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    2025年3月11日 10時00分

    坪井裕豪(大和証券)が斬る ―どうなる?半年後の株価と為替―

    日米の株式市場が米トランプ政権の政策に動揺している。貿易相手国に同水準の関税を課す米国の「相互関税」は発動直後に猶予期間が設けられるなど二転三転し、株式市場や産業界を翻弄している。国境管理の厳格化などを受けた米国のインフレ再燃懸念も根強く、マクロ経済には先行き不透明感が漂う。トランプ米大統領が「就任から24時間以内に終わらせる」としていたロシアによるウクライナ侵攻も収束のメドはついていない。アナリストやエコノミストなどの専門家は、「半年後の株価」や「半年後の為替」をどう見ているのか。インタビューを通じて、著名アナリストに予測してもらい、その背景を詳報する。第35回は、大和証券の坪井裕豪・日本株チーフストラテジストに話を聞いた。

    ●坪井裕豪(つぼいゆうご)
    大和証券 投資情報部 ストラテジスト課 課長 日米株チーフストラテジスト。2004年大和証券入社。2009年より投資情報部にて主に外国株式リサーチ業務を担当。米国株だけでなく香港やインドなど新興国銘柄資料も執筆。2013年に大和証券キャピタルマーケッツアメリカに赴任。帰国後エクイティ営業部を経て、2022年より投資情報部ストラテジー課で課長。15年にわたり内外株式マーケットの調査業務に携わっている。


    坪井裕豪氏の予測 4つのポイント
    (1) 半年後の日経平均株価は4万3000円程度
    (2) 半年後のS&P500株価指数は6500程度
    (3) 米政権は不安が先行も、今後は経済押し上げの政策に期待、FRBの動きにも注目
    (4) 米国ではネット関連や銀行、日本では防衛、原発関連などに注目

    ―― 米トランプ政権による関税政策など政治経済の動きが株式市場を動揺させていることもあり、日米株価はやや軟調に推移しています。半年後の日米の株価水準をどう予測していますか。

    坪井:私は半年後の米S&P株価指数を6500ポイント程度、日経平均株価を4万3000円程度だと予測しています。

    ―― 現状(3月10日時点)でS&P500株価指数は6000を割り込んでいます。かなり強気な予測にも見えますが、背景を教えて下さい。

    坪井:確かに現状では、マーケット関係者のトランプ米大統領の政策への不安が先行していると思います。しかし、トランプ氏は公約した「アメリカ・ファースト」を着実に実施しているに過ぎません。この公約はあくまでも米国経済をより強くするのが目的です。トランプ氏は、現時点では支持層向けに公約を守っているポーズをとっていますが、政策を実施した経済面での効果がなければ、あるいは結果が悪ければ、軌道修正することが考えられます。いずれにしても初期の関税政策は4月前半までに出尽くすでしょう。

     トランプ氏は支持者向けに公約を果たした後は、全体のバランスを取りながら、経済のパイ(GDP、国内総生産)を押し上げる政策を講じてくると考えられます。具体的には減税策のほか、小型の原子力発電や水素関連などのエネルギーや金融、仮想通貨などの規制緩和を通じて米国の潜在成長率を引き上げていきます。こうした政策のプラスの効果により、関税引き上げや移民の厳格化などの政策の悪影響が相殺されていくと思います。関税の引き上げについても、相手国との交渉次第で取り下げる可能性があります。足もとで暗いムードになっているマーケットの重しは、年後半に向けて取れていく展開になると考えています。

    ―― トランプ氏の政策リスクを懸念し、投資家心理はやや萎縮しています。株価が反転上昇するきっかけは何になると思いますか。

    坪井:FRB(米連邦準備理事会)の政策変更です。放置すれば景気後退につながるようなら、FRBがQT(量的引き締め)の一時停止などハト派的な政策を打ち出す可能性があります。

    ―― トランプ氏の関税政策や移民政策の厳格化は、米国内の物価高を誘発するリスクがあります。市場関係者の間では、物価高と景気悪化が同時に進むスタグフレーションの可能性を指摘する声もあります。FRBは物価高でも金融緩和を進められるのでしょうか。

    坪井:FRBは景気が冷え込んでいれば、金融緩和をやらざるを得ないと思います。景気が悪ければいずれ物価も下がるため、予防的に利下げするということです。政府の人員削減も今後、米雇用に響いてきます。雇用が不安定になれば、米GDPの7割を占める個人消費を悪化させます。

     米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者の政策金利見通し(ドットチャート)から推測すると、FRBが考える「中立金利」はフェデラルファンド(FF)レートの誘導目標で3~3.5%くらいだと考えられます。このため、現状から1%くらいの利下げ余地があるといえるでしょう。関税政策も各国との交渉で落としどころを見つける可能性があり、米国がスタグフレーションに陥る可能性は低いと思います。もちろん、米国と中国など海外諸国が報復関税の応酬になってしまえばスタグフレーションは現実味を帯びてきますが、現段階では(確率が極めて低い)テールリスクに過ぎません。

    ―― 日経平均株価の予測の背景を教えて下さい。

    坪井:良い要因としては、企業業績と株価の割安感です。日経平均株価のPER(株価収益率)は14倍程度まで落ちています(図1)。企業業績はむしろ拡大しており、保守的な会社予想も改善されつつあります。26年3月期も悪い予想は出てきそうもありません。一方で株価だけ下げているため、割安感が強まっています。

     金融政策も株価にはプラスに働く可能性があります。タカ派的な姿勢を取ってきた日銀も米国の状況を考慮すれば、年2回の利上げは難しくなってくるからです。円相場も1ドル=140円台まで上昇しましたから、日銀としてもいったんは目標達成なのではないかと思います。こうした背景から、再び海外投資家が日本株に注目するようになるでしょう。

    図1 日経平均株価 今期予想PERとEPS(1株当たり純利益)
    【タイトル】

    ※直近データは2025/2/28まで(出所)日経新聞、ブルームバーグより大和証券作成


    ―― 1ドル=140円台でいったん日銀の目標はひとまず達成されたということでしたが、トランプ政権はそれで満足するでしょうか。トランプ氏は「日本の円であれ中国の人民元であれ、彼らが通貨を下げると我々に非常に不公平な不利益をもたらす」などと語り、円安・ドル高などを牽制しています。

    坪井:確かに円安を牽制する発言はありましたが、ドル安になれば米国は輸入物価の上昇を通じてインフレの加速につながります。その結果、トランプ氏が率いる共和党が中間選挙で敗北する可能性も高まります。ドル高・円安の修正については、米国にとって優先度が低いと言えるでしょう。私はトランプ氏も一応牽制はしたものの、本気で円安・ドル高を修正しようというつもりはないと考えています。

    ―― 日本では物価上昇が続き、実質賃金もマイナスが続いています。

    坪井:懸念すべきことは、消費者物価指数の上昇分の半分は食品が押し上げているということです(図2)。しかもこれは需要が強くて上がっているのではなく、背景には供給不足があります。こうした物価高は金融緩和をしてもコントロールできません。米国との関税交渉では、コメの無税枠を広げるなどする代わりに自動車への関税引き上げをやめてもらうようにして、日本にとっての「一石二鳥」を狙う手もあると思います。

    図2 日本消費者物価指数と寄与度
    【タイトル】

    ―― 注目しているセクターや銘柄を教えて下さい。

    坪井:米国では関税の影響を受けないセクターです。例えばネットフリックス<NFLX>などのネットサービスは関税引き上げの影響をほとんど受けませんし、業績も伸びています。JPモルガン・チェース<JPM>などの銀行も関税とはほぼ無関係ですし、金融規制の緩和への期待もあります。コカ・コーラ<KO>やモルソン・クアーズ・ビバレッジ<TAP>など、米国で飲む分は米国で生産するような企業もあります。

     日本では三菱重工業 <7011> [東証P]など防衛産業に注目しています。米国からの防衛予算の増額圧力がかかっているためです。政府が2月に決めた新たなエネルギー基本計画では、40年度の電源構成を原子力で2割とする方針を明記したことから原発関連にも注目です。三菱重工やIHI <7013> [東証P]などは長期的な視点で投資家の関心を集めそうです。

    (※聞き手は日高広太郎)

    ◆日高広太郎(ジャーナリスト、広報コンサルティング会社代表)
    【タイトル】
    1996年慶大卒、日本経済新聞社に入社。東京本社の社会部に配属される。小売店など企業ニュースの担当、ニューヨーク留学(米経済調査機関のコンファレンス・ボードの研究員)を経て東京本社の経済部に配属。財務省、経済産業省、国土交通省、農水省、日銀、メガバンクなどを長く担当する。日銀の量的緩和解除に向けた政策変更や企業のM&A関連など多くの特ダネをスクープした。第一次安倍内閣時の独ハイリゲンダムサミット、鳩山政権時の米ピッツバーグサミットなどでは日経新聞を代表して同行取材、執筆。東日本大震災の際には復興を担う国土交通省、復興庁のキャップを務めた。シンガポール駐在を経て東京本社でデスク。2018年8月に東証1部上場(現プライム市場)のB to B企業に入社し、広報部長。2019年より執行役員。2022年に広報コンサルティング会社を設立し、代表に就任。ジャーナリストとしても記事を複数連載中。2022年5月に著書「B to B広報 最強の戦略術」(すばる舎)を出版。内外情勢調査会の講師も務め、YouTubeにて「【BIZ】ダイジェスト 今こそ中小企業もアピールが必要なワケ」が配信中。



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