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    2026年5月13日 16時13分

    大型連休明けの日本株買いとその要因、今後の注目点【フィリップ証券】

     大型連休明けの5/7、日経平均株価は終値で前日比3320円高の大幅上昇となった。その要因は、第1に半導体関連銘柄の株価上昇である。連休中に米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>、ソフトバンクグループ<9984>傘下の英アームホールディングス<ARM>といったCPU(中央演算処理装置)分野に強みを持つ半導体メーカー、および米サンディスク<SNDK>のような半導体メモリやストレージ関連企業の好調な決算発表が相次ぎ、米フィラデルフィア半導体株指数が終値で4月末から5/6まで9.2%上昇していた。

     AI(人工知能)の進化は、ChatGPTに代表される「生成AI」から、目的に向かって自律的にタスクを実行する「AIエージェント」への進化という形で姿を現し始めている。米インテル<INTC>は4月の決算説明会で「GPU(画像処理半導体)に対するCPUの使用比率」の変化を説明した。同社CFOによれば、AIの「学習」ではGPU7~8個に対してCPU1個しか出番がなかったが、「推論」ではGPU3~4個に対してCPU1個の割合に増え、エージェント型になると「GPU1個に対しCPU1個」と、同じ割合で使われるようになる。さらに、このような変化に伴ってAIサーバーに搭載される半導体メモリのDRAMやストレージといった記憶装置もGPUとCPUの双方に対応できるように需要が拡大・多様化するだろう。

     また、AIの進化によって、通信や計算の心臓部の技術を大幅に見直す必要が出てきている。データセンター内では、電気信号よりも省電力な光による信号のやりとりが増えると見込まれることから、NTT<9432>が次世代通信基盤「IOWN」構想を掲げて注力してきた、光で信号を送る高速データ処理技術、および光ファイバーや光接続部品の重要性が高まると考えられる。

     日経平均株価大幅高の2つ目の要因は、米国とイランの戦闘終結とホルムズ海峡開放に向けた動きへの期待の高まりである。5/14から2日間、北京でトランプ米大統領と中国の習近平国家主席との米中首脳会談が開催される。イランのアラグチ外相は5/6、北京を訪問。中国の王毅外相がホルムズ海峡を「可能な限り早期に」再開するように求めるなど、イランには主要な石油輸出先である中国からプレッシャーがかかっている。一方、米国も議会の承認なしに大統領が軍事作戦を開始した場合に原則として60日以内に撤退を義務付けられる「戦争権限法」があり、戦闘終結の大義名分を必要としている。

     ベッセント米財務長官が5/11から3日間の日程で日本を訪問し、高市首相、片山財務相、植田日銀総裁らとそれぞれ個別に会談する方針だ。政府・日銀が日本の連休中に4~5兆円規模の為替介入に踏み切った可能性があると報道される中、海外投資家はドル建て日経平均株価の上昇につながる面もあるとして円高・ドル安を日本株の買い材料とみなし始めており、ベッセント訪日は要注目だろう。


    ■4/24週の裁定買い残1.09兆円減~買い残減と指数の関係は一様ではない

     現物と先物の価格差に着目した裁定取引(アービトラージ)の買い残(現物買い・先物売り)の金額は、4/24時点で2兆5177億円と前週比で約1兆838億円の大幅減となった。これは2014年以降で最大の週間減少額だ。直近では2/27の3兆8595億円から3/9の2兆7829億円まで減少後、4/10の3兆7193億円まで回復するなど短期間で変動が発生していた。

     日経平均株価は2015年5月(3兆8357億円)から2016年9月(3385億円)への裁定買い残減少時は、調整下落トレンドを伴った一方、2018年1月(3兆4267億円)から2018年12月(5578億円)への裁定買い残減少時は、大きな値幅レンジでの横ばいで推移。裁定買い残の減少が指数下落に直結するものではないものの、指数の上値を重くする面があるだろう。

    【タイトル】


    参考銘柄


    デクセリアルズ<4980>

    ・1962年にプリント基板用接着剤付き銅箔の製造・販売を行うソニーケミカルを設立。2012年にVGケミカルが同社を吸収合併しデクセリアルズを設立。光学材料部品、電子材料部品の2事業を展開。

    ・2/9発表の2026/3期9M(4-12月)は、売上高が前期比0.2%増の872億円、事業利益が同1.2%減の314億円。光学材料部品は、売上高が10%減の376億円、事業利益が12%減の120億円。電子材料部品は、フォトニクス分野の伸びを受けて売上高が9%増の503億円、事業利益が7%増の194億円。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比3.3%増の1140億円、事業利益が同2.4%増の390億円、年間配当(株式分割の影響考慮後)が同横ばいの58円。フォトニクス分野では光半導体において、光トランシーバー向け高速応答フォトダイオード、および通信機器向けモニターフォトダイオードの出荷数量が拡大。AIの進化により高速・大容量・長距離通信に適した光信号の需要が拡大。


    マキタ<6586>

    ・1915年に名古屋市で牧田電機製作所を創業。国内最大手の電動工具のほか、園芸用機器、エア工具、家庭用機器等の製造・販売を主な事業とする。世界各国で現地生産・販売を行う。

    ・4/28発表の2026/3通期は、売上収益が前期比3.2%増の7776億円、営業利益が同2.2%減の1047億円。「40Vmaxリチウムイオンバッテリ」を活用したハイパワーな製品を軸に建築分野以外の市場の深耕・開拓に取り組んだ。利益面で原価率が改善した一方、販管費増加が響き営業減益となった。

    ・2027/3通期会社計画は、売上収益が前期比5.5%増の8200億円、営業利益が同5.1%増の1100億円(年間配当は未定)。中期財務目標を初めて開示し、今まで総還元性向35%以上としていた利益配分に関する基本方針として配当性向を50%以上に引き上げた。さらに機動的に自己株式取得を実施する資本政策も発表。「40Vmax」がデータセンターなどインフラ関連で伸びると見込まれる。


    横河電機<6841>

    ・1920年に横河一郎と青木晋が電気計器の研究所を母体に設立。制御(各種プラント生産設備向けシステム等)、測定器(波形測定器・光通信関連測定器等)、その他(航空機計器等)の事業を展開。

    ・5/7発表の2026/3通期は、売上高が前期比7.5%増の6048億円、営業利益が同1.2%減の825億円。受注高は3.2%増。制御事業(売上比率94%)は受注高が1%増の5709億円、営業利益が3%減の751億円。測定器事業(同5%)は受注高が39%増の420億円、営業利益が25%増の78億円。

    ・2027/3通期会社計画は、受注高が前期比4.4%増の6450億円、売上高が同1.7%増の6150億円、営業利益が同3.0%増の850億円、年間配当が同14円増配の92円。さらに5/8から9月末を取得期間として300億円上限の自社株買いを発表。前期は一過性の工事損失引当金計上などを受けて粗利益率が悪化したものの、中東情勢が好転すればエネルギープラント関連の受注増が見込まれる。


    浜松ホトニクス<6965>

    ・1948年に堀内平八郎が静岡県浜松市で東海電子研究所を創業。主に電子管事業(光電子増倍管、イメージ機器及び光源)、光半導体事業、画像計測機器事業(画像処理・計測装置)を展開。

    ・2/5発表の2026/9期1Q(10-12月)は、売上高が前年同期比2.6%増の519億円、営業利益が同43.9%減の24億円。事業別営業利益は、電子管(売上比率36%)が4%減の49億円、光半導体(同38%)が6%減の32億円、画像計測機器(同14%)が16%減の15億円、レーザ(同9%)が黒字転換。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比4.7%増の2220億円、営業利益が同6.4%増の172億円、年間配当が同横ばいの38円。データセンター向けAI半導体の検査関連で、半導体の微細化プロセスに必要な紫外光を出す光源、先端半導体製造用の光検出器、および生産ライン上に検査装置を組み込む「インライン検査」として1台当たり数億円の半導体故障解析装置などの拡大が見込まれる。


    ※執筆日 2026年5月8日


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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