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    2024年4月4日 18時25分

    イースター明けの重要週~医療・ヘルスケア分野に注目【フィリップ証券】

     春分の日以降、最初に迎える満月の日以降の最初の日曜日の「復活祭」に伴うイースター休暇に関し、今年は土日除く四半期末と祝日が重なった。海外投資家の本格的な相場参戦と四半期明けも重なることから、4月第1週は当面の米国株相場の方向性を決める上で重要な週となりそうだ。

     パウエル米FRB(連邦準備制度理事会)議長は「当局は利下げを急いでいない」としつつも、「今年のある時点で政策金利を引き下げることが適切」と繰り返し発言している。この点は米国株市場にとって心強い材料であるものの、中東ではイスラエル軍が親イラン組織やイラン大使館を標的としてシリアを空爆したほか、ロシアでも3/22に起きた大規模テロ事件を契機にウクライナへの攻撃激化が懸念されるなど、地政学リスクが臨界点を超える兆しが見え始めた。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)を米国株を代表するS&P500指数で割った「SOX/S&P500」倍率、ナスダック100指数をダウ工業株30種平均株価で割った「ナスダック100/ダウ平均」倍率ともに、今年3月にITバブルに沸いた2000年3月以来の高水準に達していたことから、半導体関連や大型ハイテク株中心相場の転換可能性も意識されやすいだろう。

     半導体大手エヌビディア<NVDA>を中心に資金を集めていた「生成AI(人工知能)」相場はどこへ向かうのだろうか?

     半導体製造プロセスやサーバーなどハードウエアからデータのインフラへ向かうほか、医療・ヘルスケア領域のイノベーションへ向かう潮流の加速が想定される。エヌビディア自身が創薬のための生成AIプラットフォーム「BioNemo」を通じて独自データでモデルのトレーニング作業簡素化・高速化に取り組んでいる。イーライリリー<LLY>やデンマークのノボ・ノルディスク<NVO>が糖尿病治療薬を肥満症治療薬に進化させたように、生成AIの活用で既存の薬が他の病気に応用できないかどうかの解析などに使われ、創薬のスピードが加速するだろう。また、新型コロナ禍で遅延・先延ばしとなっていた重症患者の手術をはじめとして医療機器の需要が本格的に回復すると期待される。

     高齢化を背景として、退職者割合増に伴う労働力不足問題が深刻化するほど、メディケアなど高齢者向けの医療・ヘルスケア分野への義務的経費の歳出も増大することになるだろう。医療・ヘルスケア業界は人口動態をベースに高い確率で成長が見込まれる面もあるだろう。


    ■関連銘柄


    アッヴィ<ABBV> 市場:NYSE・・・2024/4/26に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

    【タイトル】

    ・2013年にアボット・ラボラトリーズ<ABT>から分社化。自己免疫疾患、オンコロジー、ウイルス学等の領域で医薬品を提供。関節リウマチ薬「ヒュミラ」が主力。分社化前から通算で50年連続増配中。

    ・2/2発表の2023/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比5.4%減の143.01億USD、非GAAPの調整後EPSが同22.5%減の2.79USD。同じ免疫疾患で乾癬性関節炎薬のスキリージとリンボクがそれぞれ同50%、同57%増収と成長も、売上比率27%の主力ヒュミラが後発薬に押され同32%減収。

    ・2024/12通期会社計画は、調整後EPSが前期比▲1~+1%の11.05-11.25USD。医薬品年商世界首位ヒュミラが他社後発品の影響で減収見通しも、2027年売上高で免疫疾患領域のスキリージとリンボク合計270億USD(従来計画210億USD)、片頭痛など神経科学領域のウブレルビーとクリプタ合計30億USD(同:20億USD)へ上方修正と、穴埋めが順調に進むと見込まれる。2029年まで平均複利増収率1桁台後半見通しは変わらず。



    GEヘルスケア・テクノロジーズ<GEHC>市場:NASDAQ・・・2024/4/25に2024/12期4Q(1-3月)の決算発表を予定

    【タイトル】

    ・2023年初にゼネラル・エレクトリック<GE>からスピンオフした医療機器メーカー。イメージング(医療画像診断装置)、超音波、患者ケアソリューション、診断薬(造影剤など)の4事業セグメントを営む。

    ・2/6発表の2023/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比5.4%増の52.06億USD、非GAAPの調整後EPSが同9.9%減の1.18USD。新規受注高は同3%増と伸長し、対売上高比率が1.05倍と堅調。他方、販管費や研究開発費が嵩んで売上高総費用比率が同4.8ポイント上昇の28.2%へ悪化。

    ・2024/12通期会社計画は、既存事業売上高が前期比約4%増、調整後EPSが同7-11%増の4.20-4.35USD、フリーキャッシュフローが同6%増の18億USD。同社は画像診断支援など医療分野へのAI(人工知能)の導入で先行。自社で画像診断支援AIを開発のほか同社のAI開発基盤「Edison Platform」を他社に開放してAI開発支援も営む。GPU半導体大手エヌビディア<NVDA>とも戦略的提携関係にある。



    インテュイティブサージカル<ISRG> 市場:NASDAQ・・・2024/4/18に2024/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

    【タイトル】

    ・1995年に設立。腹腔鏡手術のロボット支援システム「ダヴィンチ」や管腔内視鏡肺生検のロボットシステム「イオン」の開発・製造・販売を行う。ダヴィンチの設置台数は2023年12月末時点で8604台。

    ・1/23発表の2023/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比16.5%増の19.28億USD、非GAAPの調整後EPSが同30.0%増の1.60USD。新型コロナ関連に伴う逆風の影響が収束し、ダヴィンチは出荷件数が同12%増、手術件数が同21%増、昨年末時点の合計設置台数が同14%増と拡大した。

    ・4Qの前四半期比は売上高が10.6%増、調整後EPSが9.6%増と回復継続。心臓血管ほか幅広い範囲でより正確かつ患者負担少ない医療サービス提供のため外科手術ロボットに頼る比率が高まるなか、同社はAI(人工知能)活用の機械学習により手術の正確性向上を図っている。手術ロボット市場の約8割を占めるダヴィンチの手術に係るデータ量における強みを増し、同市場への参入障壁を一層高めよう。


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)


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    フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。



    株探ニュース