2026年6月17日 12時50分
日銀金融政策決定会合、米FOMC、スペースX【フィリップ証券】
6/16に日銀金融政策決定会合の結果公表と内田副総裁の記者会見が行われる。植田総裁が入院のため欠席となる異例の展開となるが、その分、事前に報道されている通り、政策金利の0.75%から1.0%への引き上げ、および日銀による国債の買い入れ減額を2027年4月以降に停止する方針がそのまま決定される可能性が高いとみられる。国債買い入れ減額停止は金利急騰リスクに配慮する趣旨と考えられる。当面は過去に日銀が購入した国債の償還額が新規購入額を上回る状態が続くことから、金融正常化の方向性に変化はないものの、短期的に銀行株に逆風となる一方、不動産株やJ-REIT(上場不動産投資信託)に追い風になると考えられる。分配金利回りに着目したJ-REITへの投資は、投資口価格の水準からも好機と見る余地がある。
日本時間6/18の早朝には米FOMC(連邦公開市場委員会)の声明発表とウォーシュ新FRB(連邦準備理事会)議長の記者会見が行われる。今回は政策変更なしと予想されるが、金融規制緩和を強化する方針が示されるかどうかが注目点だ。トランプ米大統領の方針に従い、大手銀行に対する自己資本比率規制の緩和、中小・地域金融機関の負担軽減、および暗号資産やステーブルコインに対する前向きな制度整備などを掲げる可能性がある。これらにより、ウォーシュ氏のスタンスは銀行株やフィンテック関連銘柄への追い風になると考えられる。また、「ハト派かタカ派か」という観点からはFRBのバランスシート縮小に対してどのような方針を示すのかも注目される。
6/12に米ナスダック市場へ新規上場したスペースX<SPCX>は、IPO向け提出書類「S-1」によると2025年12月期の通期業績は、売上高が前年比33%増の186億ドル、営業損失が25.9億ドル、コア事業の業績を示す調整後EBITDAが65.8億ドルの黒字、設備投資が前年比約2倍の207億ドル。衛星インターネット「Starlink」を成長の原動力とする一方、AI(人工知能)関連投資や、再使用型ロケット・宇宙船の総称である「Starship」などへの巨額支出が損失を押し上げている。公開価格135ドルに基づく上場時価総額は約1兆7700億ドルに達し、6/11終値ベース時価総額ではエヌビディア<NVDA>、アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、アルファベット<GOOGL>に続き、ブロードコム<AVGO>に匹敵する水準だ。巨額赤字企業の時価総額が巨額黒字の大型ハイテク企業と同水準で評価されてよいのかという疑念は拭えない。さらに、既存株主の株式売却制限「ロックアップ」の解除手法について四半期決算時や70-135日後に段階的な売却を認める異例の条件が採用されていることに伴う売り圧力もある。米主要株価指数への早期採用による機関投資家の買いが他の銘柄の売却につながりやすい点も要注意だろう。
■低PER・高ウェート銘柄と指数~決算発表後、日経平均株価予想PERが低下
日本経済新聞によれば、採用銘柄のウェートを考慮した加重平均の日経平均株価(終値)の予想PER(株価収益率)は、5/14にそれまでの20倍台から19倍台へ低下し、さらに5/18に17倍台へ低下。その後も17倍台の水準を中心に推移している。日経平均株価(終値)は5/14-20まで2854円下落後、6/3まで8602円上昇した。一般的には株価上昇時に予想PERが上昇し、下落時に予想PERが下落する中、5/21-6/3の間、日経平均株価の予想PERは18.25までの上昇にとどまった。
日経平均採用銘柄の中で、ソフトバンクグループ<9984>が5/13、キオクシアホールディングス<285A>が5/15にそれぞれ大引け後に決算発表を行い、市場予想EPS(1株当たり利益)が大幅上方修正されたことが主な要因として挙げられる。
参考銘柄
日本電気硝子<5214>
・1949年に日本電気<6701>から独立して創立。主に「電子・情報」(薄型パネルディスプレイ用ガラスなど)、「機能材料」(特殊ガラス製品およびガラス製造機械類の製造・販売)の2製品部門を展開。
・4/30発表の2026/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比0.3%増の751億円、営業利益が同17.9%減の64.8億円。製品部門別売上高は、電子・情報が6%増の430億円、機能材料が6%減の320億円。電子・情報部門のディスプレイ事業は需要堅調の一方、費用増が全体の利益に響いた。
・通期会社計画は、売上高が前期比2.8%増の3200億円、営業利益が同3.3%減の330億円、年間配当が同10円増配の160円。同社は、次世代半導体の大型化・高密度化に対応する半導体パッケージ用無機コア基板や半導体用サポートガラスを展開。また、米アップル<AAPL>が年内に折り畳みスマホを発売するとの観測が広がる中、同社は従来の10分の1の薄さの曲がるガラスの開発に成功。
住友金属鉱山<5713>
・1590年に住友財閥業祖である蘇我理右衛門が創業した非鉄金属企業。資源開発などの「資源」、金属精錬・加工の「製錬」、電池材料や機能性材料などを含む「材料」の3事業セグメントを営む。
・5/11発表の2026/3通期は、売上高が前期比9.3%増の1兆7415億円、税引前利益が同8.1倍の2556億円。セグメント利益は、資源(売上比率16%)が65%増の1678億円、製錬(同70%)が前期の▲71億円から915億円へ黒字転換、材料(同14%)が前期の▲542億円から152億円へ黒字転換。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比8.1%増の1兆8830億円、税引前利益が同10.4%減の2290億円、年間配当が同21円減配の207円。同社は米国アリゾナ州モレンシー銅鉱山の権益を保有。トランプ米大統領は銅地金への関税発動を示唆。同社はパナソニックHD<6752>に対しリチウムイオン電池の正極材原料を供給。データセンター向け蓄電システム需要拡大の恩恵が見込まれる。
小糸製作所<7276>
・1915年に東京・京橋で小糸源六郎商店を創業。トヨタ自動車<7203>が筆頭株主。自動車照明器、航空機部品、鉄道車両部品、各種電気機器の製造・販売および関連する物流を主な業務とする。
・5/13発表の2026/3通期は、売上高が前期比3.4%増の9476億円、営業利益が同14.6%増の514億円。LiDAR事業や中国事業における減損損失の計上により当期利益は64.2%減の165億円。米国事業(売上比率35%)がトランプ関税の影響により営業利益が33%減の一方、他地域は営業増益。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比1.5%減の9330億円、営業利益が同16.6%増の600億円、年間配当が同2円増配の58円。同社は自動運転LiDAR事業に関し乗用車用車載向け開発を凍結し、ロボタク・バス・トラック・農機・鉄道等の国内インフラ向けへ経営資源を集中する方針を打ち出した。提携している自動運転開発のティアフォーが6/9、東証グロース市場に上場申請書類を提出。
トライアルホールディングス<141A>
・1974年に福岡市で家電製品販売「あさひ屋」を創業。「TRIAL」のディスカウントストアを全国展開する「流通小売事業」とセルフレジ付きショッピングカート「Skip Cart」ほかの「リテールAI事業」を展開。
・5/14発表の2026/6期9M(7-3月)は、売上高が前年同期比67.3%増の1兆36億円、EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)が同2.2倍の521億円。西友の完全子会社化が業績拡大に貢献。既存店売上高成長率が+1.5%、粗利益率が3.6ポイント上昇、3月末店舗数が前期末比263店増の615店。
・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比67.0%増の1兆3425億円(従来計画1兆3225億円)、EBITDAを同93.5%増の676億円(同663億円)とした。年間配当は横ばいの16円と従来計画を据え置いた。株価は3月の既存店売上高の伸び鈍化および会社業績予想が市場予想を下回ったことを受けて大幅に下落。既存店売上高は4月が2.8%増、5月が7.2%増と伸びが加速。見直し余地がある。
※執筆日 2026年6月12日
※フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース
日本時間6/18の早朝には米FOMC(連邦公開市場委員会)の声明発表とウォーシュ新FRB(連邦準備理事会)議長の記者会見が行われる。今回は政策変更なしと予想されるが、金融規制緩和を強化する方針が示されるかどうかが注目点だ。トランプ米大統領の方針に従い、大手銀行に対する自己資本比率規制の緩和、中小・地域金融機関の負担軽減、および暗号資産やステーブルコインに対する前向きな制度整備などを掲げる可能性がある。これらにより、ウォーシュ氏のスタンスは銀行株やフィンテック関連銘柄への追い風になると考えられる。また、「ハト派かタカ派か」という観点からはFRBのバランスシート縮小に対してどのような方針を示すのかも注目される。
6/12に米ナスダック市場へ新規上場したスペースX<SPCX>は、IPO向け提出書類「S-1」によると2025年12月期の通期業績は、売上高が前年比33%増の186億ドル、営業損失が25.9億ドル、コア事業の業績を示す調整後EBITDAが65.8億ドルの黒字、設備投資が前年比約2倍の207億ドル。衛星インターネット「Starlink」を成長の原動力とする一方、AI(人工知能)関連投資や、再使用型ロケット・宇宙船の総称である「Starship」などへの巨額支出が損失を押し上げている。公開価格135ドルに基づく上場時価総額は約1兆7700億ドルに達し、6/11終値ベース時価総額ではエヌビディア<NVDA>、アップル<AAPL>、マイクロソフト<MSFT>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、アルファベット<GOOGL>に続き、ブロードコム<AVGO>に匹敵する水準だ。巨額赤字企業の時価総額が巨額黒字の大型ハイテク企業と同水準で評価されてよいのかという疑念は拭えない。さらに、既存株主の株式売却制限「ロックアップ」の解除手法について四半期決算時や70-135日後に段階的な売却を認める異例の条件が採用されていることに伴う売り圧力もある。米主要株価指数への早期採用による機関投資家の買いが他の銘柄の売却につながりやすい点も要注意だろう。
■低PER・高ウェート銘柄と指数~決算発表後、日経平均株価予想PERが低下
日本経済新聞によれば、採用銘柄のウェートを考慮した加重平均の日経平均株価(終値)の予想PER(株価収益率)は、5/14にそれまでの20倍台から19倍台へ低下し、さらに5/18に17倍台へ低下。その後も17倍台の水準を中心に推移している。日経平均株価(終値)は5/14-20まで2854円下落後、6/3まで8602円上昇した。一般的には株価上昇時に予想PERが上昇し、下落時に予想PERが下落する中、5/21-6/3の間、日経平均株価の予想PERは18.25までの上昇にとどまった。
日経平均採用銘柄の中で、ソフトバンクグループ<9984>が5/13、キオクシアホールディングス<285A>が5/15にそれぞれ大引け後に決算発表を行い、市場予想EPS(1株当たり利益)が大幅上方修正されたことが主な要因として挙げられる。
参考銘柄
日本電気硝子<5214>
・1949年に日本電気<6701>から独立して創立。主に「電子・情報」(薄型パネルディスプレイ用ガラスなど)、「機能材料」(特殊ガラス製品およびガラス製造機械類の製造・販売)の2製品部門を展開。
・4/30発表の2026/12期1Q(1-3月)は、売上高が前年同期比0.3%増の751億円、営業利益が同17.9%減の64.8億円。製品部門別売上高は、電子・情報が6%増の430億円、機能材料が6%減の320億円。電子・情報部門のディスプレイ事業は需要堅調の一方、費用増が全体の利益に響いた。
・通期会社計画は、売上高が前期比2.8%増の3200億円、営業利益が同3.3%減の330億円、年間配当が同10円増配の160円。同社は、次世代半導体の大型化・高密度化に対応する半導体パッケージ用無機コア基板や半導体用サポートガラスを展開。また、米アップル<AAPL>が年内に折り畳みスマホを発売するとの観測が広がる中、同社は従来の10分の1の薄さの曲がるガラスの開発に成功。
住友金属鉱山<5713>
・1590年に住友財閥業祖である蘇我理右衛門が創業した非鉄金属企業。資源開発などの「資源」、金属精錬・加工の「製錬」、電池材料や機能性材料などを含む「材料」の3事業セグメントを営む。
・5/11発表の2026/3通期は、売上高が前期比9.3%増の1兆7415億円、税引前利益が同8.1倍の2556億円。セグメント利益は、資源(売上比率16%)が65%増の1678億円、製錬(同70%)が前期の▲71億円から915億円へ黒字転換、材料(同14%)が前期の▲542億円から152億円へ黒字転換。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比8.1%増の1兆8830億円、税引前利益が同10.4%減の2290億円、年間配当が同21円減配の207円。同社は米国アリゾナ州モレンシー銅鉱山の権益を保有。トランプ米大統領は銅地金への関税発動を示唆。同社はパナソニックHD<6752>に対しリチウムイオン電池の正極材原料を供給。データセンター向け蓄電システム需要拡大の恩恵が見込まれる。
小糸製作所<7276>
・1915年に東京・京橋で小糸源六郎商店を創業。トヨタ自動車<7203>が筆頭株主。自動車照明器、航空機部品、鉄道車両部品、各種電気機器の製造・販売および関連する物流を主な業務とする。
・5/13発表の2026/3通期は、売上高が前期比3.4%増の9476億円、営業利益が同14.6%増の514億円。LiDAR事業や中国事業における減損損失の計上により当期利益は64.2%減の165億円。米国事業(売上比率35%)がトランプ関税の影響により営業利益が33%減の一方、他地域は営業増益。
・2027/3通期会社計画は、売上高が前期比1.5%減の9330億円、営業利益が同16.6%増の600億円、年間配当が同2円増配の58円。同社は自動運転LiDAR事業に関し乗用車用車載向け開発を凍結し、ロボタク・バス・トラック・農機・鉄道等の国内インフラ向けへ経営資源を集中する方針を打ち出した。提携している自動運転開発のティアフォーが6/9、東証グロース市場に上場申請書類を提出。
トライアルホールディングス<141A>
・1974年に福岡市で家電製品販売「あさひ屋」を創業。「TRIAL」のディスカウントストアを全国展開する「流通小売事業」とセルフレジ付きショッピングカート「Skip Cart」ほかの「リテールAI事業」を展開。
・5/14発表の2026/6期9M(7-3月)は、売上高が前年同期比67.3%増の1兆36億円、EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)が同2.2倍の521億円。西友の完全子会社化が業績拡大に貢献。既存店売上高成長率が+1.5%、粗利益率が3.6ポイント上昇、3月末店舗数が前期末比263店増の615店。
・通期会社計画を上方修正。売上高を前期比67.0%増の1兆3425億円(従来計画1兆3225億円)、EBITDAを同93.5%増の676億円(同663億円)とした。年間配当は横ばいの16円と従来計画を据え置いた。株価は3月の既存店売上高の伸び鈍化および会社業績予想が市場予想を下回ったことを受けて大幅に下落。既存店売上高は4月が2.8%増、5月が7.2%増と伸びが加速。見直し余地がある。
※執筆日 2026年6月12日
【免責・注意事項】
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提供している証券会社との契約に基づき対価を得る場合があります。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
<日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項>
・ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。
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