2026年7月1日 15時36分
株式市場乱高下の背景、日本政府の成長戦略に再注目【フィリップ証券】
日経平均株価は6/22に7万2831円まで上昇後、翌日から一転して乱高下に見舞われている。24日に6万8461円まで下落後、25日に7万2594円まで急騰。さらに26日には6万8636円まで下落するなど「高値波乱」の様相を示している。米国とイランが6/17に戦闘終結とホルムズ海峡の開放に向けた覚書に署名し、6/21-22に高官級協議がスイスで開催されて最終合意に向けて60日間の工程表が策定されたことが「材料出尽くし」とみなされた可能性がある。
今年4月の月初から株式市場のけん引役となっていたAI(人工知能)関連相場も、6/16-17に開催された米FOMC(連邦公開市場委員会)で緩和バイアスの文言が削除され、FOMCメンバーによる政策金利水準の分布図(ドットチャート)の中央値が年内追加利上げを示唆する内容となったことを受けて、さすがに買いの勢いが鈍化してきている。IPOを通じて史上最大の750億USDの巨額調達に成功したばかりのスペースX<SPCX>が6/22に社債発行を発表。他にも社債発行の話が相次ぐ中、利上げ局面となった場合に金融市場は巨額の資金調達に耐えられるのかという疑念が広がり始めている。半導体メモリ大手企業や半導体製造装置メーカーの株価が堅調に推移する一方、米国ではアマゾン・ドット・コム<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>、グーグルを傘下に持つアルファベット<GOOGL>といった「ハイパースケーラー」の株価が軟調となっている。データセンターへの設備投資の加速で恩恵を受ける側と、負担が増す側で明暗が分かれている。
日本でも2/18から150日間の会期として進行している「特別国会」の会期終了が近づくにつれ、高市政権が成長戦略を強く打ち出してきている。政府は6/24、AI・半導体などの戦略17分野を巡り、2040年度までに官民で総額370兆円超を投資する計画をまとめた。また、高市首相は6/25、危機管理・成長投資などに関する「新たな投資枠」をつくり、27年度予算の概算要求で各省に要求上限を求めない方針を改めて表明。国と地方の基礎的財政収支について単年度で黒字を目指す指標から複数年度での管理に位置付けを変え、債務残高の国内総生産(GDP)比の安定的低下を財政目標の中核に位置付けるよう、予算編成の抜本的見直しを掲げ、政府が7月にもまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映する見通しだ。
日銀の一部の委員から中立金利である2%程度を目指し、継続的な利上げが必要であるとの意見が示されている。インフレ加速を抑えたい日銀と日本経済成長へのエンジンをかけようとする政府の考え方の相違が出てきている。ドル円為替相場は1ドル161円台後半を中心にこう着状態が続いているものの、政府の財政拡大志向が目立つようになると円売り・日本国債売りに大きく傾く可能性がある。
■日経半導体株指数の構成銘柄同指数連動ETF、低PBR構成銘柄に注目
日経半導体株指数は東証上場の主要な半導体関連銘柄の値動きを表す株価指数。東証上場の半導体関連株から時価総額上位30銘柄を選定する。算出方法は時価総額加重平均方式(浮動株調整あり)であり、5/29終値ベースのウェート上位5銘柄は、キオクシアHD<285A>が33.11%、東京エレクトロン<8035>が11.85%、アドバンテスト<6857>が8.74%、ルネサスエレクトロニクス<6723>が7.84%、ディスコ<6146>が6.58%である。米フィラデルフィア半導体株指数と比べた場合の特徴として、半導体製造装置や材料分野といった日本企業の強みを捉えやすい点が挙げられる。
NEXT FUNDS日経半導体指数連動型ETF<200A>や上場インデックスファンド日経半導体株<213A>で採用されている。
参考銘柄
日本酸素ホールディングス<4091>
・1910年創立。2004年に太陽東洋酸素と合併し大陽日酸に商号変更後、2020年に持株会社体制へ移行。三菱ケミカルグループ<4188>が50%超の株式を保有。日本最大手の産業ガスメーカー。
・5/11発表の2026/3通期は、売上収益が前期比3.9%増の1兆3596億円、コア営業利益が同7.4%増の2030億円。地域別コア営業利益は、日本(売上比率30%)が15%増の541億円、米国(同27%)が12%減の529億円、欧州(同26%)が13%増の704億円、アジア・豪州(同15%)が31%増の197億円。
・2027/3通期会社計画は、売上収益が前期比1.5%増の1兆3800億円、コア営業利益が同2.4%増の2080億円、年間配当が同4円増配の66円。同社は6/19、半導体製造の複数の重要工程で不可欠なヘリウムガスの関連製品の出荷価格について現行と比べて平均30%以上の値上げを実施すると発表。中東での生産停止の影響とともに世界的な供給制約もあり、7月出荷分より価格を改定する。
ADEKA<4401>
・1917年に電解ソーダ製造を目的として旭電化工業を創立。化学品事業(樹脂添加製品、半導体材料製品、環境材料製品)、食品事業(マーガリン、ホイップクリーム)、ライフサイエンス事業を展開。
・5/14発表の2026/3通期は、売上高が前期比2.3%増の4165億円、営業利益が同1.5%増の416億円。主な事業別営業利益は化学品事業(売上比率52%)が6%減の263億円、食品(同20%)が1%減の43億円、ライフサイエンス(同27%)が26%増の98億円。化学品のうち環境材料製品が増益。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比8.7%増の4530億円、営業利益が同12.5%増の468億円、年間配当が同8円増配の120円。化学品事業のうち半導体材料の前期は、売上高が6%増の360億円、営業利益が18%減の74億円。先行投資による固定費負担増が響き通期減益の中、最新世代のDRAM生産開始に対応した新製品出荷により高誘電材料が下半期から拡大基調に転じた。
ソシオネクスト<6526>
・富士通<6702>とパナソニックHD<6752>のSoC(システム・オン・チップ)事業を統合して2015年に事業を開始。最先端SoCの設計・開発・販売に特化したグローバルなファブレス半導体メーカー。
・4/28発表の2026/3通期は、売上高が前期比6.5%増の2008億円、営業利益が同50.6%減の123億円。製品売上が10%増の1618億円、NRE売上(量産前段階で顧客から一度限り受け取る売上)が6.6%減の383億円。4Q(1-3月期)は、売上高が前年同期比36%増、営業利益が19%増と拡大した。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比7.1%増の2150億円、営業利益が同13.3%増の140億円、年間配当が同横ばいの50円。半導体のHBM(高帯域幅メモリ)の需要拡大に対し、同社は既製品ブロックを積み込んだ従来のチップレットとは異なり、設計段階からカスタマイズできる優位性を活かして、HBMとSoCを連携・融合させて顧客企業によるHBMの活用効率化に向けた需要を開拓。
シャープ<6753>
・1912年に早川徳次が創業。2016年に台湾の鴻海精密工業の傘下入り。コンシューマー向けの「スマートライフ」、法人向けの「スマートワークプレイス」、「ディスプレイデバイス」の3事業を展開する。
・5/12発表の2026/3通期は、売上高が前期比12.4%減の1兆8928億円、営業利益が同77.6%増の485億円。主な事業別営業利益は、スマートライフ(売上比率31%)が30%増の284億円、スマートワークプレイス(同44%)が4%減の575億円、ディスプレイデバイスが▲182億円へ赤字幅縮小だった。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比6.5%減の1兆7700億円、営業利益が同0.9%増の490億円、年間配当は未定(前期は無配)。スマートライフのコスト削減およびディスプレイデバイスの構造改革が進む。同社は6/24、鴻海精密工業とAIインフラやロボティクスなど成長産業で戦略的協業に合意。参入を表明しているAIサーバー事業で鴻海の製造・調達力は強い武器になると見込まれる。
※執筆日 2026年6月26日
※フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース
今年4月の月初から株式市場のけん引役となっていたAI(人工知能)関連相場も、6/16-17に開催された米FOMC(連邦公開市場委員会)で緩和バイアスの文言が削除され、FOMCメンバーによる政策金利水準の分布図(ドットチャート)の中央値が年内追加利上げを示唆する内容となったことを受けて、さすがに買いの勢いが鈍化してきている。IPOを通じて史上最大の750億USDの巨額調達に成功したばかりのスペースX<SPCX>が6/22に社債発行を発表。他にも社債発行の話が相次ぐ中、利上げ局面となった場合に金融市場は巨額の資金調達に耐えられるのかという疑念が広がり始めている。半導体メモリ大手企業や半導体製造装置メーカーの株価が堅調に推移する一方、米国ではアマゾン・ドット・コム<AMZN>、マイクロソフト<MSFT>、グーグルを傘下に持つアルファベット<GOOGL>といった「ハイパースケーラー」の株価が軟調となっている。データセンターへの設備投資の加速で恩恵を受ける側と、負担が増す側で明暗が分かれている。
日本でも2/18から150日間の会期として進行している「特別国会」の会期終了が近づくにつれ、高市政権が成長戦略を強く打ち出してきている。政府は6/24、AI・半導体などの戦略17分野を巡り、2040年度までに官民で総額370兆円超を投資する計画をまとめた。また、高市首相は6/25、危機管理・成長投資などに関する「新たな投資枠」をつくり、27年度予算の概算要求で各省に要求上限を求めない方針を改めて表明。国と地方の基礎的財政収支について単年度で黒字を目指す指標から複数年度での管理に位置付けを変え、債務残高の国内総生産(GDP)比の安定的低下を財政目標の中核に位置付けるよう、予算編成の抜本的見直しを掲げ、政府が7月にもまとめる経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映する見通しだ。
日銀の一部の委員から中立金利である2%程度を目指し、継続的な利上げが必要であるとの意見が示されている。インフレ加速を抑えたい日銀と日本経済成長へのエンジンをかけようとする政府の考え方の相違が出てきている。ドル円為替相場は1ドル161円台後半を中心にこう着状態が続いているものの、政府の財政拡大志向が目立つようになると円売り・日本国債売りに大きく傾く可能性がある。
■日経半導体株指数の構成銘柄同指数連動ETF、低PBR構成銘柄に注目
日経半導体株指数は東証上場の主要な半導体関連銘柄の値動きを表す株価指数。東証上場の半導体関連株から時価総額上位30銘柄を選定する。算出方法は時価総額加重平均方式(浮動株調整あり)であり、5/29終値ベースのウェート上位5銘柄は、キオクシアHD<285A>が33.11%、東京エレクトロン<8035>が11.85%、アドバンテスト<6857>が8.74%、ルネサスエレクトロニクス<6723>が7.84%、ディスコ<6146>が6.58%である。米フィラデルフィア半導体株指数と比べた場合の特徴として、半導体製造装置や材料分野といった日本企業の強みを捉えやすい点が挙げられる。
NEXT FUNDS日経半導体指数連動型ETF<200A>や上場インデックスファンド日経半導体株<213A>で採用されている。
参考銘柄
日本酸素ホールディングス<4091>
・1910年創立。2004年に太陽東洋酸素と合併し大陽日酸に商号変更後、2020年に持株会社体制へ移行。三菱ケミカルグループ<4188>が50%超の株式を保有。日本最大手の産業ガスメーカー。
・5/11発表の2026/3通期は、売上収益が前期比3.9%増の1兆3596億円、コア営業利益が同7.4%増の2030億円。地域別コア営業利益は、日本(売上比率30%)が15%増の541億円、米国(同27%)が12%減の529億円、欧州(同26%)が13%増の704億円、アジア・豪州(同15%)が31%増の197億円。
・2027/3通期会社計画は、売上収益が前期比1.5%増の1兆3800億円、コア営業利益が同2.4%増の2080億円、年間配当が同4円増配の66円。同社は6/19、半導体製造の複数の重要工程で不可欠なヘリウムガスの関連製品の出荷価格について現行と比べて平均30%以上の値上げを実施すると発表。中東での生産停止の影響とともに世界的な供給制約もあり、7月出荷分より価格を改定する。
ADEKA<4401>
・1917年に電解ソーダ製造を目的として旭電化工業を創立。化学品事業(樹脂添加製品、半導体材料製品、環境材料製品)、食品事業(マーガリン、ホイップクリーム)、ライフサイエンス事業を展開。
・5/14発表の2026/3通期は、売上高が前期比2.3%増の4165億円、営業利益が同1.5%増の416億円。主な事業別営業利益は化学品事業(売上比率52%)が6%減の263億円、食品(同20%)が1%減の43億円、ライフサイエンス(同27%)が26%増の98億円。化学品のうち環境材料製品が増益。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比8.7%増の4530億円、営業利益が同12.5%増の468億円、年間配当が同8円増配の120円。化学品事業のうち半導体材料の前期は、売上高が6%増の360億円、営業利益が18%減の74億円。先行投資による固定費負担増が響き通期減益の中、最新世代のDRAM生産開始に対応した新製品出荷により高誘電材料が下半期から拡大基調に転じた。
ソシオネクスト<6526>
・富士通<6702>とパナソニックHD<6752>のSoC(システム・オン・チップ)事業を統合して2015年に事業を開始。最先端SoCの設計・開発・販売に特化したグローバルなファブレス半導体メーカー。
・4/28発表の2026/3通期は、売上高が前期比6.5%増の2008億円、営業利益が同50.6%減の123億円。製品売上が10%増の1618億円、NRE売上(量産前段階で顧客から一度限り受け取る売上)が6.6%減の383億円。4Q(1-3月期)は、売上高が前年同期比36%増、営業利益が19%増と拡大した。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比7.1%増の2150億円、営業利益が同13.3%増の140億円、年間配当が同横ばいの50円。半導体のHBM(高帯域幅メモリ)の需要拡大に対し、同社は既製品ブロックを積み込んだ従来のチップレットとは異なり、設計段階からカスタマイズできる優位性を活かして、HBMとSoCを連携・融合させて顧客企業によるHBMの活用効率化に向けた需要を開拓。
シャープ<6753>
・1912年に早川徳次が創業。2016年に台湾の鴻海精密工業の傘下入り。コンシューマー向けの「スマートライフ」、法人向けの「スマートワークプレイス」、「ディスプレイデバイス」の3事業を展開する。
・5/12発表の2026/3通期は、売上高が前期比12.4%減の1兆8928億円、営業利益が同77.6%増の485億円。主な事業別営業利益は、スマートライフ(売上比率31%)が30%増の284億円、スマートワークプレイス(同44%)が4%減の575億円、ディスプレイデバイスが▲182億円へ赤字幅縮小だった。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比6.5%減の1兆7700億円、営業利益が同0.9%増の490億円、年間配当は未定(前期は無配)。スマートライフのコスト削減およびディスプレイデバイスの構造改革が進む。同社は6/24、鴻海精密工業とAIインフラやロボティクスなど成長産業で戦略的協業に合意。参入を表明しているAIサーバー事業で鴻海の製造・調達力は強い武器になると見込まれる。
※執筆日 2026年6月26日
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当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
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