探検
PR
  • トップ
  •  >  米国株
  •  >  市場ニュース
  •  >  明日の株式相場に向けて=「キオクシア・バースト」逆転劇はあるか
  • 銘柄ニュース
    戻る
    2026年7月28日 17時30分

    明日の株式相場に向けて=「キオクシア・バースト」逆転劇はあるか

     きょう(28日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比2566円安の6万2364円と急反落。ハイボラティリティな相場には目が慣れてきたとはいえ、日経平均が一時下げ幅を3000円あまりに広げ、一気に6万2000円ラインを割り込むような場面に出くわせば、トレーダー目線ではさすがに余裕で眺めてもいられない。元来、上昇相場において「最強」といえるのは、悪材料が出るたびにアク抜け感から買いが入るパターン。一方、下げ相場で「最恐」といえるのが、好材料が出るたびに売りに拍車がかかるケースだ。こうなった場合は拠りどころを失い、買い向かっても売りの餌食になってしまうだけで、仮に短期リバウンドに転じても倍返しの下げが待っている。今の東京市場におけるAI・半導体関連株に押し寄せるリスクオフの波は「最恐」の下げ相場の方を想起させるだけの勢いがある。そしてこれは、きょうもサーキットブレーカーが発動し10.8%安と暴落した韓国KOSPI、そして6月下旬につけた最高値から20%超の下落で既に弱気相場入りしているフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)なども同じ難局に直面している。

     キオクシアホールディングス<285A>については米ベインキャピタルの売り抜けが明らかになったところで、谷底に丸太を蹴り転がすような急落のスイッチが入ってしまった。きょうのストップ安水準でウリ気配に張り付くシーンは概ね予想されるシナリオの一つではあったが、実際目の当たりにすると、合理に背を向ける株の怖さが浮き彫りとなっている。ところが、こういった局面に際してもモメンタム投資家はしたたかで、むしろアドレナリン全開で買い向かっているという現実がある。

     複数のネット証券大手のキオクシアに関する店内データを、きょうの後場寄りに確認したところでは、足もとの信用買い残はむしろ膨張傾向をたどっているという。つまり、キオクシアは追い証絡みの売りが出ていることは確かだが、それを上回る勢いで信用買いが入っている状況なのである。セリング・クライマックスどころか、その逆の構図である。これはあくまで一般論としての切り口であるが、市場関係者からは「この日にチャンス到来とみて遮二無二(しゃにむに)信用で買い込んだ個人マネーが、諦めて投げ売りに発展するまで底は入らない」(ネット証券マーケットアナリスト)という見方も出ていた。

     普通に考えれば、キオクシアはファンダメンタルズ面で瑕疵が生じて売られているわけではない。上昇トレンドに乗った状態で決算発表を迎えた場合、いかに好決算であっても出尽くしで売られるというのはよくある話だが、同社株の場合は現在進行形でリスクオフの激流に揉まれている。したがって、今週末31日の(好内容が予想される)決算発表を通過すればさすがに株価はリバウンドに転じるだろうと考えるのは蓋然性の高い推論といってよい。だが、前述したように需給バランスだけをみるとそうとも言い切れない面がある。誰もがこの蓋然性の高い推論を脳裏に描いてロングに全体重をかけていることがデータで判明している以上、決して「人の行く裏に道あり花の山」ではないことが分かる。皆が同じ思考で一斉に歩を進める場所に花は咲かないのが相場である。

     31日はキオクシアの決算だけではなく、日銀の金融政策決定会合の結果と植田日銀総裁の記者会見を控えており、政策金利は現状維持でも年内の利上げ前倒しの思惑が広がるなか、タカ派色を帯びるかどうかにマーケットの関心は高い。このデリケートなタイミングでキオクシアがどういう値動きをするかは、8月相場を占ううえでも重要だ。月末と週末が重なる7月31日は「関ケ原の金曜日」といえそうである。キオクシア以外でも、あす29日にアドバンテスト<6857>、30日に東京エレクトロン<8035>の決算が予定されており、矛盾するようだがイベント的にはこれが露払いとなってキオクシアの需給が改善するケースも念頭に置いておきたい。いずれにせよ、これらの銘柄が「最恐」の下げ相場の呪縛から逃れることができれば、日経平均にも底が入ることは論をまたない。

     ただ、ひとつ政局で気になる動向が取り沙汰されている。それは内閣改造に関する報道がチラついていることである。高市早苗内閣の支持率急低下が取り沙汰されているこの時期に思惑を呼ぶ。支持率低下の最たる要因は物価高であり、分かりやすい批判の対象として円安放置は許されないムードである。もちろん財務大臣のみに責任はなく、可能性としてそれほど高いともいえないが、「最恐コンビ」と称され高市内閣の一翼を担っていた片山さつき氏の去就に何かしら動きが出た場合、株式市場にネガティブなインパクトを与える懸念はある。

     あすは7月の権利付き最終売買日となる。そのほかのスケジュールでは、7月の月例経済報告、日比野日証協会長の記者会見などが予定されている。また、この日はIPOが2社予定されており、東証グロース市場にアイ・グリッド・ソリューションズ<603A>、東証スタンダード市場にビーエイブル<604A>が新規上場する。個別にコマツ<6301>、日立製作所<6501>、NEC<6701>、アドバンテスト、東京電力ホールディングス<9501>などが決算を発表する。海外ではFOMCの結果発表と会合後のウォーシュFRB議長の記者会見にマーケットの注目度が高い。なお、タイ市場は休場となる。海外主要企業の決算では、SKハイニックス<SKHY>、クアルコム<QCOM>、マイクロソフト<MSFT>、メタ・プラットフォームズ<META>などに耳目が集まる。(銀)

    出所:MINKABU PRESS