テーマ
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猛暑
日本同様、米国は毎年のように夏場の猛暑に見舞われている。近年の異常な暑さをもたらす熱波の背景には、地球温暖化の影響があるとされている。猛暑は体温調節機能など身体のバランスを崩し、夏バテや熱中症をはじめ健康を害するリスクを高める。また、その影響は健康被害にとどまらず、干ばつなど農作物への打撃や山火事の発生、電力需給の逼迫による停電リスクなど広範囲にわたる。北米では2021年には6月にもかかわらず北西部を中心に「1000年に一度」とも言われる記録的な猛暑が襲来。カリフォルニア州デスバレーでは気温が54度に達したとされる。米国北西部からカナダ南西部では熱波の影響により数百人が死亡したと報じられており、猛暑対策の重要性は近年一段と高まっている。なお、猛暑関連としては、清涼飲料水やビール、氷菓、エアコンや空調システム、リゾート、プール、マリンスポーツ関連のほか、広義の関連株としては電力関連株なども含まれる。
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木材
米金融当局の超低金利政策に加え、新型コロナウイルス感染拡大による在宅勤務の普及を背景に郊外への移住が増え、米国では住宅ブームが起こった。住宅需要の増加に伴い米国では木材価格が急騰しており、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の木材先物価格は21年5月には過去最高値に上昇。旺盛な住宅需要に木材の供給が追いつかず、「ウッドショック」とも呼ばれる状況が発生した。木材価格の上昇はインフレ懸念を高める要因にもなっており、その動向が注目されている。木材関連としては大手住宅メーカーのD.R.ホートン(DHI)やトール・ブラザーズ(TOL)、建材メーカーのユニバーサル・フォレスト・プロダクツ(UFPI)、ボイス・カスケード(BCC)などがある。大手製紙メーカーのインターナショナル・ペーパー(IP)は広大な森林を持つ。また、ETFのiシェアーズ グローバル・ティンバー&フォレストリー ETF(WOOD)は、木材関連を構成銘柄に組み入れている。
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有機EL部材・部品
有機EL(エレクトロルミネッセンス)は有機発光ダイオード(OLED)とも呼ばれ、陰極、電子輸送層、有機発光層、正孔輸送層、陽極、基盤(ガラスやプラスチック)を積層した構造になっている。陰極にはアルミニウムや銀・マグネシウム合金、カルシウムなどの金属薄膜を、陽極には酸化インジウムスズ(ITO)などの透明電極を使う。部材は液晶と重なるものもある。 有機ELディスプレーはテレビなどのほか、スマートフォンなどでも利用が拡大しており、液晶と並ぶ市場形成が期待されている。
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ユニコーン上場
「ユニコーン(Unicorn)」とは創業から10年以内、企業価値評価が10億ドルを超える未上場のベンチャー企業のこと。めったに現れない伝説の生き物の一角獣に例えられているが、ユニコーンと呼ばれる急成長中のベンチャー企業は、2024年1月時点では、世界で1200社超あると言われ、そのうちの600社強は米国企業であり、数において世界のトップにある。米国に続くのは200社弱の中国だ。2020年には大手民泊仲介サイトのエアビーアンドビーや米食品宅配のドアダッシュなどのIPOが話題を集めた。2021年は4月に米国最大の仮想通貨(暗号資産)取引所のコインベース・グローバル、7月にスマートフォン専業証券のロビンフッド・マーケッツ、宇宙関連のアストラ・スペース、10月にシェアオフィス大手のウィーワークなどが新規上場し、投資家の高い関心を集めた。ただ、同年6月に上場した中国の配車アプリ大手、ディディ・グローバル(滴滴出行)は、中国政府からの締め付けもあって株価が急落。2022年6月に米国上場廃止に追い込まれたほか、23年11月にはウィーワークが経営破綻するなど、ユニコーンの中には厳しい状況に陥っている企業もある。
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400Gネットワーク
高速・大容量、多接続、低遅延を実現する通信規格「5G」が世界的に普及し始め、データ通信量が飛躍的に増加するとともに、ネットワークインフラの拡充が求められている。そうしたなか、データセンター相互接続(DCI)を中心に、最大データ転送速度が100G(ギガ)の4倍となる「400Gネットワーク」の導入が始まっている。ユーザーやデバイス、アプリケーションなどの多様化に伴って増え続けるトラフィック量に対応するためには、データ転送速度の飛躍的な高速化が必須であるが、400Gネットワークの構築によりクラウドや人工知能(AI)、仮想現実、遠隔医療などでデータ転送の遅延を抑えられ、その活用が一段と進むことが期待されている。また、400Gネットワークの構築に伴い、ネットワーク機器や計測器など通信機器のほか、光ファイバーや半導体などにも新たな需要が発生すると予想されている。
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リオープニング(経済再開)
新型コロナウイルスで世界最多の感染者を出した米国だが、ワクチン接種が進んだことにより環境は大きく改善。株式市場では「リオープニング(経済再開)」に伴う動きが注目されている。リオープニング関連としては、新型コロナによる影響の直撃を受けた「航空」や「レジャー」、「ホテル」などの業種がまず恩恵を享受することが期待されている。また、レストランなどの「外食」、「小売り」、「エネルギー」、「自動車」などの景気敏感株には強い追い風となるとみられている。一方、巣ごもり消費での恩恵を受けたスーパーやネット通販関連などへの追い風は弱まる可能性もある。また、経済活動の再開は景気回復につながり、金利上昇の要因となる中、景気敏感株などの「バリュー株」にはプラスとなる一方、高PERの「グロース株」には逆風となる可能性も指摘されている。
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リカレント
ビジネス環境の国際化とデジタル化が急速に進むなか、社員を再教育する「リカレント(学び直し)」の市場が急速に成長している。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、デジタル人材の育成が世界的に求められている。アマゾンが2025年までに全従業員のおよそ3分の1にあたる10万人をスキルアップして高度な職種に配置転換すると発表するなど、再教育の動きが活発化している。なかでも、eラーニングなどを通じて手軽に高度な教育を受けられる環境が整えられたことから、同市場の成長は今後一段と加速しそうだ。オンライン学習プラットフォームを提供するコーセラ、2U、総合教育・メディアのグラハム・ホールディングスなどが関連銘柄となる
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リサイクル
リサイクルとは、不用品や廃棄物を原料のレベルにまで戻して再使用すること。資源の節約や環境保護の観点からペットボトルや空き缶、紙類、金属製品などさまざまなものがリサイクルされており、それに関わる企業が関連銘柄となる。米国のリサイクル率はOECD(経済協力開発機構)加盟国の中では低水準であり、廃プラスチックの主要輸出国でもある。だが、廃プラスチックの主要な受け入れ先であった中国がその輸入を禁止するなど、自国の環境汚染防止を優先する動きが世界的に広がっており、米国内での廃棄物削減とリサイクル化率の向上は喫緊の課題となっている。また、ロシアによるウクライナ軍事侵攻などを背景に資源価格が高騰したことも、リサイクルの重要性を一段と高めている。
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リショアリング(国内回帰)
世界経済の分断化の流れが強まるなか、製造工程を中国から米国に戻すリショアリング(国内回帰)の動きが活発化している。特に半導体やコンピューター、電気自動車(EV)などの分野で米国内での工場建設が活発化しており、これまでの生産拠点を海外に移すオフショアリング(海外移転)から流れは逆転している。大きなきっかけとなったのが、2021年に製造業を米国に戻す「インフラ投資・雇用法(IIJA)」が成立したことだ。同法には、バイ・アメリカン規制が適用されており、米国内で製造する企業に対して多額の補助金がつけられた。これに伴い、海外企業も加わる格好で、米国で工場建設のラッシュが起きている。世界的なサプライチェーンの再構築が進むなか、インフラ投資に絡み建設需要が膨らんでいるほか、電気設備や工場自動化、運輸関連など幅広い分野でのリショアリング関連の需要拡大が見込まれている。
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リチウムイオン電池
リチウムイオン電池とは、正極と負極の間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う2次電池。現在実用化されている2次電池の中では最もエネルギー密度が高く、高い電圧が得られるため多種多様のデバイスで使用されている。リチウム電池はポケットに入るスマートフォンなどのモバイル端末から、電気自動車(EV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHV)向けなどのエコカー分野まで多様な製品において独占的な市場を確保しており、電子機器にとって重要なキーパーツとなっている。世界の人々の生活と産業を発展させたその功績が評価されて、2019年にはリチウムイオン開発で大きな役割を果たした、旭化成の吉野彰名誉フェローら3人にノーベル化学賞が授与されている。EV向けをはじめリチウムイオン電池の生産では、中国や韓国、日本といったアジアが主要な生産拠点となってきた。しかし、環境問題を重視するバイデン政権の誕生によりEVの普及が加速することが見込まれており、EVの性能を左右する中核部品のリチウムイオン電池の重要性が一段と増している。また、中国との対立が先鋭化する中、安全保障上の要請もあって、米国はより強固なサプライチェーンの構築に向けて原料の採掘・精製の段階から関与を強めてくるとみられている。
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リフォーム
米国のリフォーム市場の規模は30兆円台半ばと日本の5~6倍に達するとされる。その背景には、3億を超す人口のみならず、住居を巡る米国人のライフスタイルも色濃く影響している。築後20数年で戸建て建物の資産価値がゼロとなる日本とは異なり、米国では年数が経過した中古住宅であっても相応の資産として評価されるため売買が活発であり、米国人は生涯に平均して5回前後、住宅を買い替えるとされている。転居に合わせて自分好みに住みやすくするだけでなく、資産価値を高めるために、購入した住宅はリフォームにより手入れが続けられる傾向にある。また、住居の一部分でも専門業者に依頼するのが一般的な日本とは異なり、米国では多くの居住者がコストを抑える目的もあってリフォームを自ら「DIY」で行う。リフォームに関する専門的な知識・ノウハウもネットで容易に入手できるうえ、ホームデポやロウズといった巨大ホームセンターに行けば「家一軒を建設可能な資材・機材が全て揃う」と言われるほど環境が整っていることも、リフォーム大国の礎となっている。
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量子コンピューター
量子コンピューターとは、量子力学の原理を応用したコンピューターのことで、電子などの極微の世界で起こる物理現象を利用して性能を飛躍的に向上できることが特徴。スーパーコンピューターでは何千年も要する演算をわずか数分で完結するとされており、量子コンピューターはハイテク産業のみならず宇宙開発や軍需産業の競争力も左右するとみられている。米国では量子コンピューターなど量子技術に19年から5年間で最大約1400億円を投じて開発体制の強化を進めているほか、中国は量子計算の分野の特許数で米国を上回るなど、日本を含め各国が開発を目指ししのぎを削っている。特に、19年10月にはアルファベット傘下のグーグルの研究チームが、同社の量子コンピューターを使い、現行の最速のコンピューターよりも極めて短時間で複雑な計算問題を解いたと発表。「量子超越」と呼ばれる従来のコンピューターでは困難な計算問題を解く性能を量子コンピューターによって初めて達成したことが、大きな話題を集めた。今後、量子コンピューターの開発を巡る競争は一段と激しさを増すことが確実視されている。
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旅行
米国は世界屈指の「観光大国」としての顔を持つ。2019年に発生した新型コロナウイルス感染拡大前の実績では、米国を訪れる外国人観光客は7000万人を超え、世界ランキングではフランス、スペインに次ぐ3位。観光収入では世界トップの地位を誇った。海外旅行者が旅行先で使う観光支出でも、米国人は中国人に次ぐ2位だった。新型コロナの流行で海外旅行の需要は一時消滅状態に陥った。しかし、ワクチン普及による経済正常化の動きが強まるとともに旅行需要復活の期待が膨らんでいる。まずは国内旅行、続いて海外旅行が回復するとみられている。ホテルや航空会社、カジノ、オンライン旅行代理店、クルーズ船などが関連銘柄となる。
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臨床検査
臨床検査とは、患者の健康状態や病気の原因を確認するほか、治療方針の決定、治療効果や回復具合を確認するために行われる検査のことをいう。臨床検査は、患者から採取した血液や尿、便、臓器の一部組織などを調べる検体検査と、心電図や筋電図、脳波などの測定を行う「生理機能検査」に大別される。臨床検査には、感染症の原因を探る細菌検査、DNA検査、臓器を視覚化する超音波検査なども含まれ、その範囲は幅広い。臨床検査は医療を支える基盤であり、その重要性は高い。2019年末に発生しパンデミック(世界的大流行)を引き起こした新型コロナウイルス(COVID-19)で、感染の有無を調べる手段として広く知られるようになったPCR検査も臨床検査の一手法である。「COVID-19」の終息後も人類と新たに襲ってくる感染症との戦いは長く続くことが予想され、今後もその封じ込めにおいて有効な手段として臨床検査は注目されよう。
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リーガルテック
リーガルテックとは、法律(Legal)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、IT(情報技術)で法務の効率化を支援するもの。これまで法務業務は、契約書の作成や確認にあたって、膨大な書類の山と格闘することが当たり前という状況が続いていた。この分野にITを活用したリーガルテックを通じて、業務の効率化を進めようとする動きが活発化している。特に、訴訟大国とも呼ばれる米国は世界最大の法律サービス市場を有しており、巨大なリーガルテック関連の市場が存在するとみられている。リーガルテックの具体的な業務には、人工知能(AI)を使った契約書の作成や審査、案件管理、書籍や法令の検索、弁護士への相談、それに電子署名による契約締結などがある。更に電子記録からの証拠収集(デジタルフォレンジック)や電子証拠開示手続き(eディスカバリー)、法務向け翻訳なども該当する。特に、新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークの推進もあり、オンラインでの電子署名サービスなどが急成長している。
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リース
リース会社が顧客の希望する物件を購入し、長期間賃貸する取引のこと。物件の所有権はリース会社に属するが、顧客にとって初期費用が抑えられるうえ、耐用年数を考慮してリース期間を設定することで最新の機械・設備といった物件を使い続けることができ陳腐化を避けられるといったメリットがある。このため、設備投資を行う際にリースは購入やレンタルと並ぶ選択候補となる。世界初の総合リース会社が米国で設立されたのが1952年。その後、リース産業は世界経済、特に新興国経済の発展とともに順調に成長を続けており、現在も米国は世界最大の市場規模を誇る。同国での設備投資に占めるリース比率はおよそ20%台で推移しており、設備投資の影響を受けやすいリース産業の動向は、アフターコロナの景気回復局面における注目ポイントの一つとなる。
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レアメタル
地球上に存在する量が希少、あるいは採掘・製錬コストや技術的なハードルにより流通量が少ない非鉄金属のこと。経済活動を行う上で重要性が高い金属も多く、安定供給の確保が重要な課題となる。一般的にレアメタルと呼ばれる代表的な元素にはリチウムやチタン、ニッケル、コバルト、パラジウムなどが挙げられる。なお、レアメタルのうち、スカンジウム、イットリウム、ランタンなど17元素はレアアース(希土類元素)に分類されるが、特にハイテクなど先端分野を中心に少量でも必須の金属とされており「産業のビタミン」とも呼ばれる。レアメタルはステンレスのほか、LEDや二次電池の電極材、電気自動車・風力発電機のモーター用磁石、電子基板などで幅広く使われており、現代の産業を支える重要な資源となっている。ただし、その産地は中国、ロシア、アフリカなどに偏在し、米国と中国・ロシアとの対立が先鋭化する局面では、レアメタルの輸出規制が米国への対抗手段に用いられる可能性が指摘されている。2022年に勃発したロシアによるウクライナ侵攻では、ロシアが主要産地であるパラジウム、ニッケル、プラチナなどの供給不安が高まり、レアメタルの価格高騰につながった。
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冷凍食品
「冷凍食品」は、調理または加工した食品を容器包装に入れ貯蔵できるように冷凍した食品。食品を凍結することによって微生物の繁殖と酵素の作用を停止させ、食品の腐敗変質を防ぐことで長期保存が可能になる。 業務用の需要に加え、家事においても“時短”が求められている社会的ニーズ、必要な分を必要な時に使用できる手軽さといった消費者ニーズへの対応や、味や冷凍技術の進歩といった企業努力が評価されて冷凍食品は社会に深く浸透している。 近年、健康や栄養面での配慮が重視されるなか、各社の活発な商品開発も市場拡大に寄与しているが、一方で競争が激しい分野でもある点には注意が必要だ。
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レジャー・リゾート
レジャーには「スポーツ」「趣味・創作」「娯楽」「観光・行楽」などが含まれるが、生活にゆとりや、本当の豊かさを求めてレジャーを重視する動きが強まっている。特に近年ではモノ消費より体験型のコト消費へのシフトが進んでおり、多様な余暇の過ごし方を背景に、遊園地やテーマパーク、カジノ、動物園、水族館、ゴルフ場、スキー場、ビーチ、キャンプ場などさまざまなレジャー施設が人々の暮らしに彩りを添えている。また、多くの場合、リゾート地へは交通機関で移動し、ホテル宿泊、観光地巡りなども行うため、関連銘柄の裾野は広い。レジャー・リゾートは新型コロナウイルスの感染拡大により大きなダメージを被ったセクターだが、ポストコロナの世界的な人流の活発化に伴って回復ペースの一段の加速が期待される。
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レストラン
店内で食事を提供する料理店。「米国」にはその国名からイメージされるハンバーガーやステーキなどのほか、人種の坩堝とも称されるだけあって中華やイタリアン、メキシカン、和食など世界各地に源流を持つ多様な料理店が存在する。また、「カリフォルニア・ロール」など海外の料理を米国風にアレンジした料理も多い。 米国のレストラン業界は従事する人口の多さでも知られ、業界の動向は同国経済とも深く結びついている。
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レバレッジ型・インバース型ETF
レバレッジ型ETFは、株価指数など原指標の日々の変動率に一定の倍率を乗じた値動きを達成するように運用されるETF(上場投資信託)のこと。例えば、ブル2倍ETFは、原指標の値動きに対し日々2倍の値動きになるように運用される。一方、インバース型ETFは原指標とは逆の値動きをするよう設計され、日々変動率の負の倍数を乗じて算出される。例えば、ベア2倍ETFは原指標のマイナス2倍の値動きになるように運用される。原指標はS&P500指数やICE半導体指数などの指数のほか、国債指数、アップルやテスラ、マイクロソフト、アマゾン、アルファベットなどの個別銘柄を対象とするものなど幅広い。レバレッジ型ETF、インバース型ETFは短期の値幅取りや保有株の下落リスクの回避を目的に活用されているが、原指標の値動きが予測から外れた場合に損失が膨らむリスクがある点、また長期に保有する場合、複利効果により想定されるパフォーマンスからの乖離が生じる点などには注意する必要がある。
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レンタル
製品、機器や設備などを、短期で一定期間の使用を目的として賃借すること。企業向けの建機などの大型機器から個人向けのウエディングドレスまで対象となる製品は幅広い。 消費大国である米国のレンタル市場は巨大で、建機レンタルだけでその市場規模はおよそ3兆円に達するとされる。ただ、レンタル業界は、特に個人向けにおいて消費者行動の変化の影響を受けやすい。DVDなどの“実物”レンタルが動画配信サービスに浸食されているのはその一例である。 また、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた人)の消費行動として「所有」にはこだわらない傾向が指摘される。購入し所有するよりも、必要な時に手軽に使うことを好むこの世代を中心に、シェアリング・エコノミーが広がりつつある。シェア(共有)をキーワードとする消費行動の変化に対し、ニューフェースのみならず従来型のレンタル企業がどのように対応していくのかが注目される。
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6G
6Gとは、5Gの次の第6世代移動通信システム。5Gの通信速度が4Gの100倍とされるのに対し、6Gは使える帯域をさらに拡大し、5Gの10倍以上の毎秒1テラ(テラは1兆)ビット級の通信が想定されている。移動通信システムはこれまでおよそ10年刻みで次世代方式へのシフトを繰り返してきたが、6Gは2030年ごろの商用化が見込まれている。だが、その開発競争の火蓋はすでに切られており、日本・米国・中国・欧州・韓国などの有力企業が主導権を握るべく鎬を削っている。その中でも米国は中国とともに中核技術の特許出願数で他を圧倒する。6Gの利用用途としては携帯電話などのほか、レベル4や5といった完全自動運転車、IoTやドローンの高度安定化、AIとの連携による即時翻訳などが想定されている。
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ロシア関連
ロシアは世界最大の国土を有する国で、その面積は日本の45倍、アメリカの2倍を占める。ソ連邦の解体とともに超大国の地位を退いたが、米国や中国などともに世界に対する政治的な影響力は依然として大きい。人口は1億4580万人(2022年)と世界9位、国内総生産(GDP)では世界11位にある。同国は森林、水産、鉱物など天然資源に恵まれ、なかでも石油・天然ガスでは世界有数の生産国である。また、穀物においても主要生産国であるほか、戦闘機をはじめとする武器輸出では米国に次ぐ第2位の地位にある。ただし、2022年のウクライナへの軍事侵攻を機に、欧米諸国との対立が先鋭化。欧米企業の同国からの撤退も相次いでおり、米国市場でのロシア関連企業の存在感は大きく後退している。
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ロビンフッド現象
株式取引手数料が無料の米オンライン証券会社の「ロビンフッド」を通じた株式売買が爆発的な人気を呼んでいる。2013年に設立された同社は30歳前後の若い顧客を中心に支持を集め、19年12月に口座開設数が1000万を超えた。同社は未上場の急成長企業であるユニコーンの1社と見なされている。特に、20年に入ってからは新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛に伴い、隙間時間を活用してロビンフッドを通じて株式取引を行う投資家が急増している。同証券の口座開設者は投資初心者が少なくなく、投機的売買を繰り返すことも目立つことから「ロビンフッダー」とも呼ばれている。テスラやアップル、アマゾンといったハイテク株やIT関連株の急騰は「ロビンフッド現象」とも称されるなど、ロビンフッドを通じた売買状況には高い関心が寄せられている。また、ロビンフッドの躍進を契機にチャールズ・シュワブなどインターネット証券を中心に業界再編に向けた動きも強まっている。
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ロボット
世界的な生産性向上や省力化の動きを受けて産業用ロボットの市場が拡大している。国際ロボット連盟(IFR)によれば、世界のロボット供給台数は2020年頃まで年2ケタ成長を続けると予想。特に、新興国を中心に産業用ロボットの需要が拡大する一方、先進国では協働ロボットの需要が拡大しつつある。また、人工知能(AI)やすべてのものがインターネットにつながるIoTの導入も進みつつある。このほか、サービス分野を始めとした新たな分野(医療・介護・生活支援など)への普及も期待されている。
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ワクチン療法
ワクチンを用いる治療法のこと。体内の免疫力を高めることで治癒を促進するもの。がんペプチドワクチン療法や、高度な技術を要するが、より効率的な「樹状細胞ワクチン療法」といった免疫療法が、「放射線治療」、抗がん剤を使う「化学療法」、「外科手術」に続く「第4のがん治療」として注目を集めている。