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    2026年2月4日 10時00分

    AI企業間でも格差が拡大、エヌビディア決算は久々のサプライズか<大山季之の米国株マーケット・ビュー>

    ◆K・ウォーシュが新議長に指名、金融政策に自信を深めるFRB

     1月30日、トランプ米大統領は、今年5月に任期が切れるパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の後任として、ケビン・ウォーシュ氏を指名した。同大統領は「利下げに前向きだと確信している」と述べ、かねて圧力をかけてきた利下げを後押しする人物だと評価する。一方でウォーシュ氏は、過去にタカ派的な言動でも知られ、金融政策の考え方はトランプ大統領と必ずしも一致しないとも伝えられている。

     指名の翌日、株式市場はネガティブに反応した。年内2~3回の利下げを織り込みつつあった市場にとって、短期的には不確実性が増したという見方だろう。しかし、FRBの独立性という観点からみれば、意外に穏当な人選だったとも言える。少なくとも、世界の金融市場が懸念する「政権の意のままに中央銀行が動く」といった最悪のシナリオは、ひとまず遠のいたのだから。

     では、なぜトランプ大統領とFRBの間に齟齬が生じるのか。それを理解するうえで、指名の前々日に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)の内容を改めて確認しておきたい。今回のFOMCでは、事前の予想通り利下げは見送られた。その背景にあるのは、足もとの米経済の底堅さだ。アトランタ連銀のGDPナウは依然4%という高い成長率を示し、労働市場にも失業率が急上昇する兆候は見られない。インフレもCPI(米消費者物価指数)を見る限り極端な悪化はなく、個人消費も堅調さを維持している。

     加えて、パウエル議長の説明では、前四半期(2025年10-12月期)に生じた政府閉鎖の反動により今四半期(26年1-3月期)の米経済が「正常化」し、景気はむしろ底堅く推移する見込みだという。さらに4月からは、昨年7月に成立した、いわゆるOBBBA法案(「一つの大きく美しい法案」)による税還付がピークを迎え、消費を刺激することが期待される。こうした環境下では、利下げを急ぐ必要は乏しい。パウエル議長を含むFRBの多くの理事は、現行の金融政策運営に一定の自信を深めているのではないか。

     会見で印象的だったのは、政権からの圧力に関する質問へのパウエル議長の応答である。「次の議長へのアドバイスはあるか」と問われ、「極力、政治には関わらないほうがいい。何より重要なのは、FRBの金融政策に説明を求めることができるのは、特定の人物ではなく米議会だけだという点をわきまえてほしい」と述べた。議会承認を経て正式に就任した場合、ウォーシュ氏がこの言葉をどう受け止め、どのように振る舞うのかが今後の焦点となる。

    ◆金より高いパフォーマンスの「防衛テック」セクター

     政権との距離感はさておき、今回の会見でもう一つ注目したいのが、パウエル議長がAI(人工知能)に言及した点だ。米国の労働市場は「低賃金」「低解雇」「低採用」の状態が定着していると言われ、結果として賃金上昇が抑えられ、インフレの急伸を防いできた面がある。その背景として、AIによる生産性向上が寄与している可能性がある。これが議長の見解だ。

     昨年来、AI企業は高いバリュエーションがたびたび論点となってきた。パウエル議長も、金融当局の責任者として、これまでAIに関して踏み込んだ評価を控え気味にしてきた印象がある。その人物が公式の場でAIの効果を認める発言をしたことは、結果的にAI関連の高い評価を一定程度正当化し得る、と受け止められても不思議ではない。

     もっとも、AIと市場の"ハネムーン"はすでに過ぎた。AI関連の中でも勝ち組と負け組が分かれ始め、投資対象の選別は以前より重要になっている。AIに限らず、米国経済の二極化を「K字経済」と呼ぶ表現が定着してきたが、企業間でも「K字」化は確実に進行している。春から始まる税還付の本格化は、減税効果が相対的に大きい高額所得者層向けの製品・サービスに追い風となる一方、低中所得者向け企業への恩恵は限定的と見られている。

     航空業界なら、勝ち組はデルタ・エア・ラインズ<DAL>、ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングス<UAL>、サウスウエスト・エアラインズ<LUV>など、価格の高いプレミアムサービスに注力する企業群で、対照的に格安航空は苦戦を強いられている。カード会社も延滞率が全体的に上昇する中、アメリカン・エキスプレス<AXP>は低水準を維持している。OBBBA法案の効果が浸透し始める4月以降も、こうした勝ち組企業への資金流入は続くと見ていいだろう。

     資金流入といえば、この2年間の金価格上昇を挙げないわけにはいかない。金はトランプ政権に限らず、欧州各国で右派政権が支持を高めた局面から上昇が目立っていた。しかし株式市場では、金以上の勢いで資金が流入したセクターがある。いわゆる「防衛テック」だ。

     代表的なETFとして「グローバルX防衛テックETF」<SHLD>を挙げると、パランティア・テクノロジーズ<PLTR>、ロッキード・マーチン<LMT>、RTX<RTX>、ゼネラル・ダイナミクス<GD>などの米国企業に加え、ドイツのラインメタル、スウェーデンのサーブなど、世界の軍事関連企業が組み込まれている。24年年初来のパフォーマンスでみれば金を大きく上回る水準だ。世界的な政治の右傾化は短期では反転しにくいと考えるなら、このセクターの中長期的な成長トレンドも当面は続く可能性が高い。

    ◆「AIイーツ・ソフトウェア」――AI企業にも「K字」化が鮮明に

     AI分野に再び目を戻そう。「K字」傾向はより明確になってきた。端的に言えば、ハードウェアとソフトウェアの格差拡大である。ゴールドマン・サックス・グループ(GS)<GS>はテクノロジー、メディア、通信セクターを対象に、ハードウェアやデータセンター関連を組み込んだバスケットと、主にソフトウェア銘柄で構成したバスケットを作成しているが、昨年来の推移をみると両者の差は拡大している。

     GSは具体的な銘柄名を公表していないものの、周辺情報から、前者にはエヌビディア<NVDA>、ブロードコム<AVGO>、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>のほか、メモリー活況に沸くマイクロン・テクノロジー<MU>、サムスン電子、SKハイニックスなどが含まれると推測できる。後者にはSAP<SAP>、セールスフォース<CRM>、アドビ<ADBE>といった、少し前までAIの恩恵が期待された企業群が並ぶ。1月29日に25年10-12月期決算を発表して大きく売られたマイクロソフト<MSFT>や、過剰投資懸念が拭い切れないオラクル<ORCL>なども、このカテゴリーに属すると見ていいかもしれない。

     この構図が示すのは、AIの社会への具体的な影響が、いよいよ可視化されてきたということだ。いま、生成AIを用いたプログラミング手法を指す「バイブ・コーディング」という言葉が定着しつつある。高度な専門技術がなくても、生成AIを使えば一定水準の開発が可能になる。この現実は、従来「AIの恩恵を受ける側」と見られていたソフトウェア産業が、逆に「AIに置き換えられる側」へ近づいていることも意味する。

     いま、市場関係者の間では「AI eats Software(AIがソフトウェアを飲み込む)」という表現が使われ始めているが、生成AIを日常的に利用している人ほど、この言葉の含意を実感しやすいだろう。筆者自身も、グーグル(アルファベット<GOOG>)の「Gemini(ジェミニ)3」有料版を試し、業務効率が大きく上がったことを体感している。

     もちろん、置き換え圧力が及ぶのはソフトウェア業界に限らない。高度な専門知識が価値の源泉だとされてきたコンサルティング業界も、その典型例になり得る。そう考えると、堅調な業績を残しながらも昨年来、アクセンチュア<ACN>の株価が伸び悩んでいることにも一定の説明がつくのではないか。

    ◆テキサス・インスツルメンツ再評価は何を示すのか

     要するに、米国社会の至るところで「K字」化が進み、それはAI産業の周辺にも波及している。各社の積極的な投資計画を見る限り、昨年来取り沙汰されるAIバブル崩壊の兆候は現時点では明確ではない。しかし投資対象としては、「K字」のどちら側に位置するのかを見極めることが、これまで以上に重要になってきた。

     勝ち組の典型は、言うまでもなくAI半導体メーカーだ。急増する需要に供給が追い付かない状況は当面続くとみられ、各社とも売り上げ拡大が見込みやすい。興味深いのは、これまでAIブームの蚊帳の外と見られていたテキサス・インスツルメンツ<TXN>が再評価され始めている点だ。同社の主要顧客である製造業は、昨年までサービス業の好調と対照的に停滞感があった。同社株もSOX指数(フィラデルフィア半導体株指数)が上昇する中で下落基調が続いていたが、25年10-12月期の好決算は、AIブームが製造業にまで波及し始めた可能性を示唆しているのではないか。唯一の例外はインテル<INTC>だが、ここは米政府の国策支援の妥当性など別の論点を抱えており、同列に扱うべきではないだろう。

     さらにAI半導体需要の増大は、アプライド・マテリアルズ<AMAT>、ラム・リサーチ<LRCX>、ASMLホールディング<ASML>、KLA<KLAC>、東京エレクトロン <8035> 、アドバンテスト <6857> など、世界の半導体製造装置メーカーの業績も押し上げている。

     昨年来AIバブル論の背景にあったビッグテック各社の巨額データセンター投資も、広範な分野にプラスの波及をもたらす。AIが人の職を奪うという懸念は根強いが、この見方は一面的かもしれない。確かに置き換えられる領域や職業、職種がある一方で、雇用を生み出す側面も大きいからだ。各社が進めるデータセンター建設が、どれだけの雇用を創出するかを考えれば理解しやすい。

     関連産業は幅広い。電力システムを提供するGEベルノバ<GEV>、発電機需要の増加が追い風となるキャタピラー<CAT>、光ファイバー網整備に不可欠な銅の採掘で世界最大手のフリーポート・マクモラン<FCX>などに対する市場評価が高まっているのは必然だろう。データセンター建設に不可欠な光ファイバー電線を供給するフジクラ <5803> 、先日メタ・プラットフォームズ<META>からの大型受注が発表されたガラスメーカーのコーニング<GLW>など、ハードウェア企業の評価上昇も同じ文脈で捉えられる。

    ◆「ジェミニ3」効果で期待が高まるアルファベット決算

     こうした状況のもと、米企業決算の発表は佳境を迎えている。今後の決算で、まず注目したいのはアマゾン・ドット・コム<AMZN>とアルファベットだ。アマゾンはクリスマス商戦の好調も伝えられ、伸びが鈍化しているとはいえクラウド最大手AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)の推移が焦点となる。広告も含め、AI効果が各事業部門に波及するビジネスモデルで、ビッグテックの中では最も死角が見当たりにくい企業だ。仮に期待外れで売られる局面があれば、むしろ格好の押し目になり得る。

     「ジェミニ3」を生み出したアルファベットの決算は、今回の決算シーズンで注目度を一段と高めている。足元の業績貢献はもちろん、生成AIの今後の展開についてマネジメントが何を語るのかが重要だ。他のハイパースケーラーと比べ、これまで投資が相対的に抑制されてきた同社が、どのような戦略を描き、どの程度の投資を実行していくのか。昨年まで続いたAI相場のゲームチェンジャーになり得るのかを見極める決算となる。

     そしてやはり最注目は、2月25日(現地時間)に発表されるエヌビディアの26年1月期決算だ。足元では一部で「AI疲れ」とでも言うべき声があり、同社決算への注目度が以前ほど高くないとも言われる。だが個人的には、今回こそ注目すべき決算だと感じている。最新AI半導体「Blackwell(ブラックウェル)」の受注がどの程度積み上がっているのか。増加の一途を辿るビッグテック各社の投資計画を踏まえれば、想像以上の規模に達していても不思議ではない。期待値の低下を映して来期予想PER(株価収益率)はすでに割安と見える水準にあり、ひょっとすると久々に市場にサプライズをもたらす決算になるのではないか。そんなことをひそかに期待している。


    【著者】
    大山季之(おおやま・のりゆき)
    松井証券マーケットアナリスト

    1994年慶應義塾大学卒業後、国際証券(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)に入社。2001年ゴールドマン・サックス証券、10年バークレイズ証券、12年から金融コンサルを経て現職。機関投資家向け株式営業を中心に、上場企業へのファイナンス提案、自社株買い、金融商品組成などに関わる。現在は松井証券のマーケットアナリストとして、米国のマクロ経済分析や企業・セクター分析等を行う。

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