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    2025年10月3日 16時45分

    利下げ観測が支えるAI相場、新たな関税と米政府による出資【フィリップ証券】

     米国財政年度は10月から始まり、翌年9月で終わる。9月末になると翌財政年度における予算案や債務上限の議会承認が得られなかった場合の連邦政府機関の閉鎖を警戒する動きが発生しやすい。その一方、「つなぎ予算」が成立すればその反動から米国株市場で買いが入り、年末商戦やサンタクロース・ラリーといったアノマリーの動きも相まって「年末高」の展開になりやすい。たとえば、2014年~2024年までの11年間についてS&P500株価指数の年末終値は、第一次トランプ政権の2年目だった2018年を除き、9月末終値を上回った。

     10/1からの一部政府機関の閉鎖を回避するつなぎ予算可決には上院(定数100)で60票以上が必要となる中、上院民主党はこれまでつなぎ予算案への支持を拒否している。例年通りならば「年末高」シナリオに影響しないとみられるが、今年は米国株市場がAI(人工知能)関連の半導体・インフラ投資拡大を背景に、「買われ過ぎ」が懸念される程度まで上昇している。S&P500株価指数の日次終値は、9/26が前年末比で13.0%上昇、年初来最安の4/8からは33%上昇している。さらに、9/26は4/8から数えて119営業日となる。S&P500株価指数終値が昨年8/5に一時リセッション懸念から5186ポイントまで下落後、今年の2月までの過去最高値だった6144ポイントまで要した営業日数は135日である。しかも、S&P500株価指数は昨年12月半ば以降、既に高値圏の横ばいで推移していた。

     米国株市場の上昇がAI関連大型投資に支えられていることから、投資資金調達の鍵を握る金利動向が上昇持続力を左右するだろう。市場が期待する年内追加利下げについては、景気や雇用を巡る指標が堅調となりつつある。また、AI関連の大型投資の将来的な収益化への疑問に加え、収益化の見通しが立たない新興AI開発会社のOpenAIへの大型出資を巡り、エヌビディア<NVDA>やオラクル<ORCL>、ソフトバンクグループ <9984>など、AIインフラ投資プラットフォームの「スターゲート」に関わる一部企業の間で資金が循環しているだけといった疑念も投げかけられている。10月に発表される一連の経済指標次第で追加利下げ観測が後退すれば、米国株市場の大幅調整が起きやすい状況と言えるだろう。

     トランプ大統領は通商拡大法232条に基づく分野別関税として、10/1より大型トラックやキッチン用キャビネット等の家具に新たな関税を課すと発表。医薬品も、適用除外国を対象外として、10/1から100%の関税を課すとした。また、トランプ政権が半導体大手インテル<INTC>のほか、リチウム開発を手掛けるカナダのリチウム・アメリカズ<LAC>の株式取得の交渉を進めている。米国防総省もレアアースの生産能力増強に向け、MPマテリアルズ<MP>に出資の見通しだ。トランプ政権の国家資本主義的な動きの恩恵を受ける企業が注目される。


    【タイトル】


    参考銘柄


    コストコホールセール<COST> 市場:NASDAQ・・・2025/12/11に2026/8期1Q(9-11期)の決算発表を予定

    ・1976年創業。ウェアハウス・クラブ(会員制倉庫型店舗)を運営し、生鮮・加工食品、家電や自動車関連などを卸売価格で販売する。世界の店舗数は5/11現在で905店舗。Eコマースも展開する。

    ・9/25発表の2025/8期4Q(8/31まで16週間)は、総収益が前年同期比8.1%増の861.56億USD、純利益が同10.9%増の26.01億USD。総収益のうち会費収入は14.0%増の17.24億USD。ガソリンや為替変動を除く既存店売上高は6.4%増。うちEコマースは13.5%増。販管費率は0.01ポイント低下。

    ・同社は顧客への利益還元優先で会費収入のみを粗利益の源泉とする方針のため、高インフレで消費者の財布の紐が固くなる局面の価格設定で競合他社より優位性がある。2025/8通期は、会費収入が前期比10.3%増。会費収入を除く純売上高に対する営業費用率が0.01ポイント低下の98.1%。トランプ関税によるコスト上昇の影響を受けにくく、マクロ環境に左右されにくい強みがある。


    ジョンソン・エンド・ジョンソン<JNJ> 市場:NYSE・・・2025/10/14に2025/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

    ・1887年設立。世界60ヵ国に250社以上の傘下企業を有する世界最大級のヘルスケア企業。「医薬品」および「医療装置」の2事業部門を運営する。消費者向け事業が2023年8月に分離独立した。

    ・7/16発表の2025/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比5.8%増の237.43億USD、非GAAPの調整後EPSが同1.8%減の2.77USD。事業の買収や売却の影響を除く調整後営業ベースでは3.0%増収だった。うち、処方薬部門(売上比率64%)が2.4%増収、医療装置部門(同36%)が4.1%増収。

    ・通期会社計画を上方修正。事業の買収や売却の影響を除く調整後営業ベース売上高を前期比3-4%増(従来計画2-3%増)、調整後EPSを同7-8%増の10.8-10.9USD(同10.5-10.7USD)とした。同社は関税政策を受けて医薬品製造を国内へ移しつつある。トランプ大統領は9/25、一部の輸入医薬品に100%の関税を課すと表明。米商務省は医療機器の輸入についても関税の調査を開始。


    ロッキード・マーチン<LMT> 市場:NYSE・・・2025/10/24に2025/12期3Q)7-9月)の決算発表を予定

    ・1912年設立の世界最大の防衛システム開発・製造企業。F-35など航空機部門、ミサイル・射撃統制部門、主にヘリコプター関連のロータリー・ミッション部門、衛星などの宇宙部門の4部門を営む。

    ・7/22発表の2025/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比0.2%増の181.55億USD、EPSが同78.7%減の1.46USD。航空機部門の契約見直しおよびロータリー・ミッション部門の予定利益率の見直しに伴い、両部門が営業赤字へ転落した。6月末受注残高は昨年末比5.4%減の1665億USD。

    ・通期会社計画は、事業セグメント合計の営業利益を前期比8-10%増の66-67億USDへ従来計画の81-82億USDから下方修正。売上高は同4-5%増の737.5-747.5億USD、フリーキャッシュフローは同25-29%増の66-68億USDと従来計画を据え置いた。ラトニック米商務長官は8/26、トランプ政権が国防請負業者との関係を見直し、防衛企業の株式を取得する可能性について議論があると述べた。


    オン・ホールディング<ONON> 市場:NYSE・・・2025/11/12に2025/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

    ・2010年設立。スイス・チューリッヒ拠点のランニング・シューズメーカー。着地時の衝撃吸収システムに係る特許を保有し、多方向へのクッショニングを可能にするなど高性能シューズに強みを有する。

    ・8/12発表の2025/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比32.0%増の7.49億CHF(スイスフラン)、非IFRSの調整後EBITDAが同49.9%増の1.36億CHF。欧州・アジアにおける高価格帯スニーカーの需要の高まりを受けて自社店舗・ネット通販を通じた直接販売が伸長し、粗利益率も1.6ポイント改善。

    ・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比31%増の29.1億CHF(従来計画28.6億CHF)、粗利益率を同0.1ポイント低下~0.4ポイント上昇の60.5-61.0%(同60.0-60.5%)とした。同社は世界陸上が東京で開催されるのを好機と見て9月半ば、新たなシューズ製造法「ライトスプレー」技術を説明する場を日本で設けた。ロボットアームに取り付けた足型に素材を吹き付け、短時間で製造が可能。


    パッカー<PCAR> 市場:NASDAQ・・・2025/10/21に2025/12期3Q(7-9月)の決算発表を予定

    ・1905年設立。「ケンワース」、「ピータービルト」等のブランドの高級トラック(軽量・中型・大型)の設計・製造・販売に加え、ディーゼルエンジンの設計・製造、金融サービス、トラック部品の販売も行う。

    ・7/22発表の2025/12期2Q(4-6月)は、売上高が前年同期比14.4%減の75.10億USD、EPSが同35.7%減の1.37USD。事業別税引き前利益は、主力のトラック(売上比率70%)が63%減の3.08億USDの一方、パーツ(同23%)が1%増の4.16億USD、金融サービス(同7%)が11%増の1.23億USD。

    ・2025/12期の会社計画は未公表。同社はトラック台数の北米の販売比率が59%を占める。北米トラック市場の需要低迷をパーツや金融サービスで補完することで外部環境の変化に左右されにくい事業モデルを構築している。トランプ大統領は9/26、輸入する全ての大型トラックに10/1から25%の関税を発動することを明らかにした。大型トラックで主導的地位にある同社へ追い風が見込まれる。


    スカイワークス・ソリューションズ<SWKS> 市場:NASDAQ・・・2025/11/12に2025/9期4Q(7-9月)の決算発表を予定

    ・1962年に前身Alpha Industriesを設立。高性能アナログ半導体メーカーとして消費者向け端末ほか幅広い分野にワイヤレス通信関連ソリューションを提供。売上の約3分の2がアップル<AAPL>向け。

    ・8/5発表の2025/9期3Q(4-6月)は、売上高が前年同期比6.6%増の9.65億USD(会社予想9.2-9.6億USD)、非GAAPの調整後EPSが同9.9%減の1.33USD(会社予想中心値1.24USD)。調整後粗利益率が1.1ポイント改善。IoTデバイス、自動車、データセンターに続き、主力分野のスマホも回復の兆し。

    ・2025/9期4Q(7-9月)会社計画は、売上高が前年同期比2%減~5%増の10.0-10.3億USD、調整後EPSの中心値が同9.7%減の1.40USD。9/19に販売開始となったアップルの新型スマホ「iPhone17」の購入予約が好調でアップルは生産増強に動いている。アップルへの依存度の高さが課題の中、スマホ以外の「ブロード市場」部門の売上比率を現在の30%から引き上げることが今後の焦点だろう。


    執筆日:2025年9月29日


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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    フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。


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