2025年2月21日 14時34分
ハネムーン期間、ウクライナ停戦と欧州株への期待【フィリップ証券】
「トランプ関税」の大まかな全体像が見えてきたようだ。2/4に中国からの輸入品に対して10%の追加関税を発動した。全貿易相手国からの鉄鋼とアルミニウムへの25%追加関税は適用除外制度が廃止され、3/12に発効するとしている。さらに、トランプ大統領は、米国からの輸入品に関税を課している全ての国に課す「相互関税」について、当局に対して調査・検討を命じ、2/14には自動車に対して4/2頃から関税を課すことを検討していることを明らかにした。
背景には、4月以降、議会下院が共和党と民主党で220対215となっているなかで共和党所属議員がトランプ政権への参画や指名を辞退したことから3名の補欠選挙が行われることがある。選挙公約の実現に向けて前進していることを示す必要があるだろう。また、米政界では、新しい大統領に対して政策実現の基盤を作る時期に議会やメディアが激しい批判を控える「ハネムーン期間」と呼ばれる、就任から約100日を目安とする期間がある。米国株市場もその間は暴落と呼ばれるような状況にはなりにくいものの、その後は、関税の世界経済に与える影響に対して悲観的な見方が強まりやすくなる可能性があるだろう。
トランプ大統領は2/12、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナ戦争を終結させるための協議を行うことで合意した。ウクライナでの戦争終結が実現すれば、天然ガス価格の下落や復興需要で企業業績が改善するとの期待から、欧州株は過去最高値を更新している。ウクライナへの軍事的支援は、イーロン・マスク氏のスペースXによる衛星通信からのデータ・画像取得やピーター・ティール氏が会長を務めるパランティア・テクノロジーズ<PLTR>のプラットフォームを使ったAIによる軍事作戦の立案などに支えられている面もある。トランプ政権主導のディールで停戦の合意に辿りつく可能性は高いように思われる。
さらに、ドイツは経済見通しが暗い中、2/23に連邦議会総選挙を控える。選挙の主要な争点は経済であり、選挙後の政権与党は経済対策に重点を置かざるを得ないだろう。フランスではマクロン大統領が生成AI(人工知能)開発に必要なデータセンターの建設など、計1090億EUR規模の対仏投資の見通しを表明。必要となる膨大な電力も原子力発電でまかなえるとしている。欧州経済は米国と比べて足元の経済が軟調であるものの、欧州株市場は堅調に推移する余地がある。これは米国株市場を下支えする要因になりそうだ。
中国の新興AI企業「DeepSeek」が開発したオープンソースAIモデルの登場以降、中国のAI産業全体が活気づいた一方、先端AI半導体の調達とデータセンター投資拡大に傾いていた米国大手ハイテク企業の先行きを疑問視する見方が台頭している。「マグニフィセント・セブン」の株価動向は要注意だろう。
■次のマグニフィセントセブン候補~時価総額2000億ドル超で騰落率上位
米S&P500指数構成企業のうち、2/12終値で時価総額が1兆USDを超える企業は「マグニフィセントセブン」7社の他に通信半導体のブロードコム<AVGO>と投資持株会社のバークシャー・ハサウェイ<BRK.B>を加えた9社。うちマイクロソフト<MSFT>を除く8社は、2023年末からの時価総額増加率が2桁以上で推移し、成長力が衰えていない。それでも、第2次トランプ政権発足後、大型ハイテク株や半導体銘柄からの資金シフトの兆しが窺われる。
2/12終値で時価総額2000億USD以上(1兆USD未満)かつ2023年末からの時価総額増加率が10%以上のIT・ハイテク関連銘柄には、パランティア・テクノロジーズ、ネットフリックス<NFLX>、インテュイティブ・サージカル<ISRG>、オラクル<ORCL>、IBM<IBM>、サービスナウ<NOW>などがある。
参考銘柄
アップラビン<APP> 市場:NASDAQ・・・2025/5/8に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・2011年設立。アプリ開発者、モバイルゲーム開発者向けに、アプリのマーケティングと収益化を支援するソフトウェアプラットフォームとAIを活用したソリューションを提供する。
・2/12発表の2024/12期4Q(10-12月)は、前年同期比44.0%増の13.72億USD(会社予想12.40-12.60億USD)、非GAAPの調整後EBITDAが同78.1%増の8.48億USD(同7.40-7.60億USD)。主力の広告事業は、売上高が同73%増の9.99億USD、調整後EBITDAが同85%増の7.76億USDと拡大した。
・2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比▲3-▲1%の10.30-10.50億USD、調整後EBITDAが同56-61%増の8.55-8.85億USD。同社が掲げる「広告AIモデル」は、AIを用いた広告体験のパーソナライズ化、ダッシュボードの自動化などを含み、特にコネクテッドTV向けに、業界を超えて消費者直販(DtoC)ブランドを中心にに普及している。生成AIと広告ビジネスの相性の良さが注目されそうだ。
ASMLホールディング<ASML> 市場:NASDAQ・・・2025/4/16に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・1984年設立のオランダ半導体製造装置メーカー。極端紫外線(EUV)露光装置の世界市場を独占。短波長EUVを光源として回路の微細化工程に使用。台湾積体電路製造(TSMC<TSM>)が最大顧客。
・1/29発表2024/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比28.0%増の92.62億EUR(会社予想88-92億EUR)、粗利益率が同0.3ポイント上昇の51.7%(同49-50%)、EPSが同31.5%増の6.84EUR。中国向けは落ち込んだものの、米国、およびラピダスへの搬入が始まった日本向けの販売が増えた。
・2025/12期1Q(1-3月)会社計画は、売上高が前年同期比42-51%増の75-80億EUR、粗利益率が同1-2ポイント上昇の52-53%。中国のAI企業DeepSeekの登場で最先端半導体への需要動向への懸念が高まる一方、米トランプ政権による5000億USDのスターゲイト計画のほか、仏マクロン大統領も1090億EURの大規模AIデータセンターへの投資を表明するなど追い風も加速している。
百度[バイドゥ]<BIDU> 市場:NASDAQ・・・2025/2/18に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
・2000年設立の中国インターネット検索エンジンとオンライン広告サービス大手。検索情報サービスのBaidu.com、会話式AIアシスタントDuerOS、自動運転エコシステムApolloなどのサービスを提供。
・11/21発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比2.6%減の335.57億元、非GAAPの調整後EPSが同18.6%減の16.6元。広告収入などのオンラインマーケティング事業は同5.8%減収(201億元)も、AI含むクラウドサービスなどの非広告事業が同2.7%増収(134億元)と伸長。
・ユーザー数4億3000万人のAIチャットボット「アーニー・ボット」を今年4月から完全無料化すると発表。専門家レベルの応答を提供する新機能「ディープ・サーチ」も無料提供と戦略を転換。同社は人が操作しない完全自動運転の「レベル4」を実現した自動運転タクシー配車サービスを武漢市や北京市で既に実用化している中で、昨年11月に香港でも自動運転車の試験走行の許可を取得。
ウィズダムツリー欧州株クオリティ配当成長株ファンド<EUDG> 市場:NYSEArca・・・年4回分配金(3・6・9・12月)
・欧州市場にて配当支払を行う成長性ある企業に投資することを目的とし、高配当利回り・大型優良株で構成。ウィズダムツリー欧州株クオリティ配当成長インデックスに連動する投資成果を目指す。
・2/14終値で時価総額65.7百万USD、過去1年間の実績分配金利回りが1.91%。組入れ上位5銘柄は仏ファッション複合のLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、スイス医薬品のロシュ・ホールディング、スイス製薬バイオのノバルティス<NVS>、スイス食品メーカーのネスレ、英エネルギーのBP<BP>。
・昨年末終値から2/14終値までの騰落率(インカムゲインを除く)は、同ETFが+10.3%に対し、ダウ工業株30種平均株価が+4.7%、S&P500株価指数が+4.0%、ナスダック100が+5.2%。相対的に高配当を支払う米国企業で構成される指数に連動した投資成果を目指すiシェアーズ・コア米国高配当株ETF<HDV>は+4.0%。当ETFはバリューとグロースの両面を兼ね備える点が特徴だろう。
リンデ<LIN> 市場:NASDAQ・・・2025/5/2に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・独産業ガスの旧リンデ(1879年設立)と米プラクスエアが2018年10月に経営統合して設立。大気ガスやプロセスガスなどの産業用ガスの生産では世界トップクラス。英国と米国を事業拠点とする。
・2/6発表の2024/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比0.2%減の82.82億USD、非GAAPの調整後EPSが同10.6%増の3.97USD(会社予想3.86-3.96USD)。製品価格値上げと継続的な生産性改善により調整後営業利益率が同2.5ポイント上昇の29.9%。期末受注残が同22%増の104億USD。
・2025/12通期会社計画は、為替変動の影響を除く調整後EPSが同8-11%増の16.15-16.55USD。同社は、顧客工場の敷地内に産業ガス供給設備を所有し長期契約を締結することから、顧客にとってスイッチング・コストが高くなり、それが競争優位をもたらし、新規企業による参入障壁として働いている。多様な業種の最終市場を顧客とすることから外部環境の変化に左右されにくい面もあるだろう。
フェラーリ<RACE> 市場:NYSE・・・2025/5/6に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・1929年にレーシングチーム「スクーデリア・フェラーリ」を設立。イタリアの高級スポーツカーのトップブランドの一つ。販売数量を限定しつつ、「独占性」と「技術革新」をブランドイメージの基盤とする。
・2/4発表の2024/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比14.0%増の17.36億EUR、非GAAPの調整後EPSが同32.1%増の2.14EUR。中華圏の販売台数の落ち込みが響き出荷台数が同2.5%増にとどまるも、、製品ミックスの高付加価値化、パーソナライズ化、販売価格引上げが利益率上昇に貢献。
・2025/12通期会社計画は、売上高が前期比5%増の70億EUR、調整後EPSが供給網の逆風に伴うコスト増を吸収して同2%増の8.60EUR。2021年にCEOに就任した半導体業界出身のベネディクト・ヴィーニャ氏は自社を「テクノロジーの要素を強く持つラグジュアリー企業」と定義し、「感動」を売る企業とする。同社初となる電気自動車(EV)の発表を今年10月に控え、ブランド戦略が試されるだろう。
執筆日:2025年2月17日
※フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース
背景には、4月以降、議会下院が共和党と民主党で220対215となっているなかで共和党所属議員がトランプ政権への参画や指名を辞退したことから3名の補欠選挙が行われることがある。選挙公約の実現に向けて前進していることを示す必要があるだろう。また、米政界では、新しい大統領に対して政策実現の基盤を作る時期に議会やメディアが激しい批判を控える「ハネムーン期間」と呼ばれる、就任から約100日を目安とする期間がある。米国株市場もその間は暴落と呼ばれるような状況にはなりにくいものの、その後は、関税の世界経済に与える影響に対して悲観的な見方が強まりやすくなる可能性があるだろう。
トランプ大統領は2/12、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナ戦争を終結させるための協議を行うことで合意した。ウクライナでの戦争終結が実現すれば、天然ガス価格の下落や復興需要で企業業績が改善するとの期待から、欧州株は過去最高値を更新している。ウクライナへの軍事的支援は、イーロン・マスク氏のスペースXによる衛星通信からのデータ・画像取得やピーター・ティール氏が会長を務めるパランティア・テクノロジーズ<PLTR>のプラットフォームを使ったAIによる軍事作戦の立案などに支えられている面もある。トランプ政権主導のディールで停戦の合意に辿りつく可能性は高いように思われる。
さらに、ドイツは経済見通しが暗い中、2/23に連邦議会総選挙を控える。選挙の主要な争点は経済であり、選挙後の政権与党は経済対策に重点を置かざるを得ないだろう。フランスではマクロン大統領が生成AI(人工知能)開発に必要なデータセンターの建設など、計1090億EUR規模の対仏投資の見通しを表明。必要となる膨大な電力も原子力発電でまかなえるとしている。欧州経済は米国と比べて足元の経済が軟調であるものの、欧州株市場は堅調に推移する余地がある。これは米国株市場を下支えする要因になりそうだ。
中国の新興AI企業「DeepSeek」が開発したオープンソースAIモデルの登場以降、中国のAI産業全体が活気づいた一方、先端AI半導体の調達とデータセンター投資拡大に傾いていた米国大手ハイテク企業の先行きを疑問視する見方が台頭している。「マグニフィセント・セブン」の株価動向は要注意だろう。
■次のマグニフィセントセブン候補~時価総額2000億ドル超で騰落率上位
米S&P500指数構成企業のうち、2/12終値で時価総額が1兆USDを超える企業は「マグニフィセントセブン」7社の他に通信半導体のブロードコム<AVGO>と投資持株会社のバークシャー・ハサウェイ<BRK.B>を加えた9社。うちマイクロソフト<MSFT>を除く8社は、2023年末からの時価総額増加率が2桁以上で推移し、成長力が衰えていない。それでも、第2次トランプ政権発足後、大型ハイテク株や半導体銘柄からの資金シフトの兆しが窺われる。
2/12終値で時価総額2000億USD以上(1兆USD未満)かつ2023年末からの時価総額増加率が10%以上のIT・ハイテク関連銘柄には、パランティア・テクノロジーズ、ネットフリックス<NFLX>、インテュイティブ・サージカル<ISRG>、オラクル<ORCL>、IBM<IBM>、サービスナウ<NOW>などがある。

参考銘柄
アップラビン<APP> 市場:NASDAQ・・・2025/5/8に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・2011年設立。アプリ開発者、モバイルゲーム開発者向けに、アプリのマーケティングと収益化を支援するソフトウェアプラットフォームとAIを活用したソリューションを提供する。
・2/12発表の2024/12期4Q(10-12月)は、前年同期比44.0%増の13.72億USD(会社予想12.40-12.60億USD)、非GAAPの調整後EBITDAが同78.1%増の8.48億USD(同7.40-7.60億USD)。主力の広告事業は、売上高が同73%増の9.99億USD、調整後EBITDAが同85%増の7.76億USDと拡大した。
・2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比▲3-▲1%の10.30-10.50億USD、調整後EBITDAが同56-61%増の8.55-8.85億USD。同社が掲げる「広告AIモデル」は、AIを用いた広告体験のパーソナライズ化、ダッシュボードの自動化などを含み、特にコネクテッドTV向けに、業界を超えて消費者直販(DtoC)ブランドを中心にに普及している。生成AIと広告ビジネスの相性の良さが注目されそうだ。
ASMLホールディング<ASML> 市場:NASDAQ・・・2025/4/16に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・1984年設立のオランダ半導体製造装置メーカー。極端紫外線(EUV)露光装置の世界市場を独占。短波長EUVを光源として回路の微細化工程に使用。台湾積体電路製造(TSMC<TSM>)が最大顧客。
・1/29発表2024/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比28.0%増の92.62億EUR(会社予想88-92億EUR)、粗利益率が同0.3ポイント上昇の51.7%(同49-50%)、EPSが同31.5%増の6.84EUR。中国向けは落ち込んだものの、米国、およびラピダスへの搬入が始まった日本向けの販売が増えた。
・2025/12期1Q(1-3月)会社計画は、売上高が前年同期比42-51%増の75-80億EUR、粗利益率が同1-2ポイント上昇の52-53%。中国のAI企業DeepSeekの登場で最先端半導体への需要動向への懸念が高まる一方、米トランプ政権による5000億USDのスターゲイト計画のほか、仏マクロン大統領も1090億EURの大規模AIデータセンターへの投資を表明するなど追い風も加速している。
百度[バイドゥ]<BIDU> 市場:NASDAQ・・・2025/2/18に2024/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
・2000年設立の中国インターネット検索エンジンとオンライン広告サービス大手。検索情報サービスのBaidu.com、会話式AIアシスタントDuerOS、自動運転エコシステムApolloなどのサービスを提供。
・11/21発表の2024/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比2.6%減の335.57億元、非GAAPの調整後EPSが同18.6%減の16.6元。広告収入などのオンラインマーケティング事業は同5.8%減収(201億元)も、AI含むクラウドサービスなどの非広告事業が同2.7%増収(134億元)と伸長。
・ユーザー数4億3000万人のAIチャットボット「アーニー・ボット」を今年4月から完全無料化すると発表。専門家レベルの応答を提供する新機能「ディープ・サーチ」も無料提供と戦略を転換。同社は人が操作しない完全自動運転の「レベル4」を実現した自動運転タクシー配車サービスを武漢市や北京市で既に実用化している中で、昨年11月に香港でも自動運転車の試験走行の許可を取得。
ウィズダムツリー欧州株クオリティ配当成長株ファンド<EUDG> 市場:NYSEArca・・・年4回分配金(3・6・9・12月)
・欧州市場にて配当支払を行う成長性ある企業に投資することを目的とし、高配当利回り・大型優良株で構成。ウィズダムツリー欧州株クオリティ配当成長インデックスに連動する投資成果を目指す。
・2/14終値で時価総額65.7百万USD、過去1年間の実績分配金利回りが1.91%。組入れ上位5銘柄は仏ファッション複合のLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン、スイス医薬品のロシュ・ホールディング、スイス製薬バイオのノバルティス<NVS>、スイス食品メーカーのネスレ、英エネルギーのBP<BP>。
・昨年末終値から2/14終値までの騰落率(インカムゲインを除く)は、同ETFが+10.3%に対し、ダウ工業株30種平均株価が+4.7%、S&P500株価指数が+4.0%、ナスダック100が+5.2%。相対的に高配当を支払う米国企業で構成される指数に連動した投資成果を目指すiシェアーズ・コア米国高配当株ETF<HDV>は+4.0%。当ETFはバリューとグロースの両面を兼ね備える点が特徴だろう。
リンデ<LIN> 市場:NASDAQ・・・2025/5/2に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・独産業ガスの旧リンデ(1879年設立)と米プラクスエアが2018年10月に経営統合して設立。大気ガスやプロセスガスなどの産業用ガスの生産では世界トップクラス。英国と米国を事業拠点とする。
・2/6発表の2024/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比0.2%減の82.82億USD、非GAAPの調整後EPSが同10.6%増の3.97USD(会社予想3.86-3.96USD)。製品価格値上げと継続的な生産性改善により調整後営業利益率が同2.5ポイント上昇の29.9%。期末受注残が同22%増の104億USD。
・2025/12通期会社計画は、為替変動の影響を除く調整後EPSが同8-11%増の16.15-16.55USD。同社は、顧客工場の敷地内に産業ガス供給設備を所有し長期契約を締結することから、顧客にとってスイッチング・コストが高くなり、それが競争優位をもたらし、新規企業による参入障壁として働いている。多様な業種の最終市場を顧客とすることから外部環境の変化に左右されにくい面もあるだろう。
フェラーリ<RACE> 市場:NYSE・・・2025/5/6に2025/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定
・1929年にレーシングチーム「スクーデリア・フェラーリ」を設立。イタリアの高級スポーツカーのトップブランドの一つ。販売数量を限定しつつ、「独占性」と「技術革新」をブランドイメージの基盤とする。
・2/4発表の2024/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比14.0%増の17.36億EUR、非GAAPの調整後EPSが同32.1%増の2.14EUR。中華圏の販売台数の落ち込みが響き出荷台数が同2.5%増にとどまるも、、製品ミックスの高付加価値化、パーソナライズ化、販売価格引上げが利益率上昇に貢献。
・2025/12通期会社計画は、売上高が前期比5%増の70億EUR、調整後EPSが供給網の逆風に伴うコスト増を吸収して同2%増の8.60EUR。2021年にCEOに就任した半導体業界出身のベネディクト・ヴィーニャ氏は自社を「テクノロジーの要素を強く持つラグジュアリー企業」と定義し、「感動」を売る企業とする。同社初となる電気自動車(EV)の発表を今年10月に控え、ブランド戦略が試されるだろう。
執筆日:2025年2月17日
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