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    2025年5月23日 16時22分

    米国債格下げ~税制法案と連邦債務上限の狭間【フィリップ証券】

     5/16の米国株式市場の取引時間終了後、米大手格付会社ムーディーズ・レーティングスが米国債の信用格付けを最上位「Aaa」から「Aa1」に引き下げた。米国債10年物の利回りは、時間外取引に当たる週明け5/19アジア時間で4.5%の節目を超えた。他の米大手格付け会社のうちS&Pグローバル・レーティングは2011年8月に、フィッチ・レーティングスは2023年8月に既に最上位から1段階引下げている。ムーディーズも2023年11月に見通しを最上位の中で「安定的」から「ネガティブ」に引き下げていた。その意味では今回の格下げは「織り込み済み」であり、米国株への投資に大きな影響を与えないと考えられるのだろうか?

     トランプ大統領が推進する包括的な税制法案は5/16,下院予算委員会で行われた採決で21人の共和党議員のうち5人が法案阻止に票を投じ、重要な手続き上の障壁を乗り越えることができなかった。造反議員は、①低所得者向け医療保険制度(メディケイド)の一層の削減と、②民主党が実施したグリーンエネルギー減税の完全撤廃の二点に同意しない限り、支持を見送る姿勢を示している。特に、①を巡っては調整が難航する可能性がある。

     包括的な税制法案が可決されてトランプ政権の掲げる主要な政策に財源が確保されるとしても、米国の債務残高は現在36.2兆ドルと、1月に議会が設定した36.1兆ドルを上回る。財務省がデフォルト回避に向けて一時的措置を採る中、議会で連邦政府債務上限の引き上げまたは停止の措置を講じる必要がある。

     今回のムーディーズによる米国債の格下げは、①金利上昇による借入コスト増加、②大規模な財政赤字の継続、③連邦議会における政治的対立などに伴う政治的な機能不全が理由として挙げられている。法案が通り、かつ、連邦政府債務上限の引き上げまたは停止の措置が採られれば、大規模財政赤字への懸念が深まる一方、法案が通らなければ政治的な機能不全が現実のものとなる。どちらに進んでも、格付会社による米国債への見方は厳しくなるだろう。

     S&P500株価指数は5/12以降、200日移動平均を超えて推移している。終値の200日移動平均で見ると、5/16の5759ポイントは、4/2の過去最高水準まであと3ポイントの水準だ。トランプ大統領の中東歴訪により、サウジアラビア、カタール、UAEの首脳から大規模投資の確約を引き出し、バイデン政権が定めた先端半導体の輸出規制についても友好的な中東諸国に対して緩和する方針を打ち出した。半導体関連を中心とした追い風は5/29発表予定のエヌビディア<NVDA>による決算発表近辺まで続く可能性は残される。ただ、それ以降は夏~秋に向けて、S&P500が2022年と同様に、200週移動平均に向けて下落する可能性も見ておきたい。5/16終値の同200週移動平均は4712ポイントである。


    ■S&P500の200日・200週の移動平均

     米国の主要株価指数であるS&P500の5/12終値は5844ポイントとなり、3/26以来の200日移動平均超えを達成した。S&P500は米英の関税交渉の進展や米中貿易摩擦の緩和を背景に上昇基調を辿る中、200日移動平均は5/14が5754ポイントと、4/2の過去最高水準である5762ポイントよりも僅かに低い水準にとどまる。S&P500の日次終値は、200日移動平均が2022年4月に下落基調に転じた後、同移動平均を上回った時点を戻り高値として再度下落することを暫く繰り返した。

     一方、過去6年間におけるS&P500の週次終値は、2020年4月、および2022年10~2023年4月のように、200週移動平均が調整下落からの反転上昇の目処として機能している面が窺われる。5/9終値における200週移動平均は4704ポイントである。


    【タイトル】


    参考銘柄


    シスコシステムズ<CSCO> 市場:NASDAQ・・・2025/7/31に2025/7期4Q(5-7月)の決算発表を予定

    ・1984年設立。世界最大のコンピューターネットワーク機器開発会社で、ルーター、スイッチ、ワイヤレスLAN、アクセスポイント、IP電話、ビデオ会議端末、セキュリティ、ソフトウェアなど手掛ける。

    ・5/14発表の2025/7期3Q(2-4月)は、売上高が前年同期比11.4%増の141.49億USD(会社予想 139-141億USD)、非GAAPの調整後EPSが同9.1%減の0.96USD(同0.90-0.92USD)。調整後粗利益率が同1.6ポイント上昇。2024年3月に買収したスプランクのクラウド関連の継続課金が利益面で貢献。

    ・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比5.0-5.4%増の565-567億USD(従来計画560-565億USD)、調整後EPSを同1.1-1.6%増の3.77-3.79USD(同3.68-3.74USD)とした。関税の影響による企業の裁量的支出縮小、および大型データセンター運営企業によるプロジェクト縮小の中でも、AI(人工知能)ソフトウエア急増に伴うクラウド・プロバイダーのネットワーク拡大が追い風となっている。


    エレクトリック・アーツ<EA> 市場:NASDAQ・・・2025/7/29に2026/3期1Q(4-6月)の決算発表を予定

    ・1982年設立の娯楽向けソフトウェアメーカー。ゲーム機、PC、スマホ等向けゲームを開発し世界中で販売。FIFA、NBA、NFL、F1等幅広いスポーツ商標使用ライセンス契約を取得しeスポーツに注力。

    ・5/6発表の2025/3期4Q(1-3月)は、売上高が前年同期比6.5%増の18.95億USD(会社計画:16.82-18.32億USD)、EPSが同46.3%増の0.98USD(同:0.65-1.00USD)。売上高からオンラインゲーム繰延収益の影響除く純受注額は8.0%増。2024年7月リリースの「College Football 25」のヒットが貢献。

    ・2026/3通期会社計画は、売上高が前期比▲5%~+0.5%の71-75億USD、EPSが同27-11%減の3.09-3.79USD。IOC(国際オリンピック委員会)は2024年7月、パリで開催の総会でIOC主催のeスポーツ大会「Olympic Esports Games」を新設することを決定。第1回は2027年にサウジアラビアで開催の予定。スポーツに強い同社ゲームに関するタイトルが採用される可能性が高く、報道が注目される。


    エンブラエル<ERJ> 市場:NYSE・・・2025/8/5に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

    ・1969年設立のブラジルの航空機メーカー。世界3位の航空機メーカーでブラジル最大の輸出企業。民間航空機やプロペラ機、軍用機、ビジネスジェット機の設計、開発、製造、販売を行う。

    ・5/6発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比23.0%増の11.03億USD、非IFRSの調整後EPSが前年同期の▲0.069USDから▲0.400USDへ赤字幅拡大。3月末受注残は同25%増の264億USDと堅調。うち防衛向けが73%増の42億USD、経営者向けが66%増の76億USDと堅調に拡大。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比9-17%増の70-75億USD、調整後フリーキャッシュフローが同70%減の2億USD以上で従来計画据え置き。傘下で「空飛ぶ車」の電動垂直離着陸機の設計製造を手がけるイブ・ホールディング<EVEX>は3月末時点のeVTOL受注残が9ヵ国・28顧客から2800機と世界有数。イブ社は売上未計上も、受注に基づく会社予想累計収益は最大140億USD。


    IBM<IBM> 市場:NYSE・・・2025/7/23に2025/12期2Q(4-6月)の決算発表を予定

    ・1911年設立。多様なコンピューターソリューションを提供。ストレージ製品やサーバー製品のほか、AIの「Watson」やクラウドサービス、IoT、アナリティクス、コンサルティング等も手掛ける。

    ・4/23発表の2025/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比0.5%増の145.41億USD、継続事業関連の非GAAPの調整後EPSが同4.8%減の1.60USD。AI拡大を背景にソフトウェア事業が7%増収の一方、大型投資を手控える動きからコンサルティング事業とインフラ事業が減収だった。

    ・通期会社計画は、為替変動の影響を除いた売上高が前期比5%増、フリーキャッシュフローが同6%増の135億USDと、従来計画を据え置き。2023年7月に提供を開始した法人顧客向けAI「ワトソンX」に伴うAI関連事業は3月末までの累計受注額60億USDを超え、1Qで10億USD増加した。大型データセンターのプロジェクトが縮小傾向も、AI関連需要は引き続き拡大が見込まれる。


    レスメド<RMD> 市場:NYSE・・・2025/8/1に2025/6期4Q(4-6月)の決算発表を予定

    ・1989年設立。睡眠無呼吸障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など呼吸器疾患の医療機器(CPAP)を取り扱う医療機器大手。相次ぐ買収でクラウド型ソフトウエア・ソリューション関連のSaaS部門を拡充。

    ・4/23発表の2025/6期3Q(1-3月)は、売上高が前年同期比7.9%増の12.91億USD、非GAAPの調整後EPSが同12.7%増の2.37USD。睡眠・無呼吸障害の問題意識浸透が追い風。営業効率性とコスト削減への注力が奏功し、調整後粗利益率が1.40ポイント改善、営業キャッシュフローが44%増加。

    ・2025/6期会社見通しは未公表。同社は、世界主要市場において睡眠時無呼吸症候群(医療機器必要)で10億人、派生市場のCOPDで4億8000万人、不眠症で8億人の患者(合計で約23億人)が存在すると見ている。COPDと不眠症に対しては在宅でのデジタル機器ソリューションが有効とみられる。継続課金でクラウド型のデジタル機器ソリューション拡大により、利益率の向上が見込まれる。


    執筆日:2025年5月19日


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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