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    2026年7月29日 17時40分

    明日の株式相場に向けて=天災を乗り越える日本経済、株もレジリエンス発揮へ

     29日の東京株式市場で日経平均株価は930円安と続落。フシ目の6万円に迫る動きを見せたが、後場後半に下げ渋った。TOPIXは反発している。日足チャートの一目均衡表をみると日経平均は雲領域を下抜けた。半面、TOPIXは雲の上限で下値抵抗力を示している。この日はトヨタ自動車<7203>が7%高と気を吐いたほか、日本製鉄<5401>は12連騰。好決算を発表したカプコン<9697>の急騰を刺激材料に任天堂<7974>やコナミグループ<9766>など主力ゲーム株が賑わいをみせるなかにあって、バリュー株への資金シフトが一段と加速した感がある。

     全世界の投資家からの注目を集めた韓国の半導体メモリー大手のSKハイニックス<SKHY>の26年4~6月期の決算は、売上高が前年同期比3.6倍で営業利益が6.6倍と好業績を示したものの、ともに市場予想を下回った。開示後の決算説明会は目新しい買い材料に欠ける内容と受け止められたようだ。SKハイニックス株に関してはプレマーケットにおける異常値での約定が発生したことが話題となっているが、29日のソウル市場で同社株が一時20%近く下落したことを受け、東京市場の半導体関連株には強い逆風が吹きつけた。キオクシアホールディングス<285A>は13%安で終了。3万円台に沈み、5月1日と翌営業日の7日に開けたマドを埋めにかかった。AI半導体株への売りとバリュー株への買いが交錯するなか、プライム市場の売買代金は13兆円台に膨らんだ。

     きょうのマーケットを大きく揺らした主役が、SKハイニックスとなったことを否定することは難しい。だが、前日夕方に熊本県で最大震度7の巨大地震が発生し、その被害状況が刻々と明るみになるなかで29日の立会取引が行われたことも、深く胸に刻むべきである。明日がどんな日になるか、投資家であろうがそうでなかろうが人間は知りようがない。天災を前に人間は無力だ。外壁が崩れたイオンモール熊本や、日本製紙<3863>八代工場の折れた煙突の映像を前にするたびに、胸が締めつけられる想いがする。

     10年前の大地震を経て、台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>が熊本に最新鋭の半導体工場を構えるようになった。今回の地震を受けTSMCは建物の安全性は確認し、設備などへの影響について点検作業を進めているという。ソニーグループ<6758>の子会社やルネサスエレクトロニクス<6723>を含め、操業を停止する半導体工場が相次いでいる。市場では「建屋やクリーンルームに被害が出た半導体工場が報道ベースでは見当たらず、生産停止が長期化するとの悲観が強まるまでには至らなかった」(国内証券)との声がある。

     数々の天災をくぐり抜けて先進国となったのが日本だ。イノベーションを生み出す力には課題があるとはいえ、一つの産業に依存せず、持続的な成長を続けた企業を数多く抱える点は強みと言えば強みである。貿易摩擦など幾多の困難を乗り越えたトヨタや日本製鉄のような「猛者」が割安に放置され、半導体株に極端に資金が集中していた状態が、あるべき姿に修復しようとしているのが、足もとの相場環境とも言えるだろう。復元力(レジリエンス)の発揮が期待されるのは、バリュー株ばかりではない。29日引け後に今期の業績予想の上方修正を発表したアドバンテスト<6857>の決算は、AI関連での旺盛な需要環境を改めて印象づけている。メモリー関連を含め、AI・半導体株の底入れ機運の高まりを期待したい。

     日程面では、日本時間30日未明(米国時間29日)に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表がある。市場の一部にはサプライズ利上げを見込む向きがあるが、政策変更がなかった場合は、株式市場には一定の安心感をもたらしそうだ。30~31日の日銀金融政策決定会合は、今回の熊本地震を踏まえ、過度なタカ派色演出を回避するとの見方が広がっている。日米中銀会合を経て過剰流動性相場が継続するとの見方が広がった際に、キオクシアが市場予想を上回る決算を31日に発表するというのが、日本株にはベストシナリオとなるだろう。

     このほか、30日は6月建機出荷や7月消費動向調査の結果が公表されるほか、2年債入札が実施される予定。企業決算は東京エレクトロン<8035>や富士通<6702>、オリエンタルランド<4661>、みずほフィナンシャルグループ<8411>などが予定している。海外ではユーロ圏の4~6月期国内総生産(GDP)と6月失業率、7月景況感指数などが公表される予定。イングランド銀行(BOE)が政策金利を発表する。米国では4~6月期GDPや6月個人所得、6月個人消費支出などが公表されるほか、アップル<AAPL>やアマゾン・ドット・コム<AMZN>などが決算を発表する。(長田善行)

    出所:MINKABU PRESS