2024年3月21日 17時00分
明日の株式相場に向けて=「エヌビディア・エフェクト」で飛翔する株
きょう(21日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比812円高の4万815円と大幅高で3連騰。上げ足がどうにも止まらなくなってきた。今週に入ってわずか3営業日で2000円強の上昇、さすがに反動も出そうだが、祝日前の19日時点でプライム市場の騰落レシオ(25日移動平均)は120%強とかろうじて過熱領域に足を踏み入れた程度、押し目買いを入れたくてもなかなかそのチャンスが訪れない。
週前半に日米の金融政策決定会合のヘアピンを通過したが、結果的に日銀もFRBもマーケットが構えていた程にはタカ派的ではなく、これを好感したというよりは安心感から買いを誘った印象が強い。売り方にすれば買い戻すより選択肢がない地合いとなった。日銀の決定会合は「マイナス金利解除」「ETF買い入れ停止」「YCC撤廃」と3枚の手札を一気に切ったが、事前にアドバルーンを上げまくったことによって、ネガティブサプライズを事前に霧消させ、「緩和的な環境は続く」というフレーズのみがクローズアップされたような格好となった。また、FOMCでは年内3回の利下げ見通しが維持されたことで市場には安堵感が漂い、加えてQT(量的引き締め)についてかなり早い時期に縮小する方針が示されたことは、棚ぼた的に福音をもたらした。いずれにしても、今は棒上げ状態の全体指数に惑わされることなく、個別株の選別に集中するところ。仮に全体株価が下がっても上がる銘柄を探す、いわゆる「森より木」の戦略に特化したい。
物色の流れに目を向けると、日米ともにAIバブル相場の色彩が強まってきた。もちろんこれは“バブルっぽい”というだけで、実態が伴っている部分の方が多く、いつ弾けるか戦々恐々とするような時間帯にはない。例えば、米エヌビディア<NVDA>が急拡大する生成AI市場と歩調を合わせ業績を飛躍させていることは紛れもない事実であり、同社の株価はその業績変貌を横目に上昇パフォーマンスを演じている。怖いのはむしろAIが幻想ではなく、リアルに人間を凌駕する時代が差し迫っているような兆しが、社会現象として随所にみられること。テキスト・画像を経て、あっという間に動画生成AIまでコンテンツのレベルが切り上がっているが、現実はもはや「どう抑制(規制)するか」が課題で、しかも人間の叡智では容易に解決できない局面に突入しつつあるような気配が漂う。シンギュラリティの概念があまりに早く現実味を帯びていることには驚くよりない。
ともあれ、投資家目線ではAIバブル相場の初動には違いなく、いかに個別株の波動を捉えるかが肝要となる。エヌビディアが世界で急速にその存在を大きくするなか、日本のIT大手も音無しの構えではいられないが、そうしたなか日立製作所<6501>がエヌビディアとサーバーやメタバース領域などAIシステムの開発で協業を発表したことは、今後を占ううえでの大きなメルクマールとなるかもしれない。日立の周辺で商機をつかむ企業の見極めも重要となっていく。
独立系システムインテグレーターながら、日立からの受託開発のウエートが高いCIJ<4826>に着目。同社はAI領域にこれまで以上に重心を置き、最近はDX人材の育成にも強力に取り組んでいる。エヌビディアと日立が手を組んだ延長線上に同社がどういう形で位置するかは未知数ながら、今後の可能性は無視できない。また、AI関連株のなかで先駆的なポジションにあるブレインパッド<3655>やFRONTEO<2158>なども、改めて戦略を練り直してくることは容易に想像がつくだけに、リリースに目を配っておきたい。
ディープラーニング分野を深耕するPKSHA Technology<3993>や生成AIの実装で注目されるエッジAI分野で布石を打つヘッドウォータース<4011>も改めてマーク。このほか、日常にAIが実装されたエリアで活躍する銘柄を探すことも必要だ。新たなところでは、AIレジに経営資源を投下するサインポスト<3996>や、医薬品や食品向け画像検査装置のソフトウェアで先駆し、AIを活用した欠陥分類や原因解明といったサービスを手掛けるシリウスビジョン<6276>などは面白い存在といえる。
あすのスケジュールでは、2月の全国消費者物価指数(CPI)、3カ月物国庫短期証券の入札など。また、東証グロース市場にジンジブ<142A>が新規上場する。海外では、独Ifo企業企業景況感指数、ロシア中銀の政策金利発表など。また、FRB主催のイベントでパウエルFRB議長の発言機会があり、この内容にも耳目が集まる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
週前半に日米の金融政策決定会合のヘアピンを通過したが、結果的に日銀もFRBもマーケットが構えていた程にはタカ派的ではなく、これを好感したというよりは安心感から買いを誘った印象が強い。売り方にすれば買い戻すより選択肢がない地合いとなった。日銀の決定会合は「マイナス金利解除」「ETF買い入れ停止」「YCC撤廃」と3枚の手札を一気に切ったが、事前にアドバルーンを上げまくったことによって、ネガティブサプライズを事前に霧消させ、「緩和的な環境は続く」というフレーズのみがクローズアップされたような格好となった。また、FOMCでは年内3回の利下げ見通しが維持されたことで市場には安堵感が漂い、加えてQT(量的引き締め)についてかなり早い時期に縮小する方針が示されたことは、棚ぼた的に福音をもたらした。いずれにしても、今は棒上げ状態の全体指数に惑わされることなく、個別株の選別に集中するところ。仮に全体株価が下がっても上がる銘柄を探す、いわゆる「森より木」の戦略に特化したい。
物色の流れに目を向けると、日米ともにAIバブル相場の色彩が強まってきた。もちろんこれは“バブルっぽい”というだけで、実態が伴っている部分の方が多く、いつ弾けるか戦々恐々とするような時間帯にはない。例えば、米エヌビディア<NVDA>が急拡大する生成AI市場と歩調を合わせ業績を飛躍させていることは紛れもない事実であり、同社の株価はその業績変貌を横目に上昇パフォーマンスを演じている。怖いのはむしろAIが幻想ではなく、リアルに人間を凌駕する時代が差し迫っているような兆しが、社会現象として随所にみられること。テキスト・画像を経て、あっという間に動画生成AIまでコンテンツのレベルが切り上がっているが、現実はもはや「どう抑制(規制)するか」が課題で、しかも人間の叡智では容易に解決できない局面に突入しつつあるような気配が漂う。シンギュラリティの概念があまりに早く現実味を帯びていることには驚くよりない。
ともあれ、投資家目線ではAIバブル相場の初動には違いなく、いかに個別株の波動を捉えるかが肝要となる。エヌビディアが世界で急速にその存在を大きくするなか、日本のIT大手も音無しの構えではいられないが、そうしたなか日立製作所<6501>がエヌビディアとサーバーやメタバース領域などAIシステムの開発で協業を発表したことは、今後を占ううえでの大きなメルクマールとなるかもしれない。日立の周辺で商機をつかむ企業の見極めも重要となっていく。
独立系システムインテグレーターながら、日立からの受託開発のウエートが高いCIJ<4826>に着目。同社はAI領域にこれまで以上に重心を置き、最近はDX人材の育成にも強力に取り組んでいる。エヌビディアと日立が手を組んだ延長線上に同社がどういう形で位置するかは未知数ながら、今後の可能性は無視できない。また、AI関連株のなかで先駆的なポジションにあるブレインパッド<3655>やFRONTEO<2158>なども、改めて戦略を練り直してくることは容易に想像がつくだけに、リリースに目を配っておきたい。
ディープラーニング分野を深耕するPKSHA Technology<3993>や生成AIの実装で注目されるエッジAI分野で布石を打つヘッドウォータース<4011>も改めてマーク。このほか、日常にAIが実装されたエリアで活躍する銘柄を探すことも必要だ。新たなところでは、AIレジに経営資源を投下するサインポスト<3996>や、医薬品や食品向け画像検査装置のソフトウェアで先駆し、AIを活用した欠陥分類や原因解明といったサービスを手掛けるシリウスビジョン<6276>などは面白い存在といえる。
あすのスケジュールでは、2月の全国消費者物価指数(CPI)、3カ月物国庫短期証券の入札など。また、東証グロース市場にジンジブ<142A>が新規上場する。海外では、独Ifo企業企業景況感指数、ロシア中銀の政策金利発表など。また、FRB主催のイベントでパウエルFRB議長の発言機会があり、この内容にも耳目が集まる。(銀)
出所:MINKABU PRESS