2026年6月19日 12時30分
【米著名投資家⑤】「ウォール街の暴れ馬」が極める超集中ポートフォリオの美学 ビル・アックマン(パーシング・スクエア創設者)
<13Fで読み解く米著名投資家の売買戦略>
◆「厳選12銘柄で100億ドル超を運用」集中投資が生む圧倒的なリターン
ウォール街には数多くのアクティビスト投資家が存在するが、ビル・アックマンほど「劇場型」と評される人物はいない。企業買収の阻止、巨大なショートポジションの構築、そして自社上場という異例の選択……。その一挙手一投足がメディアを騒がせ、市場を動かす。しかし、その派手な言動の裏に潜むのは、徹底した企業分析と強固な投資哲学だ。
1966年、ニューヨーク州の高級住宅街、チャッパクアで生まれたアックマンは、ハーバード大学を優秀な成績で卒業後、ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得。1992年にハーバードの同級生であるデビッド・バーコウィッツとともに投資会社ゴッサム・パートナーズを設立し、2004年にはパーシング・スクエアを創業した。
同社の最大の特徴は「超集中ポートフォリオ」だ。一般的なヘッジファンドが数十から数百銘柄に分散投資する中、アックマンは通常8~12銘柄にしか投資しない。2025年時点でも150億ドルを超える運用資産をわずか10銘柄前後に集中させているのだ。「50番目に好きなアイデアより、1番目に好きなアイデアにもっと投資すべきだ」。アックマンはこう信念を述べている。
この戦略は両刃の剣でもある。2015年から16年にかけて、製薬会社バリアント・ファーマ・シューティカルズ(現ボシュ・ヘルス・カンパニーズ<BHC>)への集中投資が裏目に出て約40億ドルの損失を被り、ファンドは存亡の危機に立たされた。しかし、アックマンはこの大失敗から学び、より一層、投資対象の質を重視するようになった。以降のパーシング・スクエアは、単なるアクティビズムを超え、「持続的な競争優位性を持つ卓越した企業への長期投資」という新たな形に進化している。
◆「100年に一度」の機会を掴む危機への嗅覚
そもそもアックマンの名を世界に轟かせたのは、2020年3月の「世紀のヘッジ」だ。新型コロナウイルスの感染拡大直前に、2700万ドルのコストでクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を購入。市場が崩壊した3月末には、そのポジションが26億ドルにまで膨らんだ。投資額の約100倍という空前絶後のリターンを実現したこの取引は、ヘッジファンドの歴史に残る「奇跡」として語り継がれている。
しかも驚くべきは、アックマンがこのヘッジで得た利益を、同時に暴落した株式の買い増しに即座に充てたことだ。ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス<HLT>やレストラン・ブランズ・インターナショナル<QSR>などの株式を底値圏で大量購入し、その後の相場回復で莫大な利益を上げた。「最悪の事態への備えと、回復局面への全力投球」。これがアックマン流の危機対応の真髄だ。
近年のアックマンで最も注目すべき動きは、欧州に上場する既存のファンドに加え、米国版のクローズドエンド型ファンド「パーシング・スクエアUSA」のニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を構想、ついに実現したことだ。2026年4月29日、同ファンドは資産管理会社パーシング・スクエア<PS>との複合IPOという形で50億ドル(約7500億円以上)を調達し、同タイプのファンドとしては史上最大規模での上場に成功した。上場初日の株価は公開価格を大幅に下回る厳しいスタートとなったものの、アックマンの個人投資家向けビジネスへの本格参入として大きな節目となった。
この構想の背景には、「個人投資家にもアクセス可能なヘッジファンド」という理念がある。通常、ヘッジファンドの顧客は機関投資家や超富裕層に限られる。上場ファンドという形を取ることで、一般投資家がアックマンの運用の恩恵を受けられる仕組みを作ろうというわけだ。
また、アックマンはSNSでの発信にも積極的で、X(旧ツイッター)では200万人を超えるフォロワーを持ち、市場の動向や投資哲学についての持論を頻繁に発信している。「大衆との対話」を厭わないこの姿勢は、他のヘッジファンドマネジャーとは一線を画すものだ。こうした「開かれた投資家」像の追求もまた、次世代を見据えたアックマンの戦略の一部なのかもしれない。
◆アマゾンが上位銘柄に躍進、AI時代の競争優位性に焦点を当てる
では次に、ビル・アックマン率いるパーシング・スクエアの2025年のポートフォリオを「13F」で追ってみよう。まず総評価額の推移を見ると、年初の119億ドルから年末の155億ドルへと、約30%の成長を遂げている。しかもその伸びは銘柄数を増やすことではなく、既存銘柄の価値向上と戦略的な銘柄入れ替えによって達成されている点が集中投資を旨とするアックマンらしい。
最も印象的なのは、第1四半期にウーバー・テクノロジーズ<UBER>を3030万株という大規模な新規ポジションで取得し、一気にポートフォリオのトップに据えた動きだ。ライドシェアと配達プラットフォームの二大事業を持つウーバーは、AI(人工知能)時代における移動インフラの覇者として認識されつつある。競合他社に対する参入障壁の高さ、ネットワーク効果の強固さ、そして黒字転換後の利益成長。これらがアックマンの「持続的競争優位性」の基準を満たすと判断されたのだろう。事実、株価はその後力強い上昇を見せ、評価額は年間を通じて首位圏を維持し続けた。
ブルックフィールド<BN>への対応も見逃せない。カナダの複合資産運用会社として再生可能エネルギー、インフラ、不動産などに投資するこの企業は、年間を通じて常に上位2位以内に位置し続けた。注目すべきは第4四半期に前四半期の4102万株から一気に6140万株へと大幅に買い増したことだ。株価が相対的に出遅れていると判断した場面での追加投資は、「信念のある銘柄に迷わず追加投資する」というアックマンの集中主義の真骨頂を示している。
第2四半期以降のアマゾン・ドット・コム<AMZN>の新規取得と買い増しも重要な変化だ。クラウドサービスとEC(電子商取引)の圧倒的覇者であるアマゾンに対し、まず582万株を取得すると、第4四半期には960万株へと大幅に積み増した。評価額も22億ドル超と、ポートフォリオ3位の重要銘柄に成長している。第3四半期からトップ5入りしたアルファベット<GOOG>、第4四半期に新規取得したメタ・プラットフォームズ<META>ともども、アックマンが伝統的な「バリュー株」の枠を超え、質の高い大型テック企業への傾斜を強めていることが鮮明だ。半面、長年パーシングの代表的な保有銘柄だったチポトレ・メキシカン・グリル<CMG>がトップ5から外れた。
2025年のポートフォリオ変化を総じて言えば、「競争優位性の高い成熟企業への長期保有」を軸としつつ、AI社会到来を見越したテーマへの傾斜を強めた一年だったと評価できる。コア銘柄を堅守しながら、アマゾン、アルファベット、メタなどのビッグテック企業でポートフォリオを分厚く固めるという戦略は、「質への集中」というアックマン哲学の現代的な進化形と言えるだろう。
◆超集中ポートフォリオが映す、10年後に向けた「次の一手」とは
ここまで、ビル・アックマンの投資哲学と2025年の「13F」ポートフォリオ変遷を追ってきた。バリアント・ファーマでの大失敗から学び、「企業の質」を最優先とする姿勢へと進化したアックマンの現在のポートフォリオは、かつての「問題企業をアクティビズムで変革する」スタイルからは大きく様変わりしている。
現在のパーシング・スクエアが選ぶ銘柄群に共通するのは、強固なブランド力、ネットワーク効果、あるいは独占的なプラットフォームという、企業の競争優位性を盤石なものとする「経済的な外堀」の存在だ。これはバフェット哲学に通じる視点でもあり、かつて「暴れ馬」と呼ばれたアックマンが、真の意味でのクオリティ投資家へと成熟したことを示しているのかもしれない。
超集中ポートフォリオという選択は、確かにリスクを伴う。だがその一方で、強い信念を持って選んだ少数の「傑出した企業」への長期投資が、時として市場平均を凌駕するリターンをもたらすことを、アックマンは繰り返し証明してきた。本連載では引き続き、次の「世紀の一手」を狙うこの「劇場型投資家」のポートフォリオの変化を定点観測していく。
株探ニュース
個人投資家への発信も重視する異色のアクティビスト、ビル・アックマン(©AFP/アフロ)
◆「厳選12銘柄で100億ドル超を運用」集中投資が生む圧倒的なリターン
ウォール街には数多くのアクティビスト投資家が存在するが、ビル・アックマンほど「劇場型」と評される人物はいない。企業買収の阻止、巨大なショートポジションの構築、そして自社上場という異例の選択……。その一挙手一投足がメディアを騒がせ、市場を動かす。しかし、その派手な言動の裏に潜むのは、徹底した企業分析と強固な投資哲学だ。
1966年、ニューヨーク州の高級住宅街、チャッパクアで生まれたアックマンは、ハーバード大学を優秀な成績で卒業後、ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得。1992年にハーバードの同級生であるデビッド・バーコウィッツとともに投資会社ゴッサム・パートナーズを設立し、2004年にはパーシング・スクエアを創業した。
同社の最大の特徴は「超集中ポートフォリオ」だ。一般的なヘッジファンドが数十から数百銘柄に分散投資する中、アックマンは通常8~12銘柄にしか投資しない。2025年時点でも150億ドルを超える運用資産をわずか10銘柄前後に集中させているのだ。「50番目に好きなアイデアより、1番目に好きなアイデアにもっと投資すべきだ」。アックマンはこう信念を述べている。
この戦略は両刃の剣でもある。2015年から16年にかけて、製薬会社バリアント・ファーマ・シューティカルズ(現ボシュ・ヘルス・カンパニーズ<BHC>)への集中投資が裏目に出て約40億ドルの損失を被り、ファンドは存亡の危機に立たされた。しかし、アックマンはこの大失敗から学び、より一層、投資対象の質を重視するようになった。以降のパーシング・スクエアは、単なるアクティビズムを超え、「持続的な競争優位性を持つ卓越した企業への長期投資」という新たな形に進化している。
◆「100年に一度」の機会を掴む危機への嗅覚
そもそもアックマンの名を世界に轟かせたのは、2020年3月の「世紀のヘッジ」だ。新型コロナウイルスの感染拡大直前に、2700万ドルのコストでクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を購入。市場が崩壊した3月末には、そのポジションが26億ドルにまで膨らんだ。投資額の約100倍という空前絶後のリターンを実現したこの取引は、ヘッジファンドの歴史に残る「奇跡」として語り継がれている。
しかも驚くべきは、アックマンがこのヘッジで得た利益を、同時に暴落した株式の買い増しに即座に充てたことだ。ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングス<HLT>やレストラン・ブランズ・インターナショナル<QSR>などの株式を底値圏で大量購入し、その後の相場回復で莫大な利益を上げた。「最悪の事態への備えと、回復局面への全力投球」。これがアックマン流の危機対応の真髄だ。
近年のアックマンで最も注目すべき動きは、欧州に上場する既存のファンドに加え、米国版のクローズドエンド型ファンド「パーシング・スクエアUSA」のニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場を構想、ついに実現したことだ。2026年4月29日、同ファンドは資産管理会社パーシング・スクエア<PS>との複合IPOという形で50億ドル(約7500億円以上)を調達し、同タイプのファンドとしては史上最大規模での上場に成功した。上場初日の株価は公開価格を大幅に下回る厳しいスタートとなったものの、アックマンの個人投資家向けビジネスへの本格参入として大きな節目となった。
この構想の背景には、「個人投資家にもアクセス可能なヘッジファンド」という理念がある。通常、ヘッジファンドの顧客は機関投資家や超富裕層に限られる。上場ファンドという形を取ることで、一般投資家がアックマンの運用の恩恵を受けられる仕組みを作ろうというわけだ。
また、アックマンはSNSでの発信にも積極的で、X(旧ツイッター)では200万人を超えるフォロワーを持ち、市場の動向や投資哲学についての持論を頻繁に発信している。「大衆との対話」を厭わないこの姿勢は、他のヘッジファンドマネジャーとは一線を画すものだ。こうした「開かれた投資家」像の追求もまた、次世代を見据えたアックマンの戦略の一部なのかもしれない。
◆アマゾンが上位銘柄に躍進、AI時代の競争優位性に焦点を当てる
では次に、ビル・アックマン率いるパーシング・スクエアの2025年のポートフォリオを「13F」で追ってみよう。まず総評価額の推移を見ると、年初の119億ドルから年末の155億ドルへと、約30%の成長を遂げている。しかもその伸びは銘柄数を増やすことではなく、既存銘柄の価値向上と戦略的な銘柄入れ替えによって達成されている点が集中投資を旨とするアックマンらしい。
| 【2025年 1Q】総評価額:119億3089万ドル | ||||
| 順位 | 社名<ティッカー> | 評価額 | 保有比率 | 保有株式数(前期比) |
| 1 | ウーバー・テクノロジーズ<UBER> | 22億774万ドル | 19% | 3030万株(新規) |
| 2 | ブルックフィールド<BN> | 21億4905万ドル | 18% | 4100万株 (↑) |
| 3 | レストラン・ブランズ・インターナショナル<QSR> | 15億3278万ドル | 13% | 2300万株 (→) |
| 4 | ハワード・ヒューズ・ホールディングス<HHH> | 13億9656万ドル | 12% | 1885万株 (→) |
| 5 | チポトレ・メキシカン・グリル<CMG> | 10億8158万ドル | 9.1% | 2154万株 (↓) |
| 【2025年 2Q】総評価額:137億2912万ドル | ||||
| 順位 | 社名<ティッカー> | 評価額 | 保有比率 | 保有株式数(前期比) |
| 1 | ウーバー・テクノロジーズ<UBER> | 28億2709万ドル | 21% | 3030万株 (→) |
| 2 | ブルックフィールド<BN> | 25億4577万ドル | 19% | 4116万株 (→) |
| 3 | レストラン・ブランズ・インターナショナル<QSR> | 15億2473万ドル | 11% | 2300万株 (→) |
| 4 | アマゾン・ドット・コム<AMZN> | 12億7757万ドル | 9.3% | 582万株(新規) |
| 5 | ハワード・ヒューズ・ホールディングス<HHH> | 12億7251万ドル | 9.3% | 1885万株 (→) |
| 【2025年 3Q】総評価額:146億4329万ドル | ||||
| 順位 | 社名<ティッカー> | 評価額 | 保有比率 | 保有株式数(前期比) |
| 1 | ウーバー・テクノロジーズ<UBER> | 29億6560万ドル | 20% | 3027万株 (→) |
| 2 | ブルックフィールド<BN> | 28億1316万ドル | 19% | 4102万株 (→) |
| 3 | ハワード・ヒューズ・ホールディングス<HHH> | 15億4907万ドル | 11% | 1885万株 (→) |
| 4 | アルファベット Class C<GOOG> | 15億4021万ドル | 11% | 632万株 (→) |
| 5 | レストラン・ブランズ・インターナショナル<QSR> | 14億6979万ドル | 10% | 2291万株 (→) |
| 【2025年 4Q】総評価額:155億2673万ドル | ||||
| 順位 | 社名<ティッカー> | 評価額 | 保有比率 | 保有株式数(前期比) |
| 1 | ブルックフィールド<BN> | 28億1778万ドル | 18% | 6140万株(↑↑) |
| 2 | ウーバー・テクノロジーズ<UBER> | 24億6827万ドル | 16% | 3020万株 (→) |
| 3 | アマゾン・ドット・コム<AMZN> | 22億1767万ドル | 14% | 960万株(↑↑) |
| 4 | アルファベット Class C<GOOG> | 19億3422万ドル | 13% | 616万株 (↓) |
| 5 | メタ・プラットフォームズ<META> | 17億6479万ドル | 11% | 267万株(新規) |
※保有株式数の前期比は5%未満の増減は→、5%~50%の増減は↑↓、50%以上の増減は↑↑・↓↓で表現。
最も印象的なのは、第1四半期にウーバー・テクノロジーズ<UBER>を3030万株という大規模な新規ポジションで取得し、一気にポートフォリオのトップに据えた動きだ。ライドシェアと配達プラットフォームの二大事業を持つウーバーは、AI(人工知能)時代における移動インフラの覇者として認識されつつある。競合他社に対する参入障壁の高さ、ネットワーク効果の強固さ、そして黒字転換後の利益成長。これらがアックマンの「持続的競争優位性」の基準を満たすと判断されたのだろう。事実、株価はその後力強い上昇を見せ、評価額は年間を通じて首位圏を維持し続けた。
ブルックフィールド<BN>への対応も見逃せない。カナダの複合資産運用会社として再生可能エネルギー、インフラ、不動産などに投資するこの企業は、年間を通じて常に上位2位以内に位置し続けた。注目すべきは第4四半期に前四半期の4102万株から一気に6140万株へと大幅に買い増したことだ。株価が相対的に出遅れていると判断した場面での追加投資は、「信念のある銘柄に迷わず追加投資する」というアックマンの集中主義の真骨頂を示している。
第2四半期以降のアマゾン・ドット・コム<AMZN>の新規取得と買い増しも重要な変化だ。クラウドサービスとEC(電子商取引)の圧倒的覇者であるアマゾンに対し、まず582万株を取得すると、第4四半期には960万株へと大幅に積み増した。評価額も22億ドル超と、ポートフォリオ3位の重要銘柄に成長している。第3四半期からトップ5入りしたアルファベット<GOOG>、第4四半期に新規取得したメタ・プラットフォームズ<META>ともども、アックマンが伝統的な「バリュー株」の枠を超え、質の高い大型テック企業への傾斜を強めていることが鮮明だ。半面、長年パーシングの代表的な保有銘柄だったチポトレ・メキシカン・グリル<CMG>がトップ5から外れた。
2025年のポートフォリオ変化を総じて言えば、「競争優位性の高い成熟企業への長期保有」を軸としつつ、AI社会到来を見越したテーマへの傾斜を強めた一年だったと評価できる。コア銘柄を堅守しながら、アマゾン、アルファベット、メタなどのビッグテック企業でポートフォリオを分厚く固めるという戦略は、「質への集中」というアックマン哲学の現代的な進化形と言えるだろう。
◆超集中ポートフォリオが映す、10年後に向けた「次の一手」とは
ここまで、ビル・アックマンの投資哲学と2025年の「13F」ポートフォリオ変遷を追ってきた。バリアント・ファーマでの大失敗から学び、「企業の質」を最優先とする姿勢へと進化したアックマンの現在のポートフォリオは、かつての「問題企業をアクティビズムで変革する」スタイルからは大きく様変わりしている。
現在のパーシング・スクエアが選ぶ銘柄群に共通するのは、強固なブランド力、ネットワーク効果、あるいは独占的なプラットフォームという、企業の競争優位性を盤石なものとする「経済的な外堀」の存在だ。これはバフェット哲学に通じる視点でもあり、かつて「暴れ馬」と呼ばれたアックマンが、真の意味でのクオリティ投資家へと成熟したことを示しているのかもしれない。
超集中ポートフォリオという選択は、確かにリスクを伴う。だがその一方で、強い信念を持って選んだ少数の「傑出した企業」への長期投資が、時として市場平均を凌駕するリターンをもたらすことを、アックマンは繰り返し証明してきた。本連載では引き続き、次の「世紀の一手」を狙うこの「劇場型投資家」のポートフォリオの変化を定点観測していく。
◆ビル・アックマンの投資スタイルとこれまでの足跡については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ、ご参照ください。
パーシング・スクエアのビル・アックマン(前編)―デリバティブを奏でる男たち【17】
パーシング・スクエアのビル・アックマン(後編)―デリバティブを奏でる男たち【17】
パーシング・スクエアのビル・アックマン(前編)―デリバティブを奏でる男たち【17】
パーシング・スクエアのビル・アックマン(後編)―デリバティブを奏でる男たち【17】
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