2026年7月21日 17時30分
明日の株式相場に向けて=AIアルゴ炸裂でキオクシア爆騰
3連休明けとなった21日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比2091円高の6万6232円と大幅反発。一貫して下値を切り上げる尻上がりの上昇となり、クロージングオークションで上げ幅は2000円を超え高値引けとなった。
日経平均は前週後半の2営業日で4600円あまりの急落に見舞われた。その時どういうスタンスで対処するか、その答えは自明であった。リスクオフの濁流が押し寄せ、狼狽も余儀なくされる場面で、敢然と買い向かって3連休を過ごすという選択肢を採ることは、並みの人間の感性では無理である。「人の行く裏に道あり花の山」とはいうが、仮にそれで大きな果実を手にすることができるとしても、逆目を引いた時の後悔の方が100倍大きい。含み損の持ち株を売り切れないホルダーか、あるいはインカムゲインに特化した視点で長期に徹した投資家を除き、基本は退散もしくは見送るしかない。ところが、AIアルゴリズムはその狭い茨の道を猛スピードで逆行する。きょうの日経平均2000円高、そしてキオクシアホールディングス<285A>が値上がり率トップで6万円台を回復するという離れ業は、理屈に関係なく投資家の悲観を餌にするAIトレードの真骨頂といえる。
米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が最高値から20%の下落で弱気相場入りとなったことが報じられるなか、きょうの日本経済新聞朝刊の1面トップは、「米テック5社『影の債務』268兆円」であった。メタ・プラットフォームズ<META>など米ビッグテックには、バランスシートでは見えない影の債務が268兆円規模と巨額に積み上がっているという指摘である。AIに対する過剰投資懸念が常にくすぶるなか、株式市場がリスク回避ムードに傾くと、どうしてもその負のシナリオが喧伝されやすくなる。そうしたなか、ともすれば、今回の報道はAIテーマ崩壊のトリガーを引きかねないというタイミングでリリースされた。ところが、マーケットは逆方向に動いた。
見えない債務の存在自体はマーケットは既に認知しており、それを数字として明示した記事が表に出たのが急落の直後ということが思わぬ化学反応を起こした。材料出尽くし的に作用し、ショート筋の買い戻しに引火したのだ。きょうは韓国KOSPIの上昇、言い換えればSKハイニックス<SKHY>とサムスン電子のツートップが上値追いを鮮明としたことも追い風となったが、とはいえ、それを含めても株式市場の需給は非常に複雑多岐である。相場のベクトルに方程式が通用しないことを、きょうの急反発がくしくも証明した。
AIバブルという定義自体も一考を要する。生成AIの近年の進化スピードと社会実装の早さは想定を超える。これはブームではなくAI革命の時代に突入したといっても過言ではない。明らかに実体が伴っているからだ。米中のAI開発競争が先鋭化するなか、中国側の攻勢もかなり腰が入っている。新興AI企業であるムーンショットAI(月之暗面)が前週発表した最新モデルが、性能面で米国の最先端AIに肉薄していることが報じられた。足もとの狂騒は意図しなくてもAIの民主化を加速させる。そして誰もが恩恵を享受できる“AIの民主化”が進む過程で、ビッグテックを含むハイパースケーラーが商業的な見地で投資した巨額の資金を回収できるのかという疑念が持ち上がる。AI革命は本物だが、近い将来、コモディティ化するという不都合な真実に直面する可能性はそれなりに高い。その結果何が起こるか。以前にも触れたが、AIデータセンターの建設ラッシュはその多くは約束された(はずの)投資のように見えて、撤回が相次ぐケースもあり得るということ。資材高騰と金利上昇の洗礼によってデータセンターの未来地図が書き換えられることは将来的に十分あり得るシナリオで、前述の日経新聞の指摘に合流することで負の連鎖につながっていく可能性は否定できない。
そしてもう一つ重要なこと。AIが人間を支配するという懸念はSFの世界に限られていたが、人間は既にAIが示す回答に信頼を寄せる傾向が強い。間接的には知らないうちに人間の意思そのものがAIの言いなりになっている構図が描かれている。ソフトバンクグループ<9984>の孫正義会長はAIエージェントが勝手にAIエージェントを増殖させていく時代が訪れることに言及しているが、それは果たして人間にとって都合のいい社会なのかどうかという根本的な問題をはらんでいる。
あすのスケジュールでは、6月の貿易統計が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に40年物国債の入札が行われる。後場取引時間中には6月の全国スーパー売上高が発表される。この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場に新規上場するティアフォー<593A>に投資家の耳目が集まる。海外では、6月の英消費者物価指数(CPI)が注目されるほか、インドネシア中銀が政策金利を発表する。米国では20年物国債の入札にマーケットの関心が向かう。このほか、個別にテスラ<TSLA>、アルファベット<GOOGL>、IBM<IBM>などビッグテックの4~6月期決算が発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
日経平均は前週後半の2営業日で4600円あまりの急落に見舞われた。その時どういうスタンスで対処するか、その答えは自明であった。リスクオフの濁流が押し寄せ、狼狽も余儀なくされる場面で、敢然と買い向かって3連休を過ごすという選択肢を採ることは、並みの人間の感性では無理である。「人の行く裏に道あり花の山」とはいうが、仮にそれで大きな果実を手にすることができるとしても、逆目を引いた時の後悔の方が100倍大きい。含み損の持ち株を売り切れないホルダーか、あるいはインカムゲインに特化した視点で長期に徹した投資家を除き、基本は退散もしくは見送るしかない。ところが、AIアルゴリズムはその狭い茨の道を猛スピードで逆行する。きょうの日経平均2000円高、そしてキオクシアホールディングス<285A>が値上がり率トップで6万円台を回復するという離れ業は、理屈に関係なく投資家の悲観を餌にするAIトレードの真骨頂といえる。
米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が最高値から20%の下落で弱気相場入りとなったことが報じられるなか、きょうの日本経済新聞朝刊の1面トップは、「米テック5社『影の債務』268兆円」であった。メタ・プラットフォームズ<META>など米ビッグテックには、バランスシートでは見えない影の債務が268兆円規模と巨額に積み上がっているという指摘である。AIに対する過剰投資懸念が常にくすぶるなか、株式市場がリスク回避ムードに傾くと、どうしてもその負のシナリオが喧伝されやすくなる。そうしたなか、ともすれば、今回の報道はAIテーマ崩壊のトリガーを引きかねないというタイミングでリリースされた。ところが、マーケットは逆方向に動いた。
見えない債務の存在自体はマーケットは既に認知しており、それを数字として明示した記事が表に出たのが急落の直後ということが思わぬ化学反応を起こした。材料出尽くし的に作用し、ショート筋の買い戻しに引火したのだ。きょうは韓国KOSPIの上昇、言い換えればSKハイニックス<SKHY>とサムスン電子のツートップが上値追いを鮮明としたことも追い風となったが、とはいえ、それを含めても株式市場の需給は非常に複雑多岐である。相場のベクトルに方程式が通用しないことを、きょうの急反発がくしくも証明した。
AIバブルという定義自体も一考を要する。生成AIの近年の進化スピードと社会実装の早さは想定を超える。これはブームではなくAI革命の時代に突入したといっても過言ではない。明らかに実体が伴っているからだ。米中のAI開発競争が先鋭化するなか、中国側の攻勢もかなり腰が入っている。新興AI企業であるムーンショットAI(月之暗面)が前週発表した最新モデルが、性能面で米国の最先端AIに肉薄していることが報じられた。足もとの狂騒は意図しなくてもAIの民主化を加速させる。そして誰もが恩恵を享受できる“AIの民主化”が進む過程で、ビッグテックを含むハイパースケーラーが商業的な見地で投資した巨額の資金を回収できるのかという疑念が持ち上がる。AI革命は本物だが、近い将来、コモディティ化するという不都合な真実に直面する可能性はそれなりに高い。その結果何が起こるか。以前にも触れたが、AIデータセンターの建設ラッシュはその多くは約束された(はずの)投資のように見えて、撤回が相次ぐケースもあり得るということ。資材高騰と金利上昇の洗礼によってデータセンターの未来地図が書き換えられることは将来的に十分あり得るシナリオで、前述の日経新聞の指摘に合流することで負の連鎖につながっていく可能性は否定できない。
そしてもう一つ重要なこと。AIが人間を支配するという懸念はSFの世界に限られていたが、人間は既にAIが示す回答に信頼を寄せる傾向が強い。間接的には知らないうちに人間の意思そのものがAIの言いなりになっている構図が描かれている。ソフトバンクグループ<9984>の孫正義会長はAIエージェントが勝手にAIエージェントを増殖させていく時代が訪れることに言及しているが、それは果たして人間にとって都合のいい社会なのかどうかという根本的な問題をはらんでいる。
あすのスケジュールでは、6月の貿易統計が朝方取引開始前に開示されるほか、前場取引時間中に40年物国債の入札が行われる。後場取引時間中には6月の全国スーパー売上高が発表される。この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場に新規上場するティアフォー<593A>に投資家の耳目が集まる。海外では、6月の英消費者物価指数(CPI)が注目されるほか、インドネシア中銀が政策金利を発表する。米国では20年物国債の入札にマーケットの関心が向かう。このほか、個別にテスラ<TSLA>、アルファベット<GOOGL>、IBM<IBM>などビッグテックの4~6月期決算が発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS