2026年8月17日 17時44分
明日の株式相場に向けて=7万円復帰シナリオに試練か、長期金利は「骨太ショック」上回る
週明け17日の東京株式市場で日経平均株価は5日続伸。連続上昇日数としては8連騰となった6月11~22日以来となる。TOPIXは9日ぶりに反落し、連騰疲れの様相を呈した。25日移動平均線からの上方カイ離率は日経平均が5.03%となり、過熱ゾーンの目安の5%をやや上回った。東証プライム市場の売買代金は約8兆9500億円と10兆円を下回っている。
キオクシアホールディングス<285A>が後場に上げ幅を拡大、前週末比15%高となり日経平均の押し上げに貢献した。同社株の売買代金は約2兆8420億円とプライム全体の約32%。投資家向け説明会実施後のサンディスク<SNDK>に対する市場の評価が好転し、同社株が値を戻すなか、キオクシアもこれに追従する動きとなっている。前週末のコーニング<GLW>の上昇もフジクラ<5803>など電線株を押し上げる効果をもたらした。もっとも、プライム銘柄の値下がり銘柄数は57%と半数を超え、大型株を中心に軟調なものが目立った。
4~6月期の企業決算発表シーズンを通過し、明日以降は市場全体の売買代金が更に減少する恐れがある。流動性が低下するなか、アルゴリズムに基づいて運用するシステマティックファンドによる値がさ半導体株の売買の影響が、一層際立つことになりそうだ。システマティックファンドはビッグデータとAIを活用し、保有すべき銘柄を選定しつつ、市場環境が変化すればリスク量を機械的にコントロールする投資手法をとる。その市場環境に揺さぶりをかけているのが金利である。日本の新発10年債利回り(長期金利)は17日に一時2.930%と、水準としては約30年ぶりの高さまで上昇(債券価格は下落)。7月の「骨太ショック」時を上回り、フシ目の3%に一段と接近した。
前週以降、9月の日銀金融政策決定会合で政策金利が引き上げられるとの観測が広がっていた。17日はこれといった新たな債券売りの材料は見当たらないなかでの金利上昇となった。国債を管理する財務省は8月末に2027年度予算に関する各省庁からの概算要求を締め切る。例年、8月は概算要求に関する経済メディアの報道が相次ぐ時期だが、7月末の段階で、積極財政政策を推進する高市早苗政権のもと、片山さつき財務相は成長分野や危機管理投資に関して、要求額の「シーリング(上限)」を設けない方針を示している。
すでに防衛省が過去最大規模の概算要求をする方針で調整に入ったと報じられている。「各省庁からの大規模な概算要求に関する報道が相次げば、財政悪化シナリオがハヤされることになるだろう。円債売りの加速に伴う金利上昇が株式相場の圧迫要因となる可能性が意識されている」(国内証券)という。
財政要因と利上げ観測の「コンボ」による金利上昇は、欧州主要国でも発生している。米国では利上げ観測自体は一時的に和らいだものの、7月の財政赤字はトランプ関税の還付金支払いによる影響で拡大した。財政出動を通じた株価浮揚策は、為政者には自国民の支持をつなぎとめるための有効なツールとなる。当局に対し、債券売りを通じて安直な財政出動による政府債務悪化に歯止めを掛けることを狙う「債券自警団」が、世界各国のマーケットで躍動する余地が広がりつつあるといえる。
折しも今月27~29日にはジャクソンホール会議が開かれ、各国中銀総裁や政策当局者、経済学者が一堂に集まる。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長の発言内容にマーケットの関心が向かうことになるが、議長の抑制的な情報発信スタイルゆえ、投資家は一定の緊張感を強いられることになるに違いない。その前段階での世界的な金利上昇を放置した場合、政権側は株安という痛手を負うことになりかねない。市場参加者も目先は国内外の金利動向に目配りをする局面が続くだろう。
AIラリーが続いた結果、個別銘柄に対するアナリストの投資評価は半導体関連の一角に強気なものが目立っている。これに対し、4~6月期決算を経て内需系や自動車・化学などバリューセクターの一角において、好業績銘柄を中心に再評価の動きが相次ぐことも想定されている。実際に直近で証券会社の目標株価引き上げが相次いでいるホンダ<7267>は17日に一時3%を超す上げとなり、年初来高値に接近した。過剰流動性相場が続くなかでの金利上昇は、バリュー株には追い風だ。
化学株ではダイセル<4202>は4~6月期の経常利益が高進捗となったほか、三井化学<4183>は4~6月期大幅増益ながらPBR(株価純資産倍率)は1倍にとどまっている。このほか、工具販売が堅調で27年3月期の業績予想を上方修正した旭ダイヤモンド工業<6140>の出直りや、価格改定効果やパルプ市況の回復で4~6月期に営業黒字転換を果たした中越パルプ工業<3877>の一段高を期待したい。
日程面では、18日は国内では5年物国債の入札が実施される。企業決算はパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>や北川精機<6327>が予定している。海外ではドイツの8月ZEW景況感指数や米7月住宅着工件数、米7月鉱工業生産などの発表を控えている。(長田善行)
出所:MINKABU PRESS
キオクシアホールディングス<285A>が後場に上げ幅を拡大、前週末比15%高となり日経平均の押し上げに貢献した。同社株の売買代金は約2兆8420億円とプライム全体の約32%。投資家向け説明会実施後のサンディスク<SNDK>に対する市場の評価が好転し、同社株が値を戻すなか、キオクシアもこれに追従する動きとなっている。前週末のコーニング<GLW>の上昇もフジクラ<5803>など電線株を押し上げる効果をもたらした。もっとも、プライム銘柄の値下がり銘柄数は57%と半数を超え、大型株を中心に軟調なものが目立った。
4~6月期の企業決算発表シーズンを通過し、明日以降は市場全体の売買代金が更に減少する恐れがある。流動性が低下するなか、アルゴリズムに基づいて運用するシステマティックファンドによる値がさ半導体株の売買の影響が、一層際立つことになりそうだ。システマティックファンドはビッグデータとAIを活用し、保有すべき銘柄を選定しつつ、市場環境が変化すればリスク量を機械的にコントロールする投資手法をとる。その市場環境に揺さぶりをかけているのが金利である。日本の新発10年債利回り(長期金利)は17日に一時2.930%と、水準としては約30年ぶりの高さまで上昇(債券価格は下落)。7月の「骨太ショック」時を上回り、フシ目の3%に一段と接近した。
前週以降、9月の日銀金融政策決定会合で政策金利が引き上げられるとの観測が広がっていた。17日はこれといった新たな債券売りの材料は見当たらないなかでの金利上昇となった。国債を管理する財務省は8月末に2027年度予算に関する各省庁からの概算要求を締め切る。例年、8月は概算要求に関する経済メディアの報道が相次ぐ時期だが、7月末の段階で、積極財政政策を推進する高市早苗政権のもと、片山さつき財務相は成長分野や危機管理投資に関して、要求額の「シーリング(上限)」を設けない方針を示している。
すでに防衛省が過去最大規模の概算要求をする方針で調整に入ったと報じられている。「各省庁からの大規模な概算要求に関する報道が相次げば、財政悪化シナリオがハヤされることになるだろう。円債売りの加速に伴う金利上昇が株式相場の圧迫要因となる可能性が意識されている」(国内証券)という。
財政要因と利上げ観測の「コンボ」による金利上昇は、欧州主要国でも発生している。米国では利上げ観測自体は一時的に和らいだものの、7月の財政赤字はトランプ関税の還付金支払いによる影響で拡大した。財政出動を通じた株価浮揚策は、為政者には自国民の支持をつなぎとめるための有効なツールとなる。当局に対し、債券売りを通じて安直な財政出動による政府債務悪化に歯止めを掛けることを狙う「債券自警団」が、世界各国のマーケットで躍動する余地が広がりつつあるといえる。
折しも今月27~29日にはジャクソンホール会議が開かれ、各国中銀総裁や政策当局者、経済学者が一堂に集まる。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォーシュ議長の発言内容にマーケットの関心が向かうことになるが、議長の抑制的な情報発信スタイルゆえ、投資家は一定の緊張感を強いられることになるに違いない。その前段階での世界的な金利上昇を放置した場合、政権側は株安という痛手を負うことになりかねない。市場参加者も目先は国内外の金利動向に目配りをする局面が続くだろう。
AIラリーが続いた結果、個別銘柄に対するアナリストの投資評価は半導体関連の一角に強気なものが目立っている。これに対し、4~6月期決算を経て内需系や自動車・化学などバリューセクターの一角において、好業績銘柄を中心に再評価の動きが相次ぐことも想定されている。実際に直近で証券会社の目標株価引き上げが相次いでいるホンダ<7267>は17日に一時3%を超す上げとなり、年初来高値に接近した。過剰流動性相場が続くなかでの金利上昇は、バリュー株には追い風だ。
化学株ではダイセル<4202>は4~6月期の経常利益が高進捗となったほか、三井化学<4183>は4~6月期大幅増益ながらPBR(株価純資産倍率)は1倍にとどまっている。このほか、工具販売が堅調で27年3月期の業績予想を上方修正した旭ダイヤモンド工業<6140>の出直りや、価格改定効果やパルプ市況の回復で4~6月期に営業黒字転換を果たした中越パルプ工業<3877>の一段高を期待したい。
日程面では、18日は国内では5年物国債の入札が実施される。企業決算はパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>や北川精機<6327>が予定している。海外ではドイツの8月ZEW景況感指数や米7月住宅着工件数、米7月鉱工業生産などの発表を控えている。(長田善行)
出所:MINKABU PRESS