2026年7月7日 17時30分
明日の株式相場に向けて=翳りゆく巨像「半導体メモリー」成長神話の分水嶺
きょう(7日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1480円安の6万8256円と大幅続落。3連休明けとなった前日の米株市場ではNYダウが最高値を更新。半導体関連株への買い戻しを足場にナスダック総合株価指数も大きく切り返したことで、東京市場は順風満帆とはいかないまでも堅調な値動きが予想されたのだが、そうは問屋が卸さず先物主導で寄り付きから裏切られる格好となった。一時6万8000円台割れ目前まで下押す場面があり、その後は何とか踏みとどまったものの陰線で25日移動平均線を踏み抜く格好となった。プライム市場の値上がり銘柄数が全体の48%を占めるなど、上昇している銘柄もそれなりにあるのだが、きょうはTOPIXも1%近く下げており、投資家の体感温度としても梅雨寒の1日であったといえそうだ。
目先的には厳しい地合いとなってきた感がある。今のAI・半導体関連相場は東京市場だけではなく、米国を中心軸に世界的に同じベクトルで回っていて、東京市場を俯瞰しただけでは潮の流れを読み切ることはできない。繰り返しになるが、ここ最近は米国の半導体セクターよりも、韓国KOSPIと日経平均が紐で繋がれたように連動性を高めている。韓国は周知の通り台湾と並ぶ半導体大国であるが、KOSPIの時価総額の半分以上をSKハイニックス<SKHY>とサムスン電子で占めるという点で特異性を有する。2銘柄がマーケットにそそり立ち睥睨(へいげい)しているような構造で、この2銘柄の株価が波乱含みの値動きとなれば、ほぼリアルタイムで日経平均も振り回されるような状況に陥る。
台湾ではなく、今なぜ韓国の存在が大きいのか。台湾は半導体王国でも生産を受託するファウンドリー・キングダムである。それに対し、韓国は2銘柄に象徴されるメモリー半導体の聖地といってよい。東京市場で繰り広げられているAI・半導体相場は、以前のようなGPUの独占的サプライヤーであるエヌビディア<NVDA>から、HBMなどのメモリー系、例えばマイクロン・テクノロジー<MU>のような銘柄に投資家のセンチメントを左右する対象がシフトしており、これが今の韓国市場と共鳴する背景だ。とりわけ、NAND型フラシュメモリー専業のキオクシアホールディングス<285A>は、良くも悪くもKOSPIの洗礼を直に受けることになる。
きょうは例にもれず、今年6回目のサーキットブレーカー発動となった韓国市場を起点とする高波が東京市場に襲来した。サムスン電子が今朝方に発表した26年4~6月期決算は営業利益が何と前年同期比でおよそ19倍となる89兆4000億ウォン、日本円にして9兆4000億円で四半期ベースの過去最高を記録、超の付く好決算であり事前コンセンサスも大きく上回った。しかし、株価は急落の憂き目を見た。この決算を受けて売り急ぐ理由はないが、考えられるとすれば、あまりに強烈な伸びで既に膨張し切った状態にあるとマーケットが勝手解釈をしたか、あるいは本能的なリスクを察知したということになる。解釈にバグ的要素があれば時間とともに修正され、サムスンは上昇波動に回帰するが、もし株価の先見性がフルに発揮された本能的な危機感が的を射た場合、究極の材料出尽くしともなりかねない。いわゆるAI爆騰相場も曲がり角に差し掛かったということになる。
満ちれば欠ける時が訪れるのは、何ものも抗うことのできない摂理であり、これは株価の動きにも通じるものがある。十五夜の翌日にためらいがちに顔を出す月のことを十六夜(いざよい)の月という。見た目には満月とほとんど違いはないが、別名「既望」と称されるように既に満ちてしまった後で、そこからは日毎に少しずつ欠ける時間帯へと移行していく。世界的なAIデータセンターなどの建設ラッシュが本格的に始まる矢先、将来的な需要の冷え込みを現在地で織り込む蓋然性は希薄といえる。しかし、一度恐怖が生まれると投資マネーが元の勢いを取り戻すのはそれほど容易ではないのは、相場の歴史が証明している。
足もとのドラスチックな調整は短期的な過熱相場に対する警戒、ガス抜きに過ぎない可能性もある。過度に弱気になる必要はないが、しかし、それでも安易な押し目買いは避けるべきであろう。今週はあす8日と週末10日にETF分配金捻出を目的とした売りニーズが観測されている。2営業日合計で1兆5000億円規模という試算もあり、タイミングをわきまえずむやみに買い向かうのではなく、したたかに買い出動の機をうかがうというスタンスで冷静に対処したい。
あすのスケジュールでは、6月の対外・対内証券売買契約、5月の国際収支、6月の貸出・預金動向がいずれも朝方取引開始前に公表される。また、前場取引時間中に6カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中に開示される6月の景気ウォッチャー調査にもマーケットの関心が高い。なお、個別に開示が遅れていたアサヒグループホールディングス<2502>の26年12月期決算発表が予定される。海外ではポーランド中銀が政策金利を決定するほか、ニュージーランドでも金融政策委員会が開催され、その結果が発表される。このほか、5月の米卸売在庫・売上高、5月の米消費者信用残高、FOMC議事要旨(6月16~17日開催分)に耳目が集まる。また、この日は米10年物国債の入札も予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
目先的には厳しい地合いとなってきた感がある。今のAI・半導体関連相場は東京市場だけではなく、米国を中心軸に世界的に同じベクトルで回っていて、東京市場を俯瞰しただけでは潮の流れを読み切ることはできない。繰り返しになるが、ここ最近は米国の半導体セクターよりも、韓国KOSPIと日経平均が紐で繋がれたように連動性を高めている。韓国は周知の通り台湾と並ぶ半導体大国であるが、KOSPIの時価総額の半分以上をSKハイニックス<SKHY>とサムスン電子で占めるという点で特異性を有する。2銘柄がマーケットにそそり立ち睥睨(へいげい)しているような構造で、この2銘柄の株価が波乱含みの値動きとなれば、ほぼリアルタイムで日経平均も振り回されるような状況に陥る。
台湾ではなく、今なぜ韓国の存在が大きいのか。台湾は半導体王国でも生産を受託するファウンドリー・キングダムである。それに対し、韓国は2銘柄に象徴されるメモリー半導体の聖地といってよい。東京市場で繰り広げられているAI・半導体相場は、以前のようなGPUの独占的サプライヤーであるエヌビディア<NVDA>から、HBMなどのメモリー系、例えばマイクロン・テクノロジー<MU>のような銘柄に投資家のセンチメントを左右する対象がシフトしており、これが今の韓国市場と共鳴する背景だ。とりわけ、NAND型フラシュメモリー専業のキオクシアホールディングス<285A>は、良くも悪くもKOSPIの洗礼を直に受けることになる。
きょうは例にもれず、今年6回目のサーキットブレーカー発動となった韓国市場を起点とする高波が東京市場に襲来した。サムスン電子が今朝方に発表した26年4~6月期決算は営業利益が何と前年同期比でおよそ19倍となる89兆4000億ウォン、日本円にして9兆4000億円で四半期ベースの過去最高を記録、超の付く好決算であり事前コンセンサスも大きく上回った。しかし、株価は急落の憂き目を見た。この決算を受けて売り急ぐ理由はないが、考えられるとすれば、あまりに強烈な伸びで既に膨張し切った状態にあるとマーケットが勝手解釈をしたか、あるいは本能的なリスクを察知したということになる。解釈にバグ的要素があれば時間とともに修正され、サムスンは上昇波動に回帰するが、もし株価の先見性がフルに発揮された本能的な危機感が的を射た場合、究極の材料出尽くしともなりかねない。いわゆるAI爆騰相場も曲がり角に差し掛かったということになる。
満ちれば欠ける時が訪れるのは、何ものも抗うことのできない摂理であり、これは株価の動きにも通じるものがある。十五夜の翌日にためらいがちに顔を出す月のことを十六夜(いざよい)の月という。見た目には満月とほとんど違いはないが、別名「既望」と称されるように既に満ちてしまった後で、そこからは日毎に少しずつ欠ける時間帯へと移行していく。世界的なAIデータセンターなどの建設ラッシュが本格的に始まる矢先、将来的な需要の冷え込みを現在地で織り込む蓋然性は希薄といえる。しかし、一度恐怖が生まれると投資マネーが元の勢いを取り戻すのはそれほど容易ではないのは、相場の歴史が証明している。
足もとのドラスチックな調整は短期的な過熱相場に対する警戒、ガス抜きに過ぎない可能性もある。過度に弱気になる必要はないが、しかし、それでも安易な押し目買いは避けるべきであろう。今週はあす8日と週末10日にETF分配金捻出を目的とした売りニーズが観測されている。2営業日合計で1兆5000億円規模という試算もあり、タイミングをわきまえずむやみに買い向かうのではなく、したたかに買い出動の機をうかがうというスタンスで冷静に対処したい。
あすのスケジュールでは、6月の対外・対内証券売買契約、5月の国際収支、6月の貸出・預金動向がいずれも朝方取引開始前に公表される。また、前場取引時間中に6カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中に開示される6月の景気ウォッチャー調査にもマーケットの関心が高い。なお、個別に開示が遅れていたアサヒグループホールディングス<2502>の26年12月期決算発表が予定される。海外ではポーランド中銀が政策金利を決定するほか、ニュージーランドでも金融政策委員会が開催され、その結果が発表される。このほか、5月の米卸売在庫・売上高、5月の米消費者信用残高、FOMC議事要旨(6月16~17日開催分)に耳目が集まる。また、この日は米10年物国債の入札も予定されている。(銀)
出所:MINKABU PRESS