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    2026年7月16日 18時02分

    明日の株式相場に向けて=TSMC砲不発の陰で蘇生するSaaS関連株

     16日の東京株式市場で、日経平均株価は1915円安と急反落。下げ幅は一時2252円まで拡大したが、14日のザラ場安値(6万6268円60銭)を手前に下げ渋った。

     注目された台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>の26年4~6月期決算は、純利益が前年同期比77%増の7065億台湾ドル。過去最高益でかつ、市場予想を上回る結果となり、紛れもなく好決算となった。しかしながら半導体関連株への物色意欲を大きく回復させるには至らず、東京エレクトロン<8035>こそ後場終盤に下げ幅を縮めたものの、キオクシアホールディングス<285A>はTSMC決算発表後も安値圏での推移を続け、75日移動平均線割れが視界に入った。

     韓国のサムスン電子やSKハイニックス<SKHY>といった個別株連動のレバレッジ型ETFが韓国株の乱高下の原因となっているとして、韓国当局は市場安定化に向けた対応策の立案に迫られている。今晩のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)がどう反応するのか不透明感が漂うなかで、半導体メモリー関連は買い手控えムードが強まっている。

     日経平均の値幅をみると溜息が出てくるが、値上がり銘柄数は全体の約29%と、全面安と言うには程遠い。エヌビディア<NVDA>のジェンスン・ファンCEO(最高経営責任者)が来日し、この日は同社との協業や連携に関する発表が相次いだ。このうち富士通<6702>やNEC<6701>、トヨタ自動車<7203>の株価は頑強ぶりを発揮し、安川電機<6506>の持ち分法適用関連会社のYE DIGITAL<2354>に至ってはストップ高を演じた。神田の居酒屋街を闊歩した革ジャンCEOは新たな産業革命は「メイド・イン・ジャパンとなる」と述べたという。リップ・サービスの感があるとはいえ、ファンCEOの予言が現実のものとなれば、日本経済はリバイバルに向かうに違いない。

     日本経済に関して言えば、長期にわたる停滞の一因として、生産性の低さが指摘されている。時間当たりの労働生産性はOECD(経済協力開発機構)加盟国38カ国中、28位(2024年時点)という日本生産性本部による調査結果も存在する。コロナ禍を経て企業のDXは一気に進んだものの、他国との比較で生産性に遅れをとった状況が続いている。業務効率化を支援するソフトウェア関連企業の果たすべき役割はなお大きいものの、年明け以降に広がった「SaaSの死」の懸念ゆえに売り込まれ、株価の出遅れ感を強めている銘柄は実に多い。

     国内企業の4~6月期決算発表は来週以降、本格化する。先陣を切って発表した安川電については特殊要因により3~5月期が減益決算となり、13日にストップ安に売り込まれた。ただしモーションコントロールやロボットの受注高は増加しており、同業他社の業績動向に期待を持たせる内容となっている。 SaaS関連についても業績期待は根強い。「過去最高益を計画しながらも売られ、結果として割安感を強めた銘柄が多い。下げ過ぎた株価の反動が期待できるという意味で安心感がある」(国内証券)との声がある。16日のSaaS関連ではマネーフォワード<3994>やSansan<4443>が株価水準を切り上げたが、循環物色の有望な投資対象と受け止められている証左ともいえるだろう。ITコンサルティング関連を含め今期最高益予想を示す銘柄として、金融領域でのモダナイゼーション需要を満喫するTISI<3626>や中小企業のAI活用ニーズが追い風となるスターティアホールディングス<3393>、株価500円台のULSグループ<3798>などをマークしておきたい。

     あすは国内では主だった経済指標の発表は予定されていない。東京製鐵<5423>とアルインコ<5933>が決算を発表する。米国では6月の鉱工業生産や住宅着工件数、7月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報が公表される予定。韓国市場は休場となる。(長田善行)

    出所:MINKABU PRESS