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    2026年6月18日 17時30分

    明日の株式相場に向けて=生成AI時代のシャドープレーヤーを探せ

     きょう(18日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比1151円高の7万1053円と大幅高で6連騰。ここ2日ほど7万円台に乗せても終値では6万円台に押し返される展開が続いていた。しかし、それは猛進する前の瀬踏みに過ぎなかったようだ。きょうは前日の米国株市場でNYダウナスダック総合株価指数いずれも大きく下押したにもかかわらず、日経平均は我が道を行くとばかりに上値を駆け上がり、7万円大台ラインを通過点に7万1000円台まで一気に水準を切り上げた。その背景として、米株市場では主要株価指数が下押したもののフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が反発したことや、米国とイラン両国による戦闘終結の覚書署名で地政学リスクが後退したことなどが挙げられているが、はっきり言ってしまえばそれらは本質から外れている。目先のイベントに左右されたものではない。いわゆる取り残される恐怖「FOMO」に耐え切れなくなった投資マネーが一極集中でAI関連のツルハシ銘柄に殺到したということに尽きる。それを裏付けるように、きょうは韓国や台湾市場も東京市場と同じ時間軸でリスクオンの色彩を強めた。文字通り半導体及びその周辺株が踊り狂った1日であった。

     直近では最先端 EUV露光装置のオンリーワン企業であるASMLホールディング<ASML>が生産能力の増強に動き出している。世界的なAI開発競争は同社の露光装置にも強力な追い風となっているという現状が見えてきた。キオクシアホールディングス<285A>NAND型フラッシュメモリーが、AIデータセンターの記憶媒体として需要沸騰したSSD装置向けに劇的な収益機会を確保したように、EUV露光装置にも生成AIインフラ特需が発生している。これが、ASMLにマスク欠陥検査装置を独占供給するレーザーテック<6920>の株価を突き動かし、きょうも7%を超える大幅高を演じた。このほか、東京エレクトロン<8035>が最高値街道に復帰、イビデン<4062>も青空圏を舞い上がっている。

     目を見張る 半導体株の大躍進だが、投資対象も次第に広範化している。半導体製造装置や光ファイバー関連、積層セラミックコンデンサー(MLCC)メーカーなどにとどまらず、化学株をはじめ幅広い業態に物色の裾野が広がってきた。投資家サイドとしてキオクシアを中軸にゼロワン銘柄クラスの関連株に矛先を向けるのが分かりやすいが、噴き上げているタイミングで買いつくのはモメンタム相場のみにアプローチした手法であまり推奨はできない。歴史的な半導体株祭りでもあるからこそ近視眼的にならず、視野を広くして銘柄を拾い上げていく努力が報われることになる。

     化学株は今後、AI・半導体インフラの「隠れたツルハシ」セクターとして草刈り場となることが考えられるが、例えば日産化学<4021>は半導体露光プロセスで使われる反射防止コーティング材料や最先端EUV向けレジスト下層膜で高シェアを誇っている。また、アイカ工業<4206>は化成品と建材が収益の二本柱であるが、半導体封止用の高純度フェノール樹脂を製造するなど後工程で需要を獲得している。

     化学株ではないが異業態で意外な伏兵として頭角を現しそうなのがリオン<6823>だ。補聴器の草分けでその高度な技術力は半導体製造分野でも威力を発揮する。同社はキオクシア及び産業技術総合研究所と共同で世界初となる「流体力学式液中粒子計数器」の開発に成功している。これは半導体製造の要衝を担う超純水や各種薬液の品質管理をリアルタイムに行うための重要アイテムとなり得るもので、先端半導体によるAIインフラ構築のフェーズで多大なる貢献が見込まれる。

     更にきょうは当欄でも前週取り上げた味の素<2802>が、「半導体関連」としての切り口が前面に押し出される形で急速人気化した。半導体パッケージ基板用の層間絶縁材料として世界シェアを独占する「味の素ビルドアップフィルム(ABF)」が注目されている。ABFは同社独自のアミノ酸製造技術とそこから派生した有機化学・配合技術によって生まれたものだ。半導体が進化していくプロセスでは様々な業態の企業が関与している良い例である。この最先端半導体分野で必須のアミノ酸技術をテーマに横軸に視野を広げると、いくつかの隠れ出世株の存在に行き着く。有機合成薬品工業<4531>はその有力候補の1社だ。アミノ酸の一種であるグリシンは最先端AI半導体のCMP研磨や微細加工のプロセスで重要な役割を担う化学物質であり、同社はそのグローバル・ニッチトップ銘柄として日の目を見る可能性を内包している。そしてポイントとなるのは、急増する半導体需要に応えるため、同社は福島県の主力生産ラインを大幅増強していることである。

     あすのスケジュールでは、5月の全国消費者物価指数(CPI)が朝方取引開始前に発表されるほか、これに少し遅れて取引開始直前には日銀金融政策決定会合の議事要旨(4月27~28日開催分)も開示される。前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が予定されている。後場取引終了後に日本取引所グループ<8697>の山道最高経営責任者(CEO)の記者会見が行われる。海外ではロシア中銀の金融政策決定会合が行われ政策金利を発表する。なお、米国市場は奴隷解放記念日の祝日に伴い休場となる。また、端午節で中国市場、香港市場、台湾市場も休場。(銀)

    出所:MINKABU PRESS