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    2024年3月15日 12時00分

    YTLコーポレーション(YTL;東証外国部1773)【フィリップ証券】

    「YTLグリーン・データセンター・パーク」はAIインフラでエヌビディアと協業。ニセコビレッジもインバウンド需要堅調

    YTLコーポレーション<1773>
    マレーシア | 発電所 | 業績フォロー


    BLOOMBERG YTL MK | REUTERS YTLS.KL
    ・ 2024/6期2Q(10-12月)は、売上高が前年同期比14.2%増、純利益が同5.2倍。建設・不動産除く全事業で2桁増収。金利上昇も収益増に寄与した。
    ・ 公益事業は電力販売・上下水道・ガス販売・通信と全て堅調。発電事業で子会社YTLを通じたシンガポールへの送電事業が国策の後押しで伸長。
    ・ 「YTLグリーン・データセンター・パーク」は最速スパコンをもたらすAIインフラとして同社と米半導体エヌビディア<NVDA>の協業の場となる見通し。


    What is the news?
     2/22発表の2024/6期2Q(10-12月)は、売上高が前年同期比14.2%増の75.30億MYR、営業利益が同2.5倍の18.48 億MYR、関係会社や合弁事業からの持分法投資利益が同22.4%減の94.2百万MYR、純利益が同5.2倍の10.29億MYR。建設事業および不動産事業を除いたすべての事業が2桁台以上の増収率で拡大。金利上昇に伴う財務収益も増収増益に貢献した。前四半期比では、売上高が0.1%増、純利益が9.5%増だった。

     2Qの主なセグメント別の売上高は以下の通り。①公益事業は前年同期比12.3%増の51.20億MYR。電力販売、上下水道サービス、ガス販売、通信の全てが増収だった。②セメント製造・販売事業は販売量増および販売価格上昇を受けて同19.4%増の13.97億MYR。③北海道のニセコビレッジ運営含むホテル事業は市場シェア拡大、稼働率上昇、宿泊料金上昇を受けて同27.6%増の4.18億MYR。④建設事業は工事進行ペース悪化が響き、同18.2%減の2.59億MYR。⑤不動産事業は完工物件販売減が響き同37.1%減の26.5百万MYR。⑥マネジメントサービスおよびその他事業は、運営・メンテナンスサービスや不動産マネージャー報酬の増加により同22.0%増の91.7百万MYR。⑦その他収益は金利収益の増加の寄与により同2.2倍の2.15億MYR。

    How do we view this?
     同社株価は昨年以降、堅調に推移。その牽引役は発電事業である。
    先ず、子会社YTLパワー・インターナショナルが注力するデータセンター事業は、マレーシア南部ジョホール州で「YTLグリーン・データセンター・パーク」を昨年末オープン。アンワル首相が米半導体大手エヌビディアと「24年半ばまでに最速のスーパーコンピュータをもたらすAI(人工知能)インフラをマレーシアに作る」で合意したなか、同パークはエヌビディアとの協業の舞台となる見通しだ。
     更に、マレーシアとシンガポール両国政府はマレーシアからシンガポールへ送電事業を進め、マレーシア電力大手テナガ・ナショナル子会社が発電し、YTLパワーが保有するシンガポールの発電施設を通じて電力を供給している。両国を跨ぐ取引に伴い、外国為替市場でのシンガポールドル高・リンギ安の進行もリンギ建てでの収益を高めている。

    【タイトル】


    会社概要
    配当予想(MYR)0.07(予想はBloomberg)
    終値(MYR) 2.5102024/3/11

     1955年創業の総合インフラ開発企業で、マレーシア最大のコングロマリットの1つ。YTLの名は創業者であるヨー・ティオンレイの名前の頭文字を取っている。
     主力の①公益(ユーティリティ)事業のほか、④建設事業、③ホテル事業、②セメント製造・販売事業、⑤不動産事業、⑥経営サービス・その他事業などを手掛ける。
     また、1996年に東京証券取引所にアジア系企業として初めて上場する(銘柄コード:1773)など日本との関係も深い。

     公益事業は、発電(受託市場およびマーチャント市場の両方を含む)部門、給水・排水処理部門、商業マルチ・エネルギービジネス部門、およびモバイル・ブロードバンドネットワーク部門などから構成される。
     ホテル事業は、マレーシア国内でクアラルンプールに2つのホテル(JWマリオットとリッツカールトン)に加え、パンコール・ラウト・リゾート、タンジョン・ジャラ・リゾートなどと、「ヴィスタナ」ブランドのホテルのチェーンを持っている。日本でも2010年に北海道ニセコのニセコビレッジを買収し、ニセコのリゾート開発に注力している。

    企業データ(2024/3/12)
    ベータ値0.95
    時価総額(百万MYR)27,526
    企業価値=EV(百万MYR) 64,859
    3ヵ月平均売買代金(百万MYR)109.4

    【タイトル】

    主要株主(2024/3) ( % )
    1.Yeoh Tiong Lay & Sons HLDG50.19
    2.クレディ・スイス・グループ9.24
    3.Employees Provident Fund Board5.00
    (出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)

    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)


    【免責・注意事項】
    当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
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    ・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。



    フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。


    株探ニュース