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    2026年4月23日 17時15分

    「日立5倍株」億り人が今注目の高市銘柄、編集部が社長を直撃

    気になる会社を診断
    億トレ・ガチホ企業~網屋の強さと課題-第1回


    登場する銘柄
    網屋<4258>、シスコシステムズ<CSCO>、パロアルトネットワークス<PANW>、マイクロソフト<MSFT>、IBM<IBM>、フォーティネット<FTNT>、Zスケーラー<ZS>、IIJ<3774>、キヤノンMJ<8060>、サイバSOL<436A>、菱友システム<4685>

    取材・文/真弓重孝、高山英聖

    「気になる会社を診断」の記事一覧を見る

    ■網屋ってどんな会社?
    項目内容
    注目中小型の高市銘柄が、外資の牙城崩す「切り札」を発動
    中核事業ログ収集・分析、ネットワークインフラの構築・運用
    億トレの期待大手の販路確保などによる業績モメンタム

    高市早苗政権が掲げる「17の戦略分野」の1つであるサイバーセキュリティ。この分野では米シスコ・システムズ<CSCO>や米パロ・アルト・ネットワークス<PANW>といった外資企業が国内市場でも存在感を示す中、日本発の技術で国内シェア70%の商品を展開しているのが網屋<4258>だ。

    外資2社の時価総額は日本円で10兆円台の規模であるのに対して、網屋は300億円に満たない。グローバル市場では豆粒のような網屋が、顧客の信頼を勝ち取ってきたのが「とっつきやすさ」と「お手頃価格」だ。

    その強みを評価するのが、OA機器販売のキヤノンマーケティングジャパン<8060>。同社は今年2月に網屋と資本業務提携し、現在は網屋の筆頭株主となっている。

    「大株主の変更」は会社が変革していくカタリスト(株価変動のきっかけ)と期待する投資家も多い。1年前に同社株に投資を始めた億り人のしもさん(ハンドルネーム)もその1人だ。

    しもさんは最近のスター銘柄の1つ、日立製作所<6501>を動意づく前に取得、5倍株になった今もガチホする(参考記事:「え、なぜ日立?」、周囲の冷たい視線をよそに先回り買いできたワケ)。

    果たして、網屋は「第2の日立」となり得るのか。それらを探るため、株探プレミアム編集部は網屋の石田晃太社長を直撃した。その内容を2回シリーズで紹介する。

    1回目は、巨大外資が幅を利かせる市場で同社がシェア70%を握る商品に育てた背景や、キヤノンMJを筆頭株主に迎えた理由などを見ていく。

    ■網屋の概況
    基本項目株価関連
    事業内容システム・ソフト時価総額261億円
    東証33業種情報・通信流通株比率/流通時価総額46.1%139億円
    会社設立日(登記)1996/12/12海外売上高/外国人持ち株――6.5%
    上場日2021/12/2252週高値/期日4400円2025/08/18
    上場区分東証グロース52週安値/期日1705円2025/04/7
    連結子会社/うち上場2社――上場来高値/期日4400円2025/08/18
    連結持分適用/うち上場――――上場来安値/期日458円2022/02/24
    業績関連株主還元・株価水準
    過去最高売上高/決算期59億円2025/12総還元性向/配当性向90.90%17.30%
    過去最高経常益/決算期10億円2025/12株主優待
    5期平均ROE/ROA――――75日平均250日平均
    今期計画5期平均PBR9.0倍7.0倍
    増収率18.0%――予想PER31.8倍36.1倍
    経常増益率13.4%41.5%予想配当利回り0.5%0.2%
    売上高経常利益率17.00%――予想PSR3.8倍4.4倍
    5期平均進捗率(1Q、2Q累計、3Q累計)過去1000日最高値(日付)最低値(日付)
    売上高28%/52%/74%PBR(倍)14.2(25/08/18)2.7(22/06/20)
    経常利益52%/63%/81%PER(倍)68.2(25/08/18)16.5(23/05/15)
    当期純利益48%/58%/77%配当利回り(%)0.6(25/08/18)――
    EBITDA46%/60%/79%PSR(倍)6.3(25/08/18)1.2(23/05/15)

    出所:『株探』『QUICK』。注:4月22日時点。5期平均は前期までの実績ベースで、同一決算基準で計算。
    平均進捗率は単純平均で決算基準の変更は考慮せず。売上高経常利益率は加重平均。業績の過去最高は現在の決算基準。
    ROAとROEは期間の合計利益を、期間中の平均資産で割って算出(加重平均)。
    流通時価総額は算出基準日を基に計算した値。海外売上高および外国人持ち株の比率は原則、有報で取得できた時点。
    総還元性向と配当性向は前期実績。予想PERと予想配当利回りはQUICKの値から計算。
    PBRは株価純資産倍率、PERは株価収益率、PSRは株価売上高倍率の略


    「まるで暗号」のとっつきにくさを解消、シェア70%

    網屋<4258>が国内シェア70%を握るのが、社内ITの利用監視ソフトである「ALog(エーログ)」だ。

    サービス名にある「ログ」は、コンピューターシステム内部でのやりとりや処理の記録を指し、ALogは社内の通信機器やソフトの操作履歴を残す。「誰が何をしたか」を可視化、社内不正の証拠や障害発生の原因究明、外部からの不正アクセス検知に役立てる。

    こうしたログの記録ではシスコ・システムズ<CSCO>やマイクロソフト<MSFT>、IBM<IBM>など巨大IT企業が提供する中で、独立系中堅企業の網屋が高い国内シェアを握るのは、「とっつきやすさ」と「お手頃価格」にある。

    通常、ログは英数字の羅列で、知識がないと暗号文を読むのに等しい。さらにやっかいなのは、機器ごとに表記の形式が異なることだ。

    こうした癖を持つログを、ALogは機器が異なっても統一フォーマットで記録し、さらに高度な専門スキルがなくても理解しやすい形式で表示する機能を持たせた。

    一見、高度な技術力を必要としないように思えるが、IT機器は日進月歩で開発が進み、また製品のライフサイクルも比較的短く、対応には高度なノウハウを要する。網屋は関連特許を取得して、ライバルからの攻勢を防御する策を取っている。

    特許は高シェアを支える要素の1つだが、幅広い企業に導入しやすい価格設定も強みとなっている。月7万~10万円の基本料金に、使用するデータ容量に応じて加算される。

    シェア拡大にあたっては、業界に先駆けて製品化した点も大きい。ALogの投入は2005年。この頃、国内で派遣社員などによるデータ持ち出し事件が大手企業などで相次いだ。

    網屋は、企業のセキュリティ対策ニーズは今後高まっていくと判断。中堅・中小企業での浸透も見据えてコストパフォーマンスと操作性を追求した商品を開発、顧客企業からの需要を取り込んでいった。

    ■網屋の石田晃太社長
    【タイトル】

    略歴:2002年に網屋に入社。
    取締役営業本部長兼マーケティング本部長などを経て、20年3月に社長に就任(現任)。


    2本柱で成長、今期は4期連続の2桁増収増益

    網屋でALogを取り扱うのが「データセキュリティ事業」。直近通期のセグメント売上高の割合は42%、営業利益は50%を占め、同社事業の2本柱のうちの1つに当たる。

    もう1つの柱が、企業ネットワーク・インフラのセキュリティを遠隔管理する「ネットワークセキュリティ事業」で、セグメント売上高は58%、営業利益は50%になる。

    2つの事業を「自宅の防犯」に例えると、
    ALogのデータセキュリティ事業は監視カメラ、
    ネットワークセキュリティ事業は建物への侵入防止、
    ――になる。

    ■網屋の事業領域、事業別の売上高・営業利益の構成割合
    【タイトル】

    注:事業別の構成割合は2025年12月期時点。調整前の売上高・営業利益を基に算出。


    個人にも普及するウイルス対策ソフトは、建物への侵入防止に当たる。最近ニュースを賑わす身代金要求のランサムウェア(身代金要求型ウイルス)の感染防止対策もこちらに含まれる。

    個人向けソフトは、パソコンにインストールして端末上の不審な動きを検知するのに対して、網屋が提供するサービスは企業のネット環境に対応し、社内外にあるパソコンやアプリケーションソフトの不正の検知や対策を提供する。

    こうした2つの柱をもとに、今期(2026年12月期)の売上高は70億円、営業利益は12億円と、4期連続の2桁増収増益を計画している(下の表)。

    ■『株探プレミアム』で確認できる網屋の通期業績の長期・成長性推移
    【タイトル】

    業績の伸び率は、同業10社の中で2位

    網屋の成長力は、同業他社と比べて高水準にある。

    売上高と営業利益のCAGR(年平均成長率)を、連結基準となった23年12月期から今期計画(26年12月期)の3期で計算すると売上高は25%、営業利益は49%となる。

    同業を加えた10社で比較すると、網屋は売上高と営業利益とも2位に位置する。

    ■売上高と営業利益の3期CAGR(年平均成長率)
    順位売上高営業利益
    1FFRI<3692>29.7%FFRI<3692>65.4%
    2網屋<4258>25.3%網屋<4258>49.0%
    3サイバーセキ<4493>25.2%HENNGE<4475>42.8%
    4HENNGE<4475>23.7%サイバーセキ<4493>29.8%
    5セグエG<3968>19.8%セグエG<3968>28.4%
    6IIJ<3774>10.4%トレンド<4704>20.0%
    7トレンド<4704>6.6%IIJ<3774>10.3%
    8BBSec<4398>6.3%BBSec<4398>9.6%
    9デジアーツ<2326>4.2%デジアーツ<2326>8.3%
    10ソリトン<3040>3.6%ソリトン<3040>6.5%

    注:期間は3期前実績と今期予想。『QUICK』のデータを基に「株探」編集部作成。


    「第2の日立」、鍵はキヤノンMJとの提携

    億り人のしもさんにとって、網屋が「第2の日立」に変身するポイントがネットワークセキュリティ事業になる。

    その理由は、冒頭で触れたキヤノンMJとの資本業務提携だ。同社の販売網を通じて、網屋のネットワーク製品の販売機会がこれまでより高まることが想定されるためだ。

    それはどんな製品で、どの点に成長余地があるのか。


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