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    2026年2月13日 16時21分

    AI投資拡大の明暗、ソフトウェア懸念の行き過ぎ、宇宙関連【フィリップ証券】

     トランプ米大統領が次期米FRB(連邦準備理事会)議長にウォーシュ元FRB理事を指名したことは、米ドル高と過剰流動性の縮小への思惑から貴金属市場を中心に一時的な混乱を引き起こした。それでも、暗号資産などを除けば混乱は収まりつつある。一方、米国の巨大テック企業の株価はAI(人工知能)投資競争の過熱への懸念から、好決算にかかわらず株価が下落している。2026年度の設備投資について米アマゾン・ドット・コム<AMZN>が前年比5割増、メタ・プラットフォームズ<META>が6-9割増、アルファベット<GOOGL>が約2倍、マイクロソフト<MSFT>は10-12月期の設備投資額が前年同期比で約7割増だった。反面、データセンター投資の恩恵で半導体需要がさらに高まるとの期待から半導体銘柄へ買いが入り、データセンター電源用の発電機などへの需要増への期待からキャタピラー<CAT>が買われるなど、物色対象の裾野が広がってきている。

     また、新興AI開発企業のアンソロピックが特定の専門業務を自動化する新サービスを発表したことを受けて、AIがソフトウェア企業の業績を圧迫するのではないかとの警戒感から、ソフトウェアやデータサービス企業が軒並み大幅な売りに押された。特に、上場投資信託(ETF)の「iシェアーズ拡大テクノロジー・ソフトウェア・セクターETF(IGV)」が話題となり、その組み入れ銘柄の上位構成銘柄の下落率の大きさが目立った。ウェート上位順10銘柄は、マイクロソフト、パランティア・テクノロジーズ<PLTR>、オラクル<ORCL>、セールスフォース<CRM>、アップラビン<APP>、インテュイット<INTU>、アドビ<ADBE>、パルアルト・ネットワークス<PANW>、クラウド・ストライク・ホールディングス<CRWD>、サービスナウ<NOW>である。この中には、サイバー・セキュリティ関連など、AIの進化の恩恵を受けやすいものも含まれている。一斉に売られた銘柄の中から反転上昇へと転じる銘柄も出てくると想定される。

     「宇宙関連」は今年の米国株投資のテーマの中心になる可能性を秘めている。テスラ<TSLA>CEOのイーロン・マスク氏は、1/22にダボス会議で講演し、AIのインフラ整備に向け、3年以内に宇宙空間でデータセンターをつくる構想を明らかにした。マスク氏が率いる宇宙開発企業のスペースXは2026年中のIPOを計画している。また、米航空宇宙局<NASA>が主導し、日本も参加する有人月探査「アルテミス計画」も3月に4人の宇宙飛行士を乗せたオリオン宇宙船が月を周回して帰還する「アルテミスⅡ」を実施予定だ。トランプ米大統領は2025年12月、アルテミス計画を大幅に前進させる宇宙政策の大統領令に署名。ロケット・ラボ<RKLB>、インテュイティブ・マシーンズ<LUNR>、ファイヤフライ<FLY>、ボイジャー<VOYG>などの宇宙関連銘柄は、今後注目度が高まると見込まれる。

    ■米ソフトウェア株への売り攻勢~AIはソフトウェア企業の座を奪うのか?

     新興AI開発企業のアンソロピックが1月に特定の専門業務を自動化する新サービスを発表したことで、AIがソフトウェア企業の業績を圧迫するのではないかとの警戒感がくすぶり続けている。米国株市場では上場投資信託(ETF)の「iシェアーズ拡大テクノロジー・ソフトウェア・セクターETF(IGV)」が注目されている。

     ソフトウェア関連銘柄への売り加速は、AIが業績にどう影響するかというファンダメンタルズに基づいた売りではないように見受けられる。たとえば、サイバーセキュリティー企業はAIの進歩の恩恵を受けるサービスを提供するとみられる場合が多い。機関投資家による株式エクスポージャーが「過度な楽観」とされる高水準にあり、現金比率が低水準となる中、機械的な持ち高解消が起きていると見るべきだろう。

    【タイトル】


    参考銘柄


    ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル<JCI> 市場:NYSE・・・2026/5/7に2026/9期2Q(1-3月)の決算発表を予定

    ・1885年設立。商業ビル・工業施設を対象に冷暖房空調設備、ビル管理システム、セキュリティーシステムの設計・製造・販売・設置を行う。ハネウェル・インターナショナル<HON>のHBT事業と競合。

    ・2/4発表の2026/9期1Q(10-12月)は、売上高が前年同期比6.8%増の57.97億USD、既存事業増収率が6%(会社予想3%)、非GAAPの調整後EPSが同39.1%増の0.89USD(同0.83USD)。受注高が39%増、12月末既存事業受注残が20%増。調整後EBITマージンが1.9ポイント拡大の12.4%。

    ・通期会社計画を上方修正。調整後EPSを前期比25.0%増の4.70USD(従来計画4.55USD)とした。既存事業増収率は1桁台半ばと従来計画を据え置いた。生産性向上に加え、データセンターやライフサイエンス分野での勢いが加速し、冷却技術や接続性のイノベーションが顧客価値を生み、差別化要因となっている。米国だけでなく、欧州・中東・アフリカ、アジア太平洋も堅調に推移している。


    メルク<MRK> 市場:NYSE・・・・2026/4/30に2026/12期1Q)1-3月)の決算発表を予定

    ・1891年に独Merckの米国子会社として設立後、第一次世界大戦中に米政府が接収し米国籍化。医療用医薬品、ワクチン、バイオ医薬品、アニマルヘルス製品を提供。140ヵ国以上で事業展開。

    ・2/3発表の2025/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比5.0%増の148.43億USD、事業買収・売却の影響を除く非GAAPの調整後EPSが同18.6%増の2.04USD。HPV関連がん予防ワクチン「ガーダシル」(売上比率6%)が34%減収の一方、がん治療薬「キートルーダ」(同51%)が7%増収。

    ・2026/12通期会社計画は、売上高が前期比1-3%増の655-670億USD、インフルエンザ治療薬を開発するシダラの買収関連費用を除く調整後EPSが同2-4%減の8.65-8.80USD。同社はモデルナ<MRNA>と個別化mRNAがんワクチンを共同開発中。キートルーダと組み合わせることで免疫応答を強化し、がん再発を防ぐことを目的とする。特許切れが近いキートルーダの再成長が期待される。


    プラネット・ラブズ<PL> 市場:NYSE・・・2026/3/9に2026/1期4Q)11-1月)の決算発表を予定

    ・2010年設立の衛星画像データプロバイダー。軌道上で200機以上の衛星を運営し、毎日撮影した地球画像データを収集・提供するほか、基礎的な分析能力を備えたプラットフォームを提供。

    ・12/10発表の2026/1期3Q(8-10月)は、売上高が前年同期比32.6%増の81百万USD(会社予想71-74百万USD)、非GAAPの調整後EBITDAが前年同期の▲2.4百万USDから5.6百万USD(同▲4百万-0USD)へ黒字転換。調整後粗利益率は4ポイント悪化。10月末受注残は2025/1期末比46%増。

    ・2026/1通期会社計画を上方修正。売上高を前期比22-23%増の297-301百万USD(従来計画281-289百万USD)、調整後EBITDAを6-8百万USD(同▲7百万-0USD)とした。10月末受注残が年間売上高の約2.5年分に相当する。年間契約価値の大半が継続収益、かつ80%以上が複数年契約。政府・防衛関連の大型契約が相次ぐほか、AIによるグローバル監視サービスも需要が増加。


    パランティア・テクノロジーズ<PLTR> 市場:NASDAQ・・・2026/5/5に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

    ・ペイパルの共同創業者で起業家のピーター・ティール氏らが2003年に設立。ビッグデータ解析プラットフォームを開発・提供。米諜報機関が対テロ分析で活用するほか、ヘッジファンドも利用する。

    ・2/2発表の2025/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比70.0%増の14.06億USD(会社予想13.27-13.31億USD)、非GAAPの調整後営業利益が同110%増の7.98億USD(同6.95-6.99億USD)。米民間商業向け売上高が137%増の5.07億USD、米政府機関向け売上高が66%増の5.70億USD。

    ・2026/12通期会社計画は、売上高が前期比60-61%増の71.82-71.98億USD、調整後営業利益が同83-84%増の41.26-41.42億USD。「アンソロピック・ショック」からソフトウェア関連株への売り圧力が強まる中、同社プラットフォームはシールドAIが開発する新型AI自律垂直離着陸機(VTOL)「X-BAT」との提携など重要政府プロジェクトの一翼を担い、他のソフトウェア企業とは異なる面が大きい。


    ロケット・ラボ<RKLB> 市場:NASDAQ・・・2026/2/26に2025/12期4Q(10-12月)の決算発表を予定

    ・2006年設立の宇宙関連企業。宇宙・防衛産業向けの打ち上げサービスと宇宙システムソリューションを提供。低軌道用小型ロケット「Electron」による打ち上げのほか中規模ロケット「Neutron」を開発。

    ・11/10発表の2025/12期3Q(7-9月)は、売上高が前年同期比48.0%増の155百万USD(会社予想145-155百万USD)、非GAAPの調整後EBITDAが前年同期の▲30.8百万USDから▲26.2百万USDへ赤字幅縮小(同▲21-▲23百万USD)。衛星設計・製造の売上比率上昇が利益率向上に寄与した。

    ・2025/12期4Q(10-12月)会社計画は、売上高が前年同期比28-36%増の170-180百万USD、調整後粗利益率が43-45%(前年同期34%)、調整後EBITDAが▲23-▲29百万USD(同▲23百万USD)。9月末受注残が前年同期比5%増の11億USDと当面の収益面の不安は限定的。Electronは昨年に21回の無欠陥打ち上げを達成。再利用型ロケットNeutron打ち上げ成功・商用化が成長の鍵を握る。


    テスラ<TSLA> 市場:NASDAQ・・・2026/4/22に2026/12期1Q(1-3月)の決算発表を予定

    ・2003年設立。電気自動車(EV)の設計・製造・販売、EV用パワートレイン部品を他の自動車メーカーへ販売、および充電式リチウムイオン電池システムなどのエネルギー貯蔵製品の販売を行う。

    ・1/28発表の2025/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比3.1%減の249.01億USD、非GAAPの調整後EPSが同16.7%減の0.50USD。粗利益率は3.9ポイント改善。自動車収入(売上比率71%)が11%減、エネルギー生成・貯蔵収入(同15%)が25%増、サービスその他収入(同14%)が18%増。

    ・イーロン・マスクCEOは高級EV(電気自動車)の生産・販売から撤退し、工場の生産品目をヒト型ロボットに切り替えると発表。さらに米国で進む自動運転車の規制緩和を追い風にロボタクシー事業への注力を拡大。また、同氏が率いる宇宙開発企業スペースXとAI開発企業xAIの両社が2/2に統合。スペースXはIPOに向けて準備中であり、テスラとの合併の可能性も市場の話題に上がっている。


    執筆日:2026年2月9日


    フィリップ証券
    フィリップ証券 リサーチ部 笹木和弘
    (公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト)

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    フィリップ証券より提供されたレポートを掲載しています。


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