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    2026年6月2日 17時30分

    明日の株式相場に向けて=AI・半導体関連の「復元力」にフォーカス

     きょう(2日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比200円安の6万6734円と反落。きょうは前日とは逆の展開で取引開始前の225先物は強含みで推移していたものの、寄り付きから日経平均は反対方向に走り出した。寄り後に海外筋が先物に売り浴びせ、これを受けて日経平均は坂道を転がるように下値を摸索した。前引け段階で1100円安に売り込まれ、後場寄りも一段安で1400円近くまで下げ幅を広げたが、例によってAIアルゴリズムの買い戻しスイッチが入ると、今度は一直線に戻り足に転じるという展開。長期金利の急低下が背景にあるが、一部では既定路線化しつつあった日銀による利上げが見送られるとの観測も出ているようだ。

     前日は日経平均がザラ場に初めて6万7000円台まで駆け上がり、終値は6万6900円台で着地したものの堂々の最高値更新となった。仮にバブル的要素をはらんでいたとしても足もとのAI・半導体相場の強さは現実である。肯定派にすればPERなど収益実態と比較して非合理的な株価に買われているわけはなく、この強さは本物であるという主張が大手を振っている。ただし、二極化の影の部分にも目を向けておかなければならない。前日は日経平均が大幅高で未踏の領域に歩を進めるなか、プライム市場の新安値銘柄は220あまりに達した。これは今年最も多い水準であり、日経平均の強さに舌を巻く一方で下を向けば水浸しの状態となっている。きょうは、日経平均は後場に入って急速に下げ渋ったのだが、そうしたなかで新安値銘柄が360あまりと更に激増した。つまり、AI・半導体関連株に集中投資している投資家は報われる相場だが、「実際個人ではかなり少数派に属する」(中堅証券ストラテジスト)という。生半可に内需株あるいは自動車株などのバリュー・ローテーションを組むと、ほぼキャピタルロスという状況に陥るのが今の相場だ。

     イーロン・マスク氏率いるスペースⅩ<SPCX>が近く上場する見通しにあるが、直近ではアンソロピックがIPO申請したことを発表し、オープンAIに先んじて上場を果たす可能性が出てきた。オープンAIの上場がアンソロピックの後塵を拝したとしても日柄的にそれほど大きなズレはなく、「むしろ後から登場した方が、アンソロピックをベンチマークにオープンAIにとって有利に働く」(ネット証券アナリスト)という指摘がある。いずれにしても、このAIビッグスリーの鳴り物入りのIPOを控えている以上、これらを前に日米のAI・半導体相場がシュリンクするケースは考えにくい。AI関連の本格的な調整があるとすれば、この上場イベントを通過して日が暮れた後である。

     当欄では以前にAI・半導体関連相場のメインプレーヤー(人気の主軸銘柄)は上値に買いつくのではなく、あくまで押し目買いに徹するのがベターとしたが、これは株価水準に関わらずタイミングとしてローリスクでリターンを求めやすいという意味である。きょうの前場のような下落局面を買い下がる。大勢トレンドは上向きである間は、リバウンド局面で報われる公算が大きい。その際に、ポイントとしては深押し銘柄は戻り余地も大きいが、基本的にトレンドが崩れていない強い株の方に照準を合わせた方が有利ということだ。

     フジクラ<5803>の崩れ足は完全修復には時間がかかる。半面、75日移動平均線がサポートラインとして機能しているアドバンテスト<6857>や、25日線すら割り込まない東京エレクトロン<8035>の方が株価の復元力は高くなる。そして現在、最強と言えるのは5日線すら容易に割り込まないキオクシアホールディングス<285A>ということになる。きょうは何と1銘柄で3兆2000億円台の売買代金をこなした。もちろん、過去最高記録だが、これはもう既に東京株式市場ではなく、ボーダレスに米ビッグテックと同じ土俵に上がっているようなイメージだ。個人投資家にとって、金額的にちょっと手の出ない水準だが、押し目買いターゲットはこうした海外マネーが群がる銘柄群が有力となる。そして個別に具体的な悪材料が出た場合を除き、基本は上値に因縁玉(売り損ねて次の機を窺っている投資家)が少ない強い株の方が有利という理屈である。

     一方、グロース株は厳しい状況に置かれている。小型株は波状的な、言い換えれば底上げ的な投資資金が入りにくい時間軸にある。しかし、ピンポイントでは目立たないが静かに資金を吸引している小型株も少なからずある。組み込みソフト専業のイーソル<4420>や、金型のスペシャリストであるパンチ工業<6165>などはその類いで、我が道を行く展開で独特の世界を形成している。

     あすのスケジュールでは、6月の日銀当座預金増減見込みが朝方取引開始前に公表されるほか、植田和男日銀総裁が、共同通信社が運営する「きさらぎ会」で講演を行う予定にあり、その発言内容に耳目が集まる。海外では5月のレーティングドッグ中国非製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表され、米国では5月のADP全米雇用リポートや5月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数、4月の米製造業受注などに市場の関心が高い。また、米地区連銀経済報告(ベージュブック)も開示される。個別にブロードコム<AVGO>やクラウドストライク・ホールディングス<CRWD>の決算発表が予定されている。なお、あすは韓国市場とタイ市場が休場となる。(銀)

    出所:MINKABU PRESS