2026年6月4日 17時30分
明日の株式相場に向けて=時価総額大逆転に見えたAI相場の深層
きょう(4日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比931円安の6万7470円と大幅反落。前日の米株市場でNYダウをはじめ主要株価3指数が揃って下落したことを受け、これが目先利益確定売りの口実となった。米国株市場で半導体・ソフトウェア設計のブロードコム<AVGO>が決算発表後の時間外取引で急落したことが、トリガーを引いた格好だ。きょうはここ日経平均を強力に引っ張り上げてきたソフトバンクグループ<9984>が思いのほか大きな下げとなり、指数押し下げ効果をもたらした。だが、日経平均が前日に跳び箱のように飛び越えた6万7000円台に終値で着地したことは、むしろ健全な踊り場を形成したという解釈もできる。
相変わらずホルムズ海峡の開放シナリオは滞ったままで、原油市況がまた上昇気配を漂わせるなどリスク回避ムードが拭えない。トランプ米大統領もイランとの戦いに幕を引きたいのはヤマヤマながら、お互いの主張が全く折り合わず落としどころがつかめない。イスラエルのネタニヤフ首相との関係悪化も取り沙汰されるなか、TACOの選択肢が期待できないなかでの「NACHO(Not a Chance Hormuz Opens)」、つまりホルムズ海峡はいつまでたっても開かないという現実を、マーケットはある意味諦観しているようにも見える。
米国株市場は前日こそ反落したが、それまでNYダウは5日連続の最高値更新、ナスダック総合株価指数も前日に下落したとはいえ、これは実に10日ぶりの反落であった。東京市場の強さは言うに及ばず、少なくとも日米の株式市場はニュースフローには注意しながらも、イラン情勢に戦々恐々としているという印象は受けない。しかし、これには但し書きが付く。イラン情勢にお構いなしなのは AI・ 半導体関連株に限られている。今のAI関連相場は猪突猛進の典型で、外部環境は眼中になくひたすら前方しか見ていない。しかしそれ以外の多く、日常とリンクした経済活動を行っている業態については、やはり投資資金は回避の対象としているのだ。日々の個別株の動向で、新安値をつける銘柄が噴出し新高値銘柄の数を凌駕しているのはそれを如実に物語る。NACHOというスラングが大手を振っている間は、バリュー・ローテーションは起こり得ないが、もし、AI・半導体一極集中からバリュエーション重視でリターン・リバーサルの動きが出るとすれば、それは「Hormuz Opened」、ホルムズが解放されたタイミングで起こる可能性が高い。
今週明け1日にソフトバンクGの時価総額がトヨタ自動車<7203>を上回ったことが話題となった。トヨタの株価は4月中旬以降軟調を極めており、これに対しソフトバンクGの株価は同じ時間軸で急速に上放れた。起こるべくして起こった時価総額の逆転劇だが、それでも十分にセンセーショナルである。これをAIバブルのアダ花などというと反論を受けそうだが、売上高規模を見るとトヨタはざっくり50兆円、対してソフトバンクGは7兆8000億円である。もちろん利益率は大差で製造業と投資会社の違いといえばその通りなのだが、ソフトバンクGはAI関連の大御所というポジションを確保しているが、実態は“AI時代を闊歩する巨大なる相場師”といってもよい。トヨタのようにハードの上に利益を積んでいく積層型ではなく、時代の流れとマーケットの価値観のズレを見極めて「せどり」を行うのがソフトバンクGだ。どんなに優れた相場師でも、AI関連株が下降局面に移行すれば利益は消えていく。それは時価総額にも如実に表れる。
きょうは全体相場が急落するなか東京エレクトロン<8035>やディスコ<6146>などをはじめ半導体製造装置関連に資金が還流した。投資マネーが巨大化してもAI・半導体関連のフィールドは広大で、近未来に向け同じベクトルを持つ銘柄群に波の上下動のように循環物色の矛先が向かう。当面、主力株戦略は波が凹んだターンの銘柄を押し目買い対象とする。それ以外の半導体周辺の中小型株については、基本的に「ツルハシ銘柄」を対象にプラスアルファで買いの根拠が見えた時に勝負していくというスタンスが望ましい。
高圧ガス工業<4097>は溶解アセチレンの最大手で、そのほか各種工業用ガスの供給を行っているが、にわかに人気化素地が意識されている。ポイントは半導体製造で必須であるヘリウムが今世界的に深刻な不足状態にあるということだ。価格上昇圧力がかかるなか、必然的に注目される半導体向けヘリウムの回収・リサイクルでは、産業ガス国内最大手の日本酸素ホールディングス<4091>などと同様に高圧ガス工業も有力プレーヤーとして存在感を示している。株価はここ弱もち合いで推移してきたが、足もとでやや動きに変化がみられる。また、ニレコ<6863>は産業用制御装置や計測・検査装置などの開発・製造を行っているが、高度な技術力を武器に半導体製造装置向けを主力としたレーザー装置及び光学部品などのオプティクス事業でも高水準の需要獲得が進んでいる。
あすのスケジュールでは、4月の家計調査(総務省)、4月の毎月勤労統計(厚労省)速報値、5月上中旬の貿易統計(財務省)がいずれも朝方取引開始前に開示。このほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中には4月の景気動向指数速報値、消費活動指数が発表される。海外では、インド準備銀行(中銀)が政策金利を決定し、1~3月期のユーロ圏実質GDP(確報値)が発表される。また、5月の米雇用統計にマーケットの関心が高い。この日は4月の米消費者信用残高も開示される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
相変わらずホルムズ海峡の開放シナリオは滞ったままで、原油市況がまた上昇気配を漂わせるなどリスク回避ムードが拭えない。トランプ米大統領もイランとの戦いに幕を引きたいのはヤマヤマながら、お互いの主張が全く折り合わず落としどころがつかめない。イスラエルのネタニヤフ首相との関係悪化も取り沙汰されるなか、TACOの選択肢が期待できないなかでの「NACHO(Not a Chance Hormuz Opens)」、つまりホルムズ海峡はいつまでたっても開かないという現実を、マーケットはある意味諦観しているようにも見える。
米国株市場は前日こそ反落したが、それまでNYダウは5日連続の最高値更新、ナスダック総合株価指数も前日に下落したとはいえ、これは実に10日ぶりの反落であった。東京市場の強さは言うに及ばず、少なくとも日米の株式市場はニュースフローには注意しながらも、イラン情勢に戦々恐々としているという印象は受けない。しかし、これには但し書きが付く。イラン情勢にお構いなしなのは AI・ 半導体関連株に限られている。今のAI関連相場は猪突猛進の典型で、外部環境は眼中になくひたすら前方しか見ていない。しかしそれ以外の多く、日常とリンクした経済活動を行っている業態については、やはり投資資金は回避の対象としているのだ。日々の個別株の動向で、新安値をつける銘柄が噴出し新高値銘柄の数を凌駕しているのはそれを如実に物語る。NACHOというスラングが大手を振っている間は、バリュー・ローテーションは起こり得ないが、もし、AI・半導体一極集中からバリュエーション重視でリターン・リバーサルの動きが出るとすれば、それは「Hormuz Opened」、ホルムズが解放されたタイミングで起こる可能性が高い。
今週明け1日にソフトバンクGの時価総額がトヨタ自動車<7203>を上回ったことが話題となった。トヨタの株価は4月中旬以降軟調を極めており、これに対しソフトバンクGの株価は同じ時間軸で急速に上放れた。起こるべくして起こった時価総額の逆転劇だが、それでも十分にセンセーショナルである。これをAIバブルのアダ花などというと反論を受けそうだが、売上高規模を見るとトヨタはざっくり50兆円、対してソフトバンクGは7兆8000億円である。もちろん利益率は大差で製造業と投資会社の違いといえばその通りなのだが、ソフトバンクGはAI関連の大御所というポジションを確保しているが、実態は“AI時代を闊歩する巨大なる相場師”といってもよい。トヨタのようにハードの上に利益を積んでいく積層型ではなく、時代の流れとマーケットの価値観のズレを見極めて「せどり」を行うのがソフトバンクGだ。どんなに優れた相場師でも、AI関連株が下降局面に移行すれば利益は消えていく。それは時価総額にも如実に表れる。
きょうは全体相場が急落するなか東京エレクトロン<8035>やディスコ<6146>などをはじめ半導体製造装置関連に資金が還流した。投資マネーが巨大化してもAI・半導体関連のフィールドは広大で、近未来に向け同じベクトルを持つ銘柄群に波の上下動のように循環物色の矛先が向かう。当面、主力株戦略は波が凹んだターンの銘柄を押し目買い対象とする。それ以外の半導体周辺の中小型株については、基本的に「ツルハシ銘柄」を対象にプラスアルファで買いの根拠が見えた時に勝負していくというスタンスが望ましい。
高圧ガス工業<4097>は溶解アセチレンの最大手で、そのほか各種工業用ガスの供給を行っているが、にわかに人気化素地が意識されている。ポイントは半導体製造で必須であるヘリウムが今世界的に深刻な不足状態にあるということだ。価格上昇圧力がかかるなか、必然的に注目される半導体向けヘリウムの回収・リサイクルでは、産業ガス国内最大手の日本酸素ホールディングス<4091>などと同様に高圧ガス工業も有力プレーヤーとして存在感を示している。株価はここ弱もち合いで推移してきたが、足もとでやや動きに変化がみられる。また、ニレコ<6863>は産業用制御装置や計測・検査装置などの開発・製造を行っているが、高度な技術力を武器に半導体製造装置向けを主力としたレーザー装置及び光学部品などのオプティクス事業でも高水準の需要獲得が進んでいる。
あすのスケジュールでは、4月の家計調査(総務省)、4月の毎月勤労統計(厚労省)速報値、5月上中旬の貿易統計(財務省)がいずれも朝方取引開始前に開示。このほか、前場取引時間中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。後場取引時間中には4月の景気動向指数速報値、消費活動指数が発表される。海外では、インド準備銀行(中銀)が政策金利を決定し、1~3月期のユーロ圏実質GDP(確報値)が発表される。また、5月の米雇用統計にマーケットの関心が高い。この日は4月の米消費者信用残高も開示される。(銀)
出所:MINKABU PRESS