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    2025年11月14日 21時55分

    AIブーム、初めての本格的試練 企業業績がなお支え 

     米国株の調整が続き、過去3年間に渡る強気相場を支えてきた柱の多くが揺らいでいる。それでも、企業業績という基礎的支えだけはなお堅調。

     一部からは、AIブームは初めての本格的試練を迎えているとの指摘が出ている。AI関連投資に伴う巨額の借入拡大への懸念が高まるなか、民間データや相次ぐ人員削減を見ると、労働市場も依然として不安定。さらに、関税がインフレ圧力として残る中で、FRBは年内に追加利下げを行わない可能性を示唆していることが、市場心理を冷やしている。

     しかし、いまの相場の揺らぎは、強気派にとっては企業業績に改めて焦点を当てる契機だと指摘。S&P500企業の第3四半期の利益は15%増と堅調で、利益の見通しを上方修正する企業の割合も2021年以来の高水準にある。

     「今回の決算シーズンは非常に力強く、利益拡大がテーマの中心だった。短期的な調整はあっても利益は過去最高水準にあり、押し目買いの好機になる可能性がある」と述べている。

     来週は、ウォルマート<WMT>やターゲット<TGT>などの小売大手の決算が控え、これらがトランプ政権の関税政策下での米消費の実態を占う試金石となる。個人消費は米GDPの約3分の2を占める経済の要であり、その底堅さが近年のS&P500の最高値更新を支えてきた。

     一方、政府閉鎖の影響や物価高を背景に、消費マインドは過去最低水準近くまで悪化。通商摩擦や雇用の冷え込み、根強い高インフレの中で、消費者がどれだけ耐え得るかという点は懸念。

     アナリストは第4四半期の業績予想を下方修正しておらず、むしろ2026年の1株利益の見通しを上方修正している。ただし、人員削減、関税コスト上昇、AI過剰投資といったリスク要因は依然注視すべきだと警告。

     また、S&P500企業の約4分の1しか四半期ガイダンスを公表しておらず、年次ガイダンスを出す企業も半数強に留まることから、現時点の利益見通しが全体像を十分に反映していない可能性もある。

     IT・ハイテク株大手の決算は予想並みかそれを上回る内容だったが、金利動向の不透明さが依然として重しとなっている。

     来週はエヌビディア<NVDA>が決算を発表する。オプショント市場では株価が大きく動くと予想している。上下いずれかに6.2%の値動きを織り込んでおり、これは過去最大。強い決算なら市場全体を押し上げる可能性の一方、期待を下回れば、AI相場が一気に冷えるリスクもある。

     ストラテジストは「AI関連株への評価見直しが進んでいることが、好調な決算にも株価が反応しない主因だ」と述べ、「好業績の多くがIT・ハイテク分野に集中しているため、AI投資ブームに対する過熱感が市場全体の足を引っ張っている」と指摘した。

    MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

    株探ニュース