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    2026年8月19日 12時05分

    AI関連相場の戻り、銀行への逆風、注目される物色テーマ【フィリップ証券】

      米ヘッジファンドのシタデルがAI(人工知能)特化型のファンド「シチュエーショナル・アウェアネス」の保有していた株式ポートフォリオの大部分を買い取る形で介入・救済したことを受けて、7/30以降、日経平均株価はAI関連銘柄の買い戻し主導により堅調に推移した。米国の7月の雇用統計や消費者物価指数(CPI)など物価指標の発表を受けた米国利上げ観測の後退もその戻り上昇をサポートした。それに加え、8月第2週まで続いた4-6月期の決算発表も株価にポジティブなものが目立ち、幅広い銘柄が買われたことから、時価総額加重平均型のTOPIX(東証株価指数)は8/12以降、史上最高値を連日更新する展開となった。

     ただ、AI関連銘柄における7月の大幅下落を通じて、どれだけAI需要のファンダメンタルズが強くとも、AI関連ファンドが過大なレバレッジをかけていたことと、相場の少しのきっかけで下落に転じた際の怖さが明らかとなった。もはや強気一辺倒でAI関連銘柄に買い向かうことは難しい。市場参加者の多くは、AI関連銘柄への強気スタンスが変わらないとしても、いつでもポジションを縮小できるよう警戒を強めると考えられる。日経平均株価も米半導体株指数(SOX)と同様、6月下旬に史上最高値を付けた後、7月に下落し、7月末から反発している。同様の値動きをしている個別銘柄についても、AI関連ファンドの売買による影響を大きく受ける可能性が高い。一方で、日経平均株価の値動きに連動せず、6月から7月の間に底を打って反発してきた銘柄は、AI関連ファンドの影響を相対的に受けにくいと考えられる。

     7/7以降、日本国債の10年物と2年物の利回り格差(スプレッド)が縮小している。日米韓の円買い協調介入の効果を持続させるため、高市政権が日銀の早期利上げを支持する方向に傾いているという見方も出てきている。長期・超長期金利の押し上げ要因だった財政悪化リスクが一服気味であるのに対し、相対的に残存期間の短い国債利回りの上昇ペースが加速してきているのは、預貸利ざやを収益源とする銀行にとって逆風だろう。政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導水準が現在1.0%であるのに対し、メガバンク3行の普通預金金利や1年物定期預金金利は概ね年0.4~0.5%の水準にとどまる。メガバンク3行をはじめ銀行の利益が過去最高水準を更新する中、社会的にも預金金利の引き上げ圧力が高まると見込まれる。

     銘柄物色のテーマとしては、コメ価格の落ち着きが原材料コストの削減につながる飲食・食品関連、および参入企業が限られるなか10年間で1兆円規模の「宇宙戦略基金」など日本政府の国策の優先順位が高い宇宙関連などが注目される。宇宙関連は米スペースX<SPCX>の株価に連動しやすく、連れ安した場合の押し目は買いの好機となりやすい面もあるだろう。


    ■日銀利上げペース加速と銀行株~利上げ観測が銀行株に逆風となる局面

     日銀の利上げ観測が高まる場合、銀行株が値上がりすることが多い。その主な理由として、貸出金利がすぐに上がる一方、預金金利の上昇は比較的ゆっくりとなるため、預貸の金利差が拡大することが挙げられる。預金金利が短期金利の影響を受けるのに対し、貸出金利は長期金利の影響も受けることから、長短金利差の動向が銀行収益を通じて銀行株の動向に影響を与えると考えられる。

     日本国債の10年物と2年物の利回り格差の推移をみると、7/7に1.45%ポイントまで拡大後、8/7以降は1.20%ポイント前後まで縮小。拡大局面では高市政権の政策に伴う財政悪化リスクが長期金利を押し上げたのに対し、格差縮小の背景に財政悪化リスク懸念一服と日銀の追加利上げペース加速観測の高まりがある。

    【タイトル】


    参考銘柄


    亀田製菓<2220>

    ・1957年に新潟県中蒲原郡亀田町で設立。菓子の製造販売を主な事業内容とし、国内米菓事業、海外事業、食品事業、および貨物運送等のその他事業を営む。せんべいなど米菓で国内首位。

    ・7/31発表の2027/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比4.4%増の353億円、営業利益が同43.5%増の20億円。主な事業別営業利益は、国内米菓事業(売上比率52%)が45%増の14億円、海外事業(同38%)が3.1倍の5.5億円、長期保存食等を扱う食品事業(同6%)が31%減の0.9億円。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比3.6%増の1430億円、営業利益が同10.3%増の83億円、株式分割考慮後の年間配当が同2円増配の24円。同社は一部の米菓商品について10/1納品分から順次価格改定を実施すると6月に発表。一方で、「令和の米騒動」で高騰していたコメ価格は2026年に入って下落傾向にあり、主力の国内米菓事業は原材料コストの低減による追い風も見込まれる。


    エムスリー<2413>

    ・2000年設立でソニーG<6758>の関連会社。国内の医師会員30万人以上が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」、米国「MDLinx」や英国「Doctors.net.uk」でも医療従事者プラットフォームを運営。

    ・8/6発表の2027/3期1Q(4-6月)は、売上収益が前年同期比4.5%増の901億円、営業利益が同8.6%減の180億円。主な事業別セグメント利益は、メディカルプラットフォーム(売上比率28%)が1%減の88億円、海外(同25%)が5%減の46億円、キャリアソリューション(同9%)が2%減の36億円。

    ・通期会社計画は、売上収益が前期比13.8%増の4000億円、営業利益が同8.8%増の800億円、年間配当は未定(前期実績22円)。8/10、香港の投資ファンドであるオアシスの株式保有割合が5%超となったことが判明。同社事業のうちエビデンス、サイト、ペイシェントの各ソリューション事業(合計売上比率38%)は1Qの合計セグメント利益が34%減の16億円。事業の選択と集中が必要だろう。


    リゾートトラスト<4681>

    ・1973年に名古屋市で設立。会員制ホテルやゴルフ場の建設・経営、ホテル会員権等の販売、およびメディカル事業(メディカル会員権の販売やメディカルコンサルティングを含む)などを手掛ける。

    ・8/12発表の2027/3期1Q(4-6月)は、売上高が前年同期比16.0%増の612億円、営業利益が同78.4%増の81億円。主なセグメント利益は、会員権事業(売上比率31%)が73%増の69億円、ホテルレストラン等事業(同45%)が21%増の11億円、メディカル事業(同24%)が22%増の22億円。

    ・通期会社計画は、売上高が前期比3.0%減の2550億円、営業利益が同6.3%増の310億円、年間配当が同2円増配の36円。同社は会員制リゾートホテルで国内首位、全国展開する高級ホテル「エクシブ」は健康診断サービスも手がける。1Qは各事業における価格改定効果や新規発売効果を伴う販売好調が業績に反映。高齢者層のレジャー消費に加え、医療観光の拡大の恩恵が見込まれる。


    エネクス・インフラ投資法人<9286>

    ・伊藤忠グループの中核エネルギー会社である伊藤忠エネクスを主なスポンサーとするインフラファンド。太陽光発電所のほか、風力発電所や水力発電所も優先的売買交渉権取得予定としている。

    ・7/15発表の2026/5期(12-5月)は、営業収益が前期(6-11月)比1.3%減の41.8億円、営業利益が同8.6%増の13.0億円、利益超過分配金含む1口当たり分配金が同9.3%増の2185円。出力制御、天候要因、高崎太陽光発電所Bの焼損事故に伴う稼働停止が響き、発電量の計画達成率は93%。

    ・2026/11期(6-11月)会社計画を下方修正。事故に伴う賃貸収入減と追加修繕費の計上により営業収益が前期(12-5月)比0.6%減の41.6億円(従来計画42.0億円)、営業利益が同6.4%減の12.2億円(同13.3億円)、利益超過分配金含む1口当たり分配金が同30.8%減の1512円(同1806円)。8/13終値で2027/5期まで含む会社予想年分配金利回りが6.78%も、復旧後の分配金回復が期待される。


    QPSホールディングス<464A>

    ・2005年に前身のQPS研究所を福岡にて設立。九州大学の小型衛星開発技術の伝承と宇宙産業の創出を掲げ、小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用を通じた地球観測データ事業を展開。

    ・7/14発表の2026/5通期は、売上高が前期比41.9%増の38.0億円、EBITDAが同6.0倍の31.0億円。防衛省「衛星コンステレーション事業」に伴う画像データ提供が新たな収益の柱となったほか、宇宙戦略基金による補助金収入17.2億円と共同研究収入7.1億円を含む営業外収益25.0億円を計上。

    ・2027/5通期会社計画は、売上高が前期比2.6倍の100億円、EBITDAが同93.1%増の60億円、年間配当は無配。期末運用機数は7機増の16機を見込む中、7/30に米ロケット・ラボと小型SAR衛星3機分の打ち上げ契約締結を発表。同業他社と比べ、小型・低コスト・高解像度を両立した自社開発力、および将来的に36機のコンステレーションで準リアルタイム観測を目指している点が強みである。


    ※執筆日 2026年8月14日


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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