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    2026年8月12日 17時30分

    明日の株式相場に向けて=AI大相場の再現不可、「大局観」で銘柄を射る

     きょう(12日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比553円高の6万7524円と続伸。日本時間今晩9時半に開示される7月の米消費者物価指数(CPI)の発表を前に、目先はどうしても手探り状態を余儀なくされやすい。前場の日経平均は6万7000円大台ラインを挟んだ極めて狭いゾーンの往来に終始したが、それでも後場に入ると明らかに押し目買いニーズが売り圧力を凌ぐ地合いに変化した。結局500円を超える上昇をみせ6万7000円台半ばまで浮上、TOPIXに関してはほぼ高値引けで7月6日につけた史上最高値4101.96を上回り、史上最高値を更新した。

     今晩の7月の米CPIについては世界的にかなり注目度が高い。実際は9月15~16日の日程で開催されるFOMCの前に、8月の米雇用統計と米CPIの発表があり、今晩のイベントが天下分け目とは言い切れないが、株式市場はかなり敏感に反応することが予想される。市場関係者の予測は、コンセンサスである前月比で0.1%増、前年比で3.4%増(コアCPIは前月比0.2%増、前年比2.5%増)を若干下振れるのではないかという見方が強いようだが、これは蓋を開けてみないことには分からない。7月の米雇用統計は5月と6月分の下方修正も含め、結構衝撃的な低調ぶりだった。もし市場筋の見立て通りCPIも予想を下振れるケースでは、FRBの利上げは早くても12月というシナリオが現実味を帯び、米株市場には上昇のバイアスがかかる。為替市場の影響がどういう形で作用するかは未知数だが、日本株市場もおそらくこれに追随する公算は大きい。ただし、本音を言えば米株波乱で日本株安の方が、拾い場提供という観点で投資家にはチャンスの多い相場といえる。逆に米株高に追随して焦って買い上がってもリスクの方が大きいイメージだ。忘れられがちだが、今週末はオプションSQ算出日でもある。

     きょうは銀行株への買い戻しが顕著だったほか、AI・半導体関連も総じて戻り足で、相場全体の流れは悪くない。NEXT FUNDS 日経半導体株指数連動型上場投信<200A>に目を向けても、きょうは続伸で一時4500円を回復。チャート的には7月末にマドを開けて切り返した後、売り物を順調にこなし大勢2段上げの機を窺っている。個別株は銘柄によりけりとはいえ、半導体関連全般が魅力的な仕込み場面を示唆しているようにみえる。ただし、一方では今一つ波に乗り切れない投資家心理も現在の地合いに投影されている。例えばキオクシアホールディングス<285A>は、きょうは後場寄り早々4000円高に買われ5万2000円台まで上値を伸ばす場面があったが、取引後半は上昇エンジンがかかった日経平均とは対照的に尻すぼみとなった。キオクシアの売買代金は以前と比較して明らかに減少傾向にある。今の時期はサマーバケーションでその影響といえなくもないが、そうした外部環境を差し引いても、かつての同社株が発していた伸るか反るかの緊張感が今は大分薄まってきているような印象を受ける。

     決算発表がピークを越えたところで、決算プレーではなく好業績が確認された銘柄を、業態に関わらず改めて拾い直す動きが観測されるが、これは株価とファンダメンタルズを照らし合わせ道理にかなった投資行動ともいえる。しかし、これは一極集中のAI・半導体関連の偏った地合いが復元されにくいということにもつながる。同関連株は足もとで過剰投資懸念の呪縛から逃れた感はあるものの、とはいえ資金が分散化されるなかで、ここから先AI・半導体関連株の戻りにオールインという投資手法は思ったよりも効果がない可能性がある。今は資金を振り向けるなら広い視野を持つことが大事なステージとなっている。

     投資対象としていかに花形であってもそれは過去のデータであり、いわゆる下値で皆が根こそぎ拾いまくった銘柄は実態面で明らかに買いに分があったとしても、「短期間に大相場が2回繰り返される」ことはない。元来、手垢のついていない新鮮なもの、あるいは意外性のあるテーマ及び銘柄を好むのが相場の特性ともいえる。その視点に立って目先は金市況の戻りに着目し、貴金属や非鉄株などメタル系の銘柄にスポットを当ててみたい。基本は決算発表をベースとした業績が株価評価のポイントとなるが、強烈な好決算発表を受け週明け10日にストップ高に買われた松田産業<7456>や、前週5日の決算を契機に急騰したアルコニックス<3036>などが道筋を作っている。レアアース関連のテーマが中国の露骨な輸出規制を背景に再燃していることも、間接的にメタル系銘柄に浮揚力を与えている。

     値動きは荒いがアサカ理研<5724>の押し目や、MERF<3168>、AREホールディングス<5857>なども戻り一服場面は狙えそうだ。更に金属商社の白銅<7637>や阪和興業<8078>などにも投資マネーが還流している。金市況だけでなくアルミ市況も上昇が顕著でUACJ<5741>や日本軽金属ホールディングス<5703>などもマークしたい。

     あすのスケジュールでは、7月の企業物価指数が朝方取引開始前に日銀から開示される。国内企業の決算発表では、三越伊勢丹ホールディングス<3099>の4~6月期決算のほか、トライアルホールディングス<141A>の6月期本決算が開示される。海外では、ノルウェー中銀が政策金利を発表、4~6月期英国内総生産(GDP)速報値や6月のユーロ圏鉱工業生産が開示される。また、米国では週間の新規失業保険申請件数や7月の卸売物価指数(PPI)に関心が高い。米30年物国債の入札も行われる。なお、この日はアプライド・マテリアルズ<AMAT>の5~7月期決算発表に世界の耳目が集まる。(銀)

    出所:MINKABU PRESS