近年の先進国の広告市場の成長率はやや伸び悩みの傾向にある。そのなかで急成長を続けてきたのが、インターネット広告(デジタル広告)だ。総務省の令和6年版情報通信白書によると、2023年には世界のデジタル広告の市場規模は4155億ドル(前年比6.3%増)となり、総広告費に占める割合も57.7%にまで拡大。2026年には4997億ドルへ成長すると予測されている(電通グループ調査)。また、インターネット広告においても、予測分析やパーソナライゼーションなど広告の最適化でAI(人工知能)の活用が進んでおり、成長を支える技術として期待されている。一方で、個人情報保護の観点からCookie(クッキー)を規制する動きが広がり、広告業界への影響も懸念されている。脱クッキーの姿勢を鮮明にするアップルに続き、アルファベット傘下のグーグルもユーザーの閲覧履歴を共有する「サードパーティークッキー」の廃止を決定していたが、英規制当局や広告業界などの反発もあり、廃止の方針を撤回した。グーグルはプライバシーを保護する代替策の模索は続けるとしており、今後もクッキー、AIなどの活用による広告効果の最適化とプライバシー保護との両立は課題となっていきそうだ。