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    2026年10月3日 11時00分

    ESG最前線レポート─ドーパミン中毒からの脱却、ESG投資で中長期的視野を

    第60回 「ドーパミン中毒からの脱却、ESG投資で中長期的視野を」

    ●常に刺激を求めるドーパミン中毒

     昨今、SNSやショート動画などがもたらす強い刺激に慣れ、より強い刺激を繰り返し求めるようになった人々を指す「ドーパミン中毒(ドパ中)」という言葉をよく耳にします。

     若年層を対象にして用いられがちな言葉ですが、中高年層でも同様の傾向は広がっています。連続的な短時間の刺激に依存する「ドーパミン中毒」については、集中力の低下や無気力といった症状のほか、抑うつや不安障害などとの関連が指摘されています。(※「ドーパミン中毒」は医学的な正式病名ではなく、脳内で関与するメカニズムは報酬系のドーパミンに限られるわけではありませんが、本稿では簡易的に「ドーパミン中毒」と呼びます)。

     当然、勉強や仕事にも支障をきたすことになります。そのため、こうした刺激からあえて距離を置く「デジタルデトックス」や「ドーパミンデトックス」と呼ばれる取り組みも広がりをみせています。

    ●盛り上がるAI減速論

     こども家庭庁が2月に発表した調査によると、小中高生(10?17歳)の平日1日当たりのインターネット利用は5時間27分と過去最長となり、その3割が生成AI(人工知能)を利用していることがわかりました。瞬時に回答が得られ、即座に満足感をもたらすAIも、ある意味で「ドーパミン中毒」に似た側面があるといえるかもしれません。

     AIは今や、学術やビジネス、医療、安全保障など幅広い領域で欠かすことのできないツールとなっていますが、過熱する開発競争に対しては、その開発者自身が警鐘を鳴らす事態となっています。

     米新興AI企業アンソロピックのダリオ・アモデイCEO(最高経営責任者)が、「暴走した複数のAIエージェントが連携すれば、半年から1年以内にインターネット全体を乗っ取る可能性もある」と警告し、「AIの能力向上のペースを減速させる必要がある」と訴えたのです。

     この呼びかけに、ライバル企業であるオープンAIのサム・アルトマンCEOや宇宙開発・AI企業スペースX<SPCX>のイーロン・マスクCEOも賛同の姿勢を示しています。一方、トランプ米大統領はこうしたAI脅威論に対し「でっち上げだ」と強く反論しています。

    ●ESG投資で中長期的視野を

     AIはヘッジファンドや運用会社などの機関投資家でも積極的に使われています。AIの活用により、企業分析に費やす時間が大幅に短縮され、EPS(1株当たり純利益)予測の精度で人間のアナリストを上回ったという研究もあります。AIをリサーチツールとして駆使されている個人投資家の方も少なくないことでしょう。

     現在、株式市場ではAIインフラや防衛産業が人気セクターとして注目されています。しかしその陰で、環境問題や労働問題、人権問題、ガバナンスなど、持続可能な社会の実現につながる課題の解決は重要であるにもかかわらず、見過ごされがちです。短期的な華々しいリターンがもたらす刺激に酔うだけでなく、中長期的な視野を持って「あるべき社会」に投資するESGの視点が、今こそ必要とされているのではないでしょうか。

    情報提供:株式会社グッドバンカー

    (2026年9月18日 記/次回は2026年10月31日配信予定)

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