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    2023年10月26日 10時00分

    シェアリングビジネス成功に必要な3つの視点とは キャンピングカーシェア「Carstay」の事例から

    村上茂久のスタートアップ投資術-新世代アップルの見つけ方-(11)

    【タイトル】村上茂久
    株式会社ファインディールズ代表取締役、GOB Incubation Partners株式会社フェロー、iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授。大学院の経済学研究科を修了後、新生銀行で証券化、不良債権投資、不動産投資、プロジェクトファイナンス、ファンド投資業務等に従事。2018年より、GOB Incubation Partners株式会社のCFOとして新規事業開発、起業支援、スタートアップファイナンス支援業務等を手掛ける。2021年1月に財務コンサルティング等を行う株式会社ファインディールズを創業。著書に「決算書ナゾトキトレーニング 7つのストーリーで学ぶファイナンス入門」「一歩先の企業・株価分析ができる マンガでわかる 決算書ナゾトキトレーニング」(PHP研究所)がある。

     スタートアップ企業(ベンチャー企業)の市場は年々成長し、2022年に資金調達額が8774億円(2224社)を記録するなど、近年、日本でも盛り上がりを見せています。

     本連載では、株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームである「FUNDINNO」を通じて資金調達を行った企業を毎回取り上げ、スタートアップ企業のビジネスモデルや成長戦略について、これまで、数多くのスタートアップ企業の資金調達支援を行ってきた株式会社ファインディールズ代表取締役の村上茂久さんが考察します。

     村上さんは「スタートアップ企業は情報が少ないものの、調達にあたり、投資家に刺さるポイントがある程度、形式知化されていることも分かってきた」と話します。

     事業が成熟している上場企業とは異なるスタートアップ企業を分析する際、どのような視点が必要とされるのでしょうか。

     今回は、キャンピングカーのシェアリングと車中泊スポットを同時に予約できる一気通貫型のサービス「Carstay」を提供しているCarstay株式会社を取り上げます。AirbnbやUberの普及により、だいぶ定着したシェアリングビジネスの最前線について考察していきます。

    キャンピングカーのシェアリングサービス

     まず、シェアリングのビジネスとしては何を思い浮かべるでしょうか。海外で言えば、Airbnb<ABNB>やUber Technologies<UBER>が有名ですし、国内で言えば、メルカリやスキルシェアのココナラが有名です。メルカリ <4385> [東証P]の創業は2013年、そして、ココナラ <4176> [東証G]の創業は2012年です。2010年代前半、日本においてもスマートフォンの普及もあり、シェアリングサービスがこの10年で一気に広まっていきました。

     シェアリングビジネスは、今では多くの業界で使われています。図表1は、シェアリングエコノミーの領域マップです。

    <図表1>(画像をクリックすると、大きな画像が表示されます)
    【タイトル】

    出所:一般社団法人シェアリングエコノミー協会


     シェアリングは今や、モノはもちろんのこと、空間、スキル、お金、そして移動においても利用されています。そのような中、今回取り上げるのはキャンピングカーのシェアリング事業を行っているCarstayです。

     移動のシェアリングと言えば、タクシーのUberを筆頭に、自転車のドコモ・バイクシェア、HELLO CYCLING、チャリチャリ、キックボードではLUUP等が有名です。それでは、キャンピングカーのシェアリングを提供しているCarstayはどのような特徴があるのでしょうか。

     シェアリングビジネスにおいては、需要と供給のマッチングが非常に重要になってきます。シェアリングの代表例とも言えるAirbnbにしろUberにしろ、供給者と需要者がたくさんいたからこそ成り立ったと言えます。Carstayが扱うキャンピングカーは、ホテルや自動車とは決定的に違う特徴があります。それは、そもそも、キャンピングカーの供給量が圧倒的に少ないということです。

     キャンピングカーの販売台数はこの10年間でなんと2.7倍にも増えていて、保有台数は過去最高になっています。それだけではありません。新車は2~3年待ちと、キャンピングカーを欲しくてもすぐに買える状況ではないのです。

    【タイトル】

    出所:<月間流通額前年度比約200%>キャンピングカーのシェアリング。トヨタモビリティ東京や自治体との提携で急成長「Carstay」


     他方、供給側としてはどうでしょうか。キャンピングカーのオーナーが、いくらキャンプが好きだといっても、毎週、キャンピングカーを使うとは限りません。加えて、平日は不稼働の日も多いと思われます。そういう意味では、キャンピングカーに関して、需要過多の状況で、不稼働のキャンピングカーをCarstayのシェアリングを通じてマッチングするニーズは非常に多いと言えます。

     実際、会員数は2023年5月時点で、ユーザー・オーナー含めて約3.8万人まで増えています。第1回の連載で、Product Market Fit(PMF)について取り上げました。PMFとは、プロダクトやサービスが市場に受け入れられる状態のことを言います。すでに3.8万人の会員数を獲得しているということは、CarstayはPMFを達成している状況と言えるのです。

    シェアリングビジネスで重要な3つの視点

     PMFが達成されているとして、シェアリングビジネスにおいて重要な点は次の3つです。

     まず第1に、レビュー数です。シェアリングビジネスにおいては、貸し手も借り手も個人となります。そのため、サービスの品質管理が非常に重要になってきます。通常のレンタルの場合は、企業側が品質をコントロールできますが、CtoC(Consumer to Consumer)であるシェアリングでは、品質を必ずしもコントロールできません。そのために重要になるのが、レビュー(評価)です。

     利用者による高いレビューがあることで、顧客は安心してシェアリングを活用できるのです。実際、シェアリングの顔とも言えるAirbnb、Uber、メルカリ、ココナラ等ではレビューが上手に機能しています。

     では、Carstayではどうでしょう。Carstayではエリア・都道府県でキャンピングカーを探せますが、ここでは、東京で貸し出されているキャンピングカーを見てみましょう。一番人気のキャンピングカーは60ものレビューがあり、星は5点満点で5点です。このような利用状況だと、顧客も安心してキャンピングカーを借りることができると言えます。

     第2にGMVです。GMVとは、「Gross Merchandise Value」の略であり、「流通総額」を意味します。例えば、メルカリで言えば、商品の売買された金額の総額を意味し、Uber Eatsでいうと、オーダーされた金額の総額を指します(※1)。

     例えば、Carstayを通じて1回、キャンピングカーを借りる平均単価が2万円としましょう。Carstayで100回取引が行われれば、2万円×100=200万円がGMVになります。このGMVはCarstayの直接の売上ではありませんが、シェアリングビジネスにおいては、いかにGMVを上げるかが、経営の成長におけるKPIとなっています。

     Carstayでは、月間GMVが約3000万円となっていて、昨年度比約200%成長を遂げています。仮に1回あたりの単価が2万円だとすると、月間で1500回ものシェアリングが行われていることになります。2024年の予測だと、GMVは1億円と想定されています。そのため、単価が2万円だとすると、月間で5000回もの取引が行われることが想定されているのです。

    【タイトル】

    出所:<月間流通額前年度比約200%>キャンピングカーのシェアリング。トヨタモビリティ東京や自治体との提携で急成長「Carstay」


     最後にテイクレートです。テイクレートとは、GMVからプラットフォーマーが受け取る手数料のことを指します。例えば、メルカリのテイクレートは流通総額に対して10%です。つまり、1000円の商品の売買がメルカリ上でされたら、10%に当たる100円を手数料としてメルカリは受け取ることになります。

     では、Carstayのテイクレートはいくらでしょうか。事業計画によれば、2024年の月間GMVは1億円と想定されており、年間のGMVは12億円となります。他方、売上は約2.18億円と想定されており、テイクレートは2.18億÷12億円=23%ということになります。つまり、20%前後をテイクレートとして見込んでいるということです。

     以上のように、シェアリングビジネスではレビュー数、GMV、テイクレートが縦横になってきますが、Carstayはいずれにおいても急成長中と言えます。

    今後、Carstayはどのようにして成長していくのか

     PMFを達成した後、スタートアップ企業に求められるのは「成長の検証」です。すなわち、サービスが市場に受け入れられた上で、その後、どれだけ成長を維持できるかがポイントになります。

     CtoCビジネスにおけるシェアリングビジネスでは、多くの場合、広告宣伝費が成長のポイントとなってきます。実際、シェアリングの代表格であるメルカリは売上の半分以上を広告宣伝費に費やして、上場後も複数年赤字のまま、GMVを伸ばして成長を続けてきました。その上で、継続的にユーザーに使ってもらうことで、生涯顧客価値(Lifetime Value)を上げてきたのです。

     Carstayも同様に、広告宣伝費を使って成長をいかにできるかがポイントになりそうです。一方で、キャンピングカーというサービスの特殊性から、一般向けに広告宣伝費を大量に使わなくとも、口コミで成長する可能性もあります。今後の成長検証においては、広告宣伝費を抑えながら、いかに生涯顧客価値を高めるかが重要になってくるでしょう。

     キャンプブームも相まって、読者の中でもキャンピングカーに興味を持っている人も多いのではないでしょうか。キャンピングカー市場の成長とともに、Carstayもどのように伸びていくか要注目です。

    (※1)詳細は過去に連載した「『プラットフォーム型ビジネス』の成長には何が必要か 近くの空席を予約『すぐトル』の事例」を参照。
    https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202308210237



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