2024年2月28日 12時00分
米国株警戒シグナルと、次世代主役候補銘柄【フィリップ証券】
米国株市場に高値警戒に関する幾つかのシグナル・注意報なのかもしれない。
第1に、半導体大手エヌビディア<NVDA>の最新の半導体「HGX H100」の認定パートナーを取得している世界3社のサーバーメーカーの一つであるスーパー・マイクロ・コンピューター<SMCI>の株価の動きだ。同社株は1月半ばの300ドル近辺から上げ足を速め、2/15に1000ドルを超えた。その翌日、取引開始直後に1077ドルの高値を付けた後で同日中に800ドル近辺まで約25%下落した。14日間の上げ幅(前日比)の合計を同じ期間の上げ幅合計と下げ幅合計を足した数字で割って算出する「相対力指数(RSI)14日」で終値が2/5以降に90%を超える買われ過ぎだったことからすれば無理もない調整下落の範囲とみられ、20日の安値692.50ドルからはAI半導体の主役エヌビディアの好決算発表に伴って反発に転じている。当面は大きな値幅でのレンジ相場への移行が想定されるものの、引き続きウォッチが必要だろう。
第2に、アップル<AAPL>の株価が終値の200日移動平均を下回ってきた点である。16日終値で下回って以降、26日も下回ったままだ。著名投資家ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハザウェイが10-12月期にアップル株を一部売却したことが明らかとなったほか、同社がEU圏内向けのiOSでApp Store以外でのアプリ配布と決済提供手段を認めたことも同社エコシステムの土台に関わるものとして軽視できない点だろう。
他方、次の時代に向けて楽しみな企業も見え始めた。先ず挙げたいのは、広告向けソフトウエア・プラットフォーム運営のザ・トレードデスク<TTD>である。同社は決算発表を受けて2/16終値が前日比17.5%上昇。同社のAIを活用した広告プラットフォームは、取引手数料の透明性を高めて手数料削減に繋がることで大手広告主からの支持を広げている。アルファベット<GOOGL>やメタ・プラットフォームズ<META>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>などの広告事業と異なる事業モデルでシェアを奪う可能性もある。同社は、スマートテレビメーカーのVIZIO買収を発表し広告事業に本腰を入れてきた小売り大手ウォルマート<WMT>と提携を深めている。
次に、エンタメ業界では昨年9/29、スフィア・エンターテインメント<SPHR> がラスベガスに球体型複合アリーナ施設「スフィア」をオープン。超高帯域幅で膨大なデジタル情報を配信することで画期的な娯楽体験を可能にするものとして世界の度肝を抜いた。過剰投資との懸念も聞かれる一方、新時代の予感をもたらすものでもあろう。
関連銘柄
ザ・トレードデスク<TTD> 市場:NASDAQ・・・2024/2/15に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
・2009年設立。デマンドサイドプラットフォーム(DSP)と呼ばれる広告向けソフトウエアプラットフォーム運営。AI(人工知能)を広告システムに活用し、広告主向けに効率的な広告提供で収益化実現。
・11/9発表の2023/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比24.9%増の4.93億USD、非GAAPの調整後EPSが同26.9%増の0.33USD。顧客の契約更新率が9四半期連続で95%超と持続的に安定。同社が開発し、広告主が優良広告主の広告在庫を直接購入できる「OpenPath」の普及が奏功した。
・2023/12期4Q(10-12月)会社計画は、売上高が前年同期比18%増の5.80億USD、調整後EBITDAが同10%増の2.70億USD(3Q実績1.99億USD)。同社が市場主導の「パブリッシャー直接取引」は取引手数料の透明性を高めて手数料削減に繋がることで「コネクテッドTV」やオフサイトの小売メディアで大手企業が活用を進める。Googleやフェイスブック等SNSからシェアを奪う潜在可能性もあろう。
スフィア・エンターテインメント<SPHR>市場:NYSE・・2024/5/10に2024/6期3Q(1-3月)の決算発表予定
・2006年設立のエンターテイメント企業。旧「マディソン・スクェア・ガーデン・エンターテイメント」からライブエンターテイメント事業とブッキング事業が分離独立後に社名変更。23年9月にラスベガスに球体アリーナ「スフィア」をオープン。
・2/5発表の2024/6期2Q(10-12月)は、売上高が前年同期比97.0%増の3.14億USD、非GAAPの調整後営業利益が前年同期の▲13.2百万USDから51.4百万USDへ黒字転換。人気ロックバンド「U2」の「スフィア」開幕公演成功もあり、スフィア事業は売上高1.67億USD、調整後営業利益14百万USD。
・スフィアの建設コストは23億USDも、オープン後の約2ヵ月でスフィア事業の調整後営業黒字化を達成。U2によるスフィアでの公演は今年1/26~3/2まで15公演を予定し、3Qも堅調な推移が期待される。昨年11月にラスベガスで開催のF1グランプリもスフィアの球体施設を広告媒体として最大限に活用と、仮想(拡張)現実の没入体験を伴った未来のエンターテイメントとして大きな可能性を示した。
(作成日:2024年2月27日)
※フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース
第1に、半導体大手エヌビディア<NVDA>の最新の半導体「HGX H100」の認定パートナーを取得している世界3社のサーバーメーカーの一つであるスーパー・マイクロ・コンピューター<SMCI>の株価の動きだ。同社株は1月半ばの300ドル近辺から上げ足を速め、2/15に1000ドルを超えた。その翌日、取引開始直後に1077ドルの高値を付けた後で同日中に800ドル近辺まで約25%下落した。14日間の上げ幅(前日比)の合計を同じ期間の上げ幅合計と下げ幅合計を足した数字で割って算出する「相対力指数(RSI)14日」で終値が2/5以降に90%を超える買われ過ぎだったことからすれば無理もない調整下落の範囲とみられ、20日の安値692.50ドルからはAI半導体の主役エヌビディアの好決算発表に伴って反発に転じている。当面は大きな値幅でのレンジ相場への移行が想定されるものの、引き続きウォッチが必要だろう。
第2に、アップル<AAPL>の株価が終値の200日移動平均を下回ってきた点である。16日終値で下回って以降、26日も下回ったままだ。著名投資家ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハザウェイが10-12月期にアップル株を一部売却したことが明らかとなったほか、同社がEU圏内向けのiOSでApp Store以外でのアプリ配布と決済提供手段を認めたことも同社エコシステムの土台に関わるものとして軽視できない点だろう。
他方、次の時代に向けて楽しみな企業も見え始めた。先ず挙げたいのは、広告向けソフトウエア・プラットフォーム運営のザ・トレードデスク<TTD>である。同社は決算発表を受けて2/16終値が前日比17.5%上昇。同社のAIを活用した広告プラットフォームは、取引手数料の透明性を高めて手数料削減に繋がることで大手広告主からの支持を広げている。アルファベット<GOOGL>やメタ・プラットフォームズ<META>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>などの広告事業と異なる事業モデルでシェアを奪う可能性もある。同社は、スマートテレビメーカーのVIZIO買収を発表し広告事業に本腰を入れてきた小売り大手ウォルマート<WMT>と提携を深めている。
次に、エンタメ業界では昨年9/29、スフィア・エンターテインメント<SPHR> がラスベガスに球体型複合アリーナ施設「スフィア」をオープン。超高帯域幅で膨大なデジタル情報を配信することで画期的な娯楽体験を可能にするものとして世界の度肝を抜いた。過剰投資との懸念も聞かれる一方、新時代の予感をもたらすものでもあろう。
関連銘柄
ザ・トレードデスク<TTD> 市場:NASDAQ・・・2024/2/15に2023/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定
・2009年設立。デマンドサイドプラットフォーム(DSP)と呼ばれる広告向けソフトウエアプラットフォーム運営。AI(人工知能)を広告システムに活用し、広告主向けに効率的な広告提供で収益化実現。
・11/9発表の2023/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比24.9%増の4.93億USD、非GAAPの調整後EPSが同26.9%増の0.33USD。顧客の契約更新率が9四半期連続で95%超と持続的に安定。同社が開発し、広告主が優良広告主の広告在庫を直接購入できる「OpenPath」の普及が奏功した。
・2023/12期4Q(10-12月)会社計画は、売上高が前年同期比18%増の5.80億USD、調整後EBITDAが同10%増の2.70億USD(3Q実績1.99億USD)。同社が市場主導の「パブリッシャー直接取引」は取引手数料の透明性を高めて手数料削減に繋がることで「コネクテッドTV」やオフサイトの小売メディアで大手企業が活用を進める。Googleやフェイスブック等SNSからシェアを奪う潜在可能性もあろう。
スフィア・エンターテインメント<SPHR>市場:NYSE・・2024/5/10に2024/6期3Q(1-3月)の決算発表予定
・2006年設立のエンターテイメント企業。旧「マディソン・スクェア・ガーデン・エンターテイメント」からライブエンターテイメント事業とブッキング事業が分離独立後に社名変更。23年9月にラスベガスに球体アリーナ「スフィア」をオープン。
・2/5発表の2024/6期2Q(10-12月)は、売上高が前年同期比97.0%増の3.14億USD、非GAAPの調整後営業利益が前年同期の▲13.2百万USDから51.4百万USDへ黒字転換。人気ロックバンド「U2」の「スフィア」開幕公演成功もあり、スフィア事業は売上高1.67億USD、調整後営業利益14百万USD。
・スフィアの建設コストは23億USDも、オープン後の約2ヵ月でスフィア事業の調整後営業黒字化を達成。U2によるスフィアでの公演は今年1/26~3/2まで15公演を予定し、3Qも堅調な推移が期待される。昨年11月にラスベガスで開催のF1グランプリもスフィアの球体施設を広告媒体として最大限に活用と、仮想(拡張)現実の没入体験を伴った未来のエンターテイメントとして大きな可能性を示した。
(作成日:2024年2月27日)
【免責・注意事項】
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>
・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。
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