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    2026年8月2日 14時00分

    【和島英樹のマーケット・フォーキャスト】─AI・半導体関連の動向が最大のポイントに

    ●複眼的視野で相場をチェック、TOPIXバリューは最高値更新

     8月の東京株式市場はもみ合い相場が基本ながら、波乱気味のAI(人工知能) 半導体株の動向次第では、ボラティリティが高い展開も想定される。一方、第1四半期決算で好調だった銘柄を個別に物色する流れが強まりそうだ。

     最大のポイントは、半導体やAI関連銘柄などの動向だ。値がさハイテク株の影響が大きい日経平均株価は6月25日の最高値7万2366円(終値ベース)から、7月29日安値の6万1434円(同)まで約15%の下落となっている。米ハイパースケーラー(大規模クラウド業者)の設備投資動向や財務の不透明さ、中国企業の台頭、メモリー半導体の需給懸念などが背景にあり、直近の決算が良好でも日米ともに評価されにくい。6月高値まで相場を牽引してきた期待感が裏返しとなったとも言える状況だ。

     ただ、米ハイテク大手のアマゾン・ドット・コム<AMZN>やマイクロソフト<MSFT>の決算では先行きに安心感が浮上している。中長期的に見れば、半導体やAIはデータセンターのほかフィジカルAI自動運転などでマーケットは拡大傾向にある。

     一方、バリュー系銘柄のウェートが高いTOPIX(東証株価指数)は、7月6日高値4101ポイント(終値ベース)の後の安値は7月17日の3919ポイント(同)であり、下落率はわずか4%にすぎない。実際、日々値上がりする銘柄が多く、年初来高値を付ける銘柄も少なくない。バリュー株のウェートがさらに高いTOPIXバリュー指数は実に、7月27日に最高値を更新しているのである。

     日経平均株価だけを追っていると、相場の流れを見誤る可能性がある。こうした状況を踏まえたうえで、8月の日経平均株価の予想レンジは5万9000円から6万9000円を想定。

     主なスケジュールでは、米国で8月7日に雇用統計、12日に消費者物価指数、14日に小売売上高、17日に米国・イランの恒久合意に向けた交渉期限、25日にエヌビディア<NVDA>決算、27日(~29日)にジャクソンホール会議(経済シンポジウム)でウォーシュFRB(米連邦準備制度理事会)議長が基調講演の予定などとなっている。なお、FOMC(米連邦公開市場委員会)、日銀金融政策決定会合ともに8月は開催がなく、次回はFOMCが9月15日~16日、日銀会合は9月17日~18日が予定されている。株式市場では雇用統計のほか、半導体株の先行きを占う上でエヌビディア決算への関心が高い。

    ●市場の関心集めるトヨタ決算、“SaaSの死”の懸念後退するソフトウェア関連

     主な決算発表予定日は、3日に三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]、ヤマトホールディングス <9064> [東証P]、4日にトヨタ自動車 <7203> [東証P]、三菱重工業 <7011> [東証P]、日本製鉄 <5401> [東証P]、三井物産 <8031> [東証P]、エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> [東証P]、ダイキン工業 <6367> [東証P]、5日に鹿島建設 <1812> [東証P]、日本郵船 <9101> [東証P]、ホンダ <7267> [東証P]、6日に任天堂 <7974> [東証P]、ソフトバンクグループ <9984> [東証P]、NTT <9432> [東証P]、富士フイルムホールディングス <4901> [東証P]、7日にフジクラ <5803> [東証P]、三井不動産 <8801> [東証P]、ニトリホールディングス <9843> [東証P]などとなっている。

     特に、時価総額首位のトヨタの決算への関心が高い。5月8日に同社が発表した2027年3月期の営業利益予想は3兆円(前期比20%減)。資材価格の高騰などが9850億円の下押し要因となるが、うち中東情勢の影響6700億円が含まれている。予想変更の有無がポイントだ。

     7月30日までに第1四半期の好決算を発表した企業の一部をピックアップすると、キーエンス <6861> [東証P]、カプコン <9697> [東証P]、コメリ <8218> [東証P]、日立製作所 <6501> [東証P]、ゼオン <4205> [東証P]、アンリツ <6754> [東証P]、富士電機 <6504> [東証P]、きんでん <1944> [東証P]、京セラ <6971> [東証P]、コナミグループ <9766> [東証P]、第一工業製薬 <4461> [東証P]、小森コーポレーション <6349> [東証P]、オリエンタルランド <4661> [東証P]など。

     半導体関連の決算では、業績上方修正のアドバンテスト <6857> [東証P]、SCREENホールディングス <7735> [東証P]、東京エレクトロン <8035> [東証P]、トーメンデバイス <2737> [東証P]、高進捗のディスコ <6146> [東証P]などが良好だった。半導体関連ではこのほか、信越化学工業 <4063> [東証P]、レゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、イビデン <4062> [東証P]などもチェックしておきたい。リバウンド局面の継続となるかが注目される。

     TOPIXバリュー株指数の構成銘柄ウェート上位は、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]、みずほフィナンシャルグループ <8411> [東証P]のほか、トヨタ自動車、パナソニック ホールディングス <6752> [東証P]、武田薬品工業 <4502> [東証P]などとなっている。

     また、ソフトウェア関連は「SaaSの死」が喧伝されて株価が下落していたが、その影響は限定的との見方が浮上している。「SaaSの死」の震源となったのは、米AIスタートアップのアンソロピック社が26年1月中旬に発表した AIエージェント「Claude Cowork(クロード・コワーク)」である。自然言語での入力に対応し、プログラミングの知識を持たないユーザーでも利用できるAIエージェントに進化したことで、 SaaSをビジネスモデルとする企業は存在意義が問われかねないと思われた。

     一方、直近では過度に悲観する必要はないとの見方も浮上している。企業においてAIを安全に使うためには、ソフトウェアの役割がより重要になるとの見方が台頭しているほか、金融や医療など規制が厳しい業界ではコンプライアンスやセキュリティ面での信頼感も重要だ。AIエージェントとSaaSは、すみ分けによる市場拡大が想定される。関連銘柄は野村総合研究所 <4307> [東証P]、NEC <6701> [東証P]、富士通 <6702> [東証P]、サイボウズ <4776> [東証P]、ベイカレント <6532> [東証P]、TISI <3626> [東証P]などだ。

    (2026年7月31日 記/次回は8月30日 配信予定)

    株探ニュース