株探米国株

NYダウ (29日終値)
44,632.99
-204.57
-0.46%
S&P500 (29日終値)
6,370.86
-18.91
-0.30%
ナスダック総合 (29日終値)
21,098.29
-80.29
-0.38%
探検
PR
  • トップ
  •  >  米国株
  •  >  ITT【ITT】
  •  >  ニュース
  •  >  大規模減税・歳出法、アメリカ党、相互関税の動向【フィリップ証券】
  • ITT【ITT】最新ニュース

    NYSE
    株価 15分ディレイ
    ITT
    ITT
    $161.27
    前日比
    -1.20 (-0.74%)
    NY時間
    29日 16:00
    日本時間
    30日 05:00
    $161.27
    0 (0.00%)
    29日 16:20
    30日 05:20
    PER
    25.7
    PSR
    3.64
    利回り
    0.79%
    比較される銘柄
    AME FLS ETN HXL ST
    時価総額 126億9,194万ドル
    PER・PSRについて
    かぶたん プレミアム

    株探プレミアムに登録すると...

    初回30日間無料!

    日本語に翻訳された適時開情報をご覧いただけます。(翻訳対象は拡大予定です)

    銘柄ニュース
    戻る
    2025年7月11日 16時10分

    大規模減税・歳出法、アメリカ党、相互関税の動向【フィリップ証券】

     トランプ米大統領が7/4、大規模減税・歳出法案に署名し、同法案が成立した。議会予算局(CBO)の試算によると36兆2000億ドルの連邦債務はさらに3兆4000億ドル膨らむ見通しであり、米国債や米ドルの信認を損ね、米ドル離れや米国金融市場の不安定化リスクを高めるのではないかと懸念する見方が根強い。

     米国株市場にとっては、米国内で工場を建設する半導体メーカーなどへの税額控除の拡大により、マイクロン・テクノロジー<MU>、台湾積体電路製造[TSMC]<TSM>など引き続き半導体関連銘柄への追い風が見込まれる。バイデン前政権時に「勝ち組」だった再生可能エネルギー業界は、電気自動車(EV)の購入者向け税額控除の終了時期が9月末に前倒しされる見通しの一方で、今後1年以内に着工する太陽光・風力発電プロジェクトは増税が回避される見通しとなった。また、太陽光発電について住宅向け太陽光発電へ除外規定が設けられ、自国メーカーを優遇する姿勢が示された。

     メディケイド(公的医療保険)の削減が拡大される見通しであることから、医療保険の事業環境を巡る懸念が表面化した。医療保険のセンティーン<CNC>は2025年通期のガイダンスを撤回した。医療保険関連は従来ディフェンシブ銘柄としての安定性が評価されていたが、今後は見方を変える必要があるだろう。

     EVの代表銘柄であるテスラ<TSLA>は、7/2に発表した今年4-6月の納車台数は予想を下回ったものの、市場が警戒したほどではないという見方が優勢だったほか、6/22に限定的に開始したロボタクシー事業への評価が高かった。ところが、大型減税・歳出法の税額控除終了に加え、同法を強く批判していたイーロン・マスクCEOが7/5に「アメリカ党」の設立を発表したことから、株価は逆風に見舞われると予想される。アメリカ党の存在は2026年の中間選挙でトランプ政権に悪影響を及ぼすだけでなく、議会における安定した政策遂行能力に対しても懸念を深めるものであり、米国債の信用格付けの点でも攪乱要因となるだろう。

     7/9の相互関税に関する猶予期限を控え、トランプ氏は貿易相手国に対して新たな関税率を通知する文書を7/7に送る見通しと述べた。新税率は8/1に発動する見通しだ。大規模減税・歳出法の下では関税が収入源として重要性を増してくると考えられることから、米政権としても安易に関税率を引き下げる交渉はできないだろう。既に合意した英国とベトナム、および貿易に関する休戦協定を締結した中国のほか、インドとEU(欧州連合)が7/9までに合意の可能性があるとみられているが、市場が予想していたよりも高い関税率を米国の消費者が受け入れざるを得なくなり、8月以降、景気が悪化しても政策金利を引き下げにくい状況が出てきやすいだろう。株価の上値が重くなる展開が想定される。


    ■S&P500構成銘柄の四半期騰落率~1-3月と4-6月ともに堅調銘柄は少ない

     S&P500構成銘柄の終値に基づく25年3月末~6月末の騰落率上位40銘柄およびそれらの24年末~25年3月末の騰落率を見ると、24年末~25年3月末に不振だったハイテク・半導体、データセンター関連銘柄が上位に来ていることがわかる。25年1月に中国AI(人工知能)企業DeepSeekが発表した低コストで高性能なAIモデルが米AI関連企業の株価を急落させた反動で、株価が持ち直した影響が窺われる。

     24年末~25年3月末、25年3月末~6月末ともに株価が堅調に推移した銘柄は、先行き不透明な相場環境の中で、外部環境に影響されにくい銘柄として相対的に有望な面もあるだろう。パランティア・テクノロジーズ<PLTR>、ハウメット・エアロスペース<HWM>、モザイク<MOS>、ダラー・ゼネラル<DG>が注目される。

    【タイトル】


    参考銘柄


    シエナ<CIEN> 市場:NYSE・・・2025/9/4に2025/10期3Q(5-7月)の決算発表を予定

    ・1992年設立。通信ネットワークのプラットフォーム、サービスおよびソフトウェアを開発・提供し、顧客の動画・音声データの伝送に関するアクセスやスイッチング、データ取得を管理・サポートする。

    ・6/5発表の2025/10期2Q(2-4月)は、売上高が前年同期比23.6%増の11.25億USD(会社予想10.5-11.3億USD)、戦略的な供給網再編と在庫削減への取り組みを背景に、非GAAPの調整後粗利益率が同2.5ポイント低下の41.0%へ改善(同40%台前半)、調整後EPSが同55.6%増の0.42USDだった。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比8-11%増のレンジ上限、調整後粗利益率が42-44%(前期43.6%)と従来計画を据え置いた。AI(人工知能)駆動のネットワークトラフィックとクラウドインフラ投資需要の恩恵に加え、同社は電気信号を光信号に変換する光伝送装置で中国ファーウェイに次ぐ世界2位、世界シェア約2割(オムディア調べ)。省電力化需要に加えて米中摩擦も追い風だろう。


    CMEグループ<CME> 市場:NASDAQ・・・2025/7/23に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

    ・1898年に設立されたデリバティブ取引所の持ち株会社。「CME」、「CBOT」、「NYMEX」、「COMEX」等の取引所を保有する他、先物・オプションの電子取引プラットフォーム「CME Globex」を運営する。

    ・4/22発表の2025/12期1Q(1-3月)は、営業収益が前年同期比10.4%増の16.42億USD、非GAAPの調整後EPSが同12.0%増の2.80USD。日次平均1枚当たり手数料収益が1%減も、日次平均取引枚数が13%増。うち穀物が23%、エネルギーが20%、株価指数が17%、外為が17%それぞれ増加。

    ・業績予想は非開示。1Qは総費用の対営業収益比率が前年同期比3.0ポイント低下の32.5%へ改善。3Qの日次平均取引枚数のうち「アジア」および「欧州・中東・アフリカ」の取引参加者分がそれぞれ20%増加。トランプ関税の見通しへの不透明感、関税の影響による国際相場の二重価格化、異常気象に伴う穀物相場変動、地政学リスク対応など、リスクヘッジ取引への需要増加が見込まれる。


    イートン<ETN> 市場:NYSE・・・2025/8/1に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

    ・1911年設立のアイルランド大手産業機器メーカー。電気関連(ブレーカー他)、油圧関連(ポンプ他)の製品を扱い、航空宇宙(油圧モーター他)、商業車両(トランスミッション他)向けに展開する。

    ・5/2発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比7.3%増の63.77億USD、既存事業増収率が9%(会社予想5.5-7.5%)、非GAAPの調整後EPSが同13.3%増の2.72USD(同2.65-2.75USD)。電気関連事業(売上比率72%)は送電網新設・改良支援の追い風を受けて営業利益が14%増。

    ・通期会社計画は、既存事業売上高を前期比7.5-9.5%増(従来計画7-9%増)へ上方修正に対し、調整後EPSは同9-13%増の11.8-12.2USDと従来計画を据え置いた。米エネルギー省によると米国送電網の約70%は建設後25年以上経過し老朽化が進む。2030年まで送電網を60%拡張する必要があるとされる中、生成AI(人工知能)普及に伴うデータセンター電力需要増で前倒しが見込まれる。


    ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル<JCI> 市場:NYSE・・・2025/7/31に2025/9期3Q(4-6月)の決算発表を予定

    ・1885年設立。主に商業ビル・工業施設を対象に冷暖房空調設備、ビル管理システム、セキュリティーシステムの設計・製造・販売・設置を行う。ハネウェル・インターナショナル<HON>のHBT事業と競合関係。

    ・5/7発表の2025/9期2Q(1-3月)は、売上高が前年同期比1.4%増の56.76億USD、既存事業増収率が7%(会社予想1桁台半ば)、非GAAPの調整後EPSが同18.8%増の0.82USD(同0.77-0.79USD)。受注高が5%増、3月末既存事業受注残が12%増。純負債の調整後EBITDA倍率も0.5ポイント低下。

    ・通期会社計画を上方修正。調整後EPSを前期比17-20%増の3.60USD(従来計画3.50-3.60USD)、調整後セグメントEBITDAの上昇幅を0.9ポイント(同0.8ポイント)とした。既存事業増収率は1桁台半ばと従来計画を据え置いた。6/20頃から欧州南部(フランス、スペイン、イタリア)で熱波が深刻化。米東海岸も異常な猛暑に見舞われている。省エネ性能に優れた空調設備の需要増が見込まれる。


    フェラーリ<RACE> 市場:NYSE・・・2025/7/31に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

    ・1929年にレーシングチーム「スクーデリア・フェラーリ」を設立。イタリアの高級スポーツカーのトップブランドの一つ。販売数量を限定しつつ、「独占性」と「技術革新」をブランドイメージの基盤とする。

    ・5/6発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比13.0%増の17.91億EUR、非GAAPの調整後EPSが同17.9%増の2.30EUR。大中華圏の販売台数の落ち込みが響き出荷台数が1%増にとどまったが、製品ミックスの高付加価値化、パーソナライズ化、販売価格引上げが利益率上昇に貢献。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比5%増の70億EUR、調整後EPSが供給網の逆風に伴うコスト増を吸収して同2%増の8.60EURと従来計画を据え置いた。2021年にCEOに就任した半導体業界出身のベネディクト・ヴィーニャ氏は自社を「テクノロジーの要素を強く持つラグジュアリー企業」と定義し、「感動」を売る企業とする。同社はトランプ関税に対し米国で最大10%価格引上げで対応の方針。


    ザイレム<XYL> 市場:NYSE ・・・2025/7/31に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

    ・2011年にコングロマリット企業のITT<ITT>から水機器サービス部門がスピンオフして設立。上下水道用の機器・装置を設計・製造・販売し、関連サービスを提供。世界150ヵ国以上で事業を展開。

    ・4/29発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比1.8%増の20.69億USD、非GAAPの調整後EPSが同14.4%増の1.03USD。世界各地の水関連ビジネス需要増を受けた販売価格引上げおよび生産性向上でコスト増を吸収し、調整後EBITDAマージンが同1.2ポイント上昇の20.4%へ改善。

    ・通期会社計画は、既存事業増収率が前期比3-4%、調整後EPSが同5-10%増の4.50-4.70USDと従来計画を据え置いた。日本でも下水管に起因する道路陥没事故が社会問題となり、配管の老朽化を背景に漏水や破損で失われる水の損失規模は世界で年間140億USDに上るとの試算もある中、同社は音波やセンサーを使い水道管の異常を自動で判定できる漏水管理システムを展開する。


    執筆日:2025年7月7日


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

    【免責・注意事項】
    当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
    <日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>

    ・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。



    フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。



    株探ニュース