2024年6月1日 19時30分
米巨大テックも動く!「データセンター」ここから狙う急騰穴株5選 <株探トップ特集>
―エヌビディアのGPU呑み込み全軍躍動、生成AI時代を支える必須のITインフラ―
生成AIの登場で世界の景色は大きく変わりつつある。米オープンAIが開発した「ChatGPT」がリリースされたのが2022年11月。この時を境に株式市場でも第4次AIブームの幕開けとの認識が広がった。そのストーリーの主役は紛れもなく「生成AI」である。そして、生成AI市場の急拡大を背景にAI用半導体が脚光を浴びることになった。その象徴が米エヌビディア<NVDA>が手掛けるGPU(画像処理半導体)であり、同社の業績と株価を大変貌させる原動力となったのは周知の通りだ。
今はこのGPUを呑み込み、全軍躍動させている“エリア”の方に焦点が当たっている。GPUが搭載されているAIサーバー、そして同サーバーが設置されている「データセンター」こそが、現在の株式市場で最も熱い物色テーマとして投資マネーを誘引している。GPUなどのAI用半導体やそれを生産する製造装置など半導体セクターを筆頭に、データセンター関連に位置付けられる銘柄は多岐にわたるが、今回は半導体周辺以外で同関連として成長路線を邁進する有望銘柄に照準を合わせてみたい。
●AI・IoT時代を支えるITインフラ
データセンターとは、サーバーやネットワーク機器を設置・保管する設備の総称で、大量のデジタルデータを保管・処理するために必須となるAI・IoT 時代ならではのITインフラである。とりわけインターネット接続に特化しているものは、インターネットデータセンター(IDC)として区分されている。ここにわかに株式市場で注目度が増したのは生成AI市場が爆発的な伸びを示していることによるものだ。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、グローバルベースの生成AI市場の規模は23年の推定106億ドルが、30年には2110億ドル、日本円にして約33兆円まで拡大するという見通しを示している。これは23年比20倍となる見込みで年平均成長率は53%という凄まじい伸び率である。このモンスター級の成長を示す生成AIだが、我々の日常にサービスとして提供されるまでのプロセスが、データセンターに強烈なスポットライトを当てることになった。
データセンター内に設置されたAIサーバーを経由しなければ生成AIを利用することはできない。なぜなら、生成AIはAIサーバー上で質問に対する回答を導き出すためにデータ(質問内容)に含有される特徴やパターンをディープラーニングし、そこで得たデータを基点に新たな情報コンテンツを生成するという手順を踏むためだ。このAIサーバーに搭載されるのがGPUやHBM(高帯域幅メモリー)であり、GPUを独占供給するエヌビディアが目を見張る収益成長を果たしたのは、生成AIを“生み出す”AIサーバー特需が反映されたものだ。
●生成AIの経済波及効果は超ド級
データセンター建設では中核のAI用半導体などデバイス需要の高まりだけではなく、当然ながら空調や電気通信工事といったコンストラクション需要も喚起される。また、大規模なデータセンターが大量に建設されれば、莫大な電力需要が生じることは論をまたない。このストーリーが今の株式市場で投資マネーを誘引し、電力株の大相場を演出している。
前述した生成AIの市場規模予測(30年には2110億ドル)はあくまでAIの関連アプリケーションや関連ソリューションなどシステム分野の需要である。経済波及効果という観点では、もっとはるかに膨大なものとなる。例えばデータセンターの市場規模は一部調査機関試算で22年の2640億ドル(約41兆4500億円)から35年には6450億ドル(同101兆2700億円)と100兆円レベルに到達すると予想されている。もちろんデータセンターはサーバーやネットワーク機器などを保管する場所であって、生成AIのみに特化したものではないのだが、近い将来の建設ラッシュは生成AIの台頭が需要の源泉となることは間違いがない。
●米巨大テックも日本のDC爆需に注目
直近では米マイクロソフト<MSFT>が日本でのAI向けデータセンター確保のため日本円にして約4400億円を投資する計画を発表し話題となった。また、データセンターと再生可能エネルギーとの相関も米巨大テック企業はビジネスチャンスと捉えている。米グーグルはデータセンターの需要拡大を見込み、日本国内での再生可能エネルギーの本格調達に乗り出している。米アマゾン<AMZN>も日本のデータセンター向けを視野に、三菱商事 <8058> [東証P]などと協業で 太陽光発電による電力調達を進めている状況だ。
日本政府もデータセンター誘致で電力需要が急増することを念頭に置き、長期ビジョンで太陽光発電や 原発など脱炭素電源の確保に前向きに取り組んでいる。グリーントランスフォーメーション(GX)へのシフトは、データセンターの建設ラッシュ待ったなしという背景が作り出している部分も大きい。
●電力株の次に来るダークホースを探す
東京市場ではデータセンター関連として東京エレクトロン <8035> [東証P]やレーザーテック <6920> [東証P]をはじめとする半導体製造装置メーカーや、政府クラウドの提供事業者に選出されたさくらインターネット <3778> [東証P]を筆頭にデータセンター運営会社が人気化したが、ここ最近は、それよりも“外側”に位置する銘柄群に投資資金が集中する傾向がみられる。
電力株の物色人気は原発再稼働に向けた思惑もあるが、その前段階としてデータセンターや半導体工場が莫大な電力を使うというロジックが働いている。特に九州電力 <9508> [東証P]や北海道電力 <9509> [東証P]は、TSMC<TSM>やラピダスの巨大工場稼働による電力需要の供給サイドとしての収益恩恵を材料視され、株価が押し上げられた。このほか、データセンターの建設ラッシュで商機を捉える企業は意外に多く、投資家サイドとしてもアンテナを高くして出世株候補を発掘したい。
今回のトップ特集では、そうした銘柄群の中から、近い将来に株価の居どころを変えそうな有望穴株を5銘柄エントリーした。
●ここから要注目の5銘柄はこれだ
【ダイダンは抜群の実績と技術で需要取り込む】
ダイダン <1980> [東証P]は大型建築物の電気・通信、空調、水道などの工事を行う総合設備大手。創業が1903年という業界の老舗で、錚々(そうそう)たる国内大手企業の工場及びビル建設に絡む工事のほか、日本武道館、新国立劇場、東京国際空港ターミナルビルなど有名大型施設での施工実績も豊富だ。
そのなか、大規模なデータセンターは同社など専門工事会社にとって高単価案件で業績への寄与度が高い。データセンターでは、冷涼な外気の導入による空調エネルギーの低減技術や、冷たい空気を効果的にIT機器に届ける気流制御などが重要な役割を担い、ここでは同社の技術が数多く採用されている。業績も好調を極めており、25年3月期はトップラインが前期比27%増収と大幅な伸びが見込まれ、営業利益は同38%増の150億円と急拡大し31年ぶりに最高益更新となる見通し。
株価は今年に入って目が覚めたように上値追いを開始し、年初から約2.5倍化しているがPERはまだ13倍前後に過ぎない。同社株の上場来高値は91年6月につけた4545円50銭(修正後株価)だが、30年以上も前で時価は上値の重さも意識されにくく、戻り売り圧力の乏しさも株価上昇を後押しする。
【精工技研はDC向け光電融合技術で輝き放つ】
精工技研 <6834> [東証S]は光学分野の独自技術と精密加工や精密成形などの高い技術力を武器に製品開発を行っており、収益の主軸は光通信用デバイスと自動車部品用金型が担っている。膨大な電力を消費するデータセンター向けに光電融合技術が注目され、同社はその関連有力企業の一角に位置する。光デバイス関連では「データセンター向けケーブリングソリューション」を今年3月下旬に米カリフォルニア州サンディエゴで行われた光ファイバー通信展「OFC2024」に出展している。
25年3月期業績は急回復が見込まれ、データセンター向け光コネクターの需要拡大や、精機関連事業では自動車向けインバーター用部品が収益拡大に貢献、営業利益段階で前期比38%増の14億5000万円を予想している。株主還元に積極的な点も注目され、復配を果たした13年3月期以降は漸次配当を増やす形で、今期は前期実績比5円増配となる60円を計画している。
株価は今年3月を境に上げ足を強め、年初来高値圏を走る。時価は21年4月以来の高値水準にあるが、PBR0.8倍前後で依然として上値余地が大きい。なお、同社株の最高値は上場直後の2000年9月につけた6万9700円。直近株価との比較で30倍近い驚愕の高値を形成した過去がある。
【SCSKはNECとの協業で展開力期待】
SCSK <9719> [東証P]は住友商事系システムインテグレーター大手で企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連需要を取り込み、自動運転など車載システム分野の受注獲得も順調に推移、業績は増収増益路線を邁進している。銀行をはじめ金融業界向けで実績が高く、25年3月期はマネーロンダリング対策に絡む開発案件などが収益に寄与するほか、モビリティ関連の好調が利益成長を後押しする。
データセンター分野では先駆的存在であり、1988年からサービスを提供。「netXDC」ブランドで都市型データセンター、郊外型データセンターを合わせて全国7拠点10センター展開している。NEC <6701> [東証P]とデータセンター分野で連携を強めていることもポイントとなる。
25年3月期は売上高が前期比6%増の5100億円、営業利益は同9%増の620億円と連続で過去最高を更新する見通し。株価は昨年4月を起点に下値切り上げ波動を形成。今年は2600~3000円のボックスゾーンの往来となっているが、足もとでボックス上限をブレークするチャンスを迎えている。来期以降も収益成長路線が続く公算は大きく、早晩3022円の上場来高値をクリアして青空圏へ歩を進めそうだ。
【住友電設は顧客ニーズ対応で実力発揮】
住友電設 <1949> [東証P]は関西を地盤にビルや工場の内線を主体とした電気工事を手掛けるが、空調やプラントなどテリトリーは広く、海外展開に注力している点も特徴だ。親会社は電線業界トップの住友電気工業 <5802> [東証P]で同社株の5割を保有しており、住友電工やそのグループ会社からの受注により安定した収益基盤を確立している。
また、データセンターなどデジタル関連の成長分野に注力の構えにある。クラウド化の進展で企業のセキュリティーニーズが高まるなか、自家用発電での対応を可能とし、監視カメラはもちろん高感度センサーによる防災システムなど顧客ニーズに合わせた設備を取り揃え、データセンターの需要獲得に結び付けている。25年3月期業績は営業利益段階で前期比16%増の145億円と2ケタ成長を見込む。株主還元にも抜かりなく取り組んでおり、毎期増配を続けるなか、今期の年間配当は前期実績比で8円増配となる114円を計画している。
株価は5月9日に3890円の上場来高値をつけた後、押し目を形成しているが、5日・25日移動平均線を絡め3500円近辺で煮詰まっていたが、目先上放れる動きを見せている。未踏の4000円も視野に入る。
【NSSOLは次世代型DCで活躍本番へ】
日鉄ソリューションズ <2327> [東証P]は日本製鉄系システムインテグレーターで、製鉄所の生産管理から出発したが、現在は製造業を中心に流通や金融系システムの構築、更に官公庁向けでも高実績を有している。同社株式の63%強を保有する親会社の日本製鉄 <5401> [東証P]への依存比率は2割前後で、業務システム全般の企画・開発から運用・保守までワンストップで担当している。
近年データセンターは、セキュリティーなど既存の基本要件の高度化に加え、高密度かつカーボン・ニュートラルといった地球環境に配慮した次世代型データセンターが注目されており、同社はグループで培った独自の技術を駆使して「第5データセンター」を開設、最新の免震装置や電源・冷却設備などによって最高レベルの可用性と信頼性を提供している。
業績はトップライン・利益ともに成長路線を走っており、24年3月期に営業10%増益と2ケタの伸びでピーク利益を更新、更に25年3月期も前期比3%増の360億円と最高更新が続く見通しにある。株価は4月末に5450円の上場来高値をつけた後に調整を入れたが、ソーサーボトム形成から出直り本番の気配を漂わせている。5000円大台絡みは買いで対処したい。
株探ニュース
生成AIの登場で世界の景色は大きく変わりつつある。米オープンAIが開発した「ChatGPT」がリリースされたのが2022年11月。この時を境に株式市場でも第4次AIブームの幕開けとの認識が広がった。そのストーリーの主役は紛れもなく「生成AI」である。そして、生成AI市場の急拡大を背景にAI用半導体が脚光を浴びることになった。その象徴が米エヌビディア<NVDA>が手掛けるGPU(画像処理半導体)であり、同社の業績と株価を大変貌させる原動力となったのは周知の通りだ。
今はこのGPUを呑み込み、全軍躍動させている“エリア”の方に焦点が当たっている。GPUが搭載されているAIサーバー、そして同サーバーが設置されている「データセンター」こそが、現在の株式市場で最も熱い物色テーマとして投資マネーを誘引している。GPUなどのAI用半導体やそれを生産する製造装置など半導体セクターを筆頭に、データセンター関連に位置付けられる銘柄は多岐にわたるが、今回は半導体周辺以外で同関連として成長路線を邁進する有望銘柄に照準を合わせてみたい。
●AI・IoT時代を支えるITインフラ
データセンターとは、サーバーやネットワーク機器を設置・保管する設備の総称で、大量のデジタルデータを保管・処理するために必須となるAI・IoT 時代ならではのITインフラである。とりわけインターネット接続に特化しているものは、インターネットデータセンター(IDC)として区分されている。ここにわかに株式市場で注目度が増したのは生成AI市場が爆発的な伸びを示していることによるものだ。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、グローバルベースの生成AI市場の規模は23年の推定106億ドルが、30年には2110億ドル、日本円にして約33兆円まで拡大するという見通しを示している。これは23年比20倍となる見込みで年平均成長率は53%という凄まじい伸び率である。このモンスター級の成長を示す生成AIだが、我々の日常にサービスとして提供されるまでのプロセスが、データセンターに強烈なスポットライトを当てることになった。
データセンター内に設置されたAIサーバーを経由しなければ生成AIを利用することはできない。なぜなら、生成AIはAIサーバー上で質問に対する回答を導き出すためにデータ(質問内容)に含有される特徴やパターンをディープラーニングし、そこで得たデータを基点に新たな情報コンテンツを生成するという手順を踏むためだ。このAIサーバーに搭載されるのがGPUやHBM(高帯域幅メモリー)であり、GPUを独占供給するエヌビディアが目を見張る収益成長を果たしたのは、生成AIを“生み出す”AIサーバー特需が反映されたものだ。
●生成AIの経済波及効果は超ド級
データセンター建設では中核のAI用半導体などデバイス需要の高まりだけではなく、当然ながら空調や電気通信工事といったコンストラクション需要も喚起される。また、大規模なデータセンターが大量に建設されれば、莫大な電力需要が生じることは論をまたない。このストーリーが今の株式市場で投資マネーを誘引し、電力株の大相場を演出している。
前述した生成AIの市場規模予測(30年には2110億ドル)はあくまでAIの関連アプリケーションや関連ソリューションなどシステム分野の需要である。経済波及効果という観点では、もっとはるかに膨大なものとなる。例えばデータセンターの市場規模は一部調査機関試算で22年の2640億ドル(約41兆4500億円)から35年には6450億ドル(同101兆2700億円)と100兆円レベルに到達すると予想されている。もちろんデータセンターはサーバーやネットワーク機器などを保管する場所であって、生成AIのみに特化したものではないのだが、近い将来の建設ラッシュは生成AIの台頭が需要の源泉となることは間違いがない。
●米巨大テックも日本のDC爆需に注目
直近では米マイクロソフト<MSFT>が日本でのAI向けデータセンター確保のため日本円にして約4400億円を投資する計画を発表し話題となった。また、データセンターと再生可能エネルギーとの相関も米巨大テック企業はビジネスチャンスと捉えている。米グーグルはデータセンターの需要拡大を見込み、日本国内での再生可能エネルギーの本格調達に乗り出している。米アマゾン<AMZN>も日本のデータセンター向けを視野に、三菱商事 <8058> [東証P]などと協業で 太陽光発電による電力調達を進めている状況だ。
日本政府もデータセンター誘致で電力需要が急増することを念頭に置き、長期ビジョンで太陽光発電や 原発など脱炭素電源の確保に前向きに取り組んでいる。グリーントランスフォーメーション(GX)へのシフトは、データセンターの建設ラッシュ待ったなしという背景が作り出している部分も大きい。
●電力株の次に来るダークホースを探す
東京市場ではデータセンター関連として東京エレクトロン <8035> [東証P]やレーザーテック <6920> [東証P]をはじめとする半導体製造装置メーカーや、政府クラウドの提供事業者に選出されたさくらインターネット <3778> [東証P]を筆頭にデータセンター運営会社が人気化したが、ここ最近は、それよりも“外側”に位置する銘柄群に投資資金が集中する傾向がみられる。
電力株の物色人気は原発再稼働に向けた思惑もあるが、その前段階としてデータセンターや半導体工場が莫大な電力を使うというロジックが働いている。特に九州電力 <9508> [東証P]や北海道電力 <9509> [東証P]は、TSMC<TSM>やラピダスの巨大工場稼働による電力需要の供給サイドとしての収益恩恵を材料視され、株価が押し上げられた。このほか、データセンターの建設ラッシュで商機を捉える企業は意外に多く、投資家サイドとしてもアンテナを高くして出世株候補を発掘したい。
今回のトップ特集では、そうした銘柄群の中から、近い将来に株価の居どころを変えそうな有望穴株を5銘柄エントリーした。
●ここから要注目の5銘柄はこれだ
【ダイダンは抜群の実績と技術で需要取り込む】
ダイダン <1980> [東証P]は大型建築物の電気・通信、空調、水道などの工事を行う総合設備大手。創業が1903年という業界の老舗で、錚々(そうそう)たる国内大手企業の工場及びビル建設に絡む工事のほか、日本武道館、新国立劇場、東京国際空港ターミナルビルなど有名大型施設での施工実績も豊富だ。
そのなか、大規模なデータセンターは同社など専門工事会社にとって高単価案件で業績への寄与度が高い。データセンターでは、冷涼な外気の導入による空調エネルギーの低減技術や、冷たい空気を効果的にIT機器に届ける気流制御などが重要な役割を担い、ここでは同社の技術が数多く採用されている。業績も好調を極めており、25年3月期はトップラインが前期比27%増収と大幅な伸びが見込まれ、営業利益は同38%増の150億円と急拡大し31年ぶりに最高益更新となる見通し。
株価は今年に入って目が覚めたように上値追いを開始し、年初から約2.5倍化しているがPERはまだ13倍前後に過ぎない。同社株の上場来高値は91年6月につけた4545円50銭(修正後株価)だが、30年以上も前で時価は上値の重さも意識されにくく、戻り売り圧力の乏しさも株価上昇を後押しする。
【精工技研はDC向け光電融合技術で輝き放つ】
精工技研 <6834> [東証S]は光学分野の独自技術と精密加工や精密成形などの高い技術力を武器に製品開発を行っており、収益の主軸は光通信用デバイスと自動車部品用金型が担っている。膨大な電力を消費するデータセンター向けに光電融合技術が注目され、同社はその関連有力企業の一角に位置する。光デバイス関連では「データセンター向けケーブリングソリューション」を今年3月下旬に米カリフォルニア州サンディエゴで行われた光ファイバー通信展「OFC2024」に出展している。
25年3月期業績は急回復が見込まれ、データセンター向け光コネクターの需要拡大や、精機関連事業では自動車向けインバーター用部品が収益拡大に貢献、営業利益段階で前期比38%増の14億5000万円を予想している。株主還元に積極的な点も注目され、復配を果たした13年3月期以降は漸次配当を増やす形で、今期は前期実績比5円増配となる60円を計画している。
株価は今年3月を境に上げ足を強め、年初来高値圏を走る。時価は21年4月以来の高値水準にあるが、PBR0.8倍前後で依然として上値余地が大きい。なお、同社株の最高値は上場直後の2000年9月につけた6万9700円。直近株価との比較で30倍近い驚愕の高値を形成した過去がある。
【SCSKはNECとの協業で展開力期待】
SCSK <9719> [東証P]は住友商事系システムインテグレーター大手で企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)関連需要を取り込み、自動運転など車載システム分野の受注獲得も順調に推移、業績は増収増益路線を邁進している。銀行をはじめ金融業界向けで実績が高く、25年3月期はマネーロンダリング対策に絡む開発案件などが収益に寄与するほか、モビリティ関連の好調が利益成長を後押しする。
データセンター分野では先駆的存在であり、1988年からサービスを提供。「netXDC」ブランドで都市型データセンター、郊外型データセンターを合わせて全国7拠点10センター展開している。NEC <6701> [東証P]とデータセンター分野で連携を強めていることもポイントとなる。
25年3月期は売上高が前期比6%増の5100億円、営業利益は同9%増の620億円と連続で過去最高を更新する見通し。株価は昨年4月を起点に下値切り上げ波動を形成。今年は2600~3000円のボックスゾーンの往来となっているが、足もとでボックス上限をブレークするチャンスを迎えている。来期以降も収益成長路線が続く公算は大きく、早晩3022円の上場来高値をクリアして青空圏へ歩を進めそうだ。
【住友電設は顧客ニーズ対応で実力発揮】
住友電設 <1949> [東証P]は関西を地盤にビルや工場の内線を主体とした電気工事を手掛けるが、空調やプラントなどテリトリーは広く、海外展開に注力している点も特徴だ。親会社は電線業界トップの住友電気工業 <5802> [東証P]で同社株の5割を保有しており、住友電工やそのグループ会社からの受注により安定した収益基盤を確立している。
また、データセンターなどデジタル関連の成長分野に注力の構えにある。クラウド化の進展で企業のセキュリティーニーズが高まるなか、自家用発電での対応を可能とし、監視カメラはもちろん高感度センサーによる防災システムなど顧客ニーズに合わせた設備を取り揃え、データセンターの需要獲得に結び付けている。25年3月期業績は営業利益段階で前期比16%増の145億円と2ケタ成長を見込む。株主還元にも抜かりなく取り組んでおり、毎期増配を続けるなか、今期の年間配当は前期実績比で8円増配となる114円を計画している。
株価は5月9日に3890円の上場来高値をつけた後、押し目を形成しているが、5日・25日移動平均線を絡め3500円近辺で煮詰まっていたが、目先上放れる動きを見せている。未踏の4000円も視野に入る。
【NSSOLは次世代型DCで活躍本番へ】
日鉄ソリューションズ <2327> [東証P]は日本製鉄系システムインテグレーターで、製鉄所の生産管理から出発したが、現在は製造業を中心に流通や金融系システムの構築、更に官公庁向けでも高実績を有している。同社株式の63%強を保有する親会社の日本製鉄 <5401> [東証P]への依存比率は2割前後で、業務システム全般の企画・開発から運用・保守までワンストップで担当している。
近年データセンターは、セキュリティーなど既存の基本要件の高度化に加え、高密度かつカーボン・ニュートラルといった地球環境に配慮した次世代型データセンターが注目されており、同社はグループで培った独自の技術を駆使して「第5データセンター」を開設、最新の免震装置や電源・冷却設備などによって最高レベルの可用性と信頼性を提供している。
業績はトップライン・利益ともに成長路線を走っており、24年3月期に営業10%増益と2ケタの伸びでピーク利益を更新、更に25年3月期も前期比3%増の360億円と最高更新が続く見通しにある。株価は4月末に5450円の上場来高値をつけた後に調整を入れたが、ソーサーボトム形成から出直り本番の気配を漂わせている。5000円大台絡みは買いで対処したい。
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