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    2024年2月19日 13時01分

    S&P500 月例レポート ― M7効果で相次ぎ大台突破、最高値を6回更新 (4) ―

    ●個別銘柄

     ○ヘルスケア企業のイーライ・リリー<LLY>は、インターネットによる遠隔診療を通じて同社の肥満症治療薬「Zepbound(ゼップバウンド)」の処方と宅配を提供する新たなサービスを開始しました。

     ○エネルギー大手のシェブロン<CVX>は、2023年第4四半期に、上流部門の資産(主にカリフォルニア州)に関して35億?40億ドルの引当金を計上することを明らかにしました。

     ○穀物大手のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド<ADM>は、同社の会計慣行の調査を行うにあたり、最高財務責任者(CFO)に休職を命じました。

     ○宅配サービス大手のユナイテッド・パーセル・サービス<UPS>は、全従業員49万5000人のうち12万人の人員削減と、従業員に週5日のオフィス勤務を求める方針を発表しました。

    ●注目点

     ○フロリダ州は米連邦政府機関から、州として初めて、カナダから医薬品を輸入する許可を得ました。米国議会は20年前にカナダからの処方薬輸入を認める法律を成立させましたが、政府機関が許可してきませんでした(許可を命じる裁判所命令の最終日に許可が下りました)。

     ○2024年の新たな規則を受けてバッテリー部品(中国製)に対する規制が強化されたことから、購入による米国での7500ドルの税額控除の対象となる電気自動車の車種が13種に減少しました。対象車リストから外れた自動車メーカーは、控除の対象となるよう、代替部品の調達を急いでいます。

     ○通信大手のベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>は、主にのれんの減損として58億ドルの減損損失を計上することを明らかにしました。第4四半期は同社の年度末であり、評価額の引き下げが行われることで知られていますが、今年は簿価(2023年第3四半期には過去最高を記録)の引き下げを行う事態となりました。

     ○破綻したシグネチャーバンクの資産を昨年取得した地方銀行のニューヨーク・コミュニティ・バンコープ<NYCB>は赤字を計上し、将来の損失に備えて引当金を積み増しました。

    ●配当金

     ○2024年1月の配当支払い額は前年同月比7.4%増加しました(2023年12月は同4.8%減少)。

      ⇒1月の配当支払額は前年同月の1株当たり3.99ドルから4.28ドルに増加しました。支払総額も前年同月の334億ドルから360億ドルに増加しました。

     ○2024年1月は、増配が35件、配当開始が0件、減配が1件で、配当停止はありませんでした。2023年1月は、増配が32件、配当開始が1件で、減配と配当停止はありませんでした。

      ⇒2023年通年では、増配が348件、配当開始が11件、減配が26件、配当停止が4件ありました。2022年は、増配が377件、配当開始が7件、減配が5件で、配当停止はありませんでした。

     ○増配率の中央値は12月の5.88%から1月は6.90%に上昇しました(11月は7.69%)。1月の平均増配率は12月の7.48%から8.59%に上昇しました(11月は9.41%。いずれも2倍以上になった銘柄を除く)。2023年の年間の増配率の中央値は7.01%(2022年と2021年はともに8.33%)、平均値は8.68%(同11.80%、同11.76%)でした。

     ○2024年の配当に関して、当初予想は増加となっており、年間の増配率は1936年以降の平均である5.79%前後となる見通しです。この予想ではFRBによる2024年第2四半期末までの利下げ開始に加えて、景気の大幅な減速は回避され、政府の財政政策の大きな調整はない(政策とインセンティブの継続を予想)ことを織り込んでおり、2024年の実際の現金支払額は、2023年の5880億ドルから約5.5%増加して、6200億ドルになると予想しています(2023年は5.05%増、2022年は0.80%増)。これにより2024年の現金配当は、15年連続の増加と13年連続の過去最高の更新が見込まれます。


    ●インデックス・レビュー
    ◇S&P 500指数

     S&P500指数 は1月に1.59%上昇して4845.65で月を終えました(配当込みのトータルリターンはプラス1.68%)。昨年12月は4769.83で終え、4.42%上昇(同プラス4.54%)、11月は4567.80で終え、8.92%の上昇(同プラス9.13%)でした。過去3ヵ月間では15.54%上昇(同プラス16.01%)しました。2023年は24.23%の上昇(同プラス26.29%)で、2022年の19.44%の下落を相殺しました。S&P500指数は4800を上回る水準で月を終え、一時4900を上回りました。また、1月に過去最高値を6回更新しました。1月の日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除して算出)は11月と12月の0.75%から0.79%に上昇しました。なお、2023年通年は1.04%、2022年は1.83%、2021年は0.97%、2020年は1.51%でした(長期平均は1.42%)。1月の出来高は、12月の前月比6%増加の後に、同5%減少し(営業日数調整後)、前年同月比では4%減少しました。2023年通年では前年比1%減で、2022年通年は同6%増でした。

     昨年12月の10セクターに対して、1月は11セクター中5セクターが上昇しました。1月のパフォーマンスが最も良かったのは、4.84%上昇したコミュニケーション・サービスです(2021年末比では3.58%下落)。騰落率最下位となったのは不動産で、1月は4.79%下落(同26.24%下落)しました。

     1月は1%以上変動した日数は21営業日中3日(上昇が1日、下落が2日)でした。12月は1%以上変動した日数は20営業日中3日(上昇が2日、下落が1日)でした。2023年通年は、1%以上変動した日数が250営業日中63日(上昇が37日、下落が26日)、2%以上変動した日数が2日(上昇が1日、下落が1日)でした。1月は21営業日中4日で日中の変動率が1%以上となり、2%以上の変動はありませんでした。12月は1%以上の変動が20営業日中2日で、2%以上の変動はありませんでした。2023年通年では1%以上の変動が113日、2%以上の変動が13日で、3%以上の変動はありませんでした(直近で3%以上の変動があったのは2022年11月30日)。2022年は1%以上の変動が218日、2%以上の変動が89日、3%以上の変動が20日でした(4%以上の変動が4日、5%以上の変動が1日)。

     1月は値上がり銘柄数が減少し、値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を上回りました。1月の値上がり銘柄数は224銘柄(平均上昇率は4.75%)と、12月の416銘柄(同8.91%)から減少しました。10%以上上昇した銘柄数は24銘柄(同13.29%)と、12月の149銘柄(同15.74%)から減少し、25%以上上昇した銘柄も1銘柄と、12月の8銘柄から減少しました。一方、1月の値下がり銘柄数は279銘柄(平均下落率は5.28%)と、12月の86銘柄(同2.97%)から増加しました。1月は10%以上下落した銘柄数は39銘柄(同14.50%)で、12月の3銘柄(同12.18%)から増加し、25%以上下落した銘柄は12月と同様にありませんでした。2023年通年では、12月に値上がり銘柄数が増加し、値上がり銘柄数は322銘柄(11月末時点の年初来は277銘柄)で、値下がり銘柄数は179銘柄(同224銘柄)でした。10%以上上昇した銘柄数は248銘柄(同190銘柄)、10%以上下落した銘柄数は85銘柄(同135銘柄)でした。143銘柄(同104銘柄)が25%以上上昇し、20銘柄(同39銘柄)が25%以上下落しました。


    [執筆者]
    ハワード・シルバーブラット
    S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
    シニア・インデックス・アナリスト


    ※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。

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