重要性が高まっている。
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出版
出版業界ではネットメディアの普及に伴い、印刷物としての需要は趨勢として減少傾向をみせている。一方で「紙」から「デジタル」への転換により、電子出版物の需要は今後成長する可能性を秘めている。タブレット端末の普及やスマートフォンの大画面化などもデジタルへのシフトを促すことが期待される。また、AIスピーカーの登場により、“本を聴く”読書スタイルが消費者の間で定着していくのかも注目される。 米国の出版界を巡っては同国で進むメディア業界再編の動向も焦点となる。2018年1月に米出版大手タイムを買収したメディア大手メレディスは、買収後数ヵ月でタイムの売却先探しに乗り出したと報じられているほど、出版業界の流動化は進んでいる。
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酒類
米国はビールとウィスキーの消費量でともに世界2位を誇る「アルコール大国」だ。世界のビール・酒類業界は近年の活発なM&Aにより再編されてきた。世界最大のビールメーカーは「バドワイザー」ブランドを持つベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ、第2位はオランダのハイネケンとなっている。米国企業では、ビールの「クアーズ」を持つモルソン クアーズ ブリューイングや、「コロナ」などメキシコ産ビールを持つコンステレーション ブランズなどがある。ウィスキーの「ヘネシー」や「ジョニーウォーカー」などのブランドを擁する英国のディアジオも関連銘柄となる。
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省エネ関連
「省エネルギー」は、エネルギーを効率よく使う取り組みを指し、略して「省エネ」ということも多い。一般的な省エネの目的としては費用(コスト)の低減が主だが、石油や天然ガスなど限りあるエネルギー資源の使用量削減や、エネルギー利用に伴う環境負荷の削減を通じた環境保護、経営管理や安全保障の観点におけるエネルギーリスクの低減なども重要な目標となる。世界的なエネルギー需要の増加やロシア・ウクライナ戦争を背景にした資源価格の高騰、気候変動対策に積極的なバイデン政権の登場など、米国でも省エネ対策への追い風が吹いている。
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省エネ空調
「省エネ空調」は、エアコン、クリーンルームなどさまざまな空調システムに対する省エネルギー対策のこと。 具体的には、設定温度を変更するなどによる空調設備の負荷の低減や、熱源設備の効率運転、冷却水、送風量の変更などによる搬送動力の削減など。
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証券
米国の証券業界では、株式売買手数料を無料とする動きが活発化している。米ベンチャー企業のロビンフッドが始めた「手数料ゼロ」の動きは、大手ディスカウントブローカーのチャールズ・シュワブやTDアメリトレードが追随したことで、米国市場のスタンダードとなりつつある。この流れは、個人投資家向けを中心とする米リテール証券の業界再編にもつながっている。手数料の無料化は投資家の資金を一段と株式市場に流入させる可能性があるが、リテール向け証券会社にとっては手数料収入に頼らない新たなビジネスモデルの構築が求められている。ちなみに、ゴールドマン サックスやモルガン スタンレーといった機関投資家などを対象とするホールセール向け証券会社は、IPOや増資、社債の引き受け・販売、M&A仲介などの投資銀行業務を中心としており、個人向け証券会社とは異なる事業を展開している。今後の証券業界では、フィンテックを活用した新たな証券サービスも活発化しそうだ。
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食肉
牛、豚、鶏をはじめとした食用にする鳥獣の肉を指す。米国は世界最大の牛肉の消費国であるとともに最大の生産国でもある。また、豚肉、鶏肉においても世界有数の生産国として存在感を強めている。世界の食肉需要は、人口の増加や新興国での中間層の成長を背景に増加傾向にあり、その需要を賄う供給国の一つとして米国に寄せられる期待は大きい。一方で、畜産産業が発出するメタンガスの抑制が議論されるなど環境意識や健康志向の高まりを背景に、生産効率の改善に加えて、環境保全への取り組み、また人工肉の普及などタンパク質需要を満たす食品テックの発展などを求める声も高まっている。なお、2021年には豚肉の先物価格が前年安値から3倍超に急騰する「ポークショック」が起こり、市場を揺るがしている。新型コロナの世界的流行を受けて養豚数が減少する一方、飼料価格が高騰する中、ワクチン接種の進展を背景に需要が回復。投機資金の流入も相場を押し上げ、小売価格にも影響を及ぼしている。
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食品
景気動向に業績が左右されにくい業種をディフェンシブセクターと呼ぶが、食品株はディフェンシブセクターにおける代表的な業種・テーマといえよう。 ただし、欧米の食品メーカーには、アジアなど非欧米圏の食文化の欧米化を追い風にグローバル展開を進め、世界市場における売上高で上位を占める企業も多い。特に米国メーカーは巨大な自国市場という強固な基盤をテコに、新興国市場の開拓にも余念がない。食品の加工・保存などの技術向上も国際展開を進める上で有利に働いている。 米国の食品会社としては、世界的な食料品会社であるクラフトハインツ、インスタント食品のケロッグやキャンベル・スープのほか、ゼネラルミルズなどがある。
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新型コロナウイルス薬
世界各国の経済、人流に深刻な打撃を及ぼした新型コロナウイルスだが、劇的な治療効果を示す特効薬のような薬はまだ存在しない。ただ、各国で積極的に治験が進められており、治療効果が確認された薬には各国で使用を承認する動きが出ている。米国ではギリアド・サイエンシズ(GILD)の「レムデシビル」が正式承認された。2020年10月には新型コロナに感染した当時のトランプ大統領に対して、レムデシビルと米抗体治療薬メーカーのリジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN)による当時未承認だった治療薬(同年11月に緊急使用が承認)などが投与されたことが話題を集めた。抗ウイルス薬や抗HIV薬、抗マラリア薬、喘息治療薬、関節リウマチ治療薬、血液製剤などの薬品で新型コロナ治療薬候補としても期待されるものがあり、今後の治験の進捗が注目されている。
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新型コロナワクチン
新型コロナウイルスワクチンは米国や中国、ロシアなどが実用化で先行し、米国では2020年12月からワクチン接種が開始された。21年には日本を含む他国への供給も始まった。新たな変異株オミクロン型の感染が拡大するなか先進国を中心に3回目、4回目となる追加免疫接種(ブースター接種)が進んでいる。新型コロナワクチンの接種による効果などもあり、パンデミック(世界的大流行)からエンデミック(一定期間で繰り返される流行)へと移りつつあるとの観測が浮上し、世界はウィズ・コロナによるリオープニング(経済再開)に向かっている。新型コロナウイルスに対するワクチンは従来型とオミクロン型「BA.1」の2タイプのウイルスに対応する「2価ワクチン」や「BA.5」に対応した改良ワクチンが登場し、更なるブースター接種に向けた動きが出ている。新型コロナワクチンはインフルエンザの予防接種のように一定期間をおき定期的に接種することになる可能性が浮上している。
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新興国ETF
MSCIエマージング・マーケット指数など新興国の株式で構成される指数をベンチマークとするETF。経済の成長性が期待され、その代表的な国々はBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国)、VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)、ネクスト11(ベトナム、韓国、インドネシア、フィリピン、バングラデシュ、パキスタン、イラン、エジプト、トルコ、ナイジェリア、メキシコ)などとも呼称される。先進国を上回る成長力の高さが注目される一方、新興国であるが故の為替リスクやカントリーリスクが存在するものの、ETFによっては分散投資によるリスク軽減効果も期待される。
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紳士服
紳士服は広義には男性向け衣服の総称だが、一般にはフォーマルなスーツ(背広とズボン)を指して使われることが多い。その源流はイギリスにあるとされるが、職人の手による「オーダー」に代わって既製服が主流となる中、上流階級の紳士のみならず広く一般に着用する習慣が広まった。効率性を重んじる米国では工場による既製服の大量生産が進められ、スーツの大衆化が一段と進展した。各国の風土によってスーツのスタイルには特徴があり、最高級品から一般向けまでさまざまなブランドが存在する。
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新聞
米国の新聞は日本と異なり地方紙の存在感が大きく、各州に小規模な発行会社が点在する。全国紙ではニューズ・コーポレーションの子会社ダウ・ジョーンズ社が発行するウォールストリート・ジャーナル、新聞・出版大手ガネットが発行するUSAトゥデイの2紙が知られているが、そのガネットも数多くの日刊紙を発行している。米国で高級紙として知られるニューヨーク タイムズやワシントンポスト(オーナーはアマゾンCEOのジェフ・ベゾス)、ロサンゼルス・タイムも位置づけは地方紙にすぎない。地方紙が主流となり得た背景には、広大な国土が全国一律の配送の妨げになったことが大きい。大手地方紙としてはシカゴ・トリビューンやニューヨークポストなども有名である。ネット上での無料ニュースの氾濫などを背景に、新聞業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、読者数(=発行部数)と広告収入の減少が経営を圧迫。このため、高級紙を中心に電子化を推進するとともに、コンテンツの高付加価値化など差別化を図る動きが広がっている。電子版の有料購読サービスでは全米に読者を持つウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨーク・タイムズなどで成功事例も表れている。一方で全国的な知名度に乏しい小規模の地方紙ではオンラインの有料購読サービスの展開が困難であるケースも多い。事業環境の厳しさを背景に、米新聞業界では投資ファンドが主導する形で業界再編が進んでいる。新聞業界を対象に投資事業を手がけるニュー・メディア・インベストメント・グループはガネットと2019年11月に合併し全米最大の新聞社が誕生している(合併後の新会社名はガネット)。今後、地方紙を中心に合従連衡の流れが一段と加速する可能性もある。
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CRM
「CRM」はCustomer Relationship Management(カスタマー・リレーションシップ・マネージメント)の略で、「顧客関係管理」または「顧客管理」と訳される。情報システムを用いて顧客の属性や接触履歴を記録・管理し、それぞれの顧客に応じた商品やサービス、サポートの提供などきめ細かい対応を行うこと。また、そのために利用される情報システムをいう。ビジネスの中心に顧客を据えるCRMは、多様化する消費者ニーズに企業が応える仕組みとして1990年代に米国で提唱され、ITの進化やインターネット通販の普及などとともに導入する企業が広がった。CRMの機能は顧客データベースの管理、顧客に情報を届けるためのプロモーション機能、カスタマーサポート機能などに分けられる。顧客満足度を高めて新規顧客の獲得に力を発揮し、顧客喪失リスクを低減するCRMをライバルに先駆けて取り込んで成功した企業が、BTO方式のパソコン販売で一世を風靡した米デルである。ビジネス展開で有力な武器となるCRMだが、自社で構築するにはサーバー運営など導入コストの高さがハードルとなる。一方、月額制などのサブスクリプションモデルでサービスを提供するクラウド型のCRMは、導入コストの低さや障害対応能力の高さなどを武器に普及が進んでいる。関連企業としては「CRM」のティッカーを有し同事業で世界首位のセールスフォース・ドットコム(NYSE: CRM)やゼンデスク(NYSE:ZEN)、ハブスポット(NYSE:HUBS)、製薬業界向けに特化したヴィーバ・システムズ(NYSE:VEEV)などがある。
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CRB指数
代表的な商品先物指数のひとつで、原油や金、アルミニウム、大豆、トウモロコシなど19商品で構成されている。Commodity Research Bureau社が算出を始めたことから一般的には「CRB指数」と呼ばれている。現在はトムソン・ロイターから分離した金融情報会社リフィニティブが指数の算出を行っている。エネルギー関連や農業関連、非鉄関連など商品相場を幅広くカバーしており、世界景気や物価の動向などを探るうえでの重要な指数として市場で注目されている。同指数は新型コロナウイルス感染拡大の影響で2020年春にかけ下落したが、その後、世界景気の回復とともに上昇基調を強めた。特に、22年のロシアによるウクライナ侵攻で、原油や穀物市況が上昇したことでCRB指数は急上昇している。
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CATV
「CATV」は、同軸ケーブルや光ファイバーケーブルなどを使ったテレビ放送のこと。スタートは、難視聴解消のための共同アンテナによる受信や、有線による分配を目的としたが、現在では双方向通信や衛星を利用したネットワークサービスをはじめ、インターネット接続サービスや、IP電話などにも使われている。
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CO2回収・貯留
「CO2回収・貯留」は、気体として大気中に放出された、あるいは放出される直前の二酸化炭素を人為的に回収し、地中深くに隔離して封じ込めること、あるいはその技術を指す。英文の「Carbon dioxide Capture and Storage」を略し「CCS」とも呼ばれる。現在、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の削減に貢献する技術として期待を集めている。LNG輸出国である米国ではLNGプラント建設の進展などとともに、CCS事業が活発化している。また、2022年にバイデン政権が成立させたインフレ抑制法で、2032年までに建設を開始したCCS導入施設などを対象に既存の税控除が拡大されることもCCS事業の追い風になるとみられている。
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ジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品とは、先に開発・販売された「先発医薬品(新薬)」に対し、特許が切れたあとで製造された後発医薬品のこと。新薬と同等の効能を持ち価格も安いという特徴がある。米国ではジェネリック医薬品は数量ベースでは、市場全体に占める割合が9割近い水準まで普及が進んでおり、その市場規模は世界トップクラスにある。金額ベースでは普及の割合は20%台にとどまっているものの、米国の市場は日本の約10倍の規模があると言われている。日本のような保険制度がない米国では医薬品の低価格志向が強いほか、財政赤字の拡大による医療費削減の流れもジェネリック普及の要因となっている。また、バイオ医薬品に対する後発品である「バイオシミラー」市場も拡大している。関連銘柄は、イスラエルのテバ ファーマシューティカル インダストリーズ、米国のマイラン、インドのドクター レディーズ ラボラトリーズなど。
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自動運転車
ドライバー無しで目的地に向け走行する自動運転車は、現在の自動車産業をみるうえで最も注目を集めるテクノロジーのひとつとなっている。日米欧の大手自動車メーカーや中国企業が揃って開発を進めているほか、業界の垣根を越えて有力IT企業や電機メーカーなどが市場に参入している。自動運転において自動化のレベルは「0~5」で定義される。「レベル3」では特定条件下で自動運転が行われるが運転継続が困難な場合はドライバーが対応する。「レベル4」では特定条件下で完全な自動運転を行う。「レベル5」で完全な自動運転となる。「レベル4」以上で運転主体はシステム対応となり、ドライバーを必要としなくなる。インフラや法律の整備など多くの課題は残るものの、すでに「レベル4」の実現に向けた動きが活発化しており、各国の有力企業の開発競争が激化している。
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自動車
自動車産業は市場規模が大きく、裾野も広い。まさに現代の基幹産業としての地位を占めている。日本は世界的に有力な自動車メーカーを有しており、株式市場での自動車株の存在感は大きい。自動車株は景気の動向に加え、為替の影響も受けやすく、円安局面では為替メリット享受で株価が上がりやすい特徴がある。
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自動車電子化
自動車の高機能化とともに、1台当たりの電子部品の搭載数は増加傾向を強めている。電気自動車(EV)では、コンデンサーやモーターなどの電子部品は、従来のガソリン車に比べ搭載数が大幅に増える見込みだ。自動運転技術の進展も電子化を推進する。米国のバイデン大統領は、米国の新車販売に占めるEVなど電動車の比率を2030年に50%に引き上げる方針を打ち出しており、電子部品関連の需要は一段と高まる見通しだ。なかでも自動運転の支援で重要な役割を果たす高性能センサーである「LiDAR(ライダー)」などに対する市場の注目度は高い。
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自動車・二輪車関連
自動車は多種多様な部品・素材で構成されていることから、関連産業の裾野が広く、経済への波及効果が大きいため、米国の基幹産業として重要な位置を占めている。かつては米3大自動車メーカーのゼネラル・モーターズ、フォードモーター、クライスラー(現在ステランティスの保有ブランド)が「ビッグ・スリー」と呼ばれ、長らく米国経済を支えてきた。また、1台の自動車は約3万点の部品から構成されており、数多くの自動車部品企業が関係している。最近は世界的に厳しさを増す環境規制を背景に各メーカーが電気自動車(EV)戦略を強化しており、米EVメーカーのテスラの存在感も高まっている。こうした流れはオートバイ業界にも及んできており、アメリカのアイコンともいえるハーレー・ダビッドソンも電動バイクを市場投入している。
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自動車部材・部品
1台の自動車は約3万点の部品から構成されており、関連する企業の裾野も広い。例えば、シートやタイヤ、ハンドル、ガラス、ヘッドランプ、メーターを作る自動車部品メーカーのほか、鉄やアルミ、樹脂を手掛ける素材メーカー、塗装会社などが挙げられる。また、電気自動車(EV)では、電池、モーター、インバーターが基幹部品となり、電子部品メーカーの存在感も高まっている。
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事務用品
米国の事務用品販売業界では寡占化が進んでいる。2013年には米国2位のオフィス・デポが3位のオフィス・マックスを合併。続いて業界首位のステープルズがオフィス・デポの合併に動いたが、独禁法抵触で断念せざるを得なかった。そのステープルズは業績が悪化し、投資会社のシカモア・パートナーズに2017年に買収されている。 市場を支配してきた大手3社を再編に突き動かしたのは、デジタル化に伴う事務用品市場の縮小傾向に加え、アマゾンの台頭があった。企業向け小売りに進出したアマゾンに市場を侵食され、規模の拡大に賭けざるを得なくなった。 米国の事務用品販売業界では今後、アマゾンの圧力に抗し、事業の効率化や多角化、オムニチャネルの推進など企業体質の強化を進められるかが注目点となりそうだ。
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住宅関連
米国の住宅産業の裾野は広く、経済全体への影響も大きい。住宅の建設では、木材やセメント、鉄鋼など建設資材に需要を与えるだけでなく、家具や家電、自動車といった耐久財への買い需要も喚起するため、景気の押し上げ効果が大きい。このため、住宅着工件数などの関連指標は高い関心を集めている。新型コロナウイルスの感染拡大期には巣ごもり需要で、住宅販売が伸びるなど追い風を受けた。2022年以降はインフレが警戒されるなか、米金利上昇が景気を冷え込ませる要因となることが懸念された。足もとで、住宅の建設需要は堅調に推移しているが、今後も底堅い住宅需要が続くかが注目されている。
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情報セキュリティ
インターネットに接続されたデバイスの数が増えるのに伴いサイバー犯罪に対する脅威が増している。インターネット・セキュリティには「ウイルス」に絡むものが少なくなく、その犯罪の種類も「情報漏えい」「インターネット詐欺」など多岐にわたる。今後、セキュリティが重要視されるフィンテック関連サービスや電装化が進む自動車関連市場の成長が予想され、市場規模はさらなる拡大が見込まれている。また、地政学的リスクが高まる局面では、重要インフラ施設や防衛関連企業などへのサイバー攻撃も懸念され、官民を問わず情報セキュリティ対策の重要性が高まっている。
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情報通信関連
情報通信分野は、その範囲が広く通信キャリアや通信機器を手掛ける企業のほかクラウドなどを活用して情報サービス全般を手掛ける企業、システム構築あるいはセキュリティーを担う企業など多岐にわたる。また今後は人工知能(AI)との融合で情報通信分野も新境地が開拓されていく。ワイヤレス通信、高速回線、動画配信など総合的に手掛けるAT&Tや無線と有線の2セグメントで事業展開するベライゾン コミュニケーションズなどが代表銘柄に挙げられる。
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情報配信
情報を配信するという定義に漠然とした部分もあるが、関連銘柄として一般的にイメージされるのは金融情報や株式などの投資情報をリアルタイムで配信する企業が対象。昨今の株式市場の活性化は紛れもなく追い風である。
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人工臓器・器官・皮膚
心臓や肺などの臓器、血管や骨などの器官、皮膚などを人工的に生成・製造して置き換える動きが進んでいる。ペースメーカーや人工骨などが人工臓器に当たる。また、皮膚や血管などを再生することの成功例も増えている。臓器類の他者からの移植は倫理面や供給量の問題が大きく、人工的に作成された臓器による疾病治療は社会的な意義も大きい。