2024年3月15日 12時00分
YTLコーポレーション(YTL;東証外国部1773)【フィリップ証券】
「YTLグリーン・データセンター・パーク」はAIインフラでエヌビディアと協業。ニセコビレッジもインバウンド需要堅調
YTLコーポレーション<1773>
マレーシア | 発電所 | 業績フォロー
BLOOMBERG YTL MK | REUTERS YTLS.KL
What is the news?
2/22発表の2024/6期2Q(10-12月)は、売上高が前年同期比14.2%増の75.30億MYR、営業利益が同2.5倍の18.48 億MYR、関係会社や合弁事業からの持分法投資利益が同22.4%減の94.2百万MYR、純利益が同5.2倍の10.29億MYR。建設事業および不動産事業を除いたすべての事業が2桁台以上の増収率で拡大。金利上昇に伴う財務収益も増収増益に貢献した。前四半期比では、売上高が0.1%増、純利益が9.5%増だった。
2Qの主なセグメント別の売上高は以下の通り。①公益事業は前年同期比12.3%増の51.20億MYR。電力販売、上下水道サービス、ガス販売、通信の全てが増収だった。②セメント製造・販売事業は販売量増および販売価格上昇を受けて同19.4%増の13.97億MYR。③北海道のニセコビレッジ運営含むホテル事業は市場シェア拡大、稼働率上昇、宿泊料金上昇を受けて同27.6%増の4.18億MYR。④建設事業は工事進行ペース悪化が響き、同18.2%減の2.59億MYR。⑤不動産事業は完工物件販売減が響き同37.1%減の26.5百万MYR。⑥マネジメントサービスおよびその他事業は、運営・メンテナンスサービスや不動産マネージャー報酬の増加により同22.0%増の91.7百万MYR。⑦その他収益は金利収益の増加の寄与により同2.2倍の2.15億MYR。
How do we view this?
同社株価は昨年以降、堅調に推移。その牽引役は発電事業である。
先ず、子会社YTLパワー・インターナショナルが注力するデータセンター事業は、マレーシア南部ジョホール州で「YTLグリーン・データセンター・パーク」を昨年末オープン。アンワル首相が米半導体大手エヌビディアと「24年半ばまでに最速のスーパーコンピュータをもたらすAI(人工知能)インフラをマレーシアに作る」で合意したなか、同パークはエヌビディアとの協業の舞台となる見通しだ。
更に、マレーシアとシンガポール両国政府はマレーシアからシンガポールへ送電事業を進め、マレーシア電力大手テナガ・ナショナル子会社が発電し、YTLパワーが保有するシンガポールの発電施設を通じて電力を供給している。両国を跨ぐ取引に伴い、外国為替市場でのシンガポールドル高・リンギ安の進行もリンギ建てでの収益を高めている。
会社概要
1955年創業の総合インフラ開発企業で、マレーシア最大のコングロマリットの1つ。YTLの名は創業者であるヨー・ティオンレイの名前の頭文字を取っている。
主力の①公益(ユーティリティ)事業のほか、④建設事業、③ホテル事業、②セメント製造・販売事業、⑤不動産事業、⑥経営サービス・その他事業などを手掛ける。
また、1996年に東京証券取引所にアジア系企業として初めて上場する(銘柄コード:1773)など日本との関係も深い。
公益事業は、発電(受託市場およびマーチャント市場の両方を含む)部門、給水・排水処理部門、商業マルチ・エネルギービジネス部門、およびモバイル・ブロードバンドネットワーク部門などから構成される。
ホテル事業は、マレーシア国内でクアラルンプールに2つのホテル(JWマリオットとリッツカールトン)に加え、パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾートなどと、「ヴィスタナ」ブランドのホテルのチェーンを持っている。日本でも2010年に北海道ニセコのニセコビレッジを買収し、ニセコのリゾート開発に注力している。
企業データ(2024/3/12)
主要株主(2024/3) ( % )
※フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース
YTLコーポレーション<1773>
マレーシア | 発電所 | 業績フォロー
BLOOMBERG YTL MK | REUTERS YTLS.KL
・ | 2024/6期2Q(10-12月)は、売上高が前年同期比14.2%増、純利益が同5.2倍。建設・不動産除く全事業で2桁増収。金利上昇も収益増に寄与した。 |
・ | 公益事業は電力販売・上下水道・ガス販売・通信と全て堅調。発電事業で子会社YTLを通じたシンガポールへの送電事業が国策の後押しで伸長。 |
・ | 「YTLグリーン・データセンター・パーク」は最速スパコンをもたらすAIインフラとして同社と米半導体エヌビディア<NVDA>の協業の場となる見通し。 |
What is the news?
2/22発表の2024/6期2Q(10-12月)は、売上高が前年同期比14.2%増の75.30億MYR、営業利益が同2.5倍の18.48 億MYR、関係会社や合弁事業からの持分法投資利益が同22.4%減の94.2百万MYR、純利益が同5.2倍の10.29億MYR。建設事業および不動産事業を除いたすべての事業が2桁台以上の増収率で拡大。金利上昇に伴う財務収益も増収増益に貢献した。前四半期比では、売上高が0.1%増、純利益が9.5%増だった。
2Qの主なセグメント別の売上高は以下の通り。①公益事業は前年同期比12.3%増の51.20億MYR。電力販売、上下水道サービス、ガス販売、通信の全てが増収だった。②セメント製造・販売事業は販売量増および販売価格上昇を受けて同19.4%増の13.97億MYR。③北海道のニセコビレッジ運営含むホテル事業は市場シェア拡大、稼働率上昇、宿泊料金上昇を受けて同27.6%増の4.18億MYR。④建設事業は工事進行ペース悪化が響き、同18.2%減の2.59億MYR。⑤不動産事業は完工物件販売減が響き同37.1%減の26.5百万MYR。⑥マネジメントサービスおよびその他事業は、運営・メンテナンスサービスや不動産マネージャー報酬の増加により同22.0%増の91.7百万MYR。⑦その他収益は金利収益の増加の寄与により同2.2倍の2.15億MYR。
How do we view this?
同社株価は昨年以降、堅調に推移。その牽引役は発電事業である。
先ず、子会社YTLパワー・インターナショナルが注力するデータセンター事業は、マレーシア南部ジョホール州で「YTLグリーン・データセンター・パーク」を昨年末オープン。アンワル首相が米半導体大手エヌビディアと「24年半ばまでに最速のスーパーコンピュータをもたらすAI(人工知能)インフラをマレーシアに作る」で合意したなか、同パークはエヌビディアとの協業の舞台となる見通しだ。
更に、マレーシアとシンガポール両国政府はマレーシアからシンガポールへ送電事業を進め、マレーシア電力大手テナガ・ナショナル子会社が発電し、YTLパワーが保有するシンガポールの発電施設を通じて電力を供給している。両国を跨ぐ取引に伴い、外国為替市場でのシンガポールドル高・リンギ安の進行もリンギ建てでの収益を高めている。
会社概要
配当予想(MYR) | 0.07 | (予想はBloomberg) |
終値(MYR) | 2.510 | 2024/3/11 |
1955年創業の総合インフラ開発企業で、マレーシア最大のコングロマリットの1つ。YTLの名は創業者であるヨー・ティオンレイの名前の頭文字を取っている。
主力の①公益(ユーティリティ)事業のほか、④建設事業、③ホテル事業、②セメント製造・販売事業、⑤不動産事業、⑥経営サービス・その他事業などを手掛ける。
また、1996年に東京証券取引所にアジア系企業として初めて上場する(銘柄コード:1773)など日本との関係も深い。
公益事業は、発電(受託市場およびマーチャント市場の両方を含む)部門、給水・排水処理部門、商業マルチ・エネルギービジネス部門、およびモバイル・ブロードバンドネットワーク部門などから構成される。
ホテル事業は、マレーシア国内でクアラルンプールに2つのホテル(JWマリオットとリッツカールトン)に加え、パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾートなどと、「ヴィスタナ」ブランドのホテルのチェーンを持っている。日本でも2010年に北海道ニセコのニセコビレッジを買収し、ニセコのリゾート開発に注力している。
企業データ(2024/3/12)
ベータ値 | 0.95 |
時価総額(百万MYR) | 27,526 |
企業価値=EV(百万MYR) | 64,859 |
3ヵ月平均売買代金(百万MYR) | 109.4 |
主要株主(2024/3) ( % )
1.Yeoh Tiong Lay & Sons HLDG | 50.19 |
2.クレディ・スイス・グループ | 9.24 |
3.Employees Provident Fund Board | 5.00 |
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成) |
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