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    2025年11月4日 18時15分

    マーケット&北陸経済動向(11/4)【今村証券アナリストレポート】

    (1)マーケット動向

     日本の株式市場は活況が続いている。日経平均株価は5万円台に乗せ、過去最高値を更新した。人工知能(AI)向け投資の活発化を背景に、成長期待の高い半導体関連銘柄にマネーが流入していることが要因だ。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測も投資家のリスク選好姿勢を強め、世界の株式市場が強含みで推移している。米国ではダウ工業株30種平均やナスダック総合株価指数など主要指数が過去最高値を更新し、英FTSE100種総合株価指数や韓国KOSPI、台湾加権指数なども最高値を更新、中国では上海総合指数が10年3カ月ぶりの高値水準となった。殊に日本では高市政権発足と高い内閣支持率が株高に拍車をかけた。足もとの日経平均株価の上昇率は9月末に比べて1割超上昇し、主要国の中でもトップクラスの上昇率だ。

    【タイトル】

     株高を牽引するのはAI関連だ。米マイクロソフト<MSFT>や米アルファベット<GOOG>など米国の巨大テック企業がAIインフラに巨額な投資を続けている。こうした中で、米エヌビディア<NVDA>の時価総額が世界の企業として初めて5兆ドル(約760兆円)を突破するなど半導体関連には買いが続き、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が最高値を更新した。日本でもソフトバンクグループ <9984> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]が株式分割考慮後の上場来高値を更新した。

     米中の関税交渉の進展期待も投資家心理を改善させた。国際通貨基金(IMF)は米国と主要国・地域の関税交渉の進展を反映して、2025年の世界経済見通しを3.2%と7月時点から0.2ポイント上方修正している。10月30日にトランプ米大統領と中国の習近平国家主席が会談し関税率を引き下げると表明、貿易摩擦緩和によって世界経済への悪影響が緩和されるとの期待は高まる。

    【タイトル】

     足もとにおいて注目度が高いのは企業決算だ。米マイクロソフトや米アマゾン・ドット・コム<AMZN>が発表した7~9月期決算では純利益が最高益を更新するなど、米大手テック企業の業績は総じて好調だ。日本ではアドバンテストが通期業績予想を大幅に上方修正するなど、AI関連企業の好業績が目立つほか、想定為替レートの見直しで通期業績予想を上方修正する企業もみられる。一方、米関税政策の影響が本格化するのは今期下期以降として、先行き不透明感に言及する企業もみられる。業績見通しや経営者のコメントなどに注目したい。

    【タイトル】
    【タイトル】

    1 段目:MSCI 全世界株指数、2 段目:赤:日経平均株価 青:米ダウ工業株30 種平均、3 段目:ストックス600、4 段目:円相場(青:対米ドル、緑:対ユーロ)、5 段目:米長期金利
    出所:ブルームバーグ


     日米の金融政策も注目材料だ。日銀は10月の金融政策決定会合では利上げを見送ったが、次回12月ないしは来年1月に利上げするとの観測が根強い。一方、米国については追加利下げ観測が根強いものの、パウエルFRB議長は12月の利下げについて「既定路線というにはほど遠い」と利下げ期待をけん制する発言をした。米連邦政府機関の閉鎖によって公表されている経済データが乏しいことも金融当局の慎重な姿勢につながっている面はあるが、米金融政策の方向性に不透明感が出てきたことには注意が必要だ。物価の高止まりを背景にFRBの利下げ打ち止めが意識されれば、株式市場にはネガティブだ。引き続き物価などの経済指標や雇用統計とともに、FRB高官発言などが注目されそうだ。

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     緩やかな経済成長と低金利を背景に株式市場は堅調に推移すると考えるものの、足もとの急速な株価上昇によって高値警戒感は根強い。米ハイテク株の動向次第で日本株も大きく変動する可能性がある点には注意したい。他方、半導体関連以外やグロース市場などには出遅れ感がある。市場優位性の高いビジネスモデルを持つ銘柄(いわゆるクオリティ銘柄)への投資も一考と考える。

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    (2)北陸経済動向

     北陸経済は緩やかに回復しているものの、一部に弱めの動きがみられる。前月に続き消費は堅調なものの、生産は弱い。

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     個人消費においては、観光が底堅く推移しており、スーパーやドラッグストア、コンビニエンスストアなどでは物価上昇の影響などから売上が伸長している。8月の商業動態統計小売6業態販売額(全店ベース)が前年同月比3.9%増と42カ月連続で前年を上回った。

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     他方、生産は弱く、8月の鉱工業生産指数(速報値、季節調整済)は前月比で1.4%減と2カ月ぶりに低下、前年同月比では2.9%減と7カ月連続で前年を下回った。生産用機械工業に持ち直しの動きがみられるものの、電子部品・デバイス工業は一時的に上昇したものの自動車向けが振るわず後退の動きとなっているほか、金属製品工業が弱い動きとなっており、総じて弱い動きとなっている。

    【タイトル】
    【タイトル】

     生産の動きは弱いものの、企業の景況感は堅調だ。日銀金沢支店が発表した9月の企業短期経済観測調査(短観)によると、製造業の業況判断指数(DI)は前回調査(6月)から10ポイント改善のプラス8となった。日米間の相互関税率が15%で妥結したことで、関税影響が想定よりも下回るとの見方が広がったようだ。非製造業のDIもプラス14と2ポイント上昇した。

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     先行きについては関税などの影響に慎重な見方もあるうえ、海外景気の動向、国内物価の動向などに注意する必要がありそうだ。

    (参照:日銀金沢支店発表資料「北陸の金融経済月報」、「北陸短観」、国土交通省発表資料、経済産業省及び経済産業省中部経済産業局発表資料、財務省北陸財務局発表資料、内閣府発表資料より今村証券作成)



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    今村証券より提供されたレポートを掲載しています。

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