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    2026年6月4日 15時47分

    半導体・データセンター関連の代表的な出遅れ銘柄【フィリップ証券】

     世界半導体市場統計(WSTS)によれば、2026年1-3月期の半導体売上高は前年同期比79.2%増と、前年同期比の伸び率が2025年10-12月期(38.4%)に比べて急伸した。そのけん引役となっているメモリ半導体では、AI(人工知能)向けに当初はデータを高速処理するため一時的な記憶を担うDRAMを複数組み合わせた高帯域メモリ(HBM)が注目されていた。そのような中、AI活用の重点が「学習」から「推論」に移るに伴い、膨大なデータを保存するための長期記憶を担うNAND型フラッシュメモリを用いた記憶装置であるSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の需要が拡大。SSDはDRAMと比べてデータの読み取り速度が遅い欠点があったが、キオクシアホールディングス<285A>が開発したNAND型フラッシュメモリの新製品は従来製品と比べてデータの読み取り速度が飛躍的に高速化した。そのため、膨大なデータから最適なものを読み出す速度を武器に高い競争優位性を持っている。

     また、AIサーバーの特需は電力供給を支える電子部品にも波及し始め、一時的に電気をためる機能を持ち、電流を制御するのに欠かせないコンデンサの中でも小型で高性能の「積層セラミックコンデンサ(MLCC)」の需給がひっ迫している。この動きはMLCCにおける誘電体層の主原料となるチタン酸バリウムを手がける化学メーカーにも恩恵が及んでいる。さらに、日本半導体製造装置協会(SEAJ)によると、1-3月期の日本製の半導体製造装置の売上高は前年同期比11.1%増となっている。その要因としては、半導体メモリ向けのほか、AIが自律的にタスクをこなす「AIエージェント」へ進化するに伴い、電子機器の頭脳の役割を担うロジック半導体向けの需要の活発化がある。

     国内上場企業の時価総額ランキングを見ると1年前と様変わりしている。日経平均株価の上昇とともに、ランキング上位企業も大半は時価総額が増加している。そのような中、ソニーグループ<6758>やNTT<9432>といった日本を代表するような企業の時価総額が伸び悩んでいる。2026年3月期決算を見ると、ソニーグループの事業セグメントのうち半導体素子のCMOS画像センサーを取り扱う「イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)」事業の営業利益が前期比37%増となったほか、NTTにおいて海外のデータセンター事業を担うグローバル・ソリューション事業の営業利益も51%増と拡大している。これらの事業は半導体やデータセンターの市場拡大の追い風を受けているものの、株価に十分織り込まれていないように見受けられる。

     一方で、電気料金の高騰や冷却水の多用で水不足を招くおそれがあるとして、米国でAIに使うデータセンター建設に反対する動きが広がっている。今年11月の米中間選挙に向けて選挙争点化し、AI半導体・データセンター相場のアキレス腱となる可能性がある。


    ■東証時価総額上位ランキング~NTTの相対的な株価出遅れに見直し余地

     AI・データセンターの歴史的な需要拡大を追い風に、英半導体設計のアームホールディングスを傘下に持つソフトバンクグループ<9984>の時価総額が6/1終値で国内首位となったほか、NAND型フラッシュメモリ専業メーカーのキオクシアホールディングス<285A>も国内3位となった。

     その一方、次世代光通信技術「IOWN」を世界戦略の中心に据え、データセンター事業の世界シェアで3位を占めるNTT<9432>の株価は伸び悩んでいる。昨年6/2終値の時価総額は、当時子会社だったNTTデータGとの合計額で19.8兆円だった。一方、昨年9月末にNTTデータGを完全子会社化した後となる今年6/1時点では13.4兆円にとどまっている。データセンターへの注目度が高まれば見直しの余地が大きいと考えられる。

    【タイトル】


    参考銘柄


    テルモ<4543>

    ・第一次世界大戦の影響で輸入が途絶えた体温計の国産化を目的に1921年創業。心臓血管(カテーテルや人工心肺)の他、メディカルケアソリューションズ、血液・細胞テクノロジーの各事業を展開。

    ・5/15発表の2026/3通期は、売上収益が前期比9.2%増の1兆1318億円、営業利益が同11.8%増の1763億円。事業別売上収益は、心臓血管が8%増の6764億円、メディカルケアソリューションズが2%増の2112億円、血液・細胞テクノロジーが15%増の2165億円。海外比率は80.3%へ上昇した。

    ・2027/3通期会社計画は、売上収益が前期比9.5%増の1兆2390億円、買収の影響を除く調整後営業利益が同19.2%増の2165億円、年間配当が同6円増配の36円。原材料上昇のマイナス影響を価格改定や事業再編に伴うコスト減で吸収する見通し。中東情勢悪化に伴う石油化学製品の供給懸念が浮上する中、日本政府は医療関連物資の供給不足に対する懸念払拭を重要視する方針だ。


    ソニーグループ<6758>

    ・1946年に東京通信工業として設立。ゲーム&ネットワークサービス(G&NS)、音楽、映画、エンタテイメント・テクノロジー&サービス(ET&S)、イメージング&センシング・ソリューション(I&SS)、その他のセグメントから構成される。

    ・5/8発表の2026/3通期は、売上高が前期比3.7%増の12兆4796億円、営業利益が同13.4%増の1兆4475億円。主な営業利益内訳は、G&NS(売上比率38%)が12%増の4633億円、音楽(同17%)が15%増の4470億円、I&SS(同17%)が37%増の3573億円、ET&S(同18%)が17%減の1586億円。

    ・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比1.4%減の12兆3000億円、営業利益が同10.5%増の1兆6000億円、年間配当が同10円増配の35円。同社は5/8、半導体ファウンドリ最大手の台湾積体電路製造(TSMC)<TSM>と次世代画像センサーの開発・生産で提携すると発表。画像センサーはスマホだけでなくセキュリティカメラ、車載カメラ、産業用ロボット、フィジカルAI分野へと応用範囲が広がっている。


    インヴィンシブル投資法人<8963>

    ・運用会社フォートレス・インベストメントグループをスポンサーとするJ-REIT。2004年に東京グロースリート投資法人として上場。ホテル(9割)と住宅が中核の総合型。25年12月末資産規模は6873億円。

    ・2/26発表の2025/12通期(7-12月)は、営業収益が前期(2025/6期)比13.9%増の285億円、営業利益が同14.0%増の193億円、1口当たり分配金(利益超過分配金を含まない)が同15.4%増の2186円。ホテルポートフォリオは2月末で、物件数が10件増の114件、取得価額が12%増の6873億円。

    ・2026/6期(1-6月)会社計画は、営業収益が前期(2025/12期)比7.0%減の265億円、営業利益が同10.9%減の172億円、1口当たり分配金が同13.3%減の1895円。2026/12期を含む会社予想年分配金は4081円、5/27終値で予想年分配金利回りが6.58%、NAV倍率が0.90倍。利用回数制限のない投資主優待制度として、亀の井ホテルほか対象となるホテルの宿泊が投資主優待価格で可能だ。


    NTT<9432>

    ・1952年に政府全額出資で日本電信電話公社が発足し1985年に民営化。2020年末のNTTドコモに続き、25年9月末にNTTデータGを完全子会社化。NTT法により政府が発行済株式3分の1以上保有。

    ・5/8発表の2026/3通期は、営業収益が前期比5.1%増の14兆4091億円、営業利益が同3.4%増の1兆7062億円。事業別営業利益はNTTドコモを含む総合ICT(売上比率44%)が8%減の9421億円、グローバル・ソリューション(同34%)が51%増の4882億円、地域通信(同22%)が4%増の3074億円。

    ・2027/3通期会社計画は、営業収益が前期比4.5%増の15兆600億円、営業利益が同0.2%増の1兆7100億円、年間配当が同0.10円増配の5.40円。NTTデータグループを含むグローバル・ソリューション事業における海外大型案件の獲得を背景に、グループ全体のデータセンター事業の総受電容量が3月末時点で約2000MWと中国を除く世界3位の規模。国内はデジタル化需要を取り込んでいる。


    ※執筆日 2026年5月29日


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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    フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。


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