米国の発電規模は4000Twh超と日本の4倍にも及び、中国に次ぐ世界第2位の市場だが、1人あたりの電力消費量では中国を大きく凌駕する。この大量消費構造を支えるのが同国の電力業界であり、世界経済に占める米国の地位を考えるとその産業が持つ重要性は無視できない。 米国の電気事業者は、連邦規制機関により規制を受けるほか、各州政府が許認可とサービスの規制権限を握るため、州レベルで電力自由化の様相には違いがある。また、北西部では水力発電、東部では火力発電が多く用いられるなど地域ごとに特色があり、電気料金にも地域間で格差がみられる。 米国の電気事業者数は3000を超すとされるが、地域配電に特化した非営利組織である公営電気事業者と共同組合事業者が8割以上を占め、送配電事業で営利活動を行える民間電力会社は1割程度にすぎない。ただし、過去から発送電一貫運営の垂直統合で事業を営んできた民間電力会社が販売電力量では過半を占める構造となっている。 株式投資の観点からは日本と同様に事業に安定性のあるディフェンシブ・ストックとしての側面のほか、配当利回りの高さなどが切り口となる。