米国のIPO(新規上場)市場は2021年をピークに低調な状況が続くが、2024年から復調の兆しが見え始めた。米連邦準備制度理事会(FRB)が趨勢として利下げに舵を切っている点も、リスクマネーを呼び込むうえでIPO市場にとっては追い風となる。特にAI(人工知能)やフィンテック、バイオテクノロジーといった技術革新が進む分野などでIPOが増加する可能性があり、これら分野に対する投資家の関心も高い。2025年に入り、バイオ医薬品開発企業のメイズ・セラピューティクス、ミサイル防衛・宇宙事業向けシステムを手掛けるカルマン・ホールディングス、減量薬を開発するバイオテクノロジー企業メッツェラ、エヌビディアが支援するAI向けクラウドサービスのコアウィーブ、イスラエルのデジタル証券ブローカーのイートロ・グループ、チケット販売プラットフォームのスタブハブ・ホールディングス、スウェーデンのデジタル決済企業のクラーナ・グループなどが上場を果たしている。7月31日にはデザインの共同編集ソフトを展開するフィグマが上場。今年最大級のIPO案件として期待されていた同社の初日終値は公開価格の3.5倍と人気を集めた。なお、オンライン決済大手のストライプや英国のモバイルバンキングのレボリュートなどもIPOの有力候補として注目されている。