探検
PR
  • トップ
  •  >  米国株
  •  >  オラクル【ORCL】
  •  >  ニュース
  •  >  ビットコインの「半減期アノマリー」に身構える米国株市場【フィリップ証券】
  • オラクル【ORCL】最新ニュース

    NYSE
    株価 15分ディレイ
    ORCL
    オラクル
    $214.33
    前日比
    +6.60 (+3.18%)
    NY時間
    04日 16:00
    日本時間
    05日 06:00
    $217.20
    +2.87 (+1.34%)
    04日 19:59
    05日 09:59
    PER
    50.3
    PSR
    10.6
    利回り
    0.84%
    時価総額 6,172億2,028万ドル
    PER・PSRについて
    かぶたん プレミアム

    株探プレミアムに登録すると...

    初回30日間無料!

    日本語に翻訳された適時開情報をご覧いただけます。(翻訳対象は拡大予定です)

    銘柄ニュース
    戻る
    2025年11月21日 14時15分

    ビットコインの「半減期アノマリー」に身構える米国株市場【フィリップ証券】

     連邦政府機関の一部閉鎖は、11/12に連邦議会下院でつなぎ予算が可決し、トランプ米大統領の署名によって史上最長となる43日間で終了した。延期されていた9月の雇用統計は11/20に公表されることとなり、その他の経済指標公表も順次再開される。米FRB(連邦準備理事会)高官から12月の米FOMC(連邦公開市場委員会)に対して利下げに慎重な発言が強まる中、経済指標が利下げを後押しする内容となるかどうかが注目される。小売り大手による決算発表も、米国の消費動向を占う上で重要視されそうだ。

     また、AI(人工知能)インフラ・半導体関連銘柄が大型ハイテク企業の過剰投資に伴うキャッシュフローや将来の利益圧迫への懸念から売りが強まっている。11/19のエヌビディア<NVDA>の決算発表がAIインフラ・半導体銘柄の下落の流れを反転させられるかに注目が集まっている。

     実は、米国株における半導体・ハイテク株の相場動向を見ていく上で大きな鍵を握るのは、暗号資産のビットコイン相場である。ビットコイン価格とS&P500指数またはナスダック総合指数は、コンピュータ関連テクノロジーという共通したベースを持つリスク資産として同様の値動きをたどる傾向がある。ビットコイン価格は、トランプ米政権の暗号資産に好意的な政策の支援やETFを通じた機関投資家の買いを背景に、10/6に史上最高値の12万6198USDまで上昇。その後、10/10にトランプ氏が中国のレアアース輸出規制に対する報復措置をSNSに投稿したことを契機に下落基調を強めている。

     ビットコイン価格のピークアウトとその後の下落の要因は、外部環境に伴うものだけではない。約3年10~11ヵ月ごと(1ブロック約10分で生成し、21万ブロックごと)に発生する「半減期」の仕組みといった内在的要因が大きい。半減期とは「マイニング」によって得られる報酬の新規発行量が半分に減少するイベントであり、マイニングとは暗号資産の取引に必要となる複雑な計算処理を行い、その報酬として暗号資産を入手する行為のことである。ビットコインは、あらかじめ流通量の上限が2100万ビットコインに設定されているため、需給バランスを調整し、価格の急騰を防ぐために半減期が設定されている。

     ビットコイン相場と2016年および2020年の半減期との関係を見ると、①2016年7月半減期~2017年末、②2020年5月半減期~2021年11月と、それぞれ約1年半の上昇基調をたどった後、短期間で大幅下落に見舞われた。③直近の2024年4月の半減期についても、同様に1年半後の今年10月、現時点ではピークアウトと呼べる状況だ。①のケースで2018年初以降、②のケースで2021年12月以降、主要米国株指数が軟調だったことは偶然ではないだろう。

    ■米国主要ハイテク株の設備投資~対営業キャッシュフロー比率の増加度合

     米国株市場は11/12、米政府閉鎖の解除に伴う経済活動正常化への期待からダウ工業株30種平均が最高値をつけた一方で、ハイテク株が多いナスダック総合指数はAI(人工知能)の過剰投資懸念が根強いことから前日比マイナスで引けた。主要ハイテク株についてキャッシュフローに注目すると、営業キャッシュフローは堅調に推移しているが、アマゾン・ドット・コム<AMZN>やオラクル<ORCL>など、設備投資支出額の営業キャッシュフローに対する比率が上昇しており、投資の持続性や将来の減価償却費用増が懸念される。

     今年1月に発生した「DeepSeekショック」の時も、低コスト高性能な生成AIモデルの普及による過剰なAI投資が懸念され、景気敏感株や欧州株への資金シフトがみられた。今回も類似の状況がみられる。


    【タイトル】


    参考銘柄


    ファースト・トラスト北米エネルギー・インフラファンド<EMLP> 市場:NYSE Arca・・・分配金:年4回(3・6・9・12月)

    ・上場マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)、MLP関係会社、カナダのインカムトラスト、パイプライン会社、およびパイプライン等インフラ資産からの売上比率が50%以上のその他企業に投資。

    ・11/14終値で時価総額が34.1億USD、過去12ヵ月間の実績配当利回りが3.05%。組入れ上位6銘柄は、エンタープライズ・プロダクツ<EPD>、エナジー・トランスファー<ET>、MPLX<MPLX>、プレーンズGPホールディングス<PAGP>、モルガン・スタンレー・インスティチューショナル・リクイディティ・ファンド、キンダー・モルガン<KMI>である。

    ・昨年末終値から11/14終値までの騰落率は、当ETF(インカムゲインを除く)が+8.1%に対し、ダウ工業株30種平均株価が+10.8%、S&P500株価指数が+14.5%、ナスダック100が+19.0%。旺盛なAI(人工知能)需要を受けてAIインフラ・半導体向けの設備投資が活発となる中、過剰投資が懸念されて株価が下落する銘柄がみられる。電力不足のボトルネック解消のための需要増が見込まれる。


    GEベルノバ<GEV>  市場:NYSE・・・2025/1/22に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

    ・2024年3月に複合企業GEからエネルギー事業がスピンオフ。陸上・洋上風力や水力を含む高信頼性の持続可能な電力システムを構築し、発電・送電・制御・変換・貯蔵を行う製品とサービスを提供。

    ・10/22発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比11.8%増の99.69億USD、非GAAPの調整後EBITDAが同3.3倍の8.11億USD。データセンター(DC)など電力需要急増によりガスタービン製品の受注が拡大し、新規受注高が55%増の146億USD。調整後フリーキャッシュフローは24%減。

    ・通期会社計画は、売上高を前期比3-6%増の360-370億USDという従来レンジに対する上限とした一方で、調整後フリーキャッシュフローが同77-105%増の30-35億USD。調整後EBITDAマージンが8-9%(前期実績5.8%)と従来計画を据え置いた。同社によれば、主にタービンや発電設備など設置済み技術を通じて世界全体の電力生成量の約30%に寄与。電力需要増の追い風を受けやすい。


    ネクステラ・エナジー<NEE> 市場:NYSE・・・2026/1/23に2025/12期4Q)10-12月)の決算発表を予定

    ・1925年設立。フロリダ州の電力会社フロリダ・パワー&ライト(FPL)、再生可能エネルギー(再エネ)のネクステラ・エナジー・リソーシズ(NEER)が中核企業。再エネと原発を併せたクリーンエネルギーで世界最大手。

    ・10/28発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比5.3%増の79.66億USD、非GAAPの調整後EPSが同9.7%増の1.13USD。営業利益率は6.0ポイント悪化の31.7%だったものの、利払費用が37%減の1.15億USDへ軽減したことが調整後EPS増加に寄与。FPL(売上比率66%)が7%増収。

    ・通期会社計画は、調整後EPSが前期比1-8%増の3.45-3.70USDと従来計画を据え置いた。その後も2027/12期まで調整後EPSが年平均6-8%増。年間配当が2026/12期まで前期比10%増といずれも従来計画通り。同社は米国最大級の再エネ発電・送電会社として、風力・太陽光と送電線を統合運用する。大規模な送電網を所有・運用することから、当局の規制の下、安定収益が見込まれる。


    シー<SE> 市場:NYSE・・・2026/3/4に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

    ・2009年設立。シンガポールのネット企業で主にアセアンの消費者および中小企業向けにデジタルエンターテイメント(Garena)、Eコマース(Shopee)、デジタル金融サービスの3事業を主に運営する。

    ・11/11発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比38.3%増の59.86億USD、繰延収益調整後の非GAAPの調整後EBITDAが同67.7%増の8.74億USD。Eコマース(売上比率63%)が35%増収、デジタル金融(同17%)が61%増収、デジタルエンターテイメント(同11%)が31%増収だった。

    ・2025/12通期会社計画は、アジアとブラジルで展開するShopeeの流通総額を前期比25%以上の増加(従来計画は20%増)とした。同社の強みは3事業間の相互連携にある。Shopeeの月間アクティブユーザー4億超を他の2事業に誘導し、クロスセルを促進。東南アジアのEコマース市場で3-4割のシェアを占めつつコスト管理とAI投資で利益率が改善。Shopeeはブラジル市場でもシェアを拡大。


    センプラ<SRE> 市場:NYSE・・・2026/2/19に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

    ・1998年設立のエネルギー関連会社。サンディエゴ・ガス&エレクトリック(SDG&E)、サザン・カリフォルニア・ガス、センプラ・テキサス・ユーティリティーズ、センプラ・インフラストラクチャの4部門を展開。

    ・11/5発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比13.5%増の31.51億USD、非GAAPの調整後EPSが同24.7%増の1.11USD。事業別売上高は天然ガスが14%増の13.63億USD、電気が18%増の12.60億USD。規制外(非公益事業)のエネルギーインフラ開発・運用が3%増の5.58億USD。

    ・調整後EPSの会社計画は、2025/12通期が前期比▲8~+1%の4.30-4.70USD、2026/12通期が4.80-5.30%、2029/12期までの年平均複利成長率が7-9%の上限以上と従来計画を据え置いた。同社は全米で最大人口のカリフォルニア州に加え、米国内でも屈指の成長市場で人口流入とデータセンター需要増が見込まれるテキサス州で、ぞれぞれ首位級の送配電プラットフォームを保有する。


    ウィートン・プレシャス・メタルズ<WPM> 市場:NYSE・・・2026/3/13に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

    ・2004年設立。カナダ拠点の世界最大級の貴金属ストリーミング企業。鉱山大手との間で副産物の貴金属を固定価格で事前購入するストリーミング契約を締結し、先渡し支払いや追加支払を行う。

    ・11/6発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比54.5%増の4.76億USD、非GAAPの調整後EPSが同83.7%増の0.62USD。金・銀・パラジウム・コバルト含む金換算(GEO)販売量が12.5%増に加え、平均実現販売価格が37%上昇。一方で、平均現金費用が21%増にとどまり、利益率が上昇。

    ・2025/12通期会社計画は、金換算(GEO)生産量で前期比▲6~+6%の60-67万オンス。2029年度のGEO生産量は87万オンス(5年間で40%増)と従来計画を据え置いた。同社の事業は長期ストリーミング契約により受渡時点で鉱山会社からの供給を市場価格よりも安価に固定できるため、市況好調の恩恵が大きい。米政府による銀の「需要鉱物リスト」への追加(11/6発表)の恩恵が見込まれる。


    執筆日:2025年11月17日


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

    【免責・注意事項】
    当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
    <日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>

    ・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。



    フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。


    株探ニュース